○韮子(きゅうし)
東アジア原産で、中国、東南アジア、日本などで栽培されているユリ科の多年草ニラ(Allium tuberosum)の種子を用いる。葉も韮白あるいは韮葉と称して薬用にする。
ニラは中国で栽培されていた最も古い野菜のひとつで、日本へも古い時代に渡来して野生化したもので古事記にはカミラという名で呼ばれている。葉に特有の強い臭いがあるため戦前はあまり利用されなかったが、戦後にギョーザなどの中国料理が普及するにつれて急速に需要が増えた。
ニラの葉は刺激性の成分である硫化アリル類のほか、ビタミンA・B2などを多く含み、栄養価も高い。禅寺では「淫を発する」とされる五葷のひとつで、持込みが戎められている。
漢方では種子に肝腎を補い、腰膝を温め、補陽、固精の効能があり、インポテンツや頻尿、遣尿、下半身の冷え、下痢、帯下などに用いる。インポテンツや早漏には杜仲・巴戟天などと配合する(賛育丹)。民間では腰痛や頻尿のときに種子を水で服用する。またニラの葉(韮菜)にも温裏・強壮作用の効能があり、腹痛や下痢、疲労にはニラ雑炊を食べるとよい。またニラの生葉汁を鼻血や日射病のときに服用したり、切り傷やかぶれなどに外用する。
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