スポンサーリンク

金曜日, 1月 18, 2013

山梔子

山梔子(さんしし)

 日本、台湾、中国に分布するアカネ科の常緑低木コリンクチナシ(Gardenia jasminoides)の果実を用いる。果実が秋を過ぎても口を開けないことから口無しと呼ばれ、実の形が巵という底の丸い酒杯に似ているため梔子の名がある。

 中国ではコリンクチナシの果実を梔子といい、クチナシ(G.jasminoides var.frandiflora)やコクチナシ(G.jasminoides var.radicans)などの大型で長めの果実をとくに水梔子という。水梔子は、一般に染料に用いて薬としては劣るものとされている。日本ではクチナシは飛鳥時代から黄色染料として知られ、無毒のためにきんとんや沢庵漬けなど食品を染めるのにも用いられている。

 果実にはイリドイド配糖体のゲニポシド、ガルデノシド、カロテノイド色素のクロシン、クロセチン、そのほかシトステロール、ノナコサン、ノン似トールなどが含まれている。近年、クロセチンは目の毛様体に作用して、眼精疲労を改善し、老眼に効果があると期待されている。

 山梔子の煎液には利胆、鎮静、降圧作用、抗真菌作用があり、またゲニポシドには利胆作用や鎮痛作用がある。漢方では清熱燥湿・清熱解毒・除煩・退黄の作用があり、感染症や炎症、煩躁や黄疸、出血などに用いる。また外用薬として打撲や捻挫に生山梔子の粉末を、痔の炎症に山梔炭を用いる。

木曜日, 1月 17, 2013

山慈姑

○山慈姑(さんじこ)

 日本の全国各地に広く分布するラン科の多年草サイハイラン(Cremastra appendiculata)などの鱗茎を用いる。茎の一方法に花をつけるためサイハイ(采配)の名がある。

 この鱗茎は焼いたり、茹でて食用にされることもある。またユリ科のアマナ(Tulipa edulis)の鱗茎も山慈姑というが、光慈姑として区別して扱われることもある。日本では江戸時代にオランダ医学から伝えられたラン科の植物(Orchis morio)などの根、サレップ根の代用にサイハイランの鱗茎を用いたこともある。サレップ根は粘滑薬といわれ、ひびやあかぎれ、胃炎の治療薬である。

 山慈姑にはマンナンなどの粘液やデンプンが含まれる。漢方では清熱解毒・消腫の効能があり、腫れ物や蛇や虫の咬傷に用いる。また頸部リンパ結核や耳下腺炎などにも効果がある。瘟疫による嘔吐や下痢、咽喉腫痛、痰鳴、小児のひきつけなどの治療に用いられる紫金錠に麝香・朱砂などと配合されている。近年、中国では食道癌や乳癌、リンパ肉腫なとべの臨床効果が研究されている。

水曜日, 1月 16, 2013

山蒜

○山蒜(さんさん)

 日本各地、朝鮮半島、中国に分布するユリ科の多年草ノビル(Allium grayi)の全草を用いる。ノビルとは野のヒル(蒜)という意味で、ヒルとはネギやニンニクなど口の中に入れると辛味があるものの総称である。

 日本で春の山菜として古くから食用にされ、酢味噌和えや雑炊などに用いる。日本の民間流法では強壮・強精の効果があるとされ、鱗茎の部分を焼酎に漬けて薬用酒にしたり、黒焼きにして扁桃炎や咽頭痛、咳嗽などに用いる。生の葉の汁は傷口や毒虫に刺されたときに外用し、打ち身や火傷には鱗茎をすりおろして貼る。

火曜日, 1月 15, 2013

山査子

山査子(さんざし)

 中国原産のバラ科の落葉低木サンザシ(Crataegus cuneata)、あるいは高木のミサンザシ(C.pinnatifida)の成熟果実を乾燥したものを用いる。日本には江戸時代に伝わり、多く植栽されている。

 ミサンザシは大型の果実で、核を除いたものは山査肉という。サンザシの果実は中国では紅果と呼ばれ、甘酸っぱいため干菓子の山査片や羊羹の山査羹、ジュースなどに用いられている。料理では魚を煮るときに山査子を入れると骨も柔らかくなるとか、肉料理の後で食べると消化を促進するともいわれている。

