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日曜日, 1月 01, 2006

羅漢果について

○羅漢果

 羅漢果は中国広西省チワン族自治区の山岳地に産するウリ科の果実で、香りが高く甘みが非常に強いため、中国では古くからこれを乾燥させて料理の調味料、甘味飲料の原料として使うほか、生薬として珍重して神果とも呼び、国王は他国への持ち出しを禁じていたともいわれる。羅漢果の文字は、仏教修行者の到達できる最高の境地である阿羅漢果に由来するであろう。

 もともと野生であった羅漢果であるが、いつのコロからか農家の園芸作物として栽培されるようになりながら、新中国の誕生の頃には荒廃の限りを尽くした。しかしその後、再び中国政府の奨励のもとに復興して農業の表舞台に登場し、今では主要な中国の輸出産物のひとつとなった。

 生薬としての羅漢果は、清熱・止咳・去痰・肺の湿潤・造血・胃腸の機能促進、利尿・便秘などに効くとされ、近年の研究ではストレス解消や高血圧症、糖尿病にも効果があり、長く服用していると細菌感染による呼吸器系の疾患に対する抵抗力がつくことが指摘されてきた。そのため、中国では羅漢果を原料とした咳止め、喘息の発作を抑えるシロップ剤や錠剤あるいは熱湯を注いで飲む固形剤などが作られて、製品は海外へも輸出されている。

 わが国では、以前この羅漢果の甘み成分(糖度は砂糖の300~400倍)に着目して、徳島文理大学の竹本常松らが詳細な分析研究を行い、驚くほど低カロリーの新しい配糖体(テルペングリコシド配糖体)を発見し、「S-5」と名づけて学会発表をしたことがある。一部には初頭の過剰摂取による虫歯、肥満、糖尿病などの多発が心配される日本において、この新しい甘味料がそうした弊害の緩和に役立つと期待がもたれたが、当時はまだ輸入量が少なかったこともあって広く知られない時期が続き、従って商品開発もなかなか進まなかった。しかし、生産量の増大と輸出振興の恩恵を受けて、現在ではわが国の消費量も拡大している。

 最近になって、岡山大学医学部の森昭胤らのグループが、羅漢果の熱水抽出エキスに、活性酸素とフリーラジカルを消去・抑制し、さらに脳組織の脂質の過酸化を予防する作用があるという研究発表を行った注目された。活性酸素とフリーラジカルは通常の体内での酸化の過程でも、また、紫外線や放射線の照射によって発生する。あるいは油や油脂が空気と熱に長時間さらされたときにも発生し、食事によって体内に取り込まれる。それが体内で脂質を酸化させて有害物質に変えたり、正常な細胞を破損したり、遺伝子を傷つけることになどによって、癌・動脈硬化・炎症・虚血・アレルギー・パーキンソン病などのほか、老人性ボケを含むさまざまな老化現象をもたらすのであるが、羅漢果にはそれを消去・抑制する作用があることが判明したのである。

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土曜日, 12月 31, 2005

プルーンについて

○プルーン

 プルーンはバラ科のセイヨウスモモノ一種(乾果専用種)で、長寿地帯のコーサカス地方とカスピ海に近い西アジア地方が原産である。腐らせずに乾燥できるので干しスモモに用いられる。欧米ではミラクル(驚異の)フルーツ、ワンダー(不思議な)フルーツと呼んで活用し、アメリカの病院では妊婦にプルーンジュースを飲ませて便秘や貧血の予防に役立てている。

 プルーンに含まれるビタミンAは多くの果実に比べ数倍、数十倍と多く、B1も小麦胚芽と並ぶほど多い。そのほかB2、ナイアシン、生長促進のパントテン酸、ピリドキシンなど、豊富なビタミン類をバランスよく含有している。また、重要な機能を持つミネラル類が多く、カリウムやリンをはじめ、血液を正常に保つ働きがあるカルシウム、鉄、マグネシウムなども豊富である。

 プルーンは古くから貧血に効くことが知られており、アメリカで行った動物実験(1933年)でも既に、貧血を治すプルーンの能力は食品としてレバーについで高く、ホウレン草やキャベツよりも優れていることが報告されている。また、便秘に効くので、朝食にプルーンを食べる習慣は欧米人の生活の知恵とされる。悪性の便秘が治った例もあり、優れた自然の便秘薬といえるが、この効用については、カリフォルニア大のエマーソンの研究によると、プルーンには水にもアルコールにも溶けやすい緩下作用のある物質が存在するからだと述べている。

 健康食品のプルーンは、乾燥したプルーンのエキスをペースト状やゼリー状に食べやすく加工したものや、粒状タイプのものがある。

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金曜日, 12月 30, 2005

カリウムについて

○カリウム

 カリウムは、生命を維持する上で欠かすことのできない必須の物質であることが知られ、その働きは①細胞内の機能を高める、②電解質や血液中の酸、アルカリのバランスをとる、③神経や刺激の伝達がスムーズに行くようにする、④心臓のリズムの調整、などがあげられるが、特に最近はその生理作用が注目されている。

 例えば、カリウムを摂り過ぎた場合は、慢性腎炎や尿毒症の原因となり、極端に多ければ心臓にも作用して生命に危険が及ぶこともないわけではない。また、通常は過剰分の排除が排尿によって行われるが、次第に機能低下が併発するようになると排泄能力がダウンするため、摂取制限をしなければならなくなる。

 逆に不足した場合は、副腎皮質機能を亢進して、あらゆる筋肉の興奮性が減り、筋肉の収縮・弛緩の調整がうまくいかなくなって、疲れやすくなる。また、腸の蠕動運動が妨げられて便秘を起こしたりする結果、浮腫や半身不随、不整脈、心臓発作に陥りやすくなる。(しかし高カリウム血症と異なり、生命に危険が及ぶことは少ないとされる。)

 カリウムの作用で特徴的なのは、高血圧の原因のひとつと考えられている塩分(ナトリウムか塩素なのかははっきりしていない)の害を防ぐ効果が実験的に証明されたことである。腎臓病には付随して起こる高血圧を2次性高血圧といい、他に特別な原因が見つからない高血圧を本態性高血圧というが、この本態性高血圧の場合、カリウムを多く摂ると発症が抑制されることがわかったのである。

 弘前医大が行った東北地方の高血圧調査では、カリウムを多く含んでいるリンゴをたくさん食べる人と、そうでない人とを比べた結果、リンゴ村の方が高血圧の人が少なく、そうでない方は高血圧の人が多かった。その後の実験でもこれが証明され、本態性効血圧を予防するにはカリウムを多く含んだ食品(例えば海藻、ヒマワリの種子、胚芽、アーモンド、レーズン、パセリ、ピーナッツ、イチジク、大豆、リンゴ、バナナ、ビワ、セロリ、ホウレン草、三つ葉などの野菜、果物類など)を十分に食べる必要があると報告している。

 カリウムの1日所要量は成人で2000mgなので、通常の食事をしていれば不足することはまずないといってよい。

木曜日, 12月 29, 2005

ドロマイトについて

○ドロマイト

 飽食の弊害まで叫ばれる近年の栄養事情の中で、ミネラルに関する認識の遅れが指摘されてきたことはよく知られたところである。日本人の栄養摂取の基準は「食事摂取基準」(第6次改定日本人の栄養所要量・2000年)によっており、カルシウム、鉄、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデンの13種のミネラルに、所要量と許容上限摂取量が策定されている。

