○ブルーベリー
ブルーベリーはツツジ科の常緑低木で、原産地は北米からカナダにかけての一帯である。寄り集まって実る濃青色の小粒の果実は、古くから生食のほかジャムやゼリーなどに用いられてきた。また、ヨーロッパでは葉は実のエキスが壊血病・泌尿器病・糖尿病などの民間薬として利用されていたこともある。
第2次大戦中にイギリス空軍のパイロットが、ブルーベリーのジャムを大量に摂り続けると周囲が薄暗くなってもよく見えることに気づいたことから生理機能についての研究が始まり、その後、イタリア、フランス、アメリカも参画して研究が進み、各国で医薬品として認められるに至ったが、これに用いられる品種は一般食品用とは異なり、有効成分の多いホワートルベリーという野生種である。
視覚は、外から入ってきた光の刺激で網膜にあるロドプシン(視紅)というタンパク質複合体が分解・再合成を繰り返す連続作用で生ずる。このロドプシンに活性を与え、分解と再合成を促進させれば視覚機能が高まるわけだが、ブルーベリー含まれる色素成分のアントシアニン(配糖体)にその働きがあることが見出されたのは1964年のことである。これに続いて、アントシアニンの暗視野における視力の改善、視野拡大、夜盲症患者の光感受性の改善、抗潰瘍性、抗炎症作用などについての動物実験や臨床試験の成果が発表され、その有効性が明らかにされていった。こうした成果を元に、ブルーベリー製品は1976年にイタリアで始めて眼科、血管障害用の医科向け医薬品として承認され、それ以後フランス、スペイン、韓国、アメリカ、最近はニュージーランドでも医薬品に加えられている。
わが国では農林水産省の食品総合研究所食品機能でその食効を認めているが、ブルーベリーエキスへの期待が一段と高まってきた背景には、若年層のTVゲーム熱や学習時間の拡大などから近視や仮性近視が増える一方、職場ではパソコンの普及などもあって目のストレスや疲労を訴えるケースが激増していることなどが考えられよう。わが国の最近の研究では、大坂外語大学保健管理センターの梶本修身が、眼精疲労を訴える患者にブルーベリーエキスを1日量62.5mg使用したところ、目の疲れや痛みなどの軽減などに有効であった(1997年)、1日のアントシアニン量として37.5mgを進学塾に通う小学生に8週間投与したところ、視力回復効果、目の疲労感の自覚症状の改善に有効であった(2000年)などの試験結果を発表して大きな話題となった。ブルーベリーの健康食品としてエキス飲料やタブレットなどが市販されている。
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