 果実の成分にはクラテゴール酸やケルセチン、クロロゲン酸、タンニン、サポニン、ビタミンC、タンパク質などが含まれ、抗菌、血管拡張、強心、降圧作用などが報告されている。またクラテゴール酸には胃液分泌を促進し、消化を助ける作用が知られている。

 漢方では消食の効能があり、おもに消化不良や下痢の治療に用いる。とくに油っこいものや肉類などの消化不良に適している。また産後の腹痛など瘀血による疼痛や血便などにも用いる。

 弱火で淡黄色に炒めた物を炒山査、強火で焦がしたものを焦山査、黒く炭にしたものは山査炭という。いずれも消化不良に用いるが、瘀血には生山査を、止血や下痢には山査炭を用いる。焦山査に焦神麴と焦麦芽を合わせたものを焦三仙といい、消化不良の基本薬となっている。さらに焦檳椰を加えたものは焦四仙という。なおヨーロッパでは同属植物のホーソーン(セイヨウサンザシ:C.oxyacantha)の葉を強心薬、果実は降圧・強心薬として用いている。

月曜日, 1月 14, 2013

山葵根

○山葵根(さんきこん)

 北海道から九州に分布するアブラナ科の多年草ワサビ(Wasabia japonica)の根茎を用いる。山間の谷川に群生し、古くから長野や静岡県をはじめ日本各地の渓流で栽培されている。

 ワサビの学名をワサビ・ヤポニカというように、日本特産の植物であり、葉が葵に似ているため山葵(さんさ)と称している。ワサビは日本料理に不可欠な香辛料で、独特の風味を有している。刺身、寿司、茶漬け、そば、わさび漬けなどと広く用いられている。

 市販のワサビ粉はおもに欧州原産のワサビダイコン(Armoracia rustucana)の根の粉末を葉緑素で着色したものである。英語ではワサビダイコンをホースラディッシュ(horseradish)というのに対して、ワサビはジャパニーズホースラディッシュという。

 ワサビの辛味成分は配糖体のシニグリンであるが、酵素のミロシナーゼによって加水分解されて刺激性のあるアリルイソチオシアナートを生じて辛味を呈する。ワサビには食欲増進、防腐・殺菌作用があり、芳香性健胃薬とされる。民間では搾り汁を魚肉や鶏肉の中毒の予防に用いたり、すりおろしたものを布に薄く延ばして患部に貼り、リウマチや神経痛の治療に用いる。

土曜日, 1月 12, 2013

鎖陽

鎖陽(さよう)

 中国の新疆ウイグル自治区、甘粛省、内モンゴル自治区の砂地に分布し、ほかの植物根に寄生するキノモノウム科の多年草サヨウ(Cynomorium songaricum)の肉質茎を用いる。

 高さ20cm~1mくらいの暗紫赤色の円柱形で先は膨隆して丸みをおびており、男根に似ている。外見的にはウツボ科のホンオニク(生薬名:肉蓯蓉)ともよく似ており、肉蓯蓉の代用として用いられることも多い。

 全体にアントシアニンやトリテルペノイド系サポニン、タンニンなどが含まれる。漢方では肝腎を滋養し、筋骨を強め、腸を潤す効能があり、老人の四肢の筋肉萎縮や運動麻痺、陰萎や遺精、便秘などに用いる。高齢者などで足腰が弱り、歩行困難なときには熟地黄・虎骨などと配合する(虎潜丸)。市販薬では滋養・強壮薬にも配合されている(ナンパオ)。

金曜日, 1月 11, 2013

サポニン

○サポニン

 サポニンは植物の配糖体のひとつで、溶けると泡をたてやすい溶液を作るような物質の総称である。サポニンとは石鹸という意味のラテン語、サーポニスに由来する。実際、世界各地でサポニンを含む植物を石鹸代わりに利用してきた。

 一般にサポニンには界面活性作用、溶血作用、血球凝集作用、鎮咳・去痰作用、抗菌・抗真菌作用があり、また個々の生薬のサポニンには抗炎症、抗アレルギー、抗潰瘍、降圧、鎮静などの作用が知られている。サポニンは配糖体であり、酸あるいは酵素で加水分解するとサポゲニン(非糖部)と糖を生じる。