 カルシウムの1日所要量は成人男性で600~700mg、女性は600mg(許容上限摂取量は2500mg)、マグネシウムは成人男性で280~320mg、女性は240~260mg(許容上限摂取量は650~700mg)である。

 カルシウムの体内存在量は体重比1.5~2.2%だが、単に骨格の成長に寄与、あるいは骨粗鬆症を防ぐだけでなく、全体の1%は細胞内に、0.1%は血清中に遊離イオン、あるいはタンパク質などに結合して存在し、神経刺激の伝達、心筋の運動の調整、ホメオスタシス(恒常性の維持)といった重要な生理活動をつかさどっていることが明らかにされてきている。また、脳細胞内に有害なアルミニウムが入って、アルツハイマー病やボケを引き起こすことを防ぐ働きも指摘されている。

 マグネシウムの体内存在量は体重比0.01%程度で、ほとんどは細胞内にあって酵素の活性を維持する働きが認められ、心疾患の予防、また糖尿病患者には低マグネシウム血症が多く見られることから、近年激増している糖尿病予備軍の健康維持(糖代謝の正常化)にとっても重要とする指摘もある。

 絶えず排泄されるため、摂取不足は直ちに欠乏症に結びつきやすい。また、カルシウムとマグネシウムは体内で一方が減れば一方が増えるという相補的な関係にあるため、摂取に関してはカルシウム2に対してマグネシウム1の割合を保つことが求められる。

 しかし現実問題として、日本人の平均摂取量はカルシウムが550mg前後、マグネシウムが200mg前後とみなされており、加えて10代の成長期や妊娠女性はカルシウムを50%程度(授乳期は85%前後)増量する必要性も提示されており、摂取量の不足が懸念されるのである。

 ドロマイトは、太古、サンゴなどが海底に堆積して石灰岩を形成したあと、そのカルシウムの一部が海水中のマグネシウムと置き換わった鉱石で、カルシウムとマグネシウムの組成比が2:1という願ってもない理想的な割合で含まれ、しかも純度が高い。

 この生物由来の鉱石を微粉末にすることで、白くて無味無臭の、しかも人体への吸収が高く、サプリメントにも栄養補助食品にも最適の素材(食品添加物ではない)が実現した。デンマーク産天然ドロマイトを使った菓子の輸入も厚生労働省から認可されており、国産のドロマイトも市場に供されている。

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水曜日, 12月 28, 2005

バナ・ウォーターについて

○バナ・ウォーター

 水の持つ健康効果への関心の高まりに呼応する多くの機能水が、比較的広範な効用を標榜してきたことに比べると、このバナ・ウォータは、飲用の目的を血糖値の降下(糖尿病の改善)に絞って登場したところに特徴がある。名称の「バナ」は、微量必須ミネラルのひとつであるバナジウム(V)を意味し、機能性成分として酸化バナジウム(V2O5)がある。

 バナ・ウォーターは富士山山麓の玄武岩層(バサルト層)を150m余りボーリングして採水される。これは、雨水や雪解け水が地中深くしみ込んで伏流水となり、ゆっくりと玄武岩層の間を流れる途中で、玄武岩に多く含まれるバナジウムを溶かし込んでいるからである。近年わが国では、飽食による肥満、運動不足、ストレスなどの累積が原因とされる成人(Ⅱ型)糖尿病がその予備軍を加えると1370万人にも達し、まさに新たな国民病の様相を呈しているが、このようなときに、この機能水の果たす役割には、大きな期待が寄せられて然るべきであろう。

 バナ・ウォーターの発見は、全国の岩石分布や、岩石の種類に影響される河川水や地下水のミネラル成分を研究した山梨県環境科学研究所(瀬子義幸・長谷川達也ら)の調査が機縁となった。その調査によって、地元を訪れる相模川と湖水では、他の地域や水系の7~8倍の濃度のバナジウムが認められたのである。そしてこの事実の意味を解析する過程で、1987年に発表されたJ・メイェロヴィッチ(シェバ・メディカルセンター研究所)らによるバナデートの血糖降下作用の研究に結びついた。この研究は、バナデート(酸化バナジウム化合物)の水溶液を高血糖ラットに経口投与したところ、正常値の3倍近かった血糖値が4日後に正常になり、投与を中止すると再び一気に高血糖になった、というものである。

 こうして新たに相模水系の探索が行われ、バナジウムを56ppbの濃度で含む富士山伏流水(バナ・ウォーター)が、高い血糖値効果作用を見出せることが検証された。

 バナジウムがなぜ血糖効果作用を有するかについては、奥田拓道(愛媛大学医学部)らの新しい研究がある。血液中の余分なグルコース(ブドウ糖)やリポタンパクは脂肪細胞に取り込まれて肥満を招くが、肥満状態が続くと、脂肪細胞内の脂肪は自然分解により遊離脂肪酸となって血液中に増えて行く。するとこの遊離脂肪酸にはインスリン抵抗性があるため、筋肉細胞にインスリンの作用で取り込まれたグルコースの代謝を阻害し、次いで筋肉細胞内にグルコースが取り込まれること自体を阻害して、結果的に血糖値を高くし、成人糖尿病を招くことに繋がる。

 このとき、バナジウムは、脂肪細胞内の油滴が自然分解することブロックし、それによって遊離脂肪酸がインスリン抵抗性を出現させることを阻み、血糖の増加を抑え、成人糖尿病の発症にストップをかける、というメカニズムが明らかにされたのである。現在のところ、バナジウム以外で自然分解を抑える物質は知られていない。

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火曜日, 12月 27, 2005

アロエについて

○アロエ

 アロエはアフリカ原産のユリ科の多年草であるが、わが国へ観葉植物として輸入された同属のものだけでも優に200種を超えるほど種類が多い。そのうち日本薬局方への医薬品(苦味健胃・瀉下薬)とされるのはアフリカから輸入されるケープアロエで、従来健康食品や化粧品に繁用されるのはキダチアロエと、比較的新しいアロエベラである。

 アロエの薬用植物として利用は遥か有史前に遡り、史実としてはミイラとともに発掘された古代エジプトのパピルス(紀元前1550年頃)に緩下薬としての利用が記され、また皇帝ネロの侍医ディオスコルテスの書いた「ギリシャ本草」にも薬効の記載がある。こうした歴史を持つだけにヨーロッパ全域で民間薬として定着し、中国へはシルクロードを経由して8世紀頃に生薬名「盧薈」(盧は黒、薈は集まるで、葉の切り口から出る液が空気に触れて酸化すると黒色になり、その塊を意味する)の名でもたらされたとされる。わが国へは鎌倉時代(14世紀)に中国から招来され、18世紀初頭に再びオランダ医学と共に導入されて、以来広く民間薬として今日を迎えている。

