○タラ木(たらぼく)
日本全土、朝鮮半島、中国東北部に分布するウコギ科の落葉低木タラノキ(Aralia elata)の根皮や樹皮を用いる。日本市場ではタラ木、タラ木皮、タラ根皮などという。
ニホンではタラノキを漢字の楤木にあてるが、タラノキは中国名の遼東楤木に相当し、中国ではタラノキの根皮あるいは樹皮を刺老鴉という。中国産の楤木(A.chinensis)は楤木根、樹皮を楤木白皮という。
タラノキの幹は2~4mくらいに直立し、樹皮の表面には多数の鋭い刺がある。タラの若芽(タラの芽)は独特の香味のある山菜としてよく知られている。
タラノキの根皮や樹皮にはサポニンのα・βタラリンやエラトサイド、プロトカテキュ酸などが含まれ、エラトサイドには糖やアルコールの吸収を抑制する作用のあることが報告されている。日本の民間ではタラ根皮の煎じたものを「たら根湯」と称し、糖尿病の妙薬として用いられている。またトゲを煎じて服用すれば高血圧にもよいといわれている。
中国の楤木皮はリウマチや痛風などによる関節痛に用いられるほか、胃潰瘍や腎臓病、神経痛にも使われている。また腎炎による浮腫や肝硬変による腹水、糖尿病などの民間療法としても用いられている。
一方、タラノキの樹皮である刺老鴉は安神薬や強壮・強精薬として知られている。ちなみに美白作用のあるエラグ酸の原料に用いられているタラ(Tara)は、ペルー原産のマメ科の植物(Caesalpinia spinosa)のことである。
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