○石榴皮(せきりゅうひ)
小アジア地方を原産とするザクロ科の落葉高木ザクロ(Punica granatum)の果皮または根皮を用いる。ザクロは漢代に張塞が安石国から中国に種を持ち帰ったもので安石榴と呼ばれた。日本には平安時代以前に渡来している。
石榴には種子が多いため、古代ヨーロッパでは豊穣のシンボルとして、中国では子孫繁栄の象徴として考えられていた。平安朝のころザクロの種子や果汁は有機酸を多く含むため、銅鏡を磨くのに用いられた。日本で一般に石榴皮といえば根皮のことであるが、中国では果皮すわなち石榴果皮のことである。ただし、近年では日本の市場に石榴根皮はみられなくなった。
樹皮にはアルカロイドのペレチエリンやイソペレチエリン、タンニンが含まれ、イソペレチエリンには条虫を麻痺させる作用がある。イギリスやドイツでは条虫駆除に用いられていた。樹皮には毒性があり、普通量でもめまいや震えなど副作用がみられるため、最近は使用されない。果皮にはガラナチンなどのタンニンが多く含まれる。いずれも駆虫・止瀉の効能があり、とくに細菌性、アメーバ性腸炎の下痢や条虫などの寄生虫症に用いる。
駆虫作用は根のほうが強いが、下痢症状には専ら果皮が用いられる。虫下しには苦楝皮と配合する(石榴根湯)。また果皮には止血・止痒作用もあり、性器出血や帯下、脱肛にも用いる。民間療法では口内炎や扁桃炎、歯痛などに果皮の煎液でうがいをする。
近年、ザクロに女性ホルモン様作用があることで話題になった。事実、ザクロの種子にはヒトのエストロゲンと同じ構造を有するエストロンとエストラジオールが含まれていることが報告されている。しかし、2000年4月、ザクロ果汁に女性ホルモン物質は検出されなかったことが国民生活センターによって発表され、ザクロブームは下火になった。なお番石榴とはグァバのことである。
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金曜日, 8月 09, 2013
水曜日, 8月 07, 2013
菥蓂
○菥蓂(せきめい)
ヨーロッパ原産とされ、日本をはじめ世界各地に分布するアブラナ科の越年草グンバイナズナ(Thlaspi arvense)の全草を用いる。種子は菥蓂子という。神農本草経の上品に収載されているが、現在ではあまり用いられていない。
中国の市場ではグンバイナズナの果実のついた全草が敗醤として扱われていることもある。ちなみに敗醤はオミナエシ科のオトコエシやオミナエシを正条品としている。グンバイナズナはナズナより少し大きく、その名は果実の形が軍配の形に似ていることに由来する。
全草や種子にはシニグリンが含まれ、シニグリンは酵素によって加水分解されると刺激性の強いアリルイソチオシアネートとなり、強い殺菌作用を有する。また尿酸の排泄を促進する効果もある。
菥蓂は腎炎や子宮内膜炎、痛風などに有効である。また種子の菥蓂子は目の痛みや流涙症に用いる。菥蓂を細かな粉末にして点眼するという方法もある。
ヨーロッパ原産とされ、日本をはじめ世界各地に分布するアブラナ科の越年草グンバイナズナ(Thlaspi arvense)の全草を用いる。種子は菥蓂子という。神農本草経の上品に収載されているが、現在ではあまり用いられていない。
中国の市場ではグンバイナズナの果実のついた全草が敗醤として扱われていることもある。ちなみに敗醤はオミナエシ科のオトコエシやオミナエシを正条品としている。グンバイナズナはナズナより少し大きく、その名は果実の形が軍配の形に似ていることに由来する。
全草や種子にはシニグリンが含まれ、シニグリンは酵素によって加水分解されると刺激性の強いアリルイソチオシアネートとなり、強い殺菌作用を有する。また尿酸の排泄を促進する効果もある。
菥蓂は腎炎や子宮内膜炎、痛風などに有効である。また種子の菥蓂子は目の痛みや流涙症に用いる。菥蓂を細かな粉末にして点眼するという方法もある。
月曜日, 8月 05, 2013
浙貝母
○浙貝母(せきばいも)
中国原産で日本でも切り花や鉢植えに栽培されているユリ科の多年草アミガサユリ(Fritillaria verticillata)の鱗茎を用いる。日本ではこれを単に貝母というが、中国では川貝母と区別して浙貝母という。
中国の浙江省象山県が原産とされているため浙貝母あるいは象貝母と呼ばれる。18世紀の初めに日本に渡来し、今日でも奈良や兵庫で栽培され、奈良県産のものは大和貝母と称されている。これまで日本の国内需要を上回る生産高があり、輸出もされていたが、近年では円高のため輸出できなくなった。
アミガサユリの鱗茎にはペイミン、ペイミニン、ペイミジン、ペイミノシド、フリチリンなどのアルカロイド類やジテルペン類などが含まれている。ペイミンはペイミノシドには顕著な鎮咳作用や降圧作用が認められている。また貝母のメタノール画分には冠血管拡張作用や強心作用、抗セロトニン、抗コリン作用がある。ただし多量に用いる毒性が現れるので注意が必要である。
漢方では清熱・化瘀・散結・解毒の効能があり、咳嗽、肺癰、腫れ物などに用いる。止咳・化痰薬として呼吸器疾患にみられる咳嗽や喀痰、とくに黄色い粘稠痰のときに用いる。また頸部リンパ腺結核やリンパ腺炎、乳腺炎などの化膿症にも用いる。
中国原産で日本でも切り花や鉢植えに栽培されているユリ科の多年草アミガサユリ(Fritillaria verticillata)の鱗茎を用いる。日本ではこれを単に貝母というが、中国では川貝母と区別して浙貝母という。
中国の浙江省象山県が原産とされているため浙貝母あるいは象貝母と呼ばれる。18世紀の初めに日本に渡来し、今日でも奈良や兵庫で栽培され、奈良県産のものは大和貝母と称されている。これまで日本の国内需要を上回る生産高があり、輸出もされていたが、近年では円高のため輸出できなくなった。
アミガサユリの鱗茎にはペイミン、ペイミニン、ペイミジン、ペイミノシド、フリチリンなどのアルカロイド類やジテルペン類などが含まれている。ペイミンはペイミノシドには顕著な鎮咳作用や降圧作用が認められている。また貝母のメタノール画分には冠血管拡張作用や強心作用、抗セロトニン、抗コリン作用がある。ただし多量に用いる毒性が現れるので注意が必要である。
漢方では清熱・化瘀・散結・解毒の効能があり、咳嗽、肺癰、腫れ物などに用いる。止咳・化痰薬として呼吸器疾患にみられる咳嗽や喀痰、とくに黄色い粘稠痰のときに用いる。また頸部リンパ腺結核やリンパ腺炎、乳腺炎などの化膿症にも用いる。
金曜日, 8月 02, 2013
石南葉
○石南葉(せきなんよう)
日本の東北地方よりも南の地方に自生しているツツジ科の常緑低木シャクナゲの葉を用いる。日本では通常、アズマシャクナゲ(Rhododemdron degronianum)、ホンシャクナゲ(R.var.hondoense)、ツクシシャクナゲ(R.subsp.heptamerum)をシャクナゲと呼んでいる。
ツツジとは近縁植物であるが、一般にツツジは落葉樹であるのに対し、シャクナゲは常緑樹である。ところで日本では石楠あるいは石南花と書いて「しゃくなげ」と読むが、これは中国語の石楠、つまりバラ科のオオカナメモチ(Photinia serrulata)の誤用である。日本の民間ではシャクナゲの葉を石南葉というが、中国では石楠葉といえばオオカナメモチの葉のことである。
シャクナゲの葉にはジテルペン化合物のグラヤノトキシンⅠやロドデンドリンなどが含まれる。グラヤノトキシンⅠは痙攣性の有毒物質で、中毒量では嘔吐、痙攣、麻痺を生じ、昏睡から死に至ることもある。
日本漢方では強壮・鎮痛の効能をいうが、これは中国の石楠葉の誤解という説もある。日本の民間では利尿薬として浮腫やリウマチ、痛風の治療に茶として用いている。オオカナメモチの葉(石楠葉)にき去風湿・止痛・強筋骨の効能があり、リウマチ、頭痛、下肢の痙攣や足の萎弱に用いる。
日本の東北地方よりも南の地方に自生しているツツジ科の常緑低木シャクナゲの葉を用いる。日本では通常、アズマシャクナゲ(Rhododemdron degronianum)、ホンシャクナゲ(R.var.hondoense)、ツクシシャクナゲ(R.subsp.heptamerum)をシャクナゲと呼んでいる。
ツツジとは近縁植物であるが、一般にツツジは落葉樹であるのに対し、シャクナゲは常緑樹である。ところで日本では石楠あるいは石南花と書いて「しゃくなげ」と読むが、これは中国語の石楠、つまりバラ科のオオカナメモチ(Photinia serrulata)の誤用である。日本の民間ではシャクナゲの葉を石南葉というが、中国では石楠葉といえばオオカナメモチの葉のことである。
シャクナゲの葉にはジテルペン化合物のグラヤノトキシンⅠやロドデンドリンなどが含まれる。グラヤノトキシンⅠは痙攣性の有毒物質で、中毒量では嘔吐、痙攣、麻痺を生じ、昏睡から死に至ることもある。
日本漢方では強壮・鎮痛の効能をいうが、これは中国の石楠葉の誤解という説もある。日本の民間では利尿薬として浮腫やリウマチ、痛風の治療に茶として用いている。オオカナメモチの葉(石楠葉)にき去風湿・止痛・強筋骨の効能があり、リウマチ、頭痛、下肢の痙攣や足の萎弱に用いる。
木曜日, 8月 01, 2013
石菖蒲
○石菖蒲(せきしょうぶ)
日本の各地や中国、ヒマラヤなどに分布し、おもに山間の渓流沿いに生えるサトイモ科の多年草セキショウ(Acorus gramibeus)の根茎を用いる。同じサトイモ科でよく似た植物にショウブ(A.calamus)があり、生薬名を水菖蒲という。
日本で菖蒲湯や菖蒲根として利用されているのは、おもにショウブである。ちなみに中国で菖蒲といえばセキショウ(石菖蒲)のことであるが、岩場に生えていることから石菖蒲と呼ばれることが多い。
古来より「一寸九節のものがよい」といわれるように、根に多くの節のあるものが好まれ九節菖蒲という別名もある。ただし、今日の市場で九節菖蒲というのはキンポウゲ科のキクザキイチリンソウ(Anemone altaica)の根茎のことであり、全く別の生薬である。