 その薬効については、10世紀頃の中国の「開宝本草」に「緩下剤、あるいは火傷、皮膚病、痔疾...」と記されたことの他に、古くから内服によって胃の浄化、健胃、消化促進、便秘、通経に効果が認められ、外用して関節痛、筋肉痛、ヒビ、あかぎれ、イボ、にきびなどの皮膚傷害、脱毛、肌荒れ、水虫などに良いとされてきたが、近年はキダチアロエ、アロエベラ両方の効用として、胃炎、膀胱炎、尿道炎など炎症性疾患、高血圧、浮腫、喘息を含む呼吸器疾患、糖尿病(インスリン様の血糖値降下作用)、悪酔い、痛風、腫瘍やガンなどへの効果が実験的にも臨床的にも繰り返し報告されている。

 薬効成分としては早くからアロイン(苦味配糖体で健胃・瀉血・緩下効果を持つ)、アロエエモジン(苦味健胃・瀉血・緩下効果)、アロエニン(健胃・緩下・抗アレルギー作用)、アロエチン(抗菌・美白)などが確認されていたが、抗菌作用物質とされてきたアロエウルシンに抗潰瘍作用が見出されたり、抗ガン性と関わりを持つ抗腫瘍・免疫機能活性成分として、アロエマンナン、アロミチン、アロエレクチンなど多数が新たに発見されている。そのほか、サポニン、ムコ多糖体、葉緑素、ビタミンA・B12・C・Eなど一般的な薬効成分も加わった相乗作用で、免疫機能が亢進され、その結果として、アロエの多彩な効用が生まれるものと考えられている。

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月曜日, 12月 26, 2005

卵黄油(卵油)について

○卵黄油(卵油)

 卵黄油は、いつの頃からか家庭で作られ、貴重な健康法のひとつとして利用されてきた。現代家庭療法の古典ともいえる「家庭における実際的看護の秘訣」(通称・赤本)が1925年(大正14年)に発刊されたが、その中には心臓病、若白毛などが卵黄油によって良くなった実例が紹介されている。それ以降の用例を見ても、卵黄油が血行を良くし、肩こりや腰の痛みなどを取り、疲労感を和らげ、体全体に活力を吹き込むものとして利用されている。

 人間の体は60兆個ともいわれる膨大な数の細胞からできている。その細胞全てが十分に栄養を摂取し、新陳代謝が行われていれば、健康体を維持できるわけであるが、卵黄油は血液循環を活発にして、体の隅々まで栄養を行き届かせる効用がある。

 卵優の含有成分を見ると、生命の基礎的物質であるレシチンや、血管に溜まった余分なコレステロールを取り除くリノール酸などの不飽和脂肪酸があり、血液循環や新陳代謝を活発するのに役立っていると考えられる。

 こうした卵黄油の効用・作用は、①筋肉に良い栄養となる、②筋力だけでできている心臓の働きに良い、③血の巡りをよくして禿や白髪を防ぐ力がある、④血行不良が原因となる肩こり、筋肉痛の改善に役立つ、⑤外用すれば、痔にも有効である、⑥女性が最も気にする自然の美肌作りにも大いに役立つ、というように多彩である。いずにせよ血液の循環は健康の基本なので、そのほかにも派生的に様々な効能が期待されるのである。

 卵黄油の作り方は、鶏卵の黄身だけを取り出して、長時間にわたって、とろ火で焼き上げていく。終わり頃に少量の油が残る。これが卵黄油である。

 家庭で作るには2時間ほど要する。用意するものは、鶏卵の黄身を10~20個、そしてフライパン、しゃもじ(柄の長いもの)。作り方は、はじめに黄身だけを取り出してフライパンにいれ、とろ火にかける。①火にかけてから煎り卵を作るときのように、良くかき混ぜる。②次第に煎り卵のように黄身がボロボロになってくる。それをしゃもじで押しつぶしながら、平均に焼けるようにかき回す。③ボロボロの塊は細かいつぶになる。④さらにかき混ぜていくと、全体が狐色になり、やがて濃い茶色に変わる。この頃には濃い異臭が立つようになる。⑤黄身はボロボロになり、これを押しつぶすようにかき混ぜる。⑥徐々にベトベトシタ液体になり、黒い液体がにじみ出てくる。この頃にはフライパンを一方へ傾け、黒い液(卵黄油)だけを留めるようにする。⑦十分に油が出たところで、火を止める。(あまり長く焼きすぎると、油がなくなってしまう。)これをさらに取っておく。

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日曜日, 12月 25, 2005

ビフィズス菌について

○ビフィズス菌

 人間の体内には、特に口から肛門までの消化管の中に多くの細菌が集中して棲みつき、増殖と死滅を繰り返している。例えば、口の中で、唾液1ml当たり1000万個もの細菌がいる。それが胃液の中では1000個以下に減ってしまう。これは胃液の殺菌作用によるもので、その中でも生き残るものにビフィズス菌、桿菌、ストレプトコッカスのある種などの有用な乳酸菌がある。このような胃液の殺菌力は空腹時に強く、食物が入ってくると胃液の酸度が低下し、胃の中の細菌数も増加する。また、胃酸と病気の関係で言うと、「胃酸過多の人は胃潰瘍になりやすく、ガンにはなりにくい」、逆に「胃酸の少ない人には胃ガンが多い」といわれる。理由はまだ解明されていないが、胃酸の働きが十分でないと、菌が増殖しニトロソアミンなどの発ガン物質を生成し、これが胃ガンの原因になるのではないかといわれている。

 そこで、腸内の有用菌、とくに乳酸菌やビフィズス菌などの働きが注目されるのである。

 人間は、母親の胎内にいるときは全くの無菌状態にある。しかし、いったん胎内から生まれ出ると、まず産道の細菌や外界のバイ菌の洗礼を受け、生後1~2日目では大腸菌、腸球菌、ウェルシュ菌などが腸内に発生する。3~4日目にはビフィズス菌が現れて前記の有害菌が減り始め、5日目頃にはビフィズス菌が圧倒的に優勢になる。以後、ビフィズス菌は一定の数を保ち、離乳食から成人に至る。その間に、腸内では有用菌と有害菌のバランスが保たれる。

 それが老齢期に入ると、そのバランスに変化が起こる。ビフィズス菌が減り、代わって大腸菌やウェルシュ菌といった有害菌が急速に増えはじめる。このことから老化は腸内から始まるといわれるわけである。

 これら有害菌は、腸内の食物、特にタンパク質や脂肪を腐敗させ、有害物質を作り出し、これらの物質が血液に乗って体の各細胞に送られる。つまり、細胞の栄養代謝に支障をきたす原因になる。その結果、老化を一層促進すると考えられる。

 人間にとって有用な菌がいくつか発見され、そのたびに脚光を浴びてきた。乳酸桿菌、ヨーグルトに含まれるブルガリア菌、アシドフィルス菌などもそうであるが、最近ではビフィズス菌の重要性が注目されている。それは、健康な人の腸内を調べると、ビフィズス菌が圧倒的に優勢な状態で棲みついているからである。ビフィズス菌の効用について、その全てが解明されたわけではない。肝硬変の末期症状に有効性を発揮したケースもあるが、現段階の知見では、腸内の環境を良くして、健康の維持・増進、老化防止に有効であることは間違えない。

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土曜日, 12月 24, 2005

グァバ茶について

○グァバ茶

 グァバは、熱帯アメリカや東南アジアを原産地とするフトモモ科の落葉小高木で、わが国ではバンジロウとして知られている。中国名は蕃石榴。最近は宮崎、熊本などでも温室栽培されている。