 サポニンは構造からトリテルペノイドサポニンとステロイドサポニンに大別され、トリテルペノイドサポニンを含むサポニン生薬として甘草、桔梗、柴胡、牛膝、木通、遠志、セネガ、貝母、人参、竹節人参、甘茶蔓、大棗などがある。また、ステロイドサポニンを含む生薬には麦門冬、知母などがある。サポニンは、しばしば経口毒性があり、蕁麻疹を起こすことも多く、とくに毒性の強いものはサポトキシンと呼ばれる。

木曜日, 1月 10, 2013

サフラン

○サフラン

 ヨーロッパ南部、小アジア原産と考えられているアヤメ科の多年草サフラン(Crocus sativus)の雄しべの花柱を用いる。キク科のベニバナの花を紅花というのに対し、番紅花と呼ばれている。

 日本に生薬として伝えられたのは江戸時代の半ばであり、球根が伝えられたのは江戸時代の末期のことである。今日、大分県竹田市において室内で花を咲かせる栽培方法で国内生産量の8割以上を生産している。クロッカスの一種で、淡紫色の花弁の中に黄色い葯をもつ3本の雌しべと、鮮やかな橙赤色で先が3つに分かれた花柱をもつ雌しべがみられる。

 乾燥した花柱は色素や芳香成分を含み、菓子や料理の香料や着色料、また染料としても用いられる。花柱を1オンス(約30g)集めるには4300の花が必要とされ、非常に高価なものである。

 花柱の成分には苦味成分のピクロクロシンや紅色色素クロシン、精油成分のサフラナールなどが含まれ、動物実験で子宮収縮作用が認められている。ヨーロッパでは健胃薬や鎮静・鎮痛・通経薬として知られ、痛風などにも用いられた。

 中国では活血・通経・清心の効能があり、血を調えて気分を爽やかにし、うつ症状や胸苦しさをなくす。月経異常、産後の腹痛、麻疹の初期などにも用いる。日本の民間では生理痛、生理不順に用い、婦人薬の盬竃蠻紅華湯などにも配合されている。また風邪や気分の落ち着かないときには、花柱10本程度に熱湯を注いで飲む。ただし妊婦の使用は避けたほうがよい。

水曜日, 1月 09, 2013

○酒

 米、麦、黍、高梁などを原料にして酵母発酵によって作られたアルコール飲料を用いる。は古くから百薬の長といわれ、また「醫」の字の下が酒を意味する「酉」とあるように酒は医薬のひとつとして応用されてきた。

 酒は製造方法により醸造酒蒸留酒、混成腫の3種に区別される。醸造酒はアルコール発酵させて作ったもので、ブドウなどの糖分を直接発酵させる果実酒、穀類などのデンプンを糖化してから発酵させるビールや日本酒などがある。蒸留酒は発酵法による酒や絞り粕を蒸留してアルコール分を多くしたもので、焼酎やウイスキーなどがある。混成酒はこれらの醸造酒や蒸留酒に香料や生薬などを加えたもので薬用酒やリキュールなどをいう。

 中国では穀類を原料とする蒸留酒(高梁酒、芽台酒など)を白酒、穀類を原料とする醸造酒(紹興酒、沈缸酒など)を黄酒という。中国でいつごろから酒造が行われていたか明らかではないが、竜山文化時代(紀元前2000年)の遺跡から陶製の酒杯や酒壺が出土している。ただし蒸留酒は11~12世紀になって始められたと推定されている。このため金匱要略の栝楼薤白白酒湯にある白酒はにごり酒あるいは上等の酒のことと考えられている。

 また傷寒論の半夏苦酒湯にある苦酒とは酢のことである。李時珍の本草綱目には「少量飲めば血を和し、気を行し、神を壮んにし、寒を禦ぎ、愁いを消し、興をやるが、痛飲すれば神を傷り、血を耗し、胃を損じ、精を亡い、痰を生じ、火を動じる」とある。酒には血脈を通じ、寒気を除き、薬力を行らす効能があり、酒を水と混合して他の生薬を煎じたり、丸薬や散薬などで酒を飲み下す方法が用いられる。

 傷寒論、金匱要略の中にある炙甘草湯当帰四逆加呉茱萸生姜湯、芎帰膠艾湯は水と酒を合わせて煎じる。また、薯蕷丸、腎気丸、丸痛丸、赤丸、大黄しゃ虫丸、天雄散、候氏黒散、土瓜根散、当帰芍薬散、当帰散、白朮散などは酒で服用するとある。

