○キッチンハーブ(1)
ハーブは香草ともいわれ、煮込み料理では素材の臭みを消すために使われてきた。また他の野菜の味を引き立たせたり、料理に香りのアクセントをつけるために使用されることも多い。ここでは特に料理に使われるハーブについて利用法を簡単に紹介する。
※タイム
シソ科イブキジャコウソウ属の常緑性低木で、ヨーロッパ南部が原産。学名はThymusvulasris。ブーケガルニ(煮込み料理の臭い消しに使う数種類のハーブを束にしたもの)に加える基本的なハーブで、料理用ハーブとして人気が高い。精油は抗菌作用に優れている。これは精油に含まれる成分チモールの働きによるもので、昔から去痰剤や消毒液として使用されてきた。ドライハーブから作ったハーブティーはうがい薬や水虫の薬としても利用できる。
※セイボリー
地中海沿岸を原産とするシソ科サトゥレア属の一年草で、学名はSatureja hortensis。別名サマーセイボリー、和名はキダチハッカ。ヨーロッパでは2000年前からスパイスとして使われており、胡椒が伝わってくるまで香料の代表的存在だった。ピリッとした辛味と、タイムに似た香りがあり、豆料理によく使われる。薬用としてはさほど使われていないが、消化を助ける作用が知られている。
※タラゴン
エスドラゴンともいう。キク科ヨモギ属の多年草で、原産地はヨーロッパ、アジア、ロシアなど。学名はArtemisia dracunculus。フレンチタラゴンとロシアンタラゴンの2種類が栽培されている。スパイシーな香りがあり、卵料理、肉料理などと相性がよい。ドライハーブだけでなく、精油や白ワインビネガーに生薬を浸けたタラゴンビネガーも香りづけに使われる。古くは疲労回復の薬草として知られ、中世の巡礼者らはタラゴンの小枝を靴に入れて旅をしたという。スパイスとして使われ始めたのもその頃からである。消化促進や健胃作用があるといわれている。
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