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水曜日, 2月 20, 2013

ジギタリス

○ジギタリス

 ヨーロッパ南部原産のゴマノハグサ科の多年草ジキタリス(Digitalis purpurea)の葉を乾燥させたものを用いる。一般に内服には葉を粉末にしたジギタリス末を用いる。

 和名のキツネノテブクロという名は英語のフォックス・グローブ(Fox-glove)を訳したものである。日本には明治12年に薬用として渡来したが、赤紫色をした釣鐘状の多数の花が連なって咲くので観賞用としても栽培されている。

 1775年、英国で民間療法によって改善した浮腫の症例からウィザリング博士がジギタリスに利尿作用のあることを発見した。ジギタリスの葉にはプルプレアグリコシドA・Bの形で存在するが、採取後にそれが酵素により分解されてジトキシンなどの強心配糖体を生じる。

 ジギタリス強心配糖体には心筋に直接作用して収縮力を強め、排出量を増やし、脈拍数を減少させる作用がある。かつてうっ血性心不全にはジギタリス末が用いられていたが、今日では有効成分が抽出され、錠剤や注射剤の形で強心利尿薬として用いられている。

 ジギタリスは劇薬に指定されている薬物である。適量を間違えると危険である。中毒症状には黄視症、嘔吐、不整脈、頻脈、頭痛、眩暈、耳鳴り、痙攣などがあり、さらには心停止を来たして死亡することもある。ジギタリスのほか強心配糖体を有する植物としてスズラン(鈴蘭)、フクジュソウ(福寿草)、キョウチクトウ(夾竹藤)、オモト(万年青)、トウワタなどがあり、一般に有毒植物として扱われている。

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