 生薬を酒に漬けて作る薬酒では黄帝内経の鶏矢醴の記載が最も古いとされ、金匱要略でも紅藍花酒が収載されている。また本草綱目には69種類の薬酒が挙げられている。このほか生薬の修治法として酒炙というのがある。これは一般に黄酒を用い、薬物を炒りながら酒をかけたり、薬物を酒に浸してから炒るという加工法であり、大黄・当帰・白芍・黄連・黄芩などの修治にしばしば行われる。

火曜日, 1月 08, 2013

蚱もう

○蚱もう(さくもう)

 中国全土や朝鮮半島、日本など稲作の行われているアジア全域に広く分布するバッタ科のイナゴ(Oxya chinensis)の乾燥した全虫を用いる。成虫を秋に捕獲するが、翅の生えていない若虫を特に蝗南という。

 イナゴは水稲などの害虫であるが、食用昆虫としてよく知られている。アジア諸国や中東で食用にされ、日本では古くから佃煮や唐揚げなどにして食べている。

 成分にはタンパク質のほかノルハルマネやイソロイシンが含まれ、ノルハルマネには小腸平滑筋抑制作用が、イナゴの黒焼きには鎮痙作用がある。官報では止咳・止痙の効能があり、咳嗽やひきつけに用いる。たとえば小児のひきつけに強火で焼いたものを粉末にして服用したり、百日咳のときに煎じて服用する。またしもやけのときには焼いて粉末にしたものを香油に混ぜて外用する。

 日本では小児の疳の虫の治療や栄養剤としても用いられた。古代アラビア人はマラリアや肺結核に、ヨーロッパではハンセン病(癩病)、結石、結膜炎などの治療に用いたといわれる。

月曜日, 1月 07, 2013

蒴藋

○蒴藋(さくちょう)

 本州、九州、四国、沖縄、中国などに分布するスイカズラ科の多年草ソクズ(Sambucus chinensis)の全草を用いる。日本では蒴藋の蒴は「さく」あるいは「そく」、藋は「ちょう」「とく(どく)」「てき」「たく(だく)」「かく」などさまざまに呼ばれている。ソクズはクサニワトコとも呼ばれているが、一般には栽培されない。

 全草にウルソール酸、硝酸カリウム、βシトステロール、αアミリンパルミテートなどが含まれ、ウルソール酸や硝酸カリウムには利尿作用がある。また中国では骨折の癒合促進作用、腫張軽減作用が報告されている。

 漢方では虚風湿・活血の効能があり、骨折、打撲、捻挫、関節炎、脚気、浮腫、瘰癧、腫れ物などに用いる。金匱要略には切り傷などの外傷の治療薬として王不留行・桑白皮などと配合した王不留行散が収載されている。

土曜日, 1月 05, 2013

沙苑子

沙苑子(さえんし)

 中国の遼寧・吉林・河北・陜西省、内モンゴルなどに自生するマメ科の多年草ツルゲンゲ(Astragalus complanatus)の成熟種子を用いる。ただし、中国の各地方で基原植物が若干異なることもある。

 沙苑子は別名を潼蒺藜とか沙苑蒺藜という。ところが別にハマビシ科のハマビシ(Tribulus terrestris)の種子も蒺藜子という。このため本草書では蒺藜の項目の中に沙苑子と蒺藜子が同時に記述され、しばしば混同された。現在、蒺藜子といえばハマビシの種子のことである。

 沙苑子の成分や薬理作用が明らかでない。漢方では肝腎を補い、明目・固精の効能があり、滋養強壮薬として足腰の倦怠感、インポテンツ、遣精、頻尿などに用いる。腎虚による遣精や滑精には芡実・蓮鬚などと配合する(金鎖固精丸)。また白内障初期などの視力障害に効果がある。

金曜日, 1月 04, 2013

細辛

○細辛(さいしん)

 日本の本州、九州、朝鮮半島、中国に分布するウマノスズクサ科の多年草ウスバサイシン(Asarum sieboldii)の根及び根茎を用いる。中国産はこのほかケイリンサイシン(A.heterotropoides var.mandsuricum)などいくつかの種類を使用している。

