○隈笹(くまざさ)
日本に分布するイネ科のチシマザサ(Sasa kurilensis)などのササの葉を用いる。属名にSasa属という学名がつけられているように、ササは日本の温帯林に特徴的な植物である。ササはタケ類の小型化したもので、寒冷な地域に適応したものとされている。
クマ笹という名は葉の緑が白く隈どられていることに由来する。若葉の時には全体に緑色であるが、秋から冬にかけて緑が枯れて白い隈ができる。しかし、大型のササの葉を俗に「熊笹」と呼ぶこともあり、また実際に熊がササを好んで食べることもよく知られている。
クマ笹エキスには、チシマザサ、クマイザサ(S.senanensis)などが利用されている。ササの葉は笹だんごやちまきなど食べ物を包むのに利用されている。ササの葉に包むと食べ物が長持ちするといわれるが、これはササに含まれる安息香酸の殺菌・防腐作用と関係があるといわれる。
葉にはクロロフィル(葉緑素)やリグニン、多糖体(バンフォリン)、鉄、カルシウム、ビタミンC・K・B1・B2などが含まれ、胃潰瘍や胃炎、歯槽膿漏、口内炎、口臭、体臭などに対する薬理作用が知られている。近年、成分のバンフォリンに免疫賦活作用や制癌作用があるとも報じられている。
民間では健胃薬や疲労回復、糖尿病や高血圧の予防などに用いられている。また外用薬として切り傷、口内炎、湿疹などに、薬湯にして汗疹によいといわれている。一般にササの葉をミキサーにかけた青汁や、何度か煮詰めるように煎じたクマ笹エキスが服用される。製剤化されたものではサンクロンや松葉などと配合した松寿仙などがある。
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