○赤芍(せきしゃく)
中国北部を原産とするボタン科の多年草シャクヤク(Paeonia lactiflora)の根の外皮のついたままのものを用いる。外皮を除いたものを白芍という。また赤芍には野生種のベニバナヤマシャクヤク(P.obovata)やセンセキシャク(P.veitchii)などの根も用いられている。これに対し白芍といえば栽培品種のみが用いられている。赤芍は日本薬局方による芍薬の規格に適合したないため、中国産では白芍のみを芍薬として用いている。
芍薬の根にはペオニフロリンが含まれ、鎮痙、鎮痛、鎮静、抗炎、抗潰瘍、降圧作用など報告されている。中国医学では白芍に補血・止痛の効能があるのに対し、赤芍には清熱涼血・活血の効能があると区別し、温熱病、無月経、腹部腫瘤、腹痛、出血、腫れ物などに用いる。ちなみに同じボタン科のボタン(P.suffruticosa)の根である牡丹根には清熱涼血・去瘀の効能があるが、日本漢方的にいえば、赤芍はちょうど芍薬(白芍)と牡丹皮との中間的な生薬と考えられる。このため瘀血による疼痛や内出血などには白芍よりも赤芍を用いたほうが効果的である。
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