○薔薇花(しょうびか)
日本、朝鮮半島に分布するバラ科のつる性に落葉低木ノイバラ(Rosa multiflora)の花を用いる。ノイバラの果実(偽果)は営実であり、葉を薔薇葉、根を薔薇根という。また花を蒸留したものは薔薇露という。
ノイバラは最もよく見られる野生のバラで、バラの接ぎ木の台木としても栽培される。花は白色で芳香があり、成分にはアストラガリンなどが含まれる。一方、ヨーロッパでは古くから薬用バラ(Apothecary Rose)としてバラの原種であるガリカ種(R.gallica)の花びら(ローズペタル)が消化薬や口内炎の治療、疲労回復や精神安定などのためにハーブティーとして利用されてきた。
漢方では解暑・健胃の効能があり、暑気払いや健胃薬として用いる。口内炎や咽頭の腫痛などに桔梗・甘草などと配合する(薔薇湯)。なお薔薇露も口内炎の治療に用いる。また薔薇葉は排膿薬として化膿症に用いる。薔薇根は去風湿・活血・解毒の効能があり、下痢、関節炎、鼻血、痔出血、化膿症などに用いる。
近年、ガリカ種などのバラの花びらエキスにポリフェノールの一種であるオイゲニンが含まれており、抗酸化作用や抗アレルギー作用(ヒスタミン遊離抑制作用)が認められ、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を緩和する効能が期待されている。
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