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火曜日, 10月 15, 2013

蘇鉄実

○蘇鉄実(そてつじつ)

 九州南部や沖縄県、中国南部に分布するソテツ科の常緑低木ソテツ(Cycas revoluta)の種子を用いる。日本の民間では一般に蘇鉄実、蘇鉄子というが、中国では鉄樹果という。ソテツはヤシ科の植物に似ているが雌雄異株の裸子植物であり、1895年に池野成一郎がソテツの精子を発見したことでも有名である。

 ソテツ(蘇鉄)という名は元気がなくなれば鉄釘を幹に打ちつけたり、鉄屑を養分として与えると蘇生することに由来する。中国でも蘇鉄というが、鳳尾蕉、鉄樹などとも呼ばれている。

 種子は朱色の3~4cmの偏平な卵形である。果実や幹の髄にはデンプンが含まれ、種子の外皮や内皮を除いた胚乳を粉末にして蘇鉄もちを作って食用とする。蘇鉄は救荒植物として古くから利用されていたが、ホルムアルデヒドなどの有毒物質を含むため十分に水洗いしないと中毒を起こす。牛が種子を食べて麻痺症状を起こすことがある。

 種子にはアデニン、ヒスチジン、ホルムアルデヒド、配糖体のサイカシンが含まれ、アデニンには鎮咳作用、ホルムアルデヒドには殺菌作用がある。またサイカシンなどの有毒アゾキシ配糖体は体内で加水分解されて発癌性のあるメチルアゾキシメタノールを遊離する。これはグァム島の住民の筋萎縮性側索硬化症の原因物質ともされている。

 日本の民間療法では種子を煎じて鎮咳・通経・健胃薬として用いたり、煎液で切り傷を洗う方法がある。しかし発癌性が強いので服用しないほうがよい。

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