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木曜日, 9月 05, 2013

川貝母

○川貝母(せんばいも)

 中国では貝母を浙貝母と川貝母に区別する。浙貝母は、ユリ科のアミガサユリ(Fririllaria veticillata)の鱗茎であるが、川貝母にはアミガサユリと同属植物の巻葉貝母(F.cirrhosa、烏花貝母F.cirrosa var.ecirrhora、稜砂貝母F.delavayi)の鱗茎を用いる。

 川貝母の基原植物は一般に四川省をはじめ、雲南省、チベット自治区の高山地帯に分布している。これらの鱗茎(川貝母)はアミガサユリの鱗茎(浙貝母)よりも小さい。

 川貝母にはペイミン、ペイミニン、フリチミンといったアルカロイドが含まれ、鎮咳、去痰、排膿作用が知られている。漢方では止咳・化瘀・潤躁・散結の効能があり、咳嗽、喀痰、喀血、胸の塞がり、瘰癧(頸部リンパ腺腫)、扁桃炎、乳腺炎などに用いる。

 適応は浙貝母とほぼ同じであるが、浙貝母が急性の咳嗽に適しているのに対し、やや慢性化した呼吸器感染症に用いる。一般に川貝母は虚証に、浙貝母は実証に用いる。また川貝母には潤肺作用があるので、痰が少ないとか痰に血が混じっているような肺陰虚の症状に適している。さらに去痰すると同時に痰の分泌を抑制する作用もあり、痰の多いときにも使用できる。気分が落ち込み、胸が塞がり、食欲がないときにも川貝母が適する。ただし、日本では一般に貝母といえば、浙貝母のことをいう。

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