セキショウの前走には精油が含まれ、芳香がある。精油成分にはアサロンやカリオフィレン、フムレン、セキショーンなどが含まれ、鎮静、健胃作用などが認められている。漢方では芳香性開竅薬に分類され、開竅・鎮静・健胃・解毒の効能があり、高熱時の意識障害や小児のひきつけ、癲癇、精神不安、健忘、耳鳴、耳聾などに用いるほか、腹痛や下痢、食欲不振、腫れ物、打撲傷などにも用いる。
脳卒中などによる言語障害や顔面麻痺などには全蝎・附子などと配合する(神仙解語湯)。精神的なうつや興奮、眩暈には半夏・遠志などと配合する(清心温胆湯)。耳鳴りや耳聾、眩暈などには山梔子・羚羊角などと配合する(耳聾丸)。
日本の各地や中国、ヒマラヤなどに分布し、おもに山間の渓流沿いに生えるサトイモ科の多年草セキショウ(Acorus gramibeus)の根茎を用いる。同じサトイモ科でよく似た植物にショウブ(A.calamus)があり、生薬名を水菖蒲という。
日本で菖蒲湯や菖蒲根として利用されているのは、おもにショウブである。ちなみに中国で菖蒲といえばセキショウ(石菖蒲)のことであるが、岩場に生えていることから石菖蒲と呼ばれることが多い。
古来より「一寸九節のものがよい」といわれるように、根に多くの節のあるものが好まれ九節菖蒲という別名もある。ただし、今日の市場で九節菖蒲というのはキンポウゲ科のキクザキイチリンソウ(Anemone altaica)の根茎のことであり、全く別の生薬である。
セキショウの前走には精油が含まれ、芳香がある。精油成分にはアサロンやカリオフィレン、フムレン、セキショーンなどが含まれ、鎮静、健胃作用などが認められている。漢方では芳香性開竅薬に分類され、開竅・鎮静・健胃・解毒の効能があり、高熱時の意識障害や小児のひきつけ、癲癇、精神不安、健忘、耳鳴、耳聾などに用いるほか、腹痛や下痢、食欲不振、腫れ物、打撲傷などにも用いる。
脳卒中などによる言語障害や顔面麻痺などには全蝎・附子などと配合する(神仙解語湯)。精神的なうつや興奮、眩暈には半夏・遠志などと配合する(清心温胆湯)。耳鳴りや耳聾、眩暈などには山梔子・羚羊角などと配合する(耳聾丸)。
水曜日, 7月 31, 2013
赤小豆
○赤小豆(せきしょうず)
中国南部原産のマメ科の一年草アズキ(Phaseplus angularis)やツルアズキ(P.calcaratus)の成熟した種子を用いる。ツルアズキはアズキに似ているがつるがあり、インドや東アジアで栽培されている。
アズキは古くから食用としてアジアを中心に栽培されているが、日本での栽培量が最も多い。アズキは世界中で日本人だけに好まれる特異な存在で、アズキを米とともに炊いて赤飯や小豆粥にしたり、餡にして和菓子の原料として広く利用している。
アズキの成分にはフラボン配糖体のロビニンや結晶性サポニンなどが含まれている。漢方では清熱燥湿・利水消腫の効能があり、腎炎や脚気、栄養障害にみられる浮腫、下痢、下血、黄疸、癰腫に用いる。
脚気や肝硬変の腹水、腎炎による浮腫には赤小豆と鯉魚を一緒に煮込んで服用する(赤小豆鯉魚湯)。黄疸や浮腫、蕁麻疹などに麻黄・連軺などと配合する(麻黄連軺赤小豆湯)。民間療法でも水だけで煮たあずき粥を脚気の浮腫や母乳の出が悪いとき、便秘や二日酔いに用いている。
中国南部原産のマメ科の一年草アズキ(Phaseplus angularis)やツルアズキ(P.calcaratus)の成熟した種子を用いる。ツルアズキはアズキに似ているがつるがあり、インドや東アジアで栽培されている。
アズキは古くから食用としてアジアを中心に栽培されているが、日本での栽培量が最も多い。アズキは世界中で日本人だけに好まれる特異な存在で、アズキを米とともに炊いて赤飯や小豆粥にしたり、餡にして和菓子の原料として広く利用している。
アズキの成分にはフラボン配糖体のロビニンや結晶性サポニンなどが含まれている。漢方では清熱燥湿・利水消腫の効能があり、腎炎や脚気、栄養障害にみられる浮腫、下痢、下血、黄疸、癰腫に用いる。
脚気や肝硬変の腹水、腎炎による浮腫には赤小豆と鯉魚を一緒に煮込んで服用する(赤小豆鯉魚湯)。黄疸や浮腫、蕁麻疹などに麻黄・連軺などと配合する(麻黄連軺赤小豆湯)。民間療法でも水だけで煮たあずき粥を脚気の浮腫や母乳の出が悪いとき、便秘や二日酔いに用いている。
火曜日, 7月 30, 2013
石松子
○石松子(せきしょうし)
日本、北半球の温帯・暖帯に広く分布する常緑シダ植物ヒカゲノカズラ科のヒカゲノカズラ(Lycopodium clavatum)の胞子を用いる。全草は石松あるいは伸筋草という生薬名で呼ばれる。
ヒカゲノカズラは産地の林緑などの日当たりのよいところに自生し、太い針金状の茎が長く地上を這う。この茎葉は花束や花輪などの装飾用に用いられている。胞子は微細なさらさらとした淡黄色の粉末で、吸湿性がない。このため線香花火に混ぜたり、レンズ磨きや塗料に混ぜ、のびをよくするのに利用されていた。
胞子には脂肪を約50%含み、この主成分はリコポジウムオレイン酸である。全草にはアルカロイドのリコポジンやトリテルペノイドのαオノセノンなどが含まれている。薬用としては吸湿性が全くないため、丸薬の衣や、汗疹や湿疹などの散布薬として用いられていた。
伸筋草には去風湿・ 舒筋活絡 ・活血などの効能があり、リウマチなどの関節痛、麻痺やしびれ、打撲傷、水腫などに用いる。西洋の民間療法では全草を利尿薬として膀胱炎や尿路結石の治療に用いている。近縁植物であるトウゲシバ(L.serratum//Huperzia serrata)の全草は千層塔と呼ばれ、アルツハイマー病に効果があると期待されている。
日本、北半球の温帯・暖帯に広く分布する常緑シダ植物ヒカゲノカズラ科のヒカゲノカズラ(Lycopodium clavatum)の胞子を用いる。全草は石松あるいは伸筋草という生薬名で呼ばれる。
ヒカゲノカズラは産地の林緑などの日当たりのよいところに自生し、太い針金状の茎が長く地上を這う。この茎葉は花束や花輪などの装飾用に用いられている。胞子は微細なさらさらとした淡黄色の粉末で、吸湿性がない。このため線香花火に混ぜたり、レンズ磨きや塗料に混ぜ、のびをよくするのに利用されていた。
胞子には脂肪を約50%含み、この主成分はリコポジウムオレイン酸である。全草にはアルカロイドのリコポジンやトリテルペノイドのαオノセノンなどが含まれている。薬用としては吸湿性が全くないため、丸薬の衣や、汗疹や湿疹などの散布薬として用いられていた。
伸筋草には去風湿・ 舒筋活絡 ・活血などの効能があり、リウマチなどの関節痛、麻痺やしびれ、打撲傷、水腫などに用いる。西洋の民間療法では全草を利尿薬として膀胱炎や尿路結石の治療に用いている。近縁植物であるトウゲシバ(L.serratum//Huperzia serrata)の全草は千層塔と呼ばれ、アルツハイマー病に効果があると期待されている。
月曜日, 7月 29, 2013
赤芍
○赤芍(せきしゃく)
中国北部を原産とするボタン科の多年草シャクヤク(Paeonia lactiflora)の根の外皮のついたままのものを用いる。外皮を除いたものを白芍という。また赤芍には野生種のベニバナヤマシャクヤク(P.obovata)やセンセキシャク(P.veitchii)などの根も用いられている。これに対し白芍といえば栽培品種のみが用いられている。赤芍は日本薬局方による芍薬の規格に適合したないため、中国産では白芍のみを芍薬として用いている。
芍薬の根にはペオニフロリンが含まれ、鎮痙、鎮痛、鎮静、抗炎、抗潰瘍、降圧作用など報告されている。中国医学では白芍に補血・止痛の効能があるのに対し、赤芍には清熱涼血・活血の効能があると区別し、温熱病、無月経、腹部腫瘤、腹痛、出血、腫れ物などに用いる。ちなみに同じボタン科のボタン(P.suffruticosa)の根である牡丹根には清熱涼血・去瘀の効能があるが、日本漢方的にいえば、赤芍はちょうど芍薬(白芍)と牡丹皮との中間的な生薬と考えられる。このため瘀血による疼痛や内出血などには白芍よりも赤芍を用いたほうが効果的である。
中国北部を原産とするボタン科の多年草シャクヤク(Paeonia lactiflora)の根の外皮のついたままのものを用いる。外皮を除いたものを白芍という。また赤芍には野生種のベニバナヤマシャクヤク(P.obovata)やセンセキシャク(P.veitchii)などの根も用いられている。これに対し白芍といえば栽培品種のみが用いられている。赤芍は日本薬局方による芍薬の規格に適合したないため、中国産では白芍のみを芍薬として用いている。
芍薬の根にはペオニフロリンが含まれ、鎮痙、鎮痛、鎮静、抗炎、抗潰瘍、降圧作用など報告されている。中国医学では白芍に補血・止痛の効能があるのに対し、赤芍には清熱涼血・活血の効能があると区別し、温熱病、無月経、腹部腫瘤、腹痛、出血、腫れ物などに用いる。ちなみに同じボタン科のボタン(P.suffruticosa)の根である牡丹根には清熱涼血・去瘀の効能があるが、日本漢方的にいえば、赤芍はちょうど芍薬(白芍)と牡丹皮との中間的な生薬と考えられる。このため瘀血による疼痛や内出血などには白芍よりも赤芍を用いたほうが効果的である。
土曜日, 7月 27, 2013
石蒜
○石蒜(せきそう)
日本の本州以南、中国の温帯に分布するヒガンバナ科の多年草ヒガンバナ(Lycoris radiata)の鱗茎を用いる。9月下旬、秋の彼岸のころに鮮やかな赤い花をつけるので彼岸花と呼ばれる。赤い花を意味するマンジュシャゲ(曼珠沙華)の別名もあるが、本来、サンスクリット語のマンジューシャカは別の植物の名前である。
有毒植物ではあるが、鱗茎をすりつぶして水にさらし、毒抜きをすると食べられるため救荒食物として利用されてきた。日本には縄文時代に食用として中国から渡来したと考えられている。また鱗茎をすりつぶして海苔状にしたものは防虫の目的で衣類や襖の下張りなどに用いられた。
ヒガンバナにはリコリン、ホモリコリン、ガランタミンなどのアルカロイドが含まれ、誤って食べると強い苦味があり、嘔吐、下痢、流涎、神経麻痺などが起こる。これらのアルカロイドには鎮痛、降圧、催吐、去痰作用がある。リコリンはアメーバ赤痢や喀痰の治療薬、ガランタミンは小児麻痺後遺症、アルツハイマー病の治療薬としても知られている。
