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木曜日, 3月 15, 2012

黄耆

○黄耆(おうぎ)

 中国の東北、華北地方、朝鮮半島などに分布するマメ科の多年草キバナオウギ(Astragalus membranaceus)、または中国東北部から蒙古にかけて分布するナイモオウギ(A.membranaceus var.mongholicus)などの根を用いる。品質の良いものは外部が淡褐色、内部は黄白色で、甘くて香気があり、断面は繊維性で毛状となっている。とくに山西省綿山に産する綿黄耆は上質とされている。日本の本州中部以北や朝鮮半島などに分布するマメ科のイワオウギ(Hedysarum vicioides)を和黄耆と称し、かつては黄耆の代用にされたこともあるが、現在では使用しない。また中国ではイワオウギの近縁植物である多序岩黄耆の根を晋耆あるいは紅耆といい、黄耆の一種として用いている。晋耆は品質良好とされるが、日本薬局方では黄耆から除外されている。

 黄耆の成分にはイソフラボノイドのホルモノネチン、トリテルペンサポニンのアストラガロシドのほか、コリン、ベタインなどが含まれ、黄耆エキスには利尿、強壮、降圧、抹消血管拡張、抗アレルギー作用などが報告されている。近年、黄耆の降圧作用のある成分としてγ-アミノ酪酸(ギャバ、GABA)が注目されている。また最近の研究で、免疫機能を高める効果が注目されており、T細胞やNK細胞を活性化することが認められ、エイズ(免疫不全症候群)や癌に対する効果が期待されている。

 アメリカではアストラガルスという名で健康食品にも利用され、アンチエイジングや男性用強壮剤として利用されている。日本でもオウギの葉をペイチー茶と称し、健康茶として市販されている。漢方では補気・利水消腫・止汗・托毒の効能があり、疲労倦怠、胃腸虚弱、内臓下垂、浮腫、盗汗、自汗、皮膚化膿症などに用いる。

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