 果実は生食やジュースなどにされるが、葉もお茶として利用されている。沖縄や台湾では、糖尿病、下痢、歯痛、口内炎、胃潰瘍に効果があるお茶として古くから愛飲されてきた。グァバ茶は、見た目は番茶のような色をしているが、味は日本茶とも中国茶とも違い、ヨモギのような薬草の香りがする。

 グァバ茶の主な成分は、葉緑素、葉酸、ビタミンA・B2・C・E、カリウムで、多種類のタンパク質、多糖類を含む。また、グァバ葉の乾物にはビタミンB群・Cのほか、ビタミンUと呼ばれるビタミン様物質も含まれている。ビタミンUは胃酸の分泌を抑え、胃粘膜の新陳代謝を促進させることから、胃潰瘍などを改善させる効果がある。

 グァバ茶には古くから糖尿病を改善する効果のあることが知られていたが、最近、ヤクルトなどの研究により、グァバ茶に含まれるグァバポリフェノールの作用によって、食後の血糖値の上昇を抑え、糖尿病を予防する効果のあることが科学的に明らかにされた。

 食事などで摂られたデンプンや砂糖などの糖質は、消化酵素によってブドウ糖という小さな分子に分解されて、初めて小腸から血液中に吸収される。血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上がると膵臓からインスリンが分泌され、血液中のブドウ糖を細胞側にエネルギーとして渡す作業が活発化する。その結果、血糖値は次第に戻るわけだが、インスリンの量が十分でなかったり、その働きが弱い場合は、血糖値はなかなか元に戻らず、長時間にわたって高い状態が続く。これが食事のたびに繰り返されると、糖尿病の発症へと繋がっていくわけである。

 同社の研究によると、体内に入った糖質は、ブドウ糖にまで分解されなければ小腸では吸収されないため、消化酵素の働きを抑えて糖質の分解を減らし、糖の吸収を穏やかにすることで血糖値の急激な上昇を抑えるということだった。グァバポリフェノールには消化酵素の働きを抑える糖質分解酵素活性阻害作用があるため、一部の糖質はブドウ糖に分解されずに、そのまま大腸で腸内細菌に利用されたり、体外に排出される。結果的には、小腸から血液に吸収されるブドウ糖の量が減少するために、血糖値の急激な上昇を抑制するというものである。また、食後の血糖値の急激な上昇は抑えても、血糖値が下がる過ぎることはなく、常に高血糖値にならない状態を継続することで、体のインスリンへの感受性が高まり、糖尿病になりにくい体質に改善されていくことも期待できるという。

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金曜日, 12月 23, 2005

ガルシニア・カンボジア(HCA)について

○ガルシニア・カンボジア(HCA)

 ガルシニア・カンボジアは南アジア(南インドやスリランカなど)の多雨低地帯に自生するオトギリソウ科の果樹で、別名をゴラカ、またはタマリンドマラバールという。オレンジ大の縦溝のある黄色もしくは赤い果実には酸味があり、現地では古くから調味料としてカレーのスパイスやライムの代用にも使われてきた。

 健康食品として注目されるようになったのは、1994年にアメリカで”食べながら痩せられるダイエット素材”として人気を呼んだことが始まりである。ガルシニア・カンボジアの果皮には、ヒドロキシクエン酸(HCA)という物質が含まれている。これは柑橘類に多く含まれるクエン酸に似た物質で、1960年代初めに植物の有益な成分を探す過程で発見され研究が続けられてきたが、次のようなダイエット効果のあることがわかったのである。

 すなわち、食べた糖質や脂肪は体内でブドウ糖に分解されてエネルギー源となるが、エネルギーに使われなかった余剰分はATPクエン酸リアーゼという酵素の働きで脂肪となり、体脂肪として蓄積される。これが肥満の原因となるのであるが、食前にガルシニア食品を摂っておくと、HCAが酵素に結合してその働きを阻害するので脂肪がつきにくく、そのため食べても太らないという結果になるのである。カロリーは十分なので、疲労や倦怠も起こらないで済む。

 さらに、体脂肪にならなかったブドウ糖はグリコーゲンとなり、食後の血糖値がゆっくりと減じていく効果とグリコーゲンが蓄積する効果が相乗的に働いて、満腹中枢が刺激されるために空腹感を感じにくくなり、食事の量が自然に減っていく。また、ブドウ糖が体脂肪に変化するときには体に必要な脂肪酸も一緒にできるのだが、その産生がHCAによってブロックされるために、体の中では蓄積された脂肪を分解してその不足を補おうとするために、効率的に体脂肪を減らせるということになるのである。

 アメリカで1993年に行われた二重盲検法による臨床試験では、標準体重より14~45%重い男女40人(21~55歳)を2組に分け、どちらにも同じ食事指導をしながら、一方にだけガルシニアエキスを使用したところ、その組(23人)は8週間で5キロ体重が減ったのに対し、使わなかった組は1.9キロしか減らなかったという結果を得ている。

 ガルシニア・カンボジアの健康機能性では、運動持久力を高める効果も見出されている。日本ハム商品技術研究所と日本新薬食品開発研究所、韓国老人健康研究所の共同研究「ガルシニアエキス入りハムの人の活動力に及ぼす影響」(2000年11月、第3回日本補完・代替医療学会で発表)によると、韓国の大学でサッカー選手6人にガルシニアエキス入りボンレスハムを毎朝50g、5日間食させ、その効果をエルゴメーター(固定式自転車)による運動負荷後の選手の体力測定により検証したところ、ガルシニアエキスを含まないハム摂取時に比べ、運動開始時から脂肪酸酸化量が増加し、高負荷条件で体力が尽きるまで運動できた時間が延長するなどの効果が確認された。同研究ではさらに、ガルシニアエキスに脂肪燃焼速度を増加させる機能も見出している。研究グループでは、この機能を活かし、タンパク質を補給しながら脂肪の燃焼速度を高め、運動エネルギーの増加が見込めるような畜産製品の開発が期待できるとしている。

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木曜日, 12月 22, 2005

シイタケ菌糸体エキス(L.E.M)について

○シイタケ菌糸体エキス

 キノコは、発芽した胞子から菌糸が伸び、地中や原木中で増殖して菌糸体となる。温度や湿度などの条件が揃うと菌糸体が集合した子実体と呼ばれるキノコを発生させ、胞子を形成して残す。つまり食用にする子実体の部分は、キノコ類が子孫を残すために胞子に作る生殖体、すなわち”菌糸が高度に集合したもの”である。言い換えれば、菌糸体こそ子実体を発生させる力を持つキノコの正体であり、キノコの有効性の基はここに内在しているということが考えられる。

 この菌糸体が内包する強靭な生命力を利用する目的で「シイタケ菌糸体培養抽出技術」が開発された。培養基はバガス(サトウキビを搾った残りの繊維質)に米糠を混合し水分調整されることで作られる。それを高圧蒸気滅菌した上で、雑菌の進入を防ぎながら厳選された特定の種菌を摂取して培養。やがて白色糸状の菌糸が培地全体に蔓延した段階で低温ショックを与えたあと、倍地を解束し抽出タンクに投入、加水・加温する。酵素を添加して攪拌・擂潰することで有効成分が代謝産物と共に抽出されてくるというのが、その製法の概略である。