石蒜には去痰・利尿・解毒・催吐る効能があるが、日本でも中国でも専ら民間療法として用いられている。一般に催吐の目的で内服させる以外は外用し、鱗茎をすりおろしたもので肩こりや乳腺炎、乳房痛などの湿布薬とする。また腎炎などによる浮腫に石蒜を単独あるいは唐胡麻(蓖麻子)と混ぜたものをすりおろして足裏の涌泉穴に塗布する方法がよく知られている。
ちなみに欧米ではヒガンバナ科のスノードロップ(Galanthus woronowill)やスノーフレーク(Leucojum aestivum)から抽出されたガランタミンがアルツハイマー病の治療薬として用いられている。
日本の本州以南、中国の温帯に分布するヒガンバナ科の多年草ヒガンバナ(Lycoris radiata)の鱗茎を用いる。9月下旬、秋の彼岸のころに鮮やかな赤い花をつけるので彼岸花と呼ばれる。赤い花を意味するマンジュシャゲ(曼珠沙華)の別名もあるが、本来、サンスクリット語のマンジューシャカは別の植物の名前である。
有毒植物ではあるが、鱗茎をすりつぶして水にさらし、毒抜きをすると食べられるため救荒食物として利用されてきた。日本には縄文時代に食用として中国から渡来したと考えられている。また鱗茎をすりつぶして海苔状にしたものは防虫の目的で衣類や襖の下張りなどに用いられた。
ヒガンバナにはリコリン、ホモリコリン、ガランタミンなどのアルカロイドが含まれ、誤って食べると強い苦味があり、嘔吐、下痢、流涎、神経麻痺などが起こる。これらのアルカロイドには鎮痛、降圧、催吐、去痰作用がある。リコリンはアメーバ赤痢や喀痰の治療薬、ガランタミンは小児麻痺後遺症、アルツハイマー病の治療薬としても知られている。
石蒜には去痰・利尿・解毒・催吐る効能があるが、日本でも中国でも専ら民間療法として用いられている。一般に催吐の目的で内服させる以外は外用し、鱗茎をすりおろしたもので肩こりや乳腺炎、乳房痛などの湿布薬とする。また腎炎などによる浮腫に石蒜を単独あるいは唐胡麻(蓖麻子)と混ぜたものをすりおろして足裏の涌泉穴に塗布する方法がよく知られている。
ちなみに欧米ではヒガンバナ科のスノードロップ(Galanthus woronowill)やスノーフレーク(Leucojum aestivum)から抽出されたガランタミンがアルツハイマー病の治療薬として用いられている。
金曜日, 7月 26, 2013
石韋
○石韋(せきい)
日本の関東以南及び朝鮮半島や台湾、中国南部、インドシナに分布するウラボシ科の常緑シダ植物ヒトツバ(Pyrrosia lingua)などの同属植物の葉を用いる。ヒトツバは暖地の乾燥した岩や葉に群生し、普通にみられる常緑のシダである。根は石韋根という。
ヒトツバの全草には配糖体、フラボノイド、サポニンなどが含まれるが、詳細は明らかではない。漢方では清熱・利水・通淋・止血の効能があり、淋病、血尿、腎炎、子宮出血、下痢、気管支炎、癰疽などに用いる。とくに通淋薬として有名であり、熱淋、石淋、血淋などの膀胱炎や血尿に滑石・瞿麦などと配合する(石葦散)。また気管支炎や喘息などの治療に効果がある。
日本ではほとんど利用されていないが、中国では今日でも尿路結石や腎炎などによく用いている。石韋根の粉末は止血薬として傷に散布する。
日本の関東以南及び朝鮮半島や台湾、中国南部、インドシナに分布するウラボシ科の常緑シダ植物ヒトツバ(Pyrrosia lingua)などの同属植物の葉を用いる。ヒトツバは暖地の乾燥した岩や葉に群生し、普通にみられる常緑のシダである。根は石韋根という。
ヒトツバの全草には配糖体、フラボノイド、サポニンなどが含まれるが、詳細は明らかではない。漢方では清熱・利水・通淋・止血の効能があり、淋病、血尿、腎炎、子宮出血、下痢、気管支炎、癰疽などに用いる。とくに通淋薬として有名であり、熱淋、石淋、血淋などの膀胱炎や血尿に滑石・瞿麦などと配合する(石葦散)。また気管支炎や喘息などの治療に効果がある。
日本ではほとんど利用されていないが、中国では今日でも尿路結石や腎炎などによく用いている。石韋根の粉末は止血薬として傷に散布する。
木曜日, 7月 25, 2013
西洋トチノキ
○西洋トチノキ
バルカン半島のトチノキ科の落葉高木セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)の種子を用いる。欧米では街路樹として広く植栽され、パリのマロニエとして知られているのはこのセイヨウトチノキのことである。ちなみに英語名はホース・チェスナット(栗)、その翻訳名のウマグリ(馬栗)という和名もある。仏語名のマロニエもマロン(栗)に由来し、かつてマロングラッセもマロニエの実が使われていたといわれる。
種子にはトリテルペン系サポニンのエスシンのほか、クマリン、エスクリンなどが含まれ、静脈壁を強化し、静脈の透過性を下げる作用のほか、血流促進、凝固抑制、抗炎症、抗潰瘍作用などが知られている。
外傷や炎症による腫張を緩和し、静脈の血流を改善視することが認められており、ドイツなどでは静脈瘤や下肢血流障害(足のだるさ、こむら返り)、痔核の治療、手術後の浮腫の回復などに用いられ、日本でも軟部腫張の治療薬として用いられ、市販の痔治療薬や湿布薬、化粧品などに配合されている。ちなみに生の種子にはエスクリンが含まれるため、過量に用いると死に至ることがあり、一般にはエスクリンを除去した種子エキスのみを利用する。副作用として消化器症状や痒みの出ることがある。
日本のトチノキ(A.turbinata)も民間薬として知られ、種子の栃の実を乾燥粉末にして胃痛や打ち身、痔などに用いている。また樹皮を煎じて痔や子宮出血、蕁麻疹、下痢等に用い、葉を煎じて咳の治療に用いている。
バルカン半島のトチノキ科の落葉高木セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)の種子を用いる。欧米では街路樹として広く植栽され、パリのマロニエとして知られているのはこのセイヨウトチノキのことである。ちなみに英語名はホース・チェスナット(栗)、その翻訳名のウマグリ(馬栗)という和名もある。仏語名のマロニエもマロン(栗)に由来し、かつてマロングラッセもマロニエの実が使われていたといわれる。
種子にはトリテルペン系サポニンのエスシンのほか、クマリン、エスクリンなどが含まれ、静脈壁を強化し、静脈の透過性を下げる作用のほか、血流促進、凝固抑制、抗炎症、抗潰瘍作用などが知られている。
外傷や炎症による腫張を緩和し、静脈の血流を改善視することが認められており、ドイツなどでは静脈瘤や下肢血流障害(足のだるさ、こむら返り)、痔核の治療、手術後の浮腫の回復などに用いられ、日本でも軟部腫張の治療薬として用いられ、市販の痔治療薬や湿布薬、化粧品などに配合されている。ちなみに生の種子にはエスクリンが含まれるため、過量に用いると死に至ることがあり、一般にはエスクリンを除去した種子エキスのみを利用する。副作用として消化器症状や痒みの出ることがある。
日本のトチノキ(A.turbinata)も民間薬として知られ、種子の栃の実を乾燥粉末にして胃痛や打ち身、痔などに用いている。また樹皮を煎じて痔や子宮出血、蕁麻疹、下痢等に用い、葉を煎じて咳の治療に用いている。
水曜日, 7月 24, 2013
西洋参
○西洋参(せいようじん)
北アメリカ原産で、カナダやアメリカの肥沃な森林に自生しているウコギ科のアメリカニンジン(Panax quinquefolis)の根を用いる。
17世紀末に薬用人参の効能がヨーロッパに紹介され、18世の初めにその論文を目にしたカナダの宣教師がよく似た植物として見出し、薬用として広まったのがアメリカ人参である。この人参は星条旗を意味する花旗を冠して花旗参とも呼ばれている。アメリカで栽培されたものが広東経由で東南アジアに輸出されるため広東人参という名もある。現在では中国でも栽培されている。
根にはサポニンのパナキロンやジンセノサイドなどが含まれ、人参と同様な中枢神経に対する刺激や血圧降下、疲労回復などの作用が認められている。官報でも補気・滋陰清熱・止渇の効能があり、人参の代用として用いられる。
人参に比べれば補気の力は弱いが、滋陰清熱の作用はかえって優れている。このため熱証の患者の滋養・強壮に適しており、高熱のために脱水となり、体力が弱ったとなどには西洋参を用いる。
暑気あたりや夏かぜには石斛・麦門冬などと配合する(王氏清暑益気湯)。また最近の中国では白虎加人参湯の人参の代わりにしばしば西洋参が用いられているる
北アメリカ原産で、カナダやアメリカの肥沃な森林に自生しているウコギ科のアメリカニンジン(Panax quinquefolis)の根を用いる。
17世紀末に薬用人参の効能がヨーロッパに紹介され、18世の初めにその論文を目にしたカナダの宣教師がよく似た植物として見出し、薬用として広まったのがアメリカ人参である。この人参は星条旗を意味する花旗を冠して花旗参とも呼ばれている。アメリカで栽培されたものが広東経由で東南アジアに輸出されるため広東人参という名もある。現在では中国でも栽培されている。
根にはサポニンのパナキロンやジンセノサイドなどが含まれ、人参と同様な中枢神経に対する刺激や血圧降下、疲労回復などの作用が認められている。官報でも補気・滋陰清熱・止渇の効能があり、人参の代用として用いられる。
人参に比べれば補気の力は弱いが、滋陰清熱の作用はかえって優れている。このため熱証の患者の滋養・強壮に適しており、高熱のために脱水となり、体力が弱ったとなどには西洋参を用いる。
暑気あたりや夏かぜには石斛・麦門冬などと配合する(王氏清暑益気湯)。また最近の中国では白虎加人参湯の人参の代わりにしばしば西洋参が用いられているる
火曜日, 7月 23, 2013
青木香
○青木香(せいもっこう)
関東以西、四国、九州及び中国に分布するウマノスズクサ科のつる性多年草ウマノスズクサ(Aristolochia debilis)などの根を用いる。
