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月曜日, 1月 16, 2012

あせんやく

○あせんやく(阿仙薬)

 アカネ科のつる性常緑低木ガンビールノキ(Uncaria gambir)の葉や枝を煮詰めて濾過した後、濃縮・乾燥したエキスをいう。これとは別にマメ科の落葉高木アセンヤクノキ(Acacia catechu)の心材を煎じて濃縮・乾燥したペグ阿仙薬というのがある。中国では両者をともに孩児茶といい、商品名では児茶膏という。中国では主にペグ阿仙薬を用いるが、日本ではペグ阿仙薬はあまり用いない。ガンビールノキはマレー半島やスマトラ、ボルネオなどで栽培され、アセンヤクノキはインド、インドシナに分布し、中国南部などで栽培されている。いずれもタンニンを多く含み、皮なめしか、褐色染料などにも用いられている。東南アジア、台湾などではガンビールと檳椰子に石灰を加え、キンマの葉で包んだものをベテルと称して咀嚼する習慣がある。

 一般に阿仙薬の薬材は1辺が3cmの方形状のもので、茶褐色~黒褐色をし、表面ににかわ様の光沢がある。阿仙薬にはカテキンなどのタンニン、ケルセチン、アルカロイドのガンビリンなどが含まれ、抗菌作用や止瀉作用が認められている。収斂性があり、口に入れると苦くて渋い。このため仁丹などの口中清涼剤や正露丸などの家庭薬の原料として大量に使用されている。

 漢方では止瀉・止血・化痰の効能があり、咳嗽や咽頭炎、種々の出血、下痢、皮膚炎などに用いる。声を出しすぎて声がしゃがれた時には連翹・訶子などと配合する(響声破笛丸)。咽頭炎に用いる家庭薬のクララにも配合されている。ちなみに江戸時代の倍薬としてよく知られている万金丹などの胃腸薬の主成分も阿仙薬である。また江戸時代には五倍子のエキスから百薬煎を作り、これを阿仙薬と偽称したため、阿仙薬のことを百薬煎とも読んでいた。

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