○続断(ぞくだん)
マツムシソウ科のナベナ(Dipsacus japonicus)やトウナベナ(D.asper)の根を用いる。中国ではおもに四川省などで採れるトウナベナ(川続断)の根が用いられるため川断とも呼ばれている。
ナベナは本州、九州、四国や朝鮮半島、中国東北部に分布するがトウナベナは日本には自生していない。日本産の続断といわれるものはナベナではなく、キク科のノアザミ(Cirsium japonicum)やノハラアザミ(C.tanakae)であり、和続断と呼ばれる。このような混同は中国でも古くからあるが、これは続断という名が骨折や打撲、出血などの外傷の治療に効果があるという意味であり、同様の薬効をもつものが広く続断と呼び慣わされているためである。
ナベナの根にはアルカロイドが含まれるが、詳細は不明である。漢方では補肝腎・続筋骨・活血の効能があり、筋骨を強める強壮作用がある。とくに腰や下肢の筋力低下や疼痛、打撲、捻挫などの腫張や疼痛に効果がある。これらの作用は杜仲や牛膝と似ており、しばしば併用される。
足腰の弱りや精力の低下、冷え性、頻尿などに用いる大菟絲子丸や参鹿補片に配合されている。また崩漏(不正性器出血)や胎動不安や乳汁不足にも用いる。月経を延期させるときには蒲黄・枳実などと配合する(延経期方)。外傷には粉末にしたものを患部につける方法もある。
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