 この抽出物「シイタケ菌糸体培養抽出物(L.E.M)」であり、多糖タンパク質、β-D-グルカン、エリタデニン、リグニンなどが含まれ、子実体の成分とは異なる。この培養抽出物を用いた健康食品の免疫調節作用、抗腫瘍作用、抗ウイルス作用などを中心とする多くの機能が、大学や製薬会社、民間研究機関などによって明らかにされてきた。抗ガン作用については、乳ガン自然発症とランスジェマニックマウスにL.E.Mを4週間投与して延命効果及び腫瘍組織の病理学検討を行った研究で、無処置群に比べて平均2週間の延命効果を示した。さらに腫瘍組織の病理検査を行ったところL.E.M投与群では腫瘍細胞にγδT細胞を中心としたリンパ球の顕著な浸潤が認められ、一部腫瘍の壊死像も観察された(佐賀生活習慣病対策研究会、1999年)。オーストラリアで行われた第17回国際栄養学会(2001年)で発表された動脈硬化に対する研究は、病変占有面積がL.E.Mを8週間与えた群は対照群48.7±15.3に比べて、26.2±10.8と優位に改善され、動脈硬化指数も対照群16.96±9.2に対し6.62±4.31と優位に改善されており、その動脈硬化に対する予防・改善効果は注目を浴びた。

 また、肝細胞ガンのハイリスクグループとされるC型ないしB型肝炎に対する効果も臨床的に確認されており、ウイルスの減少等が報告されている。そのほかにも、チロシナーゼ活性阻害作用による美白効果があり、すでに粧源基として認められていることから健康食品分野のみにとどまらず、化粧品原料としても今後更なる展開が期待される。

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水曜日, 12月 21, 2005

シイタケについて

○シイタケ

 シイタケは(椎茸)は日本人の食生活に欠かせないシメジ科の食用菌で、江戸時代中頃にはすでに栽培されていたが、「原木(榾木)栽培」やおが屑栽培(菌床栽培)などの人工栽培法が確立したのは昭和に入ってからで、昭和30年代以降は年間を通じて生シイタケが供給されている。

 中国でもその香りや味か好まれ「香蕈、香菌」などの字が充てられるとともに、古くからその健康効果が認められてきた。明治初期に呉端(医者)は「シイタケは気を益し、飢えず、風を治し、血を破る」と「日用本草」(1620年)に記載しており、その認識は現代中国医学にも引き継がれ「中国薬用真菌」(1974年)には「気力を高め、五風(風邪・中風・痛風・瘋癲・頭痛)を改善し、血液を固まらせないように保ち、体内の余分な水分を防ぎ、気力を調える。そして肝硬変を予防し、血中コレステロールを下げ、動脈硬化や血管の弱くなるのを防ぎ、常食すればガンを予防できる」と記されている。この記載の正しいことはわが国の現代医学でも立証済みで、子実体から抽出されたレンチナンという多糖体は、抗ガン剤として認可(胃ガンの注射薬、1985年)されている。レンチナンにはまた、その他の機能として、抗菌、エイズへの有効性を含む抗ウイルス作用、免疫細胞の活性化(生体防御機能の増強)作用などが見出されている。

 シイタケは栄養的にはビタミンDの前駆体であるエルゴステロールの含有量が多く、これがカルシウムの吸収を高めるほか、ビタミンB1は心臓肥大を防いで炭水化物の代謝を促進し、B2は脂肪の過酸化を抑制して動脈硬化を防ぎ、B6は皮膚炎・貧血・糖尿病などに有効である。さらにビタミンB群とカリウム、食物繊維などの相乗効果による抗血栓作用、さらにエリタデニン(レンチナシン)という核酸誘導体の働きも加わって、血行改善、血中コレステロール値の改善、高血圧、動脈硬化、肥満、便秘、美容などへの効果が期待されている。

 このようなシイタケの機能性の恩恵を積極的に享受する目的で、シイタケ子実体から抽出したエキス、またそれを粉末化して製品とした健康食品が供給されている。

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火曜日, 12月 20, 2005

甜茶について

○甜茶

 甜の文字の意味は、「甜い・旨い」であり、甜茶は文字通り甘いのであるが、それは味覚だけ出なく、甘い言葉というときの甘さのニュアンスも込められているという。その甜茶には、牛白藤(アカネ科)、土常山(ユキノシタ科)、多穂石柯葉(ブナ科)の3種類があることが中薬大辞典に記載されているが、最近わが国で優れた特性が注目されている甜茶は、そのいずれとも異なるバラ科キイチゴ族の甜葉懸鈎子という植物である。

 この正式名称は日中共同の「日本と中国南部の常緑広葉樹林構成植物の化学分類学的細胞分類学的比較研究(1994年)」において確定された。

 甜葉懸鈎子は、葉柄に刺を持つ高さ2~3mの潅木で中国南西部の広西壮族自治区の山岳地にのみ産し、特に瑤族の人々に愛され、桂林では開胃茶とも呼ばれて食欲増進、去痰、咳止め、解熱に効くとされてきたもので、「中国本草図録」、「広西薬用植物名録」などにその記載がある。

 わが国への招来当初は”肥満しない甘味料”として、砂糖の75倍にもなる甘み成分(本来の化学名はルブソシド)が注目され、酵素反応によりさらに味質と甘味度を改良する方法が研究される一方、日常的な新しい健康茶としての飲み方の工夫やエキス化も実現したが、開発の過程で抗炎症作用、抗アレルギー効果、ミネラルバランスの良さ(ナトリウムに比してカリウムが圧倒的に多く、カルシウム、マグネシウムの含有量が多い)などが次々に見つかった。

 すでに多くの基礎研究、臨床試験が報告されているが、目覚しいものとして抗炎症、抗アレルギー効果があげられよう。くしゃみ・鼻水・鼻づまり、嗅覚障害、目のかゆみや涙目などで毎シーズン話題を呼ぶ花粉症もそのひとつであるが、三重大学医学部の鵜飼幸太郎らは喉の異常を含めたこれら諸症状に通念的に苦しんでいる患者を対象に、甜茶エキス飴(1粒に40mg、1日3粒)を投与して、4週間の全般改善では著名改善を含む中等以上の改善47.6%、軽度以上の改善76.2%という好結果を得ている。投与全平均1日5.3回だったくしゃみ発作回数が、2週間後4.1回、4週間後3.3回になったという数字は、患者にとって福音であろう。

 アレルギー反応は、体内の肥満細胞(マスト細胞)から分泌されるヒスタミンが引き金となるI型アレルギーの例が多いが、このことを逆に利用して甜茶の活性成分(ヒスタミンの分泌抑制成分)がGOD型エラジタンニンのポリマーであることも明らかにされた。

 そのほか、難治性の湿疹やアトピー性皮膚炎などへの効用(起炎物質の生成抑制)や、ダイエットに冠してデンプンの消化酵素であるα-アミラーゼの働きを阻害したり、脂肪分解酵素リパーゼの働きを阻害することで肥満を防ぐ作用のあること、あるいは歯周病の原因菌が歯に付着するのを強くブロックする(歯周病や口臭を防ぐ)作用なども報告され、広範な需要に応えてそれらの働きを相乗的に高める食材をブレンドした製品も市場に出ている。

