○石決明(せきけつめい)
ミミガイ科のアワビ類、九孔鮑(Haliotisdiversicolor)や番大鮑(H.giganteadiscus)などの貝殻を用いる。日本ではアワビ(H.gigantea)やトコブシ(Sulculusaquatilis)の貝殻などを用いる。石決明や千里光の名は目疾患の治療薬であったことを意味する。
これらの貝は夏に捕獲した後、肉を除き、殻をよく洗って乾燥する。薬剤には生で用いる生石決明、るつぼの中で灰色~灰白色になるまで焼いた煅石決明がある。
成分は主として炭酸カルシウム(CaCO3)であり、有機酸、鉄、マグネシウムケイ酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ヨウ素なども含まれるが、焼くと酸化カルシウムを生じ、有機酸は破壊される。漢方では平肝・鎮静・明目の効能があり、陰虚陽亢による眩暈や頭痛、肝火上炎による目の充血や痛み、角膜混濁に用いる。日本の経験方では下肢の筋力低下に対し、四物湯に亀板とともに加味する(亀板湯)。ちなみに決明子とはエビスグサの種子のことである。
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