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土曜日, 2月 02, 2013

三稜

三稜(さんりょう)

 日本の各地、東アジアにかけて分布し、池や沼などの浅い水中に生えるミクリ科の多年草ミクリ(Sparganium stoloniferum)やエゾミクリ(S.simplex)、ヒメミクリ(S.stenophyllum)の塊茎を用いる。しかし、中国東北部や内モンゴル自治区、西省などでは沼沢地の水中に生えるカヤツリグサ科の多年草ウキヤガラ(Scirpus fluviatilis)の塊茎を三稜として用いている。

 ミクリとウキヤガラはともに茎の断面が三角形である三稜という名があるが、花や葉はまったく異なる。これらを区別するため生薬名では荊三稜と黒三稜と呼ばれている。ところが、生薬名ではミクリ(植物名:黒三稜)のほうを荊三稜、ウキヤガラ(植物名:荊三稜)のほうを黒三稜といい、中国の植物名生薬名が全く逆になっている。

 三稜として日本ではウキヤガラがよく知られているが、中国ではおもにミクリが用いられている。また日本に輸入されている三稜もおもにミクリの荊三稜である。成分や薬理作用は明らかではないが、一般に区別されずに用いられる。

 漢方では活血・理気・消癥・止痛の効能があり、腹部の腫痛や腹痛、胸痛、月経障害、打撲傷などに用いる。主に瘀血や気結、食滞、積聚など滞って腫瘤になったものを除く、つまり「堅いものを削る」作用があるといわれている。

 三稜と莪朮とはともに消積の効能がありよく似ているが、活血・去瘀の作用は三稜が強く、理気・止痛の作用は莪朮が強い。両者を合わせると活血・理気の作用はさらに強まるため、しばしば併用される。

 小児で寄生虫などにより腹中にしこりが触れ、熱のみられるときには柴胡・胡黄連などと配合する(浄府散)。腹中にしこりが触れ、腹痛や腰痛のみられるときには陳皮・香附子などと配合する(大七気湯)。越中富山の名薬として知られる反魂丹に配合され、今日でも小児の疳虫などの家庭薬にも配合されている。

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