日当たりのよい山野に自生するつる性の植物で、つるからぶらさがった果実の形が馬の首にかける鈴に似ていることからウマノスズクサとか馬兜鈴という名が付けられている。ウマノスズクサの葉をつけた茎は天仙藤、果実を馬兜鈴という。キク科の植物の根にも青木香という生薬があるが、全く別のものである。
ウマノスズクサの根にはアリストロキア酸やアリストロン、マグノフロリンなどが含まれ、降圧、鎮静、気管支拡張作用が報告されている。漢方では止痛・理気・解毒・消腫の効能があり、胸腹部の張痛みや下痢、腫れ物、湿疹などに用いる。
夏季の下痢や腹痛、暑気あたりには青木香の粉末を服用する。腫れ物や咬傷、湿疹には粉末をゴマ油などで練って塗布する。近年、中国では青木香に降圧作用があることから高血圧の治療にも使用されている。ただし、アリストロキア酸は腎障害を引き起こすことが指摘されており、使用には注意が必要である。
関東以西、四国、九州及び中国に分布するウマノスズクサ科のつる性多年草ウマノスズクサ(Aristolochia debilis)などの根を用いる。
日当たりのよい山野に自生するつる性の植物で、つるからぶらさがった果実の形が馬の首にかける鈴に似ていることからウマノスズクサとか馬兜鈴という名が付けられている。ウマノスズクサの葉をつけた茎は天仙藤、果実を馬兜鈴という。キク科の植物の根にも青木香という生薬があるが、全く別のものである。
ウマノスズクサの根にはアリストロキア酸やアリストロン、マグノフロリンなどが含まれ、降圧、鎮静、気管支拡張作用が報告されている。漢方では止痛・理気・解毒・消腫の効能があり、胸腹部の張痛みや下痢、腫れ物、湿疹などに用いる。
夏季の下痢や腹痛、暑気あたりには青木香の粉末を服用する。腫れ物や咬傷、湿疹には粉末をゴマ油などで練って塗布する。近年、中国では青木香に降圧作用があることから高血圧の治療にも使用されている。ただし、アリストロキア酸は腎障害を引き起こすことが指摘されており、使用には注意が必要である。
月曜日, 7月 22, 2013
青風藤
○青風藤(せいふうとう)
ツヅラフジ科のオオツヅラフジ(Sinomenium actum)や華防己(Diploclisia chinensis)、アワブキ科のアオカズラ(Sabia japonica)などのつる性の茎をいう。
オオツヅラフジは単にツヅラフジともいい、日本の関東以西、四国、九州、台湾、中国などに分布するつる性落葉低木で、その茎を日本では防己あるいは漢防己と称している。つまり日本産の防己を中国では青風藤として扱っている。
中国産の防己の基原とされるツヅラフジ科のシマハスノハカズラ(Stephania tetrandra)はオオツヅラフジによく似ているため、日本では江戸時代の前から防己と称してオオツヅラフジで代用していたと考えられる。一方、中国では青風藤はあまりよく知られていない生薬であるが、民間では脚気などによる浮腫やリウマチなどの関節痛の治療薬として用いている。成分や効能に関しては防己の項に記す。
ツヅラフジ科のオオツヅラフジ(Sinomenium actum)や華防己(Diploclisia chinensis)、アワブキ科のアオカズラ(Sabia japonica)などのつる性の茎をいう。
オオツヅラフジは単にツヅラフジともいい、日本の関東以西、四国、九州、台湾、中国などに分布するつる性落葉低木で、その茎を日本では防己あるいは漢防己と称している。つまり日本産の防己を中国では青風藤として扱っている。
中国産の防己の基原とされるツヅラフジ科のシマハスノハカズラ(Stephania tetrandra)はオオツヅラフジによく似ているため、日本では江戸時代の前から防己と称してオオツヅラフジで代用していたと考えられる。一方、中国では青風藤はあまりよく知られていない生薬であるが、民間では脚気などによる浮腫やリウマチなどの関節痛の治療薬として用いている。成分や効能に関しては防己の項に記す。
土曜日, 7月 20, 2013
青皮
○青皮(せいひ)
日本ではミカン科の常緑高木ウンシュウミカン(Citrus unshiu)のまだ青い、黄熟する前の果皮を青皮という。成熟果実の果皮は陳皮といい、未熟な果実は枳実としても用いられる。中国ではオオベニミカン(C.tangerina)やコベニミカン(C.erythrosa)などの未成熟果実の皮を青皮として用いている。今日、日本の市場品は全て中国産である。
青皮には疏肝・理気・消積化滞の効能があり、胸や腋の張ったような痛み、肩や乳房の痛み、消化不良による下腹部痛などに用いる。青皮の性質は陳皮よりも激しく、陳皮の理気作用よりも強い疏肝・破気の効能があるといわれている。
脇腹の痛みには柴胡・川芎などと配合する(柴胡芎帰湯・疏肝湯)。ストレスによる肩こりには香附子・莪朮などと配合する(治肩背拘急方)
日本ではミカン科の常緑高木ウンシュウミカン(Citrus unshiu)のまだ青い、黄熟する前の果皮を青皮という。成熟果実の果皮は陳皮といい、未熟な果実は枳実としても用いられる。中国ではオオベニミカン(C.tangerina)やコベニミカン(C.erythrosa)などの未成熟果実の皮を青皮として用いている。今日、日本の市場品は全て中国産である。
青皮には疏肝・理気・消積化滞の効能があり、胸や腋の張ったような痛み、肩や乳房の痛み、消化不良による下腹部痛などに用いる。青皮の性質は陳皮よりも激しく、陳皮の理気作用よりも強い疏肝・破気の効能があるといわれている。
脇腹の痛みには柴胡・川芎などと配合する(柴胡芎帰湯・疏肝湯)。ストレスによる肩こりには香附子・莪朮などと配合する(治肩背拘急方)
水曜日, 7月 17, 2013
青黛
○青黛(せいたい)
キツネゴマ科のリュウキュウアイ(Strobilanthes cusia)、マメ科のタイワンコマツナギ(Indigofera tinctoria)、アブラナ科の植物のホソバタイセイ(Isatis tinctoria)などの葉や茎に含まれる色素を用いる。
リュウキュウアイはインドからインドシナ半島、中国南部、台湾、小笠原諸島や沖縄などで藍の原料として栽培されている。リュウキュウアイやホソバタイセイの葉は大青葉、根は板藍根という。これらの葉や茎を数日間水に浸して発酵させ、石灰を加えてかき混ぜ、浸出液が紫色になったら液面の泡を掬いとり、これを日干ししてできた藍色の粉末を青黛という。つまり葉や茎に含まれるインジカンが発酵やアルカリを加えることにより加水分解されてインドキシルとなり、次に空気による酸化をうけて藍色のインジゴに変わる。
青黛にはおもにこのインジゴが含まれている。一般にはインジゴは藍染めの染料として用いられている。薬理的には種々の細菌に対する静菌作用が知られている。漢方では清熱涼血・解毒の効能があり、大青葉や板藍根と同様に清熱薬として幅広く用いられ、丹毒などの発疹や発斑を伴う熱病、仕様煮のひきつけ、吐血や喀血、鼻血などの出血、湿疹、腫れ物、蛇噛傷などに応用する。
小児の栄養不良で、発熱や腹水のみられるときには柴胡・莪朮などと配合する(消疳退熱飲)。高血圧や熱性疾患などで大便が秘結して眩暈やひきつけ、精神変調などがみられ、脇腹の痛むときには当帰・竜胆・芦薈などと配合する(当帰竜薈丸)。
中国では肝炎や脳炎、耳下線炎、心筋炎などに対する臨床研究が行われている。口内炎や咽頭炎、耳漏、湿疹などには外用薬として用いる。鼻血には青黛の粉を直接出血部に当てて止血する。潰瘍性大腸炎に対する効果が検討されている。
キツネゴマ科のリュウキュウアイ(Strobilanthes cusia)、マメ科のタイワンコマツナギ(Indigofera tinctoria)、アブラナ科の植物のホソバタイセイ(Isatis tinctoria)などの葉や茎に含まれる色素を用いる。
リュウキュウアイはインドからインドシナ半島、中国南部、台湾、小笠原諸島や沖縄などで藍の原料として栽培されている。リュウキュウアイやホソバタイセイの葉は大青葉、根は板藍根という。これらの葉や茎を数日間水に浸して発酵させ、石灰を加えてかき混ぜ、浸出液が紫色になったら液面の泡を掬いとり、これを日干ししてできた藍色の粉末を青黛という。つまり葉や茎に含まれるインジカンが発酵やアルカリを加えることにより加水分解されてインドキシルとなり、次に空気による酸化をうけて藍色のインジゴに変わる。
青黛にはおもにこのインジゴが含まれている。一般にはインジゴは藍染めの染料として用いられている。薬理的には種々の細菌に対する静菌作用が知られている。漢方では清熱涼血・解毒の効能があり、大青葉や板藍根と同様に清熱薬として幅広く用いられ、丹毒などの発疹や発斑を伴う熱病、仕様煮のひきつけ、吐血や喀血、鼻血などの出血、湿疹、腫れ物、蛇噛傷などに応用する。
小児の栄養不良で、発熱や腹水のみられるときには柴胡・莪朮などと配合する(消疳退熱飲)。高血圧や熱性疾患などで大便が秘結して眩暈やひきつけ、精神変調などがみられ、脇腹の痛むときには当帰・竜胆・芦薈などと配合する(当帰竜薈丸)。
中国では肝炎や脳炎、耳下線炎、心筋炎などに対する臨床研究が行われている。口内炎や咽頭炎、耳漏、湿疹などには外用薬として用いる。鼻血には青黛の粉を直接出血部に当てて止血する。潰瘍性大腸炎に対する効果が検討されている。
火曜日, 7月 16, 2013
青葙子
○青葙子(せいそうし)
熱帯の荒地に広く分布するヒユ科の一年草ノゲイトウ(Celosia argentea)の種子を青葙子という。ただし習慣的なケイトウ(C.cristata)の種子(生薬名:鶏冠子)も青葙子として市場に出ている。また神農本草経には青葙子を草決明と記している。ノゲイトウは日本でも本州西部、四国、九州南部などに帰化し、切花用にも栽培されている。
青葙子にはセロシアオールを主成分とする脂肪油が含まれ、降圧作用や瞳孔散大作用が知られている。漢方では降圧・明目・止痒の効能があり、高血圧、眼科疾患、鼻血、皮膚掻痒症などに用いる。決明子と同様におもに眼疾患に用いられ、眼の充血や疼痛などを伴う急性結膜炎や慢性ブドウ膜炎、視力障害、飛蚊症などに用いる。また頭痛や頭暈などを伴う高血圧症や皮膚掻痒症には単独で煎じて服用する。鼻血には青葙子の汁を点鼻する。