 日本では根と根茎と規定しているが、中国では近年まで全草を用いていた。これらと近縁植物であるカンアオイ(A.nipponicum(杜衝))やフタバアオイ(A.caulescens)の根は土細辛と呼ばれて細辛の代用にされたこともあるが、香気や辛味は細辛より非常に劣る。細辛という名は根が細く、口に含むと口の中がしびれるような辛さがあるためである。

 根には芳香成分としてメチルオイゲノール、サフロール、アサリニンなどが含まれ、辛味成分としてはペリトリン、ヒゲナミンなどが含まれている。細辛の精油には局所麻酔作用や解熱・鎮痛作用、降圧作用などが知られている。またヒゲナミンには附子や呉茱萸、良姜などの温熱薬にしばしば含まれるアルカロイドとして注目されている。なおウスバサイシンの地上部には腎障害を起こす恐れのあるアリストロキア酸が含まれているため、根及び根茎のみを用いる。

 漢方では解表・去痰・止咳・温裏・止痛の作用があり、感冒や喘息、頭痛、鼻炎、歯痛、神経痛などに用いる。欧米の民間でもヨーロッパサイシン(A.europaeum)やカナダサイシン(A.canadensis)を吐剤、利尿剤、頭痛薬として用いている。

月曜日, 12月 31, 2012

柴胡

○柴胡(さいこ)

 日本では本州、四国、九州、朝鮮半島に分布しているセリ科の多年草コシマサイコ(Bupleurum falcatum)の根を用いる。ミシマサイコの名は、三島に集荷されていた伊豆地方の柴胡の品質が優れていたためにそう呼ばれるようになった。

 日本産のミシマサイコは和柴胡とも呼ばれ、柴胡の中で最も良品とされている。かつて宮崎県、鹿児島県、静岡県などで野生品が採取されていたが、近年、野生品はごくわずかで市場にはない。最近では日本でも栽培による生産が行われているが、品質は野生品には及ばない。

 中国産の柴胡の基原植物にはいくつかの種類があるが、市場品にはおもにマンシュウミシマサイコ(B.chinense)とホソバミシマサイコ(B.scorzoneraefolium)である。マンシュウミシマサイコは国産のミシマサイコとほぼ同じ植物とされ、天津から輸出されるため津柴胡ともいわれている。韓国産は栽培品であるミシマサイコである。国内の栽培品の生産量は需要の一割に満たず、現在ほとんど中国や輸入されている。ちなみに韓国産の竹柴胡はホタルサイコ系で薬用に適さず、銀柴胡はナデシコ科の別の植物である。

 柴胡の成分にはサポニンのサイコサポニンa・c・d・e・f、ステロールのスピナステロール、スティグマステロール、そのほかパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸やアドニトール、アンゲリシンなどが含まれる。サポニンや柴胡の煎液には解熱、抗炎症、抗アレルギー、肝障害改善、抗潰瘍、抗ストレスなどの作用があることが報告されている。

 漢方では解表・疏肝・升提・抗瘧の効能があり、遷遷化した発熱や季肋部の不快感、口苦、内臓下垂などに用いる。感染症の少陽病期で邪が半表半裏にあり、寒熱往来といわれるような悪寒と発熱を反復するときには黄芩と配合し、表証の残っているときには葛根と配合する。また胸脇苦満といわれる季肋部の膨満感や圧痛には芍薬と配合し、胃腸症状には枳実と配合する。日本では柴胡の配合された処方をとくに柴胡剤といい、慢性疾患や体質改善の治療に幅広く応用している。

土曜日, 12月 29, 2012

犀角

○犀角(さいかく)

 サイ科の動物、サイ類の角を犀角という。サイはアジア及びアフリカの熱帯に生息する草食動物で、鼻の上に1本あるいは2本の角質の角を持っている。アジアには鎧のような厚い皮をもつ1角のインドサイ、ジャワに分布するインドサイよりもやや小さい1角のジャワサイ、スマトラに分布する最も小型で体毛の多いスマトラサイが、アフリカにはクロサイとシロサイが生息している。