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月曜日, 12月 19, 2005

コンドロイチン硫酸について

○コンドロイチン硫酸

 動物の細胞、線維、組織、器官の間を結び付けて、それらの支持、保護、栄養補給の役目をする組織を結合組織といい、その主要成分はムコ多糖体と呼ばれる粘性物質(ネバネバ成分)であるが、コンドロイチン硫酸はその重要な構成成分のひとつで、骨の形成、傷の治癒、感染防止(免疫体の産生)などの生理作用を持つ物質である。

 19世紀半ばに動物の軟骨の研究から発見された物質にコンドロイチン(軟骨という意味のギリシャ)という名が与えられたあと、ようやく1946年になってその化学構造が決定されたが、その薬理作用については早くから注目が集まり、すでに1936年には偏頭痛、抗潰瘍の薬剤として臨床実験が行われたという古い歴史を持っている。

 コンドロイチン硫酸は、体内ではタンパク質と結びついたコンドロムコ蛋白という形で、主に皮膚、血管壁、軟骨、人体、関節、眼球、角膜、粘液、各臓器などに分布して、後述のような様々な働きをする。しかし、若い成長期には体内でも生合成されるのであるが、加齢とともに産生されなくなり、欠乏症を招いたり、例えば皮膚の保水性や潤滑性が失われて老人性の皺やカサカサ肌の原因となったりするので、どうしても外部から補給しなくてはならないのである。

 コンドロイチン硫酸の体内における生理作用としては、①線維(コラーゲン、エラスチン)や細胞群とともに結合組織を構成し、体細胞が正常に生存できる基盤となる、②組織に保水性、潤滑性、弾力性を与え、栄養分の消化吸収・運搬・新陳代謝を促進する、③カルシウムの代謝に深く関与して、骨の成長、骨折の回復、骨粗しょう症の防止する、④傷ついた皮膚や組織の参照を補修する、⑤血液中のコレステロールや過酸化脂質を除去し(脂血清澄作用)、動脈硬化や高血圧を予防する、⑥関節軟骨の成分の27~43%も占めて、関節・靭帯・腱の弾力性、円滑性を保つ、⑦皮膚のみずみずしさ、若々しさを向上させる、⑧目の角膜や水晶体の透明性や弾力性を保持する、⑨細胞の増殖を促進し、精子を増殖する(造精作用)、などがあげられ、こうした作用が実証されていく過程で、コンドロイチン硫酸は動脈硬化、解毒、代謝異常、腎疾患、難聴、炎症などへの薬理効果が次々に明らかにされ、わが国でもすでに腎炎、ネフローゼ、リウマチ、神経痛、腰痛、五十肩、肩こり、夜尿症、眼疾患、脱毛症などを適応症とする医薬品に用いられている。

 一般の食物として植物性、動物性を問わずネバネバしたもの、例えば納豆、山芋、オクラ、なめこ、海草、フカひれ、ツバメの巣、スッポンなどに若干含まれており、植物性よりも動物性のほうが体内の効率は高いのであるが、いずれにせよ含有量がそれほど多いわけではない。そこでこの優れた機能性を誰もが日常的に享受して、老化防止や健康の維持回復を図りやすくした健康食品も各種開発されており、原料にはサメの軟骨、牛の軟骨が用いられている。

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日曜日, 12月 18, 2005

エキナセアについて

○エキナセア

 エキナセア(エキナケア、エヒナセアとも呼ばれる)は、北アメリカ平原一帯に分布するキク科の多年草植物で、和名をムラサキバレンギクという。夏から秋にかけて紫色の美しい花を咲かせ、観賞用ハーブとしても人気が高い。

 ネイティブ・アメリカンの間では古くから薬草としてつかられてきた歴史があり、根の部分を噛んで風邪の予防や歯痛・喉の痛みを治したり、石ですりつぶして液上にしたものを傷・火傷の外用薬として用いてきた。19世紀末になって、その薬効は医療関係者にも広く知られるようになり、20世紀初頭にはアメリカの医者が最も良く購入する薬草にまでなった。

 エキナセアはヨーロッパで知られるようになったのは1895年頃で、ドイツの科学者が自国へ持ち帰り、ヨーロッパでの栽培が始まってからである。その後、ミュンヘン大学などが中心になって臨床研究を実施、経験的に知られていた風邪やインフルエンザなど感染症の予防と治療、抗菌性などから、気管支炎、尿路感染症、疝痛、浮腫、鼻粘膜の乾燥、アレルギーなどに対する作用、免疫力賦活作用、抗バクテリア、抗ウイルス作用(抗生物質作用)、抗炎症作用などが認知された。

 含有成分の分析も早くから行われており、今日では、エキナセアの有効成分としてシコリック酸(多糖類)、アルカミド(ドデカ四酸イソブチルアミド)、ポリサッカロイド、フラボノイド、グリコプロティン、コーヒー酸などが同定されている。特に免疫促進作剤としての可能性に焦点を当てた成分研究では、ミュンヘン大学薬学部のH・ワグナーらによって、エキナセアに含まれるフコガラクトキシログルカンと酸性アラビノガラクタンの2の多糖が、好中球やマクロファージなどの免疫細胞を活性化させ、免疫応答物質として知られるインターロイキンなどの産生を促進することが報告されている。

 現在、エキナセアはドイツで最も人気のあるメディカルハーブとして、280種類を超える関連製品が作られている。ドイツではハーブから抽出した成分が規格に定める量含まれる製品をフィト(植物性)医薬品と呼び、適応症に対する効能が認められているが、エキナセアのエキスやチンキ製剤は風邪やインフルエンザ、感染症の緩和と予防に、また、細胞の免疫力を促進し安定させる非特異的免疫作用促進剤として感染症の治療にも使われている。エキナセアの軟膏は、傷やただれ、湿疹や火傷、日焼けなど炎症性の皮膚疾患に良く使われている。

 エキナセアは原産国アメリカでの人気も高く、ハーブ市場では風邪予防や免疫力向上に有効なハーブとして売り上げトップの位置を維持している。最近は、わが国でもメディカルハーブとしての地歩を固めてきており、1997年にはH・ワグナーが来日し、日本薬学会で特別講演を行っている。

 フィト医薬品は品種やエキスの抽出法によって効果が大きく異なるため、ドイツでは成分含有量の厳格な規格化が行われているが、エキナセアについても1990年代に規格化の検討が開始され、97年には一連の検討結果が公表されている。

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土曜日, 12月 17, 2005

サジー(沙棘)について

○サジー(沙棘)

 サジーはナワシログミ科の多年草植物で、ユーラシア大陸全域、とくに中国黄河流域を中心に自生分布している。自然条件の厳しい乾燥した寒い山間部で育つことから、その強い生命力と、豊富に含まれる薬理成分によって、中国では珍しい果実、中国国宝とまで言われ、高い評価を得ている薬用植物である。サジーはまた、土壌流失の防止、自然環境の保全にも有効であることから、特に中国内陸山間部の経済発展を促進する重要な植物として期待されている。