熱帯の荒地に広く分布するヒユ科の一年草ノゲイトウ(Celosia argentea)の種子を青葙子という。ただし習慣的なケイトウ(C.cristata)の種子(生薬名:鶏冠子)も青葙子として市場に出ている。また神農本草経には青葙子を草決明と記している。ノゲイトウは日本でも本州西部、四国、九州南部などに帰化し、切花用にも栽培されている。
青葙子にはセロシアオールを主成分とする脂肪油が含まれ、降圧作用や瞳孔散大作用が知られている。漢方では降圧・明目・止痒の効能があり、高血圧、眼科疾患、鼻血、皮膚掻痒症などに用いる。決明子と同様におもに眼疾患に用いられ、眼の充血や疼痛などを伴う急性結膜炎や慢性ブドウ膜炎、視力障害、飛蚊症などに用いる。また頭痛や頭暈などを伴う高血圧症や皮膚掻痒症には単独で煎じて服用する。鼻血には青葙子の汁を点鼻する。
土曜日, 7月 13, 2013
蠐螬
○蠐螬(せいそう)
コフキコガネ科のチョウセンクロコガネ(Holotrichia diomhalia)などの昆虫の幼虫を乾燥して用いる。この幼虫は体長1.5~2cmくらいでカブトムシの幼虫によく似ている。
中国では黒龍江省から長江以南に至る広い地域に分布している。しかし生薬の蠐螬にはさまざまな昆虫の幼虫が含まれ、コフキコガネ科、スジコガネ科、ハナムグリ科、カブトムシ科の幼虫も報告されている。台湾ではコフキコガネの幼虫が用いられている。
これらは日本ではジムシ(地虫)、ネキリムシ(根切虫、スクモムシ)などと呼ばれているものに相当する。成分は不明だが、家兎の子宮を興奮させ、腸管を抑制し、血管を収縮させる作用がみられ、有毒とされている。
漢方では活血化瘀・通乳の効能があり、打撲や骨折、瘀血による痛み、関節痛、乳汁不足などに用いる。金匱要略に収載されている駆瘀血剤の大黄シャ虫丸の中にも配合されている。
コフキコガネ科のチョウセンクロコガネ(Holotrichia diomhalia)などの昆虫の幼虫を乾燥して用いる。この幼虫は体長1.5~2cmくらいでカブトムシの幼虫によく似ている。
中国では黒龍江省から長江以南に至る広い地域に分布している。しかし生薬の蠐螬にはさまざまな昆虫の幼虫が含まれ、コフキコガネ科、スジコガネ科、ハナムグリ科、カブトムシ科の幼虫も報告されている。台湾ではコフキコガネの幼虫が用いられている。
これらは日本ではジムシ(地虫)、ネキリムシ(根切虫、スクモムシ)などと呼ばれているものに相当する。成分は不明だが、家兎の子宮を興奮させ、腸管を抑制し、血管を収縮させる作用がみられ、有毒とされている。
漢方では活血化瘀・通乳の効能があり、打撲や骨折、瘀血による痛み、関節痛、乳汁不足などに用いる。金匱要略に収載されている駆瘀血剤の大黄シャ虫丸の中にも配合されている。
金曜日, 7月 12, 2013
薺菜
○薺菜(せいさい)
日本の各地をはじめ北半球に広く分布しているアブラナ科の越年草ナズナ(Capsella bursa-pastoris)の全草を用いる。ナズナは春の七草の一つで、1月7日の朝に七草粥に入れる風習が残っている。
ナズナの語源は「撫菜」で、「めでる菜」の意味といわれ、果実が三味線のバチに似ていることからペンペングサという呼び名もある。かつては七草粥以外にも和え物やおひたしにして食べていた。
成分にはフラボノイドのジオスミンやコリン、アセチルコリン、ブルシン酸などが含まれ、子宮収縮、降圧、利尿、止血作用が認められている。戦前には、止血剤として用いていたこともある。
漢方では利水・止血・明目の効能があり、浮腫、淋病、下血、産後の出血、目の充血、翼状片に用いる。日本でも中国でもおもに民間療法として用いられ、近年では緩下、利尿、血圧効果の目的で単独で煎じて服用する。目の炎症には煎じた液で洗浄する。欧米ではシェパーズパース(Shephard's Purse)と呼ばれ、止瀉、利尿、止血薬として用いられている。
日本の各地をはじめ北半球に広く分布しているアブラナ科の越年草ナズナ(Capsella bursa-pastoris)の全草を用いる。ナズナは春の七草の一つで、1月7日の朝に七草粥に入れる風習が残っている。
ナズナの語源は「撫菜」で、「めでる菜」の意味といわれ、果実が三味線のバチに似ていることからペンペングサという呼び名もある。かつては七草粥以外にも和え物やおひたしにして食べていた。
成分にはフラボノイドのジオスミンやコリン、アセチルコリン、ブルシン酸などが含まれ、子宮収縮、降圧、利尿、止血作用が認められている。戦前には、止血剤として用いていたこともある。
漢方では利水・止血・明目の効能があり、浮腫、淋病、下血、産後の出血、目の充血、翼状片に用いる。日本でも中国でもおもに民間療法として用いられ、近年では緩下、利尿、血圧効果の目的で単独で煎じて服用する。目の炎症には煎じた液で洗浄する。欧米ではシェパーズパース(Shephard's Purse)と呼ばれ、止瀉、利尿、止血薬として用いられている。
木曜日, 7月 11, 2013
青蒿
○青蒿(せいこう)
本州、九州、四国、朝鮮半島、中国に分布するキクカの二年草カワラニンジン(Artemisia apiacea)の全草を用いる。このほかアジア、ヨーロッパに広く分布するクソニンジン(A.annua)の全草を用いることもある。ただしクソニンジンの全草はとくに黄花蒿とも呼ばれている。
葉の形がニンジンに似ていて、よく川原にみられるのでカワラニンジンというながある。一方、クソニンジンのなはその悪臭にちなむ。カワラニンジンは中国から薬用植物、すなわち神麹の原料の一つとして日本に渡来し、その後に野生化したといわれている。
カワラニンジンの成分にはαピネン、カンフェンのほか、クマリン類のスコポレチン、ダフネチン、ヘルニアリンなど、クソニンジンの成分にはアルテミジアケトン、ヘキサナール、シネオールなどが含まれ、抗真菌、解熱作用などが知られている。
漢方では清熱・解暑・退虚熱の効能があり、日射病や熱射病、結核やマラリアなどの慢性消耗性疾患の発熱、潮熱、盗汗などの症状に用いる。肺結核などで熱が続き、痩せて全身倦怠感のあるときには知母・別甲などと配合する(青蒿別甲湯)。また鼻出血には新鮮な青蒿の汁に水を加えて服用する。
近年、クソニンジンを原料とした抗マラリア薬、アーテスネート(アーテミシニン)が中国の製薬会社によって開発され、世界的に広く普及している。
本州、九州、四国、朝鮮半島、中国に分布するキクカの二年草カワラニンジン(Artemisia apiacea)の全草を用いる。このほかアジア、ヨーロッパに広く分布するクソニンジン(A.annua)の全草を用いることもある。ただしクソニンジンの全草はとくに黄花蒿とも呼ばれている。
葉の形がニンジンに似ていて、よく川原にみられるのでカワラニンジンというながある。一方、クソニンジンのなはその悪臭にちなむ。カワラニンジンは中国から薬用植物、すなわち神麹の原料の一つとして日本に渡来し、その後に野生化したといわれている。
カワラニンジンの成分にはαピネン、カンフェンのほか、クマリン類のスコポレチン、ダフネチン、ヘルニアリンなど、クソニンジンの成分にはアルテミジアケトン、ヘキサナール、シネオールなどが含まれ、抗真菌、解熱作用などが知られている。
漢方では清熱・解暑・退虚熱の効能があり、日射病や熱射病、結核やマラリアなどの慢性消耗性疾患の発熱、潮熱、盗汗などの症状に用いる。肺結核などで熱が続き、痩せて全身倦怠感のあるときには知母・別甲などと配合する(青蒿別甲湯)。また鼻出血には新鮮な青蒿の汁に水を加えて服用する。
近年、クソニンジンを原料とした抗マラリア薬、アーテスネート(アーテミシニン)が中国の製薬会社によって開発され、世界的に広く普及している。
水曜日, 7月 10, 2013
西河柳
○西河柳(せいかりゅう)
中国北部及びモンゴルを原産とするギョリュウ科の落葉小高木ギョリュウ(Tamarix chinensis)の葉のついた細い幼枝を用いる。日本には江戸時代に渡来し、切花や庭園樹として植栽されている。
水湿地を好み、枝は細く垂れ下がって全体の形はヤナギに似ている。5月と8月頃の年2回に淡桃色の小さな花が咲くといわれ、三春柳の名もある。楊貴妃が非常に愛したため御柳と呼ばれ、神聖な木という意味で檉柳ともいう。
成分は明らかでないが、止咳・抗菌・解熱作用が報告されている。漢方では発表・透疹の効能があり、専ら麻疹の治療に用いる。日本にも麻疹の薬として導入された。麻疹で発疹が遅く、高熱、煩躁、口渇、咽頭痛のみられるときには淡竹葉・葛根・蝉退などと配合する(竹葉柳蒡湯)
中国北部及びモンゴルを原産とするギョリュウ科の落葉小高木ギョリュウ(Tamarix chinensis)の葉のついた細い幼枝を用いる。日本には江戸時代に渡来し、切花や庭園樹として植栽されている。
水湿地を好み、枝は細く垂れ下がって全体の形はヤナギに似ている。5月と8月頃の年2回に淡桃色の小さな花が咲くといわれ、三春柳の名もある。楊貴妃が非常に愛したため御柳と呼ばれ、神聖な木という意味で檉柳ともいう。
成分は明らかでないが、止咳・抗菌・解熱作用が報告されている。漢方では発表・透疹の効能があり、専ら麻疹の治療に用いる。日本にも麻疹の薬として導入された。麻疹で発疹が遅く、高熱、煩躁、口渇、咽頭痛のみられるときには淡竹葉・葛根・蝉退などと配合する(竹葉柳蒡湯)
火曜日, 7月 09, 2013
西瓜
○西瓜(すいか)
熱帯アフリカ原産のウリ科のつる性一年草スイカ(Citrullus vulgaris)の果実を用いる。中国へは中央アジアを経て11世紀に、日本には寛永年間に渡来したといわれている。スイカの果肉部分を西瓜といい、その汁を服用する。また厚皮の最外層の部分を乾燥したものを西瓜皮あるいは西瓜翠衣という。
果肉の90%は水分で、果汁には約8%の糖質のほかアミノ酸のアルギニンやシトルリン、色素成分のリコピンやカロテンなどが含まれる。シトルリンは西瓜の果汁から発見されたアミノ酸の一種で、強力な抗酸化作用があり、利尿作用や血管拡張作用などにも関与していると考えられており、欧米では疲労回復、血流改善、動脈硬化予防、精力増強のサプリメントとして利用されている。
