○発芽玄米
白米や玄米を水に浸して数日おくと、白米は腐ってしまうが、玄米は腐らずに発芽してくる。これは玄米が生きており、発芽にい必要な栄養成分がそのまま残されているからである。玄米のこうした性質を利用して作られたのが発芽玄米である。発芽玄米は、籾殻を除いただけの玄米を一定時間、一定温度の水に浸漬して発芽を促し、胚芽部の芽が動き出したところで再度乾燥させて、いわば、”休眠状態”にした玄米である。
玄米をわずかにい発芽させることによって、①アミノ酸が増えて甘くなる、②酵素が作用してやわらかくなる、③胚乳や外皮がやわらかくなるので消化によい、④炊飯が簡=といった味覚や調理上の改善のほか、発芽によって酵素の動きが活発化し、玄米に含まれる天然ギャバ(GABA)が増加するという点が注目されている。ギャバはγーアミノ酪酸というアミノ酸で、脳内にい多く存在する抑制性神経伝達物質。生体内ではグルタミン酸から生合成され、脳の酵素供給量を増やし、血圧を正常にし、神経の鎮静、中性脂肪の抑制などに作用している。発芽玄米には白米の約10倍のギャバが含まれるという報告もある。
○米糠
”完全食”の玄米に対して、切れ味の鋭い健康機能性素材として注目されているのが米糠である。玄米を精白する過程で得られる米糠には、体内で抗酸化物質として働くさまざまな機能性成分が含まれていることが近年の研究で次々と明らかになってきている。なかでも最近とくに注目されているのが、イノシトールやフィチン酸と呼ばれる化合物である。これらの化合物はさまざまな穀物や豆類などに見出されているが、とくに米糠と小麦の外皮に多く含まれている。
イノシトールはビタミンB複合体の一種だが、ヒトのあらゆる細胞内に存在し重要な役割を担っている。とくに脂肪肝や動脈硬化の予防に深く関わっており、脂肪肝・肝硬変の治療薬に使われている。このほか栄養ドリンク剤や乳児の粉ミルクなどにも配合されている。
イノシトールには6ヶ所のリン酸基結合部位があり、リン化合物に変化する。結合する個数によってイノシトール1リン酸(IP1)からイノシトール6リン酸(IP6)まで、6種類のリン酸化イノシトールが生まれる。IP6はフィチン酸とも呼ばれる。これらのリン酸化イノシトールは生体内でそれぞれ個別の役割を担っているが、なかでもガン細胞の発生と増殖をコントロールする働きのあるIP6 が最も注目されており、その抗ガン物質としての有効性が世界中の研究者によって立証されつつある。
米糠にはこのほか、レシチンと同等の抗酸化力を持つといわれるフェルラ酸が含まれている。フェルラ酸は天然の酸化防止剤として知られ、ラジカル消去と活性酵素消去の二つの作用を持ち、活性酸素生成の原因となる紫外線を吸収する働きもある。
米糠はこれまで、おもに米糠油の原料やヌカ漬けに利用されてきたが、最近では米糠エキスを配合したドリンクや錠剤タイプの製品も登場しており、今後さらにい機能性素材として用途が広がっていくものと見られている。
発芽玄米・米糠の商品一覧
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