○芫青(げんせい)
中国の各地に分布するツチハンミョウ科のアオハンミョウの一種である緑芫青(Lytta caraganae)の乾燥した全虫を用いる。
緑芫青は体長1~2cmくらいの細長い昆虫で、体は緑色あるいは藍緑色で光沢がある。かつて日本薬局方に収載されていたカンタリス(L.vesicatoria)と同属の昆虫であり、中国ではカンタリスのことを洋芫青という。
日本ではマメハンミョウ(Epicauta gorhami)をカンタリスの代用品として用いていたが、中国ではマメハンミョウの生薬名を葛上亭長という。その他、ヨコジマハンミョウ(生薬名:斑蝥)、ヒメツチハンミョウ(生薬名:地胆)などのツチハンミョウ科の昆虫もカンタリジンを含み、薬用にされる。このカンタリジンは、これらの昆虫が外的からの自己防衛のために分泌する刺激性の強い化学物質で、皮膚に付着すると水泡が生じるくらいの炎症を引き起こす。
カンタリスは約2cmの金緑色の昆虫で、古代ヨーロッパで薬用昆虫として知られ、水腫や卒中、黄疸の治療、また毒薬として用いられたという。
カンタリジンの薬理作用として発疱作用や抗腫瘍作用が知られている。外用では皮膚病や腫瘍の治療、発毛剤として用いる。内服すると利尿作用があり、また尿道を刺激するため催淫剤としても知られている。瘰癧(頸部リンパ腺腫や狂犬病、堕胎などに用いられた。日本では蘭学の影響で江戸時代以降に芫青を配合した発疱剤が腐食・排膿薬として皮膚化膿症の治療に用いられた。
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