○豆腐
豆腐は紀元前2世紀の前漢時代に中国で作られたのが始まりとされている。日本には奈良時代に遣唐使によって伝えられ、はじめは寺院などで食されてきたが、精進料理の普及とともに武士や貴族の間に広まっていく。一般の人々が豆腐を食べるようになるのは江戸時代になってからである。天明2年(1782年)には豆腐料理を紹介した「豆腐百珍」が大ベストセラーになっている。その頃は既に庶民に身近に食品であったようだ。
豆腐は作り方によって木綿豆腐、絹ごし豆腐、ソフト豆腐、充填豆腐、寄せ豆腐などに分けられる。また、豆腐をさらに加工したものに焼き豆腐、生揚げ、がんもどき、油揚げ、練り豆腐などがあり、日本人の食生活に広く親しまれてきた食品であることが伺える。白くて柔らかくて淡白な味の豆腐は、煮物や揚げ物、炒め物、和え物などさまざまな料理に使え、しかも好き嫌いが少ない食品といわれている。
栄養面での豆腐の特徴は、消化のよいタンパク質と脂質を豊富に含むことである。豆腐の原料である大豆のタンパク質はそのままでは吸収されにくいが、豆腐にするとタンパク質の吸収率が90%以上になる。また、タンパク質が分解する過程でできる大豆ペプチドは血圧の上昇を抑制し、疲労回復に役立つとされている。脂質は不飽和脂肪酸のリノール酸を多く含んでいる。リノール酸にはコレステロールを下げる作用がある。そのほか、強力な抗酸化作用を持つ大豆サポニン、骨粗鬆症の予防に働くイソフラボン、骨や歯に不可欠なカルシウム、コレステロールの血管沈着を防ぐレシチン、さらに最近の研究で糖尿病への効果が期待されているトリプシン・インヒビタ(トリプシン阻害因子)など、多くの機能性成分が含まれている。良質な植物性タンパク質が摂取でき、しかも肉類に比べて低カロリーの豆腐は、欧米では健康食品として人気が高く、いまやTOFUは世界で通じる食品名となっている。
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