○葱白(そうはく)
中央アジア原産とされるユリ科の多年草ネギ(Allium fistulosum)の根の付近の白い部分を薬用に用いる。中国で栽培されてきた最も古い野菜のひとつといわれている。日本にも弥生時代に伝来したと推定されている。
ネギの古名は「き」であったため「ひともじ」とも呼ばれていたが、根をつけて「ねぎ」と称されるようになった。関東から北ではおもに葉鞘部を長く白く仕上げる根深ネギが、関西では軟白を重視しないので葉身部が発達し緑色の濃い葉ネギ(九条ネギ)が栽培されている。仏教ではネギをニンニク、ノビル、ラッキョウ、ニラとともに五葷(五辛)と称し、修行の妨げになるとして禁じている。
ネギの特異臭は硫化アリルであり、そのほかビタミンA・B・Cなども含まれている。漢方では解表・通陽・解毒の効能があり、感冒の初期や頭痛、下痢、腹痛、腫れ物に用いる。
一般に豆豉と配合して頭痛や悪寒などに用いる(葱豉湯)。冷えによる腹痛や下痢には乾姜・附子などと配合する(白通湯)。民間療法でも風邪の初期に新鮮なネギの白い部分を細かく刻み、生味噌と合わせて煮立て、熱いうちに服用する「ネギ味噌」療法が有名である。ネギに味噌をつけて常食すると気分が安定する。また不眠症や咳、咽の痛みなどにネギ湿布をしたり、痔やしもやけの治療に煎じた液で洗うといった民間療法もある。
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