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金曜日, 12月 04, 2015

蒼耳子

○蒼耳子(そうじし)

 日本各地に自生するキク科の一年草オナモミ(Xanthium strumarium)の果実を用いる。オナモミはユーラシア大陸に広く分布し、日本にも古くから帰化して普通に見られる植物である。近年では北米原産の帰化植物であるオオオナモミ(X.occidemtale)が多くなっている。

 トゲのある果実は衣服によくひっ付くが、オナモミの「ナモミ」とは引っかかるという意味の「ナゴム」に由来する。また蒼耳とは婦人の耳飾りに似ていることによる。果実を包む総苞には多数のかぎ状の刺があり、動物に付着して分散される特徴がある。

 果実の成分としてキサントール、キサンツミンが知られ、キサンツミンには中枢神経の抑制作用があり、有毒である。果実のほかに葉や茎にも神経毒が含まれ、中毒症状として眩暈、頭痛、嘔吐、下痢、蕁麻疹、さらには意識障害や痙攣、肝機能障害などが出現する。

 漢方では鼻孔(窮)を通じ、風湿を去る効能があり、感冒による頭痛、鼻炎、歯痛、四肢のしびれや痛み、皮膚病などに用いる。急性・慢性鼻炎や蓄膿症、アレルギー性鼻炎などには辛夷などと配合する。炎症性の鼻づまりには菊花・金銀花と配合する(鼻淵丸)。鼻がつまって頭痛がするときには辛夷・白芷などと配合する。

木曜日, 12月 03, 2015

桑枝

○桑枝(そうし)

 日本産は北海道から九州、朝鮮半島、中国に分布するクワ科の落葉高木ヤマグワ(Morus bomnycis)の幼枝を用いる。中国産は中国、朝鮮半島を原産とするトウグワ(M.alba)を用いる。クワはおもに養蚕用に栽培され、毎年刈り込まれているため低木になっているが、自然状態では樹高は10mに達する。

 生薬ではクワの葉を桑葉、根の皮を桑白皮、果実を桑椹子という。桑枝は晩秋から初夏に採取し、葉を取り除いた直径0.5~1cmくらいの枝を用いる。

 漢方では去風湿の効能があり、関節の痛みや四肢のひきつり、搔痒感、浮腫などに用いる。関節リウマチや関節炎などで腫れて痛むときには羗活・独活などと配合する(程氏蠲痺湯)。上海の民間療法では関節痛に虎杖湯や臭梧桐根などと配合して用いる(桑枝虎杖湯)。

 桑枝のみを濃く煎じた液に砂糖を加えて膏剤にした桑枝膏は四肢の関節痛や麻痺に用いられている。ちなみに日本では桑枝をクワ茶として飲用している。