○紫陽花(しょうか)
日本の各地で栽培されているユキノシタ科の落葉低木アジサイ(Hydrangea macrophylla)の根や葉、花を用いる。アジサイは日本でガクアジサイ(H.macrophylla.f.normalis)から改良された品種で、鎌倉時代に園芸化され、江戸時代には一般に広まった。それとともに中国にも伝えられ、さらに18世紀後半にはイギリスにも紹介された。シーボルトが愛人のお滝さんにちなみH.otaksaと命名したことも有名である。
アジサイの花は土壌の酸性度と関係し、酸性度の高いときには青色、低いときには桃色が強くなる。花にはルチン、葉にはスキンミン、根にはヒドラナゲノール、フェブリフジンなどが含まれ、抗マラリア作用が報告されている。日本の民間でも花や葉を煎じて解熱薬として用いる。
アジサイと同じユキノシタ科の薬用植物にジョウザンアジサイ(生薬名:常山)があり、マラリアの治療薬としてよく知られている。有特桂里は方輿輗の中でマラリアには常山よりアジサイの葉の方がよいと記している(紫陽散)。ちなみにアマチャ(甘茶)はアジサイの変異種である。
北アメリカの先住民はアジサイの近縁種のハイドランジア(H.arborescens)の根を尿路結石や前立腺炎などのときの利尿薬として用いていた。近年、飲食店で料理に添えたアジサイの葉を食べて、吐き気、嘔吐、目眩などの中毒症状を起こしたが、これは生葉に含まれている青酸配当体によるものと断定された。
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