○黄連(おうれん)
日本の本州以南に自生するキンポウゲ科の常緑多年草オウレン(Coptis japonica)の根茎を用いる。オウレンには葉の形の違いによりキクバオウレン、セリバオウレン、コセリバオウレンなどがあるが、いずれも薬用とする。中国では四川・湖北・ 西省などで栽培されている黄連(C.chinensis)をはじめ三角葉黄連(C.deltoidea)、峨眉野連(C.omeiensis)、雲南黄連(C.teeta)が基原植物とされている。
根は球を連ねたように短く節くれ、折ると断面が濃黄色のため黄連の名がある。江戸時代に日本の野生種の黄連が中国などに輸出されたとの記録があり、良質と知られていた。幕末のころより丹波黄連などの栽培が始まったといわれるが、現在、兵庫県ではほとんど栽培されておらず、福井県(越前黄連)、鳥取県(因州黄連)などでわずかに栽培されているだけである。中国産では四川省に産する黄連が有名で、とくに川連といわれている。なお、代用にされる胡黄連はゴマノハグサ科の植物の根茎である。
黄連にはアルカロイドのベルベリン、パルマチン、コプチシンのほか、酸性物質のフェルラ酸などが含まれる。ベルベリンは苦味が強く、抗菌作用や整腸作用が知られている。このベルベリンは黄柏の主成分でもある。黄連エキスには鎮静、抗潰瘍、抗炎症、抗菌作用などが認められている。
漢方では黄連の性質は大苦・大寒で瀉火・燥湿・解毒の効能があり、チフスなどの流行性熱性疾患、細菌性腸炎、肺結核、嘔吐、鼻血、下血、咽頭炎、口内炎、湿疹などに用いる。古くから「心火を瀉し、胃腸の湿熱を清し、湿と熱の欝結を治療する要薬」といわれている。
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