○石松子(せきしょうし)
日本、北半球の温帯・暖帯に広く分布する常緑シダ植物ヒカゲノカズラ科のヒカゲノカズラ(Lycopodiumclavatum)の胞子を用いる。全草は石松あるいは伸筋草という生薬名で呼ばれる。
ヒカゲノカズラは産地の林緑などの日当たりのよいところに自生し、太い針金状の茎が長く地上を這う。この茎葉は花束や花輪などの装飾用に用いられている。胞子は微細なさらさらとした淡黄色の粉末で、吸湿性がない。このため線香花火に混ぜたり、レンズ磨きや塗料に混ぜ、のびをよくするのに利用されていた。
胞子には脂肪を約50%含み、この主成分はリコポジウムオレイン酸である。全草にはアルカロイドのリコポジンやトリテルペノイドのαオノセノンなどが含まれている。薬用としては吸湿性が全くないため、丸薬の衣や、汗疹や湿疹などの散布薬として用いられていた。
伸筋草には去風湿・舒筋活絡・活血などの効能があり、リウマチなどの関節痛、麻痺やしびれ、打撲傷、水腫などに用いる。西洋の民間療法では全草を利尿薬として膀胱炎や尿路結石の治療に用いている。近縁植物であるトウゲシバ(L.serratum//Huperziaserrata)の全草は千層塔と呼ばれ、アルツハイマー病に効果があると期待されている。
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