○ごま(胡麻)
ゴマ科の一年生草木で、アフリカのサバンナ地帯が原産地。果実の中に多数できる種子を食用とする。胡麻の色は白・黒・茶・金・緑があるが、主に使われるのは白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマの3種である。白ゴマは脂質の含有量が多く(約55%)、胡麻油の原料に使われている。黒ゴマは独特の香気があり、ゴマ和えやゴマ塩などに用いられる。金ゴマは特に香気が強く、会席料理などに用いられている。
ゴマの成分で最近注目されているのは、ガンや老化の防止に効果があるとされる抗酸化物質の存在である。不飽和脂肪酸を多く含む油は空気中で酸化しやすく、過酸化物質という有害物質に変化するが、ゴマ油ではこのような変化が起きにくいことはよく知られている。これはゴマ油に含まれるビタミンEやリグナンなどが抗酸化物質として働いているからだと考えられている。ゴマに含まれるのリグナンはゴマリグナンといい、セサミンやセサミノールなどの物質が知られている。また、黒ゴマの果皮に含まれるアントシアニンにも抗酸化作用が認められている。ゴマはタンパク質の含有量も多い(約20%)。必須アミノ酸のトリプトファンとメチオニンが多く含まれており、催眠や精神安定、抗うつ症状の改善に効果がある。このほかビタミンB群も多い。
○セサミン強化ごま
多彩な抗酸化物質を多く含み、ビタミンやミネラル類も豊富なゴマであるが、さらにその健康効果を高めようと品種改良の研究も行なわれてきた。2001年には血中の中性脂肪を減らす効果の高い新品種のゴマが農水省農業研究センターで開発されている。
新品種は、セサミンの含有量は多いが収穫量が少ない中国産のゴマと、収穫量の多い国内品種を交配して作ったもので、セサミン含有量が1gあたり約10mgと、中国産よりも5%程度多い。同センターが行なったラットを使った実験では、脂肪酸を分解する肝臓の働きが普通のゴマの2~3倍に高まり血中の中性脂肪が減ったという。同センターでは食品企業などと提携して生活習慣病の予防に役立つゴマの製品化にも取り組んでいる。
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