○コカ葉(こかよう)
南米ペルーやボリビアのアンデス地方を原産とするコカノキ科の常緑低木コカノキ(Erythroxylum coca)の葉を用いる。現在、南米以外でもインドネシアのジャワ島で栽培されている。
アンデスのインディオたちは紀元前からコカ(Coca)の葉を咀嚼していたといわれるが、インカ帝国ではコカの葉は特権階級のものとして統制を受けていた。その後、再び一般のインディオの間にもコカの葉を咀嚼する習慣が広まった。コカの成分は水に溶けにくいので生石灰や灰をつけて噛むことが多い。
コカの葉を噛むと飢えを忘れ、疲労が回復し、忍耐力が増し、活力が甦るような気分になる。コカ・コーラの名は本来このコカの葉とアフリカ原産で興奮・食欲増進作用のあるコーラ子を混合した飲料であった。
コカ葉の主成分はアルカロイドのコカインである。1860年、ドイツのヴェーラーらによってコカインが結晶化され、1884年には局所麻酔薬として臨床に用いられた。今日ではプロカインやノボカインなどの合成麻酔薬が開発されたため臨床ではほとんど使用されていない。
コカインの中枢興奮作用は即効性で、一時的に元気になり、多幸的になるが、短時間で効果が消滅し、疲労感や不快感が出現する。このためコカインには精神的依存がみられ、依存症になると多動、不眠、興奮状態が続き、幻覚や妄想などもみられるようになる。副作用としては嘔吐、発汗、知覚異常、呼吸困難なども出現する。
日本ではコカインは麻薬および向精神薬取締法の中で麻薬として指定されているが、効果からいえば覚せい剤のひとつであるるコカインは毒性が強いため、常用者はごく微量を鼻粘膜から吸引する方法を用いている。
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