 一般に犀角は大きく烏犀角と水犀角の2つに区別される。烏犀角とはインド犀の角を基原とし本犀角とも呼ばれるが、これらの動物は絶滅に瀕しており中国でも市場にはほとんど出ていない。これに対して水犀角はアフリカのクロサイの角に基づくものである。犀角の市場品はほとんどが水犀角である。ただし現在はワシントン条約により日本への輸入は禁止されている。このため近年、中国では水牛角が代用品として注目されている。

 犀角の主要成分はケラチンであるが、ケラチンを構成しているアミノ酸にはシスチン、ヒスチジン、リジン、アルギニンなどが含まれている。そのほか他のタンパク質、ペプチド類、遊離アミノ酸、グアニジン誘導体、ステロール類などが含まれている。

 漢方では清熱・定驚・涼血・解毒の効能があり、感染症による高熱や煩躁、痙攣、意識障害、出血、斑疹、発疹などに用いる。高熱に伴う意識障害には連翹・玄参などと配合する(清営湯)。痙攣のみられるときには羚羊角などと配合する(紫雪丹)。出血するときには生地黄・牡丹皮を配合する(犀角地黄湯)。発疹するときには石膏・知母などと配合する(化斑湯)。

金曜日, 12月 28, 2012

牛膝

○牛膝(ごしつ)

 日本の本州以南、中国に分布するヒユ科の多年草ヒナタイノコズチ(Achyranthes fauriei)の根を用いる。ヒナタイノコズチはイノコズチ(A.japonica)の近縁種で、路ばたや野原に普通にみられ、その根はイノコズチより大きい。

 かつて日本でも野生のもの(ヤブ牛膝)が採取されたり、茨城県で栽培されていた(作り牛膝)こともあるが、今日では流通していない。中国産の牛膝はイノコズチの同属植物モンパノイノコズチ(A.bidentata)の根であり懐牛膝または淮牛膝という。またイノコズチモドキ属の川牛膝(Cyathula officinalis)の根は川牛膝と呼ばれ、この川牛膝も最近では日本に多く輸入されている。

 イノコズチの名はイノシシの膝という説もあり、牛膝と同様に茎のある節の形から名づけられたものである。果実は動物や衣服にくっつくため、ドロボウグサとかヤブジラミなどの方言もある。根の成分には昆虫変態ホルモンのイノコステロンやエクジステロン、サポニンのオレアノール酸配糖体、各種アミノ酸、βシトステロール、スティグマステロールなどが含まれ、子宮収縮作用や腸管抑制作用、降圧作用、止痛作用などが報告されている。

 漢方では活血・通経・止痛・強筋骨の効能があり、婦人科疾患や関節痛、打撲、神経痛、足腰の筋肉の萎弱や疼痛などに用いる。ちなみに牛膝には下行する性質があり、月経血の排出促進や利尿、通便し、上半身の充血を軽減する。さらに他の生薬の効能を下半身に導く引経薬ともいわれている。このため月経困難症や排尿障害、歯肉炎の治療薬としても知られている。また堕胎に用いられたこともあり、妊婦や性器出血、下痢などには用いないほうがよいとされている。一般に懐牛膝は滋養・強壮作用が強く、川牛膝は活血・止痛の作用が強いといわれている。

木曜日, 12月 27, 2012

コンフリー

○コンフリー

 ヨーロッパ原産でヨーロッパからシベリア、中央アジアにかけて自生しているムラサキ科の多年草ヒレハリソウ(Symphytum officinale)の根や葉を用いる。

 日本には観賞用として明治時代に輸入された。若い葉を食用にするが、コーサカス地方の長寿村で常食されていたことから日本でもコンフリーの青汁療法がブームとなったことがある。

 全草にはアルカロイドのコンソリジンやタンニン、アラントイン、各種ビタミンなどが含まれ、貧血予防や新陳代謝促進の効果があるといわれている。ただし、動物実験で発癌性があるという報告もある。

 ヨーロッパでは根をシムフィツム根と呼び、おもに胃潰瘍や下痢、気管支炎、出血の治療に用いる。骨折や挫傷の外用薬としてもよく知られている。また根や葉のエキスにはパップ剤や湿布剤として下肢静脈瘤などに用いる。乾燥した葉はお茶の代用にも利用できる。ちなみにヨーロッパでは主に飼料用作物として利用されている。

 2004年6月、厚生労働省はコンフリーについて、根茎に含まれるピロリジディン・アルカロイドによると思われる肝臓障害(肝静脈閉塞性疾患)を招いた事例が海外で報告されているため、販売自粛を要請した。

