○女貞子(じょていし)
中国原産で、日本でも公園樹としてよく植えられているモクセイ科の常緑小高木トウネズミモチ(Ligustrum lucidum)の果実を用いる。日本の関東南部から沖縄県、朝鮮半島、台湾などに分布するネズミモチ(L.japonicum)の果実も女貞子として用いられる。
トウネズミモチは樹高10mに達し、ネズミモチよりも大きい。果実が紫黒色でネズミの糞に似ており、木がモチノキに似ているためネズミモチという和名があり、冬でも葉が青い様子を貞女になぞられて女貞と名づけられた。
ネズミモチやトウネズミモチは公害や病虫害に強く、生け垣や高速道路の分離帯、都市の公園樹として利用されている。またトウネズミモチはイボタノキと同様にイボタロウカイガラムシがつき、中国では虫白蠟を採取するためにも栽培されている。戦争中に果実を焦がしてコーヒー豆の代用にしたという話もある。
果実にはオレアノール酸、ウルソール酸、マンニトールなどが含まれる。オレアノール酸には強心・利尿作用が知られている。漢方では肝や腎を補い、腰や膝を強める作用があり、滋養薬として足腰の筋力低下、頭暈、白髪、視力低下、かすみ目などに用いる。
倦怠感や足腰の衰え、目まい、不眠などには人参・地黄などと配合する(滋補片)。焼酎に漬けた女貞子酒も滋養強壮の薬用酒として知られている。葉の女貞葉は消炎・鎮痛の作用があり、民間療法では生の葉を火であぶって柔らかくしたものを腫れ物に貼付したり、浴湯料として皮膚疾患に用いるほか、口内炎や火傷などの外用薬としても用いる。
近年、リンパ球の増殖を促し、放射線や抗癌剤治療による白血球減少を抑制する効果があると伝えられている。
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