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火曜日, 1月 21, 2014

天門冬

○天門冬(てんもんどう)

 日本の関東地方以南、台湾、中国などの暖かい海岸の砂地に自生するユリ科のつる性多年草クサスギカズラ(Asparagus cochinchinensis)の塊根を用いる。スギの葉に似た葉状枝のあることからクサスギカズラといわれ、同属植物にはアスパラガスがある。短い根茎に紡錘形に肥大した塊根が多数付いている。

 根には粘液質やアスパラギン、βシトステロール、サポニンなどが含まれ、抗菌作用やインターフェロン誘起作用が報告されている。漢方では滋陰清熱・化痰の効能があり、咳嗽、吐血、口渇、咽頭の腫痛などに用いる。作用は麦門冬とほぼ同じで、おもに陰虚による咳嗽や微熱、炎症に用い、しばしば二冬と称して両者を併用する。とくに肺陰虚による高齢者などの慢性の咳嗽や粘稠痰の症状に適している。

 慢性気管支炎や気管支拡張症などで痰が粘稠で切れにくく、咳が続くときには黄芩・桔梗などと配合する(清肺湯)。高齢者の肺結核などで慢性的な咳嗽や粘稠痰のあるときには地黄・麦門冬などと配合する(滋陰降火湯)。口腔や歯肉、咽頭に潰瘍や炎症があって腫れて痛むものに枇杷葉・地黄などと配合する(甘露飲)。

 民間では滋養・強壮や咳止めの効果があるとして薬酒に用いている(天門冬酒)。天門冬の蜂蜜漬けも強壮・咳止めに利用されている。近年、中国において天門冬の抗癌作用が研究されており、白血病や乳腺癌などに対する効果が検討されている。

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