○薺菜(せいさい)
日本の各地をはじめ北半球に広く分布しているアブラナ科の越年草ナズナ(Capsella bursa-pastoris)の全草を用いる。ナズナは春の七草の一つで、1月7日の朝に七草粥に入れる風習が残っている。
ナズナの語源は「撫菜」で、「めでる菜」の意味といわれ、果実が三味線のバチに似ていることからペンペングサという呼び名もある。かつては七草粥以外にも和え物やおひたしにして食べていた。
成分にはフラボノイドのジオスミンやコリン、アセチルコリン、ブルシン酸などが含まれ、子宮収縮、降圧、利尿、止血作用が認められている。戦前には、止血剤として用いていたこともある。
漢方では利水・止血・明目の効能があり、浮腫、淋病、下血、産後の出血、目の充血、翼状片に用いる。日本でも中国でもおもに民間療法として用いられ、近年では緩下、利尿、血圧効果の目的で単独で煎じて服用する。目の炎症には煎じた液で洗浄する。欧米ではシェパーズパース(Shephard's Purse)と呼ばれ、止瀉、利尿、止血薬として用いられている。
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