水曜日, 12月 26, 2012

昆布

昆布

 コンブ科のマコンブ(Laminaria japonica Areschoug)やクロメ(Ecklonia kurome Okamura)、ワカメ(Undaria pinnatifida Suringar)の葉状体を用いる。北海道の沿岸でマコンブが生産されるが、日本では古くからヒロメとかエビスメと呼ばれて食用にされている。出汁や煮物などの食用以外にもアルギン酸製造の原料にもされている。

 クロメは本州南部から九州沿岸に分布し、本来は暗褐色だが、乾燥すると黒色に変化するためその名がある。クロメは食用のほか、ヨードの原料としても利用される。中国の植物名で昆布といえばクロメのことであり、マコンブは海帯という。ワカメは日本の北海道の西岸から九州まで、および朝鮮半島の沿岸に分布し、古来、日本の最も身近な海藻として利用されている。

 マコンブには炭水化物として多糖類のアルギン酸、フコイジン、ラミナリンなどが含まれ、また旨味のグルタミン酸やアラニン、ヨードやカルシウムなどの無機物なども多く含まれる。ヨードは甲状腺に不可欠な成分で、ヨード不足による単純性甲状腺腫に効果がある。また降圧作用や鎮咳作用なども報告されている。

 漢方では軟堅・利水消腫の効能があり、癭瘤(甲状腺腫)や瘰癧(頸部リンパ腺腫)、浮腫、睾丸腫痛などに用いる。甲状腺の腫大には海藻・貝母などと配合する(海藻玉壺湯)。浮腫や脚気には他の利水薬とともに用いる。ただし脾胃の虚寒証で下痢気味のときには用いない。

 現在、昆布のヌメリから抽出したアルギン酸ナトリウムは、コレステロールの吸収を抑え、また整腸作用があるとして特定保健用食品の関与成分に認定されている(コレカット)。またコンブの一種、ガゴメコンブ(Kjellmaniella crassifolia)のヌメリ成分、多糖体のフコイダンに抗ウイルス・抗菌、免疫賦活、血液凝固抑制、肝機能改善などの健康効果、さらにアポトーシス誘導作用、NK細胞活性化作用といった抗癌作用が認められ注目されている。

火曜日, 12月 25, 2012

コンズランゴ

○コンズランゴ

 南米のペルー、コロンビア、エクアドルのアンデス山脈の自生するガガイモ科のつる性低木コンズランゴ(Marsdenia cundurango)の幹皮を用いる。現在では東部アフリカなどで栽培されている。元来、南米の原住民が昔から用いていた薬木で、ヨーロッパに胃癌の治療薬として用いられるようになった。

 成分にはプレグナン配糖体のコンズラゴグリコシド、シクリトールのコンズリトールなどが含まれる。苦味質のコンズランギンは冷水には溶けて澄明であるが温めると水溶液が濁り、約40℃でゼリー状になって固まるという特異な溶解性がみられる。

 コンズランゴは芳香性苦味健胃薬として消化不良や食欲不振などに用いられる。とくに胃粘膜の病変に有効であるといわれている。一般には煎剤やコンズランゴ酒として用いられるが、市販されれいる胃腸薬にはコンズランゴ流エキスがしばしば配合されている。

月曜日, 12月 24, 2012

コロンボ

○コロンボ

 アフリカ東岸のモザンビーク地方やマダガスカル島の森林地帯に自生するツヅラフジ科のつる性本木コロンボ(Jateorhiza columba)の塊茎を用いる。現在、アフリカやインドなどで栽培されている。アフリカではコロンボの根を赤痢の薬として用いていたといわれる。

 薬材のコロンボは塊茎を輪切りにして乾燥したもので、厚さ0.5~2cm、径3~8cmの円盤状をしている。切断面は淡黄色をした粉性で、側面には灰褐色の周皮をつけている。

 成分にはベルベリン系アルカロイドのパルマチン、ヤテオリジン、コルンバミンや苦味質のコルンビンなどが含まれ、胃酸分泌を促進する作用が知られている。特有の臭いと苦味があり、苦味健胃薬として粉末で服用する。日本でも家庭薬として市販されている胃腸薬にしばしば配合されている。