○琥珀(こはく)
古代マツ科やスギ科植物の樹脂が長い期間、地中に埋没して凝結し、化石となったものを琥珀という。産地としてバルト海の沿岸地方が最も有名で、中国の撫順やドミニカ共和国、日本では岩手県の久慈地方がよく知られている。江戸時代には琥珀のことを薫陸香と読んでいたこともある。
粘土層や砂層、炭層、堆積岩の中に産する黄褐色~赤褐色の塊状で、透明及び不透明、断面は貝殻状で光沢があり、中には昆虫などが混入していることもある。燃やすと容易に溶け、芳香を放ち、また有機媒体などにも溶ける。一般に装飾品の原石として有名である。
成分にはアビエチン酸やコハク酸などが含まれ、コハク酸の名はコハクの乾留によって初めて得られたことに由来する。漢方では定驚・安神・利水・通淋・活血の効能があり、不眠症や神経症、痙攣、排尿障害、無月経、腹部腫瘤などに用いる。
産後の浮腫には商陸・猪苓などと配合する(琥珀湯)。腹水や下肢の浮腫が著明で、尿が出ないときには五苓散に滑石などと加える(茯苓琥珀散)。精神が不安定で不眠や動悸がみられるときに遠志・羚羊角などと配合する(琥珀多寐丸)。
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