○寒天
紅藻類テングサ科の海藻を煮て溶かして固めたものをところてんといい、さらに凍結乾燥したものを寒天という。一般にテングサといえばGelidium amansii、ヒラクサ(G.subcostatum)をいうが、そのほかオバクサ(Pterocladia)、オゴノリ(Gracilaria verrucosa)なども原料に利用されている。
1658年の冬、参勤の途上の京都で島津侯が食べ残したところてんを戸外に捨てたものが凍結して鬆の入った干物になっていたことから、宿屋の主人が創製したのが寒天の由来といわれる。ちなみにところてん(心太)は、中国から渡来したものといわれているが、千数百年以上も前から日本で好まれてきた食べ物である。
寒天は現在、長野県、岐阜県、大阪府などで製造されている。伝統的な天然寒天は、冬期に屋外で自然凍結、自然乾燥させて製造する。テングサ類の体細胞間壁には10~20%の寒天質が含まれ、その煮出した汁はゾル状であるが、40℃以下に冷えると凝固してゲルになる特性がある。
寒天の主成分はアガロース、アガロペクチンなどの多糖類で、消化吸収しにくく、低カロリー食としても知られる。粉末のまま服用すると保水力が強く膨張するため慢性便秘の改善にも利用できる。また軟膏の基剤やオブラート原料にも利用されている。
現在、寒天由来の食物繊維は整腸作用があることから特定保健用食品に認定されている。また、アガロースから生成されるアガロオリゴ糖に癌細胞のアポトーシス誘導や血管新生抑制作用といった抗癌作用、NO過剰生成抑制によるリウマチ予防作用などのあることも報告されている。
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