○土茯苓(どぶくりょう)
中国からインドにかけて分布するユリ科のつる性落葉低木ケナシサルトリイバラ(Smilax glabra)の根茎を用いる。生薬名を中国では土茯苓というが、日本では一般に山帰来と呼んでいる。
ところで日本にはケナシサルトリイバラは自生していないが、よく似た同属植物のサルトリイバラ(S.china)が自生し、サルトリイバラには刺があるがケナシサルトリイバラには刺はない。このサルトリイバラの根茎を、日本ではとくに和山帰来と呼んでいるが、中国では菝葜と称して別に扱っている。
ケナシサルトリイバラの根茎にはサポニン、タンニン、樹脂などが含まれているが、薬理作用は明らかでない。漢方では清熱・解毒・去湿の効能があり、梅毒や慢性の皮膚疾患、化膿性疾患、頸部結核に用いる。とくに古くから梅毒の治療薬および水銀剤の解毒薬として知られている。今日でも家庭薬の便秘薬や皮膚疾患治療剤にサンキライの名でしばしば配合されている(複方毒掃丸)。
香港のデザートとして有名な亀苓膏(亀ゼリー)にも配合されている。また近年、中国ではレプトスピラ病や麻疹の予防や治療に用いられている。中央アメリカに産する同属植物のサルサパリラ(S.officinalis)の根は、かつて梅毒、感染などの皮膚病、リウマチなどの血液浄化薬、強壮薬として利用されていた。このサルサパリラはカリブ海地方の清涼飲料水(ルートビアー)の香味料としても有名である。
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