○皂莢(そうきょう)
日本産のものはマメ科のサイカチ(Gleditsia japonica)、中国産(G.sinensis)のものはトウサイカチの果実を用いる。日本の本州、四国、九州に分布するサイカチの豆果は長さ25cmくらいでねじれている。
トウサイカチの豆果の長さは同じくらいであるが、まっすくで肉厚である。熟すと濃く褐色になり、中には扁平楕円形な種子が多数入っている。中国では小形の果実を特に猪牙皂というが、これはトウサイカチの木が衰えたときなどにできたものといわれている。
果皮にはサポニンが多く含まれ、石鹸の代用として利用されていた。莢や種子にはサポニンのグレジシアサポニンやグレジニン、スチグマステロールなどが含まれ、去痰作用や抗菌作用が報告されている。ただしサポニンには溶血作用や胃腸粘膜の刺激作用があり、過量に服用すると嘔吐、下痢が出現し、さらには中枢神経にも影響する。
漢方では開竅・去痰・止瀉の効能があり、脳卒中や顔面神経麻痺、発作性の頭痛、咳嗽、喀痰、下血、下痢などに用いる。猪牙皂は開竅の作用が強いとされている。
脳卒中や失神などで急に意識不明となったときには細辛と共に粉末にしたものを鼻に吹き込んで覚醒させる(通関散)。明礬と共に粉末にしたものを口に流し込んで嘔吐させる方法もある(稀涎散)。痰が多く、胸に痰が痞え苦しく、横にもなれないときに細辛・麻黄などと配合する(冷哮丸)。なお皂莢子には潤腸・解毒・消種の効能があり、便秘や皮膚疾患などに用いる。
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