 サジーの薬用植物としての評価は古く、唐の時代に編集された「月王薬珍」「四部医典」、清の時代の「晶珠本草」などの古典医学書に医薬用途が記載されている。1977年に中国衛生部が中国薬典に、サジーを薬と食物の両用品目として正式記載している。また、旧ソ連でも早くからサジーの薬理研究に取り組み、数多くの基礎研究と臨床実験を通じて、サジーの果実やサジー油の活性成分は160~190種類あることを見出し、いち早くサジーを正式な医薬品として認め、宇宙事業の医学部門においては宇宙飛行士の保険薬品にも指定している。

 60年代から始まった中国におけるサジーの薬理研究によると、サジーは果汁、果実油、種子油、葉など各部位に有効成分が含まれるが、果汁のビタミンC含有量は他の果物の含有量を全て上回っているという。また、種子油、果実油はビタミンEとβ-カロチンの含有量が高く、他に必須アミノ酸を始め、カルシウム、鉄、カリウム、亜鉛、セレンなどの微量元素やクマリン、ヒロカテコール、グリシン、ペタイン、5-オキシトリプタミンといった抗酸化物質や生理活性成分が含まれている。

 サジーの薬理効果として現在までに明らかにされているのは、①循環器疾患に対する効果、②虚血性脳血管障害に対する効果、③新陳代謝及び自己免疫系統に対する効果、④腫瘍・ガンに対する効果、⑤呼吸器疾患に対する効果、⑥消化器疾患に対する効果、⑦肝臓の保護作用、⑧各種炎症・皮膚再生効果、⑨脳代謝改善作用、⑩老化防止作用などである。

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金曜日, 12月 16, 2005

三七(田七)人参について

○三七(田七)人参

 三七人参は中国南西部(雲南省・四川省・広西省)を原産とするウコギ科の多年草で、別名を田七人参、特に三七、参三七、田三七などとも呼ばれる。和名は人参三七。

 珍しいこの三七の名称は、根が生薬とするに必要な大きさに育つのに3~7年かかるからともいわれるが、茎から伸びた3本の枝の先にそれぞれ7枚の葉からつくからともいわれる。同じウコギ科に、北方に産する高麗人参があるが、三七人参は生薬としてまさしくその対抗馬のような存在といえよう。

 三七人参は、古くから雲南地方では金不換(金で買えないもの)といわれるほど、数多い生薬の中でも最高級の秘薬としてされてきた。古くから止血作用がよく知られ、本草綱目では戦場での金瘡(切り傷)の要薬としての卓効があるとして、漆のように傷口をしっかり防ぐのでヤマウルシとも記されている。本草綱目拾遺(趙学敏著)は、高麗人参が補気第一であるのに対し、三七人参は補血第一と述べ、精がつくというよりもむしろ力が溢れるように働く三七人参の特徴を指摘している。

 一般的には滋養強壮、疲労回復、血圧調整、狭心症、脳出血、自律神経失調症、減肥、美肌効果などが広く知られているが、独自のフードダイナミックス理論による医療を行っている医学博士・重野哲寛の臨床研究によると、三七人参は低血圧の無気力状態から脱出できる一方、高血圧の血圧降下作用を併せ持ち、また慢性肝炎や肝硬変ではGTO、GPT値が低下、慢性肝炎では尿の潜血反応が陰性になるなどの効果があるとしている。横田直美による「インターフェロンが適応しなかった慢性C型肝炎の改善例」報告(日本東洋医学会、1995年)も、三七人参の新局面を示唆している。

 また、高麗人参よりも含有量が数倍多く7~12%も含まれる人参サポニンは、血中コレステロールの低下、活性酸素による過酸化脂質生成の抑制、痩身効果などのほか、免疫力増強、核酸の合成促進、血糖値の改善、中枢神経の鎮静などの薬理作用が明らかにされており、サポニンが他の有効成分と相乗的に働いて、ガンやアレルギーあるいはリウマチなど、免疫に関わる異常に対し有効に働くとする研究発表も多い。

 抗ガン性に関する研究では、京都薬科大学の木島孝夫が行ったマウスを使った実験がよく知られている(1992年、日本癌学会総会で発表)。それによると、背中に皮膚ガンの発ガン物質を塗ったマウスと、発ガン物質を塗った後に三七人参のエキスを塗ったマウスの腫瘍発生を比べたところ、三七人参エキスを塗ったマウスは発ガンが30%に抑制された。この実験は肝臓ガンと肺ガンについても行われたが、どちらも発ガンが抑えられた。これは、人参サポニンが免疫力の増強に働いていること、また、三七人参に含まれる有機ゲルマニウムが体内のウイルス感染を防ぐ、インターフェロンを誘発させ、これらが相乗的に作用しているからではないかとしている。

 三七人参の抗ガン作用に関する研究は京都薬科大学のほか、静岡薬科大学、昭和大学などでも進められている。

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木曜日, 12月 15, 2005

食物繊維(ダイエタリーファイバー)について

○食物繊維(ダイエタリーファイバー)

 植物は炭酸ガスと水から光合成によって炭水化物(炭素・酸素・水素の化合物である単糖類や多糖類)を作り、動物はそれを摂取して栄養とするが、その場合、それらを消化できる消化酵素がなければ、糖質の分子が大きすぎて腸管から吸収することができず、栄養として役立てることができない。したがって、草食動物ならそれを消化吸収できる植物の硬い繊維質(粗組織)を、人間は利用できない無用の残りかすとして、栄養価のない、便量を増やすくらいの働きしかないものと見なして来たのが従来の古典的な栄養学であった。

 しかし近年、これら難消化性の繊維質が、全く別の積極的な役割を持つことが順次明らかにされて注目を集めるようになったばかりか、それらを含めて食物繊維(ダイエタリーファイバー)を新たに栄養素のひとつに加えようという考え方が主流になってきている。

 また日本では「五訂日本食品標準成分表」において(現在は六訂)、従来は単に炭水化物のうちの繊維としていたものを食物繊維として独立させ、その総量、水溶性、不溶性を食物ごとに明示することになった。

 そして「食物繊維は人の消化酵素では消化されない、食品中の難消化成分」とし、主要成分は炭水化物(一部はキチンのような非炭水化物も含まれる)であり、その性質から植物ガム、粘質物(マンナン)、海藻多糖類・ペクチン・ヘミセルロースの一部などの水溶性食物繊維と、同じく海藻多糖類・ペクチン・ヘミセルロースの一部、セルロース、リグニン、キチンなどの不溶性食物繊維とに区分した。

 このように食物繊維の働きが世界的に注目されるようになったのは、医学上の統計的研究によるところが大きく、そのひとつに欧米諸国とアフリカ原住民とを比較した英国医師バーキットの研究(1971年)がよく知られている。

 それによれば、いわゆる文明国では、心臓病、糖尿病、脳卒中、ガンなどの病気が大幅に増えてきているのに比べて、アフリカ原住民には糖尿病、動脈硬化、大腸炎、虫垂炎、大腸ガン、結腸ガンなどか少なく、さらに、同じ種族であって、欧米式の食生活をしている住民にはそれらの病気が多かった。

 この結果の背後にある要因として、アフリカ原住民のカロリー源には穀類や野菜など炭水化物が多く、そのため繊維質(粗組織)の摂取量が多いのに対し、欧米人は肉食中心で、またパン類の原料も繊維質を除いた精白小麦粉であるから、食事全体を比べると両者の繊維質の摂取量は極端に違うという事実がクローズアップされたのである。

