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月曜日, 4月 01, 2013

蛇床子

○蛇床子(じゃそうし)

 中国東北部、モンゴル、シベリア、朝鮮半島に分布するセリ科の越年草オカゼリ(Cnidium monnieri)の成熟果実を用いる。日本では一般に同じセリ科のヤブジラミ(Torilis japonica)の成熟果実を蛇床子(和蛇床子)といっている。ただし、中国ではヤブジラミの果実を鶴虱のひとつである華南鶴虱にあてている。

 オカゼリの乾燥した果実は、長さ2mm、直径1mmの小さな楕円形で、芳香があり、味は辛くしびれる感じがある。成分にはピネン、カンフェン、ボルネオール、イソバレレイトなどの精油のほか、オストールなどのクマリン類が含まれ、抗トリコモナス・抗真菌作用、性ホルモン作用などが知られている。

 漢方では補陽・止痒・殺虫の効能があり、陰部湿疹、外陰部掻痒症、湿疹、インポテンツ、不妊症などに用いる。古くから婦人の陰部疾患の治療に用いられ、トリコモナス膣炎や陰部掻痒症、陰囊湿疹などに蛇床子の煎液で洗浄する。

 金匱要略の中では婦人の陰部を温める坐薬として蛇床子と白粉の粉末を真綿にくるんで使用している(蛇床子散)。また湿疹、掻痒症の治療には蛇床子の煎じた液や粉末にしたもの、最近ではワセリンに配合した蛇床子油膏などを外用する。

 また補腎・強壮作用もあり、インポテンツや冷感症、不妊症の治療に菟絲子・五味子を配合する(三子丸)。また痔患の治療に燻じて用いる方法もある。日本の民間ではヤブジラミの果実を明礬と煎じてやはり外陰部の腫れ物の洗浄に用いる。近年、アメリカの精力剤にクニディアム・モニアーの名前で配合されている。

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