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月曜日, 1月 09, 2006

小麦胚芽油について

○小麦胚芽油

 小麦胚芽油は天然ビタミンEが豊富に含まれていることから、老化防止や美容に役立つ健康食品として広く利用されている。

 ビタミンEが医学的に注目されたのは1936年のこと。ネズミに牛乳だけを与えていると生殖能力が衰退してしまうが、これに小麦胚芽油を加えて与えると繁殖力が回復した、という実験結果にヒントを得て、アメリカのエバンスが小麦胚芽油に含まれている有効成分を研究、発見した物質にトコフェロール(子供を得られるアルコール)と名づけた。この成分がビタミンEで、そのためセックスビタミンともいう。

 その効果は生殖機能の回復だけでなく、抗酸化作用があるため体細胞の老化や生命それ自体に深く関わりを持ち、例えば細胞膜に含まれる酸化されやすい不飽和脂肪酸などが酸化されて、生理活性の減退、細胞の老化を早めることになる。また血球膜が弱まってくると、赤血球が破壊されるようになる。また、細胞膜や血球の膜の劣化が原因となって、筋肉の萎縮とか皮膚炎、肉体の老化などを招くことになる。Eは、これらを予防するのに欠かせない栄養である。生活習慣病に組み入れられる疾病の多くは肉体の老化を主要因にして起こるが、Eはその予防に有効性を発揮するわけである。

 小麦胚芽油は特にビタミンEの含有量が多く、8種のトコフェロール異性体(α型、β型など同じ種類だが少しずつタイプが違うもの)もバランスよく含まれ、天然ビタミンEの複合体とも呼ばれている。近年は重金属などの毒性物質の害を防御する働きも指摘されている。

 小麦胚芽油には、大きく分けて次のように働きがあることになる。

 ①若さを保ち、成人病を予防する効果。すなわち、ホメオスタシス(恒常性維持)の増強。天然ビタミンE複合体には、性ホルモン、黄体ホルモン、さらには副腎皮質ホルモン等のホルモン分泌を活発にさせる働きがある。②細胞分裂を倍増し、体を細胞から若返らせ、それが細胞の寿命を延ばす結果、ガン予防にもつながっている。③体内脂質の酸化を防ぐ。体細胞の細胞膜の脂肪酸が酸化して細胞が傷つくことを防ぐため、老化予防に大きな効果がある。またDNAが酸化されて傷つき、細胞がガン化するのを防ぐ。④体内の酸素を十分に保ち、体力が向上する。⑤血行を良くし、貧血を治し、健康美を作る。⑥微小血管にバイパスを作り、動脈硬化を予防する。脳卒中は脳の微小動脈の硬化によって動脈から静脈に血液が返りにくくなることでも起こるが、この微小血管に故障が起きたとき、それに代わるバイパスを作る機能を促進するのも天然ビタミンE複合体である。⑦いくら摂取しても副作用の心配がない。

 また、小麦胚芽油の中から発見されたオクタコサノールは、長い炭素の直鎖を持ったアルコール鎖(ほかにトリアコンタノール、ヘキサコサノールなどがある)の一つであるが、オクタコサノールは運動時におけるスタミナや耐久力の向上、酸素利用を高めることに著しい効果がある。これはすでに小麦胚芽油の効果として知られていたことであったが、1960年代に人を対象にその実験を行った米イリノイ大学のトーマス・クレトンによって、それがオクタコサノールによるものであることがつきとめられた。

 その効果を要約すると、運動耐久性の向上、血中コレステロールの減少、酸素利用の改善、運動後の筋肉痛を防止するなどである。それは同時に筋肉神経性の障害にも有効であることを物語っており、筋肉萎縮などの治療にも実際に使われている。仕事や運動で疲れやすく、耐久力のない人、筋肉痛を起こしやすい人には、きわめて効果の高い栄養補助剤である。

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