漢方では解暑・止渇・利水消腫の効能があり、暑気あたり、口渇、排尿減少、浮腫に用いる。一般に果汁にして100~300mlを1日に数回飲む。。成熟した果実の果汁を土鍋に入れてとろ火で煮つめ水飴状にしたものを西瓜糖と称し、腎炎や浮腫に用いる。これにキササゲ、南蛮毛を配合した薬用西瓜糖が腎炎や脚気の利尿薬として市販されている。ただ寒の性質があるため、体内の冷えたものには用いない。
西瓜皮も西瓜と同様の効能があり、暑気あたりや夏風邪による浮腫に用いる。暑気あたりや夏風邪には西洋参・石斛など配合する(王氏清暑益気湯)。また皮を焼いて灰にしたものを口内炎や歯痛に塗布する。このほかも成熟の果実のヘタの部分を切って壺を作り、中に天然の芒硝を入れてヘタで蓋をして密封し吊るしておくと皮の外側に白色顆粒状の結晶が透析してくるが、これを西瓜霜といい、咽頭炎や口内炎、咽頭の嗄れや腫痛に用いる。
ちなみに地中海で栽培されているスイカの同属植物コロシントウリ(C.colocynthis)の果実は苦くて食用にならないが、コロシンチンという苦味配糖体を含み、ヨーロッパでは緩下薬として利用されている。
熱帯アフリカ原産のウリ科のつる性一年草スイカ(Citrullus vulgaris)の果実を用いる。中国へは中央アジアを経て11世紀に、日本には寛永年間に渡来したといわれている。スイカの果肉部分を西瓜といい、その汁を服用する。また厚皮の最外層の部分を乾燥したものを西瓜皮あるいは西瓜翠衣という。
果肉の90%は水分で、果汁には約8%の糖質のほかアミノ酸のアルギニンやシトルリン、色素成分のリコピンやカロテンなどが含まれる。シトルリンは西瓜の果汁から発見されたアミノ酸の一種で、強力な抗酸化作用があり、利尿作用や血管拡張作用などにも関与していると考えられており、欧米では疲労回復、血流改善、動脈硬化予防、精力増強のサプリメントとして利用されている。
漢方では解暑・止渇・利水消腫の効能があり、暑気あたり、口渇、排尿減少、浮腫に用いる。一般に果汁にして100~300mlを1日に数回飲む。。成熟した果実の果汁を土鍋に入れてとろ火で煮つめ水飴状にしたものを西瓜糖と称し、腎炎や浮腫に用いる。これにキササゲ、南蛮毛を配合した薬用西瓜糖が腎炎や脚気の利尿薬として市販されている。ただ寒の性質があるため、体内の冷えたものには用いない。
西瓜皮も西瓜と同様の効能があり、暑気あたりや夏風邪による浮腫に用いる。暑気あたりや夏風邪には西洋参・石斛など配合する(王氏清暑益気湯)。また皮を焼いて灰にしたものを口内炎や歯痛に塗布する。このほかも成熟の果実のヘタの部分を切って壺を作り、中に天然の芒硝を入れてヘタで蓋をして密封し吊るしておくと皮の外側に白色顆粒状の結晶が透析してくるが、これを西瓜霜といい、咽頭炎や口内炎、咽頭の嗄れや腫痛に用いる。
ちなみに地中海で栽培されているスイカの同属植物コロシントウリ(C.colocynthis)の果実は苦くて食用にならないが、コロシンチンという苦味配糖体を含み、ヨーロッパでは緩下薬として利用されている。
月曜日, 7月 08, 2013
鈴蘭
○鈴蘭(すずらん)
北海道や本州の長野県・群馬県・朝鮮半島、中国、シベリアなどに分布するユリ科の多年草スズラン(Convallaria majalis var.keiskei)の根及び全草を用いる。
高山や山地の湿地帯に群生し、キミカゲソウ(君影草)という別名もある。現在、園芸的に栽培されているものはおもにヨーロッパ産のドイツスズラン(C.majalis)である。花には芳香があり、ドイツスズランは香水の原料にもされる。
全草、とくに根茎や根には強心配糖体のコンバラトキシン、コンバラトキソール、コンバロサイドなどが含まれ、ジギタリスと類似の強心、利尿作用がある。コンバラトキシンの強心作用はジギタリスの10~15倍の強さがあり、中毒症状として流涎、悪心、嘔吐、頭痛などを起こし、多量に摂取すると呼吸停止、心不全に陥る。またコンバロサイドには血液凝固作用がある。
ヨーロッパや日本でも強心利尿薬として利用されていたが、毒性が強いため用いないほうがいい。
北海道や本州の長野県・群馬県・朝鮮半島、中国、シベリアなどに分布するユリ科の多年草スズラン(Convallaria majalis var.keiskei)の根及び全草を用いる。
高山や山地の湿地帯に群生し、キミカゲソウ(君影草)という別名もある。現在、園芸的に栽培されているものはおもにヨーロッパ産のドイツスズラン(C.majalis)である。花には芳香があり、ドイツスズランは香水の原料にもされる。
全草、とくに根茎や根には強心配糖体のコンバラトキシン、コンバラトキソール、コンバロサイドなどが含まれ、ジギタリスと類似の強心、利尿作用がある。コンバラトキシンの強心作用はジギタリスの10~15倍の強さがあり、中毒症状として流涎、悪心、嘔吐、頭痛などを起こし、多量に摂取すると呼吸停止、心不全に陥る。またコンバロサイドには血液凝固作用がある。
ヨーロッパや日本でも強心利尿薬として利用されていたが、毒性が強いため用いないほうがいい。
土曜日, 7月 06, 2013
豆豉
○豆豉(ずし)
マメ科ダイズのの種子(Glycine max)を蒸して麹菌を用いて発酵させたものを乾燥して用いる。中国では淡豆豉あるいは香豉、淡豉などという。漢方生薬では一般に「豆豉」と称しているが、最近、健康食品として「豆鼓」という名称でも扱われている。
豉は「くき」ともいい、大豆を発酵させたものを指し、日本の浜納豆や大徳寺納豆などに似たものである。蒸して発酵させるときに桑葉や青蒿を用いたり、蘇葉や麻黄を用いるなどいくつかの異なる加工方法がある。
豆豉には鹸豉と淡豉との区別があり、塩を加えたものを鹸豉といい、塩を加えていないものを淡豉という。かつて鹸豉は醤油や味噌よりも古い調味料として利用されていた。薬用には塩を加えない淡豉を用いる。淡豆豉では豆の表面は黒く、縦横にしわがあり、質はもろくて砕けやすい。かび臭いにおいがあり、甘い味がする。
成分には脂肪やタンパク質、酵素などが含まれている。近年、豆豉から抽出した成分(トウチエキス)が、αグルコシダーゼを阻害して、糖の吸収を遅らせ、血糖値の上昇を抑えることが明らかとなり、特定保健用食品として認められている。
漢方では解表・除煩の効能があり、熱性疾患や熱病後の不眠、煩躁などに用いる。軽い風寒型の感冒などで発熱、悪寒、頭痛のみられるときには葱白などと配合する(葱豉湯)。熱感や咽痛がある風熱型の感冒には薄荷・金銀花などと配合する(銀翹散)。この際、麻黄や蘇葉とともに加工した豆豉は風寒型の感冒、桑葉や青蒿を用いた豆豉は風熱型の感冒に適しているといわれている。また熱病の後で胸中が煩悶したり、不眠が続くときには山梔子と配合する(梔子豉湯)。
マメ科ダイズのの種子(Glycine max)を蒸して麹菌を用いて発酵させたものを乾燥して用いる。中国では淡豆豉あるいは香豉、淡豉などという。漢方生薬では一般に「豆豉」と称しているが、最近、健康食品として「豆鼓」という名称でも扱われている。
豉は「くき」ともいい、大豆を発酵させたものを指し、日本の浜納豆や大徳寺納豆などに似たものである。蒸して発酵させるときに桑葉や青蒿を用いたり、蘇葉や麻黄を用いるなどいくつかの異なる加工方法がある。
豆豉には鹸豉と淡豉との区別があり、塩を加えたものを鹸豉といい、塩を加えていないものを淡豉という。かつて鹸豉は醤油や味噌よりも古い調味料として利用されていた。薬用には塩を加えない淡豉を用いる。淡豆豉では豆の表面は黒く、縦横にしわがあり、質はもろくて砕けやすい。かび臭いにおいがあり、甘い味がする。
成分には脂肪やタンパク質、酵素などが含まれている。近年、豆豉から抽出した成分(トウチエキス)が、αグルコシダーゼを阻害して、糖の吸収を遅らせ、血糖値の上昇を抑えることが明らかとなり、特定保健用食品として認められている。
漢方では解表・除煩の効能があり、熱性疾患や熱病後の不眠、煩躁などに用いる。軽い風寒型の感冒などで発熱、悪寒、頭痛のみられるときには葱白などと配合する(葱豉湯)。熱感や咽痛がある風熱型の感冒には薄荷・金銀花などと配合する(銀翹散)。この際、麻黄や蘇葉とともに加工した豆豉は風寒型の感冒、桑葉や青蒿を用いた豆豉は風熱型の感冒に適しているといわれている。また熱病の後で胸中が煩悶したり、不眠が続くときには山梔子と配合する(梔子豉湯)。
金曜日, 7月 05, 2013
津蟹
○津蟹(ずがに)
日本から台湾にかけて生息するイワガニ科のモズクガニ(Eriocheir japonicus)を用いる。中国の近縁種のシナモクズガ
ニ(E.sinensis)を蟹として薬用にする。
モズクガニは河口の泥地や磯辺に生息する蟹で、甲羅は5cmくらいの四角形で体色は暗緑色をしており、鋏脚は大きく房状の毛が生えている。肉が多くて食用にもされる。薬用には薬性を残す程度に黒焼きにしたものを用いる。
漢方では清熱・消腫・生肌の効能があり、筋肉や骨の損傷、疥癬、火傷、漆かぶれなどに用いる。日本では排膿・強壮の目的で反鼻・鹿角の黒焼きとともに配合し(伯州散)。皮膚化膿症や痔などに内服・外用し、火傷や漆かぶれなどには生のカニをつぶして塗布する。日本の民間でも漆かぶれに淡水産のサワガニをつぶして外用すると効果があるといわれているる。
日本から台湾にかけて生息するイワガニ科のモズクガニ(Eriocheir japonicus)を用いる。中国の近縁種のシナモクズガ
ニ(E.sinensis)を蟹として薬用にする。
モズクガニは河口の泥地や磯辺に生息する蟹で、甲羅は5cmくらいの四角形で体色は暗緑色をしており、鋏脚は大きく房状の毛が生えている。肉が多くて食用にもされる。薬用には薬性を残す程度に黒焼きにしたものを用いる。
漢方では清熱・消腫・生肌の効能があり、筋肉や骨の損傷、疥癬、火傷、漆かぶれなどに用いる。日本では排膿・強壮の目的で反鼻・鹿角の黒焼きとともに配合し(伯州散)。皮膚化膿症や痔などに内服・外用し、火傷や漆かぶれなどには生のカニをつぶして塗布する。日本の民間でも漆かぶれに淡水産のサワガニをつぶして外用すると効果があるといわれているる。