 こうした先駆的研究を追う形で、それまで栄養にならない不要の成分と見られてきた食品中の繊維質(粗組織)に関する研究が急テンポで進み、初期の研究としては、例えば動物実験で高コレステロール食に繊維質(いずれか一種)を加えて飼育すると、加えないグループよりコレステロール値は著しく低く、肝機能も正常で、特にペクチン、こんにゃくマンナンに効果があったとするものや、あるいは多量の亜鉛や砒素、有害食品添加物である赤色2号を食餌に混入しても、同時に大根、人参、ゴボウ、タケノコなど粗繊維の多い食物を与えたラットは正常や成長過程をたどることを見出した実験なども報告されている。

 このような初歩的実験が近年行われたことからもわかるように、食物繊維に関する認識は遅れをとっていたのであるが、その後急速にその機能性が解明されて、コレステロールの吸収抑制、摂取ナトリウムの対外排泄、糖質の消化吸収抑制、腸内有用菌の増殖効果、便秘の改善、血圧の正常化、美肌、虫歯予防、大腸ガンや憩室症の予防効果などが報告されている。

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水曜日, 12月 14, 2005

シルク(絹)について

○シルク(絹)

 シルク(絹)が優れた天然素材であることはことを俟たないが、本来の繊維としての需要は、このところ他の素材に追われて低迷を続けてきた。しかし、あまりにも伝統的に完璧な繊維素材であったために、タンパク質の宝庫であることは分かりながら、絹を繊維以外の分野で新たに復活させようという発想は、なかなか生まれるものではなかった。この壁をクリアして、絹の機能性食品化に道を開いたのは平林潔(信州大学教授)らである。

 蚕が作る絹糸は、二条の絹フィブロン(絹糸フィブロイン)という水溶性の繊維タンパク質を、セリシンという水溶性のタンパク質が被覆する形をとっている。全体の80%を占めるこの絹フィブロンは、分子量が30万以上もある高分子であるため、食べても消化吸収することはできない。しかし、希薄な炭酸水素ナトリウム溶液で外側のセリシンを取り除いたあと、アクチナーゼなどの酵素、もしくは塩化カルシウム、酸による加水分解などを行うことによって、絹フィブロインは飛躍的に分子量の小さいアミノ酸やオリゴペプチド(10個未満程度のアミノ酸が連なった比較的小さいタンパク質)にまで分解され、爽やかな甘みを有する水溶液、または粉末が得られる。これによって消化率は90%台にまで向上するため、機能性成分としての食効が期待されるのである。

 絹フィブロインは、バリン、フェニルアラニン、スレオニン、イソロイシン、ロイシン、リジン、トリプトファン、メチオニンという必須アミノ酸(重量比合計7.7%)のほか、グリシンの重量比35.5%を筆頭に、アラニン、セリン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、シスチン、ブロリン、ヒスチジンなど計18種のアミノ酸からなるが、食べるシルクはこれら貴重なアミノ酸の集合体ということになる。

 従来のアミノ酸研究によって、例えばアラニンのアルコール代謝促進(悪酔いの防止効果)、グリシンやセリンの血中コレステロール低下、チロシンの痴呆症予防効果などが報告されているが、平林らは水溶性シルク粉末を用いたラットの実験によって、いずれの効果も確認している。

 とりわけ注目すべきは、生活習慣病の中でも圧倒的に患者または予備軍の多い糖尿病に対し、シルク粉末投与が血中のインスリン濃度をほぼ倍増させる(例えば5.33mg/kg→11.43mg/kg)ことが実証されたことであろう。これは絹ペプチドのアミノ酸構造が、細胞壁のインスリンレセプターの構造に似ているため、速やかに吸収され、その活性を高めるためと考えられている。

 また、アトピー性皮膚炎への効果は、シルク粉末の主要な機能成分であるオリゴペプチドが、過敏な自己免疫作用を抑制するためと見られる。さらに、痴呆症の予防効果は、ドーパミンなど脳内伝達物質の調整作用によると考えられている。いずれの働きも現代人特有の肉体的悩みを癒す働きを持つものであり、繊維の王者・絹にふさわしい見事な復活として歓迎されることであろう。

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火曜日, 12月 13, 2005

姫マツタケ(アガリクス・ブラゼイ・ムリル)について

○姫マツタケ(アガリクス・ブラゼイ・ムリル)

 今でこそアガリクスという名称が一般的になっているが、日本では姫マツタケとして世に出ており、抗ガン効果に優れた薬用キノコとして早くから地歩を固めてきた。特に日本癌学会総会などで発表された一連の研究成果のほとんどは姫マツタケによるものである。

 姫マツタケ(学名=アガリクス・ブラゼイ・ムリル)は、担子菌類ハラタケ化に属するキノコで、カワリハラタケの別名もあるが、学名に即して最近はアガリクス・ブラゼイとも呼ばれている。わが国への招来は、ブラジル在住の古本隆寿が岩出菌学研究所に送った1965年が最初である。同研究所ではそれ以来、食品化や薬効への期待をこめて研究を続け、ほぼ10年後に人工栽培法を開発、活性の高い菌株の作出にも成功し、その薬効成分や機能性に関する研究成果が広く発表されるようになった。その過程で確定した和名姫マツタケの名は、姿と形がマツタケに似ていることに由来する。

 姫マツタケの含有成分を乾物で見ると、他のキノコに比べて粗タンパク質(各種アミノ酸を含む)が43%と多く、粗脂肪はほぼ4%と平均的である。ビタミン・ミネラル類も比較的多く含まれ、中でもビタミンB2やD、マグネシウムやカリウムなどが多いといった特徴があるが、現在は食用としてではなく専ら食薬キノコ、機能性食品として広く用いられている。

 姫マツタケへの強い関心を集める契機となって歴史的な学術発表は、1980年の抗腫瘍多糖体によるC3とマクロファージの関連について(第53回日本細菌学会総会)及びその翌年のアガリクス抽出マンナン画分の抗腫瘍性と生物活性(第53回日本薬理学会総会)である。以後、姫マツタケの抗ガン作用について精力的に動物実験を行い、その成果を多くの学会や学会誌、専門誌に発表するとともに、固形ガンのみならず腹水ガン、化学発ガンに対しても優れた制ガン作用を示すことを日本癌学会でも数次にわたり報告、そられ先端的研究を通じて薬用キノコへの一般の評価も高めてきた。

 姫マツタケの制ガン物質の中心は①子実体から精製した多糖であるが、ほかに、②培養した菌糸体から抽出したタンパク多糖、③菌糸の培養濾液から採取した多糖、という3種類のものが用いられるようになってきており、ザルコーマ180固形ガン移植マウスによる近年の実験では①を10mg/kg投与で腫瘍抑制率100%、②を20mg/kg投与で同98.2%、③を20mg/kg投与で同99.3%(いずれも10日連続投与)というように、いずれも非常に高い制ガン作用を示すことが判明している。

 これまでの研究によって、抗ガン作用に止まらず、脱コレステロール作用、四塩化炭素誘発肝障害抑制作用、血清脂質低下作用、インターフェロン誘発作用なども明らかにされてきているが、中国では王軍志、蘭州医学院の王鏡らによるガン患者への臨床応用も行われ、その有効性が裏付けられる段階を向かえている。

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