○桑葉(そうよう)
クワ科の落葉高木クワの葉を桑葉という。中国では主にトウグワ(Morus alba)を用い、日本では自生するヤマグワ(M.bombycis)を用いる。クワの根の皮は桑白皮、果実は桑椹子、幼枝は桑枝と称し薬用にする。葉は養蚕のためだけでなく、桑茶としても知られている。ただし日本のクワ茶は一般に桑枝が利用されている。桑葉は習慣的に晩秋の霜に当たったものが良質といわれ、霜桑葉とか冬桑葉などと呼ばれている。
葉にはフラボノイドのルチンやケルセチン、モラチセン、イノコステロンなどが含まれ、抗菌作用などが知られている。漢方では解熱・明目・止咳の効能があり、感冒などによる発熱、頭痛、結膜炎、口渇、咳嗽、脳卒中、蕁麻疹などに用いる。
軽い発熱や頭痛、咳嗽、目の充血などを伴う菊花・連翹などと配合する(桑菊飲)。咳嗽や喉の乾燥の強い場合には杏仁・沙参などと配合する(桑杏湯)。慢性気管支炎や肺結核などで乾燥性の咳嗽が続くときに麦門冬・阿膠などと配合する(清燥救肺湯)。視力の低下や眩暈、皮膚の乾燥などに胡麻と配合する(桑麻丸)。また目の充血や痛みには菊花・決明子などと配合する。
近年、健康食品として桑の葉茶が注目されている。クワの葉にはブドウ糖と構造のよく似た1-デオキシノジリマイシン(DNJ)という成分が含まれ、このDNJは糖質の分解酵素、αグルコシダーゼの働きを阻害して糖の吸収を抑える作用があり、糖尿病や肥満の改善効果が認められている。
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