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火曜日, 9月 18, 2012

軽粉

○軽粉(けいふん)

 粗製塩化第一水銀の結晶を軽粉という。化学名を甘汞(Hg2Cl2またはHgCl)という。軽粉をさらに生成すると粉霜になる。

 水銀と胆礬(硫酸銅)や白礬(硫酸アルミニウム・カリウム)、さらに食塩(塩化ナトリウム)を混合して過熱すると、蒸発した蒸気から昇華して上蓋に白い粉が付着する。これが軽粉である。

 古代から化粧用の白粉としても使われた。日本でも伊勢白粉という軽粉がよく知られていた。これ軽粉は江戸時代には駆梅の聖薬としても盛んに利用されていた。軽粉の毒性は低いとされているが、日光により有毒の塩化第二水銀(昇汞)や金属水銀に変化し、色も黒くなる。

 甘汞はかつて西洋医学でも水銀利尿剤、あるいは緩下剤、防腐剤として用いられていた。漢方では駆梅・逐水・消腫の効能があり、内服および外用薬として用いる。

 内服では排便、排尿を促進する全身性の浮腫や腹水、便秘、梅毒などの症状に用いる。全身の浮腫で便秘を伴うときには大黄・牽牛子・甘逐・大戟などと配合する(舟車丸)。梅毒による筋肉痛、関節痛には牛膝・土茯苓と配合する(七宝丹)。梅毒が進行して関節の屈伸ができないときには黄連解毒湯と配合する(甘汞丸)。

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