木曜日, 7月 04, 2013
水蓼
○水蓼(すいりょう)
日本をはじめ北半球に広く分布するタデ科の一年草ヤナギタデ(Polygonum hydropiper)の全草を用いる。果実は蓼実という。河川や湿地など水辺に生え、中国名は水蓼という。
ヤナギタデはホンタデ、マタデとも呼ばれ、一般にタデといえばこのヤナギタデのことである。蓼食う虫も好き好きの名のように、葉は非常に辛くて口の中がタダレルということから、タデの名がある。
奈良・平安時代よりタデは香辛料のひとつとして用いられている。この栽培品種にアオタデ(青蓼)とベニタデ(紅蓼)があり、アオタデの葉をすりつぶして酢と合わせたものを「たで酢」、深紅色のベニタデの芽を「芽たで」といい、さしみのつまとして用いている。
辛味成分はタデオナールやポリゴディアールで、葉茎にはケルセチン、ピネンなどが含まれており、血液凝固促進作用や降圧作用が報告されている。漢方では去風湿、止瀉・消腫の効能があり、脚気、リウマチ、下痢、打撲傷などに用いる。
日本の民間療法として暑気あたりで倒れたときに飲ませる方法が知られている。また虫さされや腫れ物、打撲傷に生の葉の汁や煎じた液で外用する。蓼実には明目、温中、利水の効能があり、胃腸炎の腹痛や顔面浮腫などに用いる。
日本をはじめ北半球に広く分布するタデ科の一年草ヤナギタデ(Polygonum hydropiper)の全草を用いる。果実は蓼実という。河川や湿地など水辺に生え、中国名は水蓼という。
ヤナギタデはホンタデ、マタデとも呼ばれ、一般にタデといえばこのヤナギタデのことである。蓼食う虫も好き好きの名のように、葉は非常に辛くて口の中がタダレルということから、タデの名がある。
奈良・平安時代よりタデは香辛料のひとつとして用いられている。この栽培品種にアオタデ(青蓼)とベニタデ(紅蓼)があり、アオタデの葉をすりつぶして酢と合わせたものを「たで酢」、深紅色のベニタデの芽を「芽たで」といい、さしみのつまとして用いている。
辛味成分はタデオナールやポリゴディアールで、葉茎にはケルセチン、ピネンなどが含まれており、血液凝固促進作用や降圧作用が報告されている。漢方では去風湿、止瀉・消腫の効能があり、脚気、リウマチ、下痢、打撲傷などに用いる。
日本の民間療法として暑気あたりで倒れたときに飲ませる方法が知られている。また虫さされや腫れ物、打撲傷に生の葉の汁や煎じた液で外用する。蓼実には明目、温中、利水の効能があり、胃腸炎の腹痛や顔面浮腫などに用いる。
水曜日, 7月 03, 2013
水揚梅
○水揚梅(すいようばい)
日本の各地や中国に自生しているバラ科の多年草ダイコンソウ(Geum japonicum)の全草を用いる。下葉(根生薬)の形が大根の葉に似ているためダイコンソウという。中国で水揚梅という植物には、このほかアカネ科の植物Adina rubellaがあるが、形や効能は全く別である。
ダイコンソウの成分にはフェノール配糖体のゲインや苦味質のゲウムビターなどが含まれるが、薬理作用は明らかでない。漢方では補気・活血・解毒の効能があり、眩暈やふらつき、四肢倦怠感、インポテンツ、腹痛、月経不順、腫れ物、打撲傷などに用いる。とくに老人の眩暈の治療薬として有名で、頭暈薬の別名がある。
日本の民間では腎性浮腫や夜尿症、糖尿病などに用いる。また生の葉の汁や煎液を腫れ物や打撲傷に外用薬として用いる。ヨーロッパに分布するセイヨウダイコンソウ(G.urbanum)の根にもゲインが含まれ、西洋では胃腸薬や鎮痛薬として利用している。
日本の各地や中国に自生しているバラ科の多年草ダイコンソウ(Geum japonicum)の全草を用いる。下葉(根生薬)の形が大根の葉に似ているためダイコンソウという。中国で水揚梅という植物には、このほかアカネ科の植物Adina rubellaがあるが、形や効能は全く別である。
ダイコンソウの成分にはフェノール配糖体のゲインや苦味質のゲウムビターなどが含まれるが、薬理作用は明らかでない。漢方では補気・活血・解毒の効能があり、眩暈やふらつき、四肢倦怠感、インポテンツ、腹痛、月経不順、腫れ物、打撲傷などに用いる。とくに老人の眩暈の治療薬として有名で、頭暈薬の別名がある。
日本の民間では腎性浮腫や夜尿症、糖尿病などに用いる。また生の葉の汁や煎液を腫れ物や打撲傷に外用薬として用いる。ヨーロッパに分布するセイヨウダイコンソウ(G.urbanum)の根にもゲインが含まれ、西洋では胃腸薬や鎮痛薬として利用している。
火曜日, 7月 02, 2013
水蛭
○水蛭(すいてつ)
日本、中国、朝鮮半島の池や沼に生息するヒルド科のチスイビル(Hirudo mipponia)をはじめ、ウマビル(Whitmania pigra)、チャイロビル(W.acranulata)などをそのまま乾燥したものを用いる。
チスイビルは体長3~5cm、ウマビルは6~13cm、チャイロビルはウマビルよりもやや小さく、いずれも細長い扁平形で前後端に吸盤がある。一般に補足したあと石灰や酒に漬けて殺し、日干しあるいは炙って乾燥する。
ヒルはヨーロッパでは古くから瀉血療法の道具として利用され、20世の初め頃までフランス、ドイツ、オランダ、イタリアなどで盛んに用いられていた。これは生きているヒルを皮膚に吸い付かせて患部の血液を吸収させる単純な方法であり、脳卒中や緑内障、肺結核などの治療に応用されていた。
ヒルの唾液にはヒルジンといわれる抗凝固物質が含まれ、フィブリノーゲンに対するトロンビンの作用を阻止する。ただ乾燥体ではヒルジンは破壊されている。また水蛭にはヒスタミン様物質やヘパリンなども含まれる。
漢方では活血化瘀・通経・消癥の効能があり、瘀血による月経障害、子宮筋腫、打撲傷などに用いる。蓄血証で下腹部が硬く膨張し、月経不順や神経症状の見られるときに大黄・虻虫などと配合する(抵当湯)。肝硬変や結核性腹膜炎、子宮筋腫などがあり、るい痩や食欲不振、皮膚の甲錯などのみられるときに大黄・虻虫・シャ虫などと配合する(大黄シャ虫丸)。
日本、中国、朝鮮半島の池や沼に生息するヒルド科のチスイビル(Hirudo mipponia)をはじめ、ウマビル(Whitmania pigra)、チャイロビル(W.acranulata)などをそのまま乾燥したものを用いる。
チスイビルは体長3~5cm、ウマビルは6~13cm、チャイロビルはウマビルよりもやや小さく、いずれも細長い扁平形で前後端に吸盤がある。一般に補足したあと石灰や酒に漬けて殺し、日干しあるいは炙って乾燥する。
ヒルはヨーロッパでは古くから瀉血療法の道具として利用され、20世の初め頃までフランス、ドイツ、オランダ、イタリアなどで盛んに用いられていた。これは生きているヒルを皮膚に吸い付かせて患部の血液を吸収させる単純な方法であり、脳卒中や緑内障、肺結核などの治療に応用されていた。
ヒルの唾液にはヒルジンといわれる抗凝固物質が含まれ、フィブリノーゲンに対するトロンビンの作用を阻止する。ただ乾燥体ではヒルジンは破壊されている。また水蛭にはヒスタミン様物質やヘパリンなども含まれる。
漢方では活血化瘀・通経・消癥の効能があり、瘀血による月経障害、子宮筋腫、打撲傷などに用いる。蓄血証で下腹部が硬く膨張し、月経不順や神経症状の見られるときに大黄・虻虫などと配合する(抵当湯)。肝硬変や結核性腹膜炎、子宮筋腫などがあり、るい痩や食欲不振、皮膚の甲錯などのみられるときに大黄・虻虫・シャ虫などと配合する(大黄シャ虫丸)。
月曜日, 7月 01, 2013
水仙根
○水仙根(すいせんこん)
地中海沿岸に分布し、ギリシャ、中国を経て、日本に渡来したヒガンバナ科の多年草スイセン(Narcissus tazetta)の鱗茎を用いる。また花は水仙花という。ニホンズイセンはフサザキスイセンの変種といわれ、現在では伊豆や淡路島、越前海岸などの海岸部に大群落をなして野生化している。
根はヒガンバナ(石蒜)と同様に有毒であるリコリンやプソイドリコリンなどのアルカロイドを含み、誤って食べると嘔吐や腹痛をおこし、ひどければ痙攣や昏睡に陥り、死に至る。催吐薬として用いたこともあるが、内服しないほうがよい。
薬用には生の鱗茎を金属以外のおろし器ですりおろし、その汁を腫れ物や筋肉痛に外用する。とくに乳腺炎の腫れ物に効果がある。水仙花には芳香性の精油としてオイゲノール、リナロールなどが含まれ、活血薬として生理痛や月経不順に用いる。
地中海沿岸に分布し、ギリシャ、中国を経て、日本に渡来したヒガンバナ科の多年草スイセン(Narcissus tazetta)の鱗茎を用いる。また花は水仙花という。ニホンズイセンはフサザキスイセンの変種といわれ、現在では伊豆や淡路島、越前海岸などの海岸部に大群落をなして野生化している。
根はヒガンバナ(石蒜)と同様に有毒であるリコリンやプソイドリコリンなどのアルカロイドを含み、誤って食べると嘔吐や腹痛をおこし、ひどければ痙攣や昏睡に陥り、死に至る。催吐薬として用いたこともあるが、内服しないほうがよい。
薬用には生の鱗茎を金属以外のおろし器ですりおろし、その汁を腫れ物や筋肉痛に外用する。とくに乳腺炎の腫れ物に効果がある。水仙花には芳香性の精油としてオイゲノール、リナロールなどが含まれ、活血薬として生理痛や月経不順に用いる。
土曜日, 6月 29, 2013
水菖蒲
○水菖蒲(すいしょうぶ)
日本をはじめ中国、東アジア、インドに分布し、池や沼などの水辺や水中に自生するサトイモ科の多年草ショウブ(Acorus calamus)の根茎を用いる。日本では菖蒲根という。
同じサトイモ科でよく似た植物にセキショウがあり、生薬名を石菖蒲というが、中国で菖蒲といえばセキショウのことである。ショウブには芳香があり、古くから魔除けや邪気払いなどに利用され、端午の節句に葉を菖蒲湯とする風習がある。
精油成分にはアサロンやオイゲノールなどが含まれ、鎮痛、鎮静、珍痙、健胃、去痰作用などが認められている。漢方では芳香開竅薬のひとつで開竅・去痰・化湿・解毒の効能があり、高熱時の意識障害や湿疹、癲癇あるいは健忘症や精神病などに用いられるほか、腹痛や下痢、関節痛、打撲傷、腫れ物、気管支炎にも用いる。
