○丹参(たんじん)
中国各地に分布するシソ科の多年草タンジン(Salvia miltiorhiza)の根を用いる。名医別録には赤参とあり、赤参や丹参の名は根が赤いことに由来する。この色は根にフェニンスラキノン系の色素であるタンシノンⅠ(紫褐色)、タンシノンⅡ(赤色)、クリプトタンシノン(橙色)などが含まれていることによる。日本ではあまり用いられないが、中国では単味の錠剤や注射薬なども開発されている。
漢方では活血・通経・涼血・安神などの効能があり、月経不順、月経困難症、産後の腹痛などの婦人科疾患をはじめ、胸痛や腹痛、乳腺腫脹、癰腫、リウマチ、神経衰弱などに用いる。
婦人明理論には「ただ一味の丹参散の主治は四物湯と同じである」と記されている。月経不順や産後の腹痛には丹参末として酒で服用する(丹参散)。心筋梗塞や狭心症の治療薬として知られる冠心Ⅱ号方には川芎・降香・紅花・赤芍などとともに配合されている。
また中国では慢性肝炎や肝脾腫、甲状腺腫などの治療にも用いている。アルコールで浸出した丹参酊は神経衰弱や眩暈症などに用いる。近年では丹参の注射薬を慢性肝炎や心筋梗塞などの治療に応用している。
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