○土槿皮(どきんぴ)
中国の浙江・安徽省などの高地に分布するマツ科の落葉高木イヌカラマツ(Pseudolarix amabills)の樹皮および根皮を用いる。カラマツに似た樹高40mに達する高木で、秋に鮮やかな黄色に染まるため金銭松とか金松の名がある。華東地方で用いられていた民間薬であるため本草書にはなく、近年になって注目されてきた生薬である。
樹皮や根皮にはフェノール性物質やタンニンなどが含まれ、抗真菌作用や止血作用が知られている。中国では専ら水虫やたむしの外用薬として有名である。土槿皮という名はアオイ科のムクゲ(Hibiscus syriacus)の樹皮である木槿皮の効能と似ていることに由来する。
土槿皮のチンキ剤には強い抗真菌作用が認められるが、水浸液には抗真菌作用はみられない。皮膚真菌症、湿疹、神経性皮膚炎にはアルコールに浸したエキス、またはすり潰して粉末にしたものを患部に塗布する。日本でも複方土槿皮チンキという名で水虫の治療薬として販売されている。
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