○茄蒂(かてい)
インドを原産とし、熱帯から温帯地方で広く栽培されているナス科のナス(Solanum melongena)の宿存萼(ヘタ)を用いる。一般に一年草として栽培されているが、熱帯では多年草である。ナスの名は茄子を日本読みして変化したもので、古くに日本に渡来し、奈良時代にはナスが野菜として売買されていたといわれている。
果実の栄養価はあまり高くないが、トリゴネリン、スタキドリン、コリン、ソラニンなど多種のアルカロイドを含む。果皮の色素はナスニンと呼ばれるアントシアニンで、加水分解されたデルフィニジンは鉄やニッケルと安定した青色の複塩を作る。このため漬け物に鉄釘やミョウバンを加えると鮮やかな青色になる。
漢方ではあまり用いないが、本草書には下血や腫れ物、口内炎、歯痛などに用いるとある。江戸時代にナスのヘタがフグの中毒に効果があると流布されたこともある。民間ではナスのヘタの黒焼きが有名で、歯槽膿漏、歯痛、口内炎、痔、神経痛などに用いる。例えば歯槽膿漏には食塩を混ぜ、歯肉をこする。歯痛には穴に詰める。痔やあかぎれにはゴマ油で練って患部につける。そのほか腫れ物に煎じ液で湿布する療法もある。また生の下手の切り口やおろし汁をイボにつけたり、ナスの花とクズの花を煎じて二日酔いに用いるという方法もある。
0 件のコメント:
コメントを投稿