スポンサーリンク

月曜日, 10月 15, 2012

紅花

紅花(こうか)

 エジプト原産のキク科の二年草ベニバナ(Carthamus tinctorius)の管状花の乾燥したものを用いる。薬用としては開花初期の黄色の多いときの花を、そのまま風乾したものを用いる。

 古くから南ヨーロッパ、中近東、インド、中国などで栽培され、日本には奈良時代に渡来した。古名のクレノアイの語源は呉(高麗)の国から伝わった藍ということを表し、韓呉藍(からくれない)とも呼ばれていた。古くから口紅や染料などに用いられていたために臙脂花、紅藍花などともいわれ、また黄から赤に変化した後に摘み取るので末摘花とも呼ばれた。江戸時代には最上地方で多く栽培され最上紅として有名であった。現在も山形県の尾花沢周辺で広く栽培されている。

 ベニバナには紅色色素のカルタミンと黄色色素のサフロールイエローが一緒に含まれている。赤くなった花弁を集めて水に漬けると、水溶性であるサフロールイエローが流れ出るが、この色素を除いた花弁をよく揉み、しばらく発酵させて臼で搗いて餅紅を作る。この餅紅に含まれるカルタミンをアルカリ性の灰汁で溶かし出し、酸性の梅酢で中和すると色素の結晶が得られる。現在でも食品の着色料や口紅などの原料に使用されている。またベニバナの種子からとる油はサフラワー油(ベニバナ油)と呼ばれ、塗料、石鹸をはじめサラダ油やマーガリンの原料として用いられる。

 ベニバナの成分には色素のカルタミン、サフロールイエローのほか、フラボノイドのカルタミジン、ネオカルタミンなどが含まれ、煎液には血圧降下作用や免疫賦活作用、抗炎症作用などが知られている。

 漢方では活血・通経・虚瘀・止痛の効能があり、月経異常や腹部のしこり、打撲傷、脳血管障害、瘀血による痛みなどに用いる。かつて日本漢方では大黄・甘草・黄連と配合した甘連湯を「まくり」と称して胎毒の治療に用いていた。なお蕃紅花というのはサフランのことである。

0 件のコメント: