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金曜日, 5月 11, 2012

莪朮

○莪朮(がじゅつ)

 マレーシア、インド、ヒマラヤを原産とするショウガ科のガジュツ(Curcuma zedoaria)の根茎を用いる。中国では広西・四川省を主産地とし、また同属の蓬莪朮、広西莪朮、温郁金などの根茎が用いられる。日本では屋久島種子島、沖縄県などで栽培されている。

 ウコンと同属でよく似ているが、根茎の切断面が淡紫色をしていることから紫ウコンとも呼ばれ、健康食品などにも用いられている。一方、中国ではガジュツの塊茎を欝金(緑糸欝金)あるいは川玉金として扱うこともある。ただし、ガジュツには欝金の主成分とされているクルクミンはほとんど含まれていない。

 主成分にはセスキテルペノイドのクルゼレノン、クルクメノン、クルジオン、ゼデロンのほか、モノテルペノイドのシネオール、ボルネオールからなる精油が含まれ、芳香性の健胃作用、胆汁分泌促進作用、抗菌作用などが知られている。近年、消化性潰瘍の原因とされるピロリ菌に対する抗菌作用も報告されている。

 漢方では活血・利気・消癥・止痛の効能があり、腹部の膨満感や疼痛、腹部腫瘤、消化不良に寄る食積、瘀血による月経閉止、打撲傷などに用いる。消癥とは腫塊状のものを除くことで、莪朮はとくに腹部腫瘤に効果があるといわれている。

 中国では莪朮を子宮癌などの癌治療に応用してその臨床成果を報じている。日本では俗に「弘法の石芋」と呼ばれ、民間の健胃薬としてよく知られ、莪朮を主原料とする胃腸薬もいくつか市販されている(恵命我神散)。莪朮と薬効の似た生薬に三棱があり、両者はしばしば配合されるが、莪朮は破気り作用が強く、三棱は破血の作用が強いとされている。経験的に月経過多や妊婦には用いない。

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