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金曜日, 11月 09, 2012

猴棗

○猴棗(こうそう)

 インド、マレーシア、中国南部に生息するサル科のアカゲザル(Macaca mulatta)の内臓結石を用いる。アカゲザルはベンガルザルとも呼ばれ、ニホンザルに似るが尾が長く、灰茶色の体毛で覆われている。森林に群居し、野草や木の実、昆虫などを食べている。

 性質は温和で人にもよく馴れ、ヒンドゥー教では聖なるサルとされている。また生物医学の分野ではアカゲザルを用いた研究が広く実施されている。アカゲザルの四肢骨や全身骨を獼猴骨といい、薬用にされる。

 猴棗は老いたサルの胃や胆道系にできた結石であり、ナツメの実に似ている楕円形のためその名がある。鶏卵大から大豆大まであり、表面は青銅色ないし緑黒色で光沢がある。硬いが砕けやすく、断面は灰黄色で層になっている。おもにインドやマレー半島、南洋諸島などで産するが、非常に高価なもので入手しにくい。

 漢方では消痰、鎮驚・清熱・解毒の効能があり、痰の絡む咳や小児の熱性痙攣。ひきつけ、瘰癧(頸部リンパ腺腫)などに用いる。小児急性気管支炎や熱性痙攣などに沈香・天竺黄などと配合する(猴棗散)。一般に煎剤としては用いず、散剤、丸剤として用いる。ちなみに日本ではサルの頭の黒焼きを猿頭霜と称し、脳病や頭痛、夜尿症に効果があると言い伝えられている。

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