○延命草
北海道から四国、九州、朝鮮半島などに分布するシソ科の多年草ヒキオコシ(Isodon japonicus)の茎葉を用いる。長野県、新潟県、石川県、富山県などを主産地とする日本の民間薬で、中国では知られていない。生薬名を延命草というが、漢名ではない。弘法大師が腹痛で倒れていた行者を回復させたという故事にちなんでヒキオコシとか延命草という名がある。
茎葉には苦味成分のジテルペノイドのエンメイン、イソドカルピン、ノドシン、オリドニンなどが含まれ、エンメインやオリドニンには抗菌作用、抗腫瘍作用などが報告されている。日本では苦味健胃薬として家庭薬などに配合され、消化不良、食欲不振、腹痛などの治療に用いられている。ただし苦味質はアルカリによって容易に分解するため、重曹などとの配合は適さない。
戦時中に供給が不足したゲンチアナの代用品として小豆島の寺院で栽培されていたヒキオコシが有名となり、全草を粉末とした延命草末が苦味健胃薬として全国で用いられるようになった。
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