○羅布麻茶
羅布麻は中国の吉林省以南の江蘇、安徽、さらに西方の内モンゴル、陜西、甘粛、新疆など、広域に自生するキョウチクトウ科の宿根草で、繊維質に富んで麻のように用いられてきたところから、紅麻、野朝、沢漆麻など各地で多くの異名がある。また、古くからその葉が代用の茶として愛飲されたために、茶葉花、野茶などとも呼ばれ、文献的には救荒本草(1406年)に沢漆の名で記載され、若葉を摘んで蒸してから乾燥させると、茶としておいしく飲めることが紹介されている。
このように線維と代用茶として伝統的に用いられてきた植物資源の有効利用を図る過程で、1952年に主生育地の羅布高原に因んで羅布麻と命名されて以来、中国では紡績技術の発達で細くて柔軟で強度に富む線維が得られるようになり、平行して中国科学院西北植物研究所などによる葉の成分の医学的、薬学的な検討も進められて、何種もの薬剤も作られてきた。
わが国へもこの2つの用途がそっくり伝えられることとなったが、最初はまず、薬草の効果を持つ布として、羅布麻と綿の混紡布で作った枕カバーやパジャマが評判をとった。上海虹口中心病院では、高脂血症の15名(平均年齢58.7歳のうち14名が、この寝具の常用1ヶ月で収縮期血圧が225~146から155~94へ、拡張期血圧が、127~94から120~82へ下がり、めまいを含む自覚症状が軽減したことなどを報告している。
これはちょうど藍染めの着物と同じように、素材(成分)から発する波動がもたらす効果であるとも考えられるが、富山医科薬科大学和漢薬研究所の難波恒雄は遠赤外線が放射されていることを確認しており、その働きで体内の生体水が活性化し、血液循環や水分代謝が改善されるのではと推察している。こうした羅布麻服飾保健製品は、時に応じて必要な降圧剤との併用が自由であるのも優れた特長であり、慢性気管支炎や喘息の改善にも有効であったという報告もあり、ある種の抗菌性も確認されている。
一方、羅布麻の葉を用いた茶はウーロン茶に煮た薄甘い味わいで口当たりがよく、わが国では羅布麻茶もヤンロン茶(燕龍茶)とも呼ばれ、ごく最近になってエキスの顆粒も登場した。
中国薬典(1985年)には「解熱利尿、肝臓を鎮め、精神を安らかにさせ、高血圧、めまい、動機、失眠に用いる」と記載され、近年の中国における研究ではルチン、カテキン、アントラキノン、グルタミン酸、アラニン、バリン、塩化カリウムなどのほか、多様なフラボノイド、フェノール物質、多糖体が確認されている。
そして、それらの薬理効果として、①血圧効果作用(血管拡張とともに血液の粘度も下がる)、②血清総コレステロールの効果作用、③咳止め、去痰、喘息の軽快、感冒の予防、④精神安定(鎮静、快眠)、⑤血小板の凝集を防ぐ(脳梗塞などの原因となる血栓形成の抑制)、⑥免疫機能の活性化作用、⑦老化予防(活性酸素による脂質の過酸化を防ぐ)などの報告が相次いで報告されており、これらはわが国の研究や治験(中川栄一らによる)でも追認されている。
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