煎じた液や粉末にして服用するほか、腫れ物に煎液を塗布したり、歯痛にも粉末をすりこんだりする。日本の民間療法でも胃炎、発熱、ひきつけ、創傷、リウマチなどの治療に根を煎じたものややろしたものが利用されている。また打ち身には根をおろして患部にすり込む。
しかし煎剤の服用でしばしば悪心や嘔吐を催すため、最近はあまり用いられていない。この服作用は新しいほど起こりやすいので、1年以上たったものや、粉末を用いるほうがよい。ヨーロッパではショウブの根茎はカラムスと呼ばれ、食欲不振や消化不良の治療に、北米では呼吸器症状の治療に用いられている。またアロマオイルではスイートフラッグ(sweetflag)とも呼ばれている。
日本をはじめ中国、東アジア、インドに分布し、池や沼などの水辺や水中に自生するサトイモ科の多年草ショウブ(Acorus calamus)の根茎を用いる。日本では菖蒲根という。
同じサトイモ科でよく似た植物にセキショウがあり、生薬名を石菖蒲というが、中国で菖蒲といえばセキショウのことである。ショウブには芳香があり、古くから魔除けや邪気払いなどに利用され、端午の節句に葉を菖蒲湯とする風習がある。
精油成分にはアサロンやオイゲノールなどが含まれ、鎮痛、鎮静、珍痙、健胃、去痰作用などが認められている。漢方では芳香開竅薬のひとつで開竅・去痰・化湿・解毒の効能があり、高熱時の意識障害や湿疹、癲癇あるいは健忘症や精神病などに用いられるほか、腹痛や下痢、関節痛、打撲傷、腫れ物、気管支炎にも用いる。
煎じた液や粉末にして服用するほか、腫れ物に煎液を塗布したり、歯痛にも粉末をすりこんだりする。日本の民間療法でも胃炎、発熱、ひきつけ、創傷、リウマチなどの治療に根を煎じたものややろしたものが利用されている。また打ち身には根をおろして患部にすり込む。
しかし煎剤の服用でしばしば悪心や嘔吐を催すため、最近はあまり用いられていない。この服作用は新しいほど起こりやすいので、1年以上たったものや、粉末を用いるほうがよい。ヨーロッパではショウブの根茎はカラムスと呼ばれ、食欲不振や消化不良の治療に、北米では呼吸器症状の治療に用いられている。またアロマオイルではスイートフラッグ(sweetflag)とも呼ばれている。
水曜日, 6月 26, 2013
水銀
○水銀(すいぎん)
常温で液体金属の水銀(Hg)を用いる。おもに天然の赤い辰砂鉱(HgS)を煉製するが、一部は天然水銀からとるものもある。古くから知られた金属のひとつであり、汞とは水銀のことを表す。水銀化合物の朱砂、霊砂、軽粉なども漢方では薬用にする。
水銀には消毒、利尿、瀉下の作用があり、塩化第二水銀の昇汞は殺菌消毒薬として、有機水銀のマーキュロクロム(赤チン)は傷の消毒薬として知られている。かつて甘汞(塩化第一水銀)は緩下、利尿薬として、水銀注射は駆梅剤として、水銀軟膏は梅毒、毛虱、の塗布駆虫剤として、そのほか農薬としても使われていた。しかし、水銀の毒性により、今日ではほとんど姿を消している。
一般に無機水銀はわずかして腸管から吸収されないが、有機水銀はほとんど吸収される。無機水銀を摂取すると腹痛や下痢、嘔吐、疲労感、腎障害などの急性中毒や水銀蒸気による気管支炎、肺炎などが現れる。また慢性の水銀中毒では口内炎、貧血や白血球減少、肝障害、腎障害、消化不良、さらには知覚喪失、精神異常などの神経症状を生じる。有機水銀中毒として水俣病がよく知られている。
かつて中国の神仙家は朱色の辰砂から白く輝く水銀に、さらに白色の塩化水銀や黒色の酸化水銀に変化することに象徴的な意味を起き、不老不死の薬を求める錬丹術にしばしば水銀を用いた。このため錬丹術の流行した唐代には皇帝6人が丹を飲んで死んだといわれている。
近年、内服薬に水銀を用いることはないが、かつて脚気衝心や脳卒中で危篤の時には黒錫と配合した黒錫丹や養生丹が用いられたり、浮腫や梅毒に水銀を配合したものを薫じて鼻から入れる方法もあった。また油脂とよく混ざるので外用薬として用いられ、疥癬や真菌症など皮膚疾患の治療に応用され、とくに梅毒による悪瘡にしばしば用いられた(神水膏)。
常温で液体金属の水銀(Hg)を用いる。おもに天然の赤い辰砂鉱(HgS)を煉製するが、一部は天然水銀からとるものもある。古くから知られた金属のひとつであり、汞とは水銀のことを表す。水銀化合物の朱砂、霊砂、軽粉なども漢方では薬用にする。
水銀には消毒、利尿、瀉下の作用があり、塩化第二水銀の昇汞は殺菌消毒薬として、有機水銀のマーキュロクロム(赤チン)は傷の消毒薬として知られている。かつて甘汞(塩化第一水銀)は緩下、利尿薬として、水銀注射は駆梅剤として、水銀軟膏は梅毒、毛虱、の塗布駆虫剤として、そのほか農薬としても使われていた。しかし、水銀の毒性により、今日ではほとんど姿を消している。
一般に無機水銀はわずかして腸管から吸収されないが、有機水銀はほとんど吸収される。無機水銀を摂取すると腹痛や下痢、嘔吐、疲労感、腎障害などの急性中毒や水銀蒸気による気管支炎、肺炎などが現れる。また慢性の水銀中毒では口内炎、貧血や白血球減少、肝障害、腎障害、消化不良、さらには知覚喪失、精神異常などの神経症状を生じる。有機水銀中毒として水俣病がよく知られている。
かつて中国の神仙家は朱色の辰砂から白く輝く水銀に、さらに白色の塩化水銀や黒色の酸化水銀に変化することに象徴的な意味を起き、不老不死の薬を求める錬丹術にしばしば水銀を用いた。このため錬丹術の流行した唐代には皇帝6人が丹を飲んで死んだといわれている。
近年、内服薬に水銀を用いることはないが、かつて脚気衝心や脳卒中で危篤の時には黒錫と配合した黒錫丹や養生丹が用いられたり、浮腫や梅毒に水銀を配合したものを薫じて鼻から入れる方法もあった。また油脂とよく混ざるので外用薬として用いられ、疥癬や真菌症など皮膚疾患の治療に応用され、とくに梅毒による悪瘡にしばしば用いられた(神水膏)。
火曜日, 6月 25, 2013
水牛角
○水牛角(すいぎゅうかく)
中国南部、東南アジアなどで飼育されているウシ科のスイギュウ(Bubalus bubalis)の角を用いる。黒褐色の湾曲した中空の角で、基部は方形~三角形になっている。
成分は犀角とほぼ同じであり、水牛角にも強心作用、血液凝固時間短縮作用、鎮静作用などがある。漢方では清熱涼血・解毒の効能があり、発熱時の頭痛、意識障害、熱性痙攣、出血症状、紫斑などに用いる。サイの捕獲がワシントン条約により禁止されているため、犀角の代用として使用されることが多い。
中国南部、東南アジアなどで飼育されているウシ科のスイギュウ(Bubalus bubalis)の角を用いる。黒褐色の湾曲した中空の角で、基部は方形~三角形になっている。
成分は犀角とほぼ同じであり、水牛角にも強心作用、血液凝固時間短縮作用、鎮静作用などがある。漢方では清熱涼血・解毒の効能があり、発熱時の頭痛、意識障害、熱性痙攣、出血症状、紫斑などに用いる。サイの捕獲がワシントン条約により禁止されているため、犀角の代用として使用されることが多い。
月曜日, 6月 24, 2013
蕤核
○蕤核(ずいかく)
中国の内モンゴル自治区、山西・甘粛・河南省などに分布するバラ科の落葉低木、プリンセピア・ウニフローラ(Prinsepia uniflora)の成熟した果実の種子(核果)を用いる。
7~8月頃に直径1~1.5cmくらいの球形の果実がなり、黒く熟す。熟した果実を摘みとり、果肉を除いて核果を取り出して乾燥する。使用するときには割って内果皮を除いて心臓形の種仁を用いる。
種仁は脂肪油を多く含む。漢方では明目の効能があり、目の炎症や鼻血、不眠に用いる。眼病の要薬といわれ、結膜炎などで目が赤く腫れたり、涙や眼脂の出るときに用いる。内服にも用いるが、おもに点眼薬として外用する。外用には油分を除いて練って膏として点眼薬にしたり、煎液を眼洗浄に用いる。
中国の内モンゴル自治区、山西・甘粛・河南省などに分布するバラ科の落葉低木、プリンセピア・ウニフローラ(Prinsepia uniflora)の成熟した果実の種子(核果)を用いる。
7~8月頃に直径1~1.5cmくらいの球形の果実がなり、黒く熟す。熟した果実を摘みとり、果肉を除いて核果を取り出して乾燥する。使用するときには割って内果皮を除いて心臓形の種仁を用いる。
種仁は脂肪油を多く含む。漢方では明目の効能があり、目の炎症や鼻血、不眠に用いる。眼病の要薬といわれ、結膜炎などで目が赤く腫れたり、涙や眼脂の出るときに用いる。内服にも用いるが、おもに点眼薬として外用する。外用には油分を除いて練って膏として点眼薬にしたり、煎液を眼洗浄に用いる。
金曜日, 6月 21, 2013
酢
○酢(す)
米、麦、高梁などの穀物や酒などを醸造して得られる酢酸を含む酸性の液体、酢のことである。醸造酢の作り方は、穀物などのデンプンや糖分原料を糖化し、アルコール発酵させた後、酢酸菌によって酢酸発酵させて作るものである。
酢は酸拝した酒が起源と考えられ、かつて中国では苦酒と呼ばれ、日本でも「からさけ」といわれていた。紀元前5000年頃にバビロニアで樹液や果汁から酒やビネガーをつくったという記載があり、中国では周の時代に酢を司る役人がいたということが周札に書かれている。
日本には応神天皇の時代、約5世紀のころには中国から酢の製法が伝えられていたといわれてる。米酢などの成分として酢酸(3~5%)、フマル酸、蟻酸、乳酸、コハク酸、クエン酸などの有機酸のほか、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンなどのアミノ酸、糖類などを含み、複雑な酸味や香気がある。酢はその酸によって細菌類のタンパク質を変成させる性質があるため、殺菌作用や防腐作用があり、酢洗い、酢漬け、酢じめなどの料理方法に応用されたり、夏の食品保存にも利用される。
また酸味はストレスを和らげ、酸味の刺激により、胃液の分泌を高め、食欲を増進させる。胃酸分泌の低下しているときには、胃酸の代わりにペプシンなどの消化酵素を活性化させ、タンパク質の消化を促進すると同時に、食物中の雑菌を殺す。
酸味の感じ方は感情の変化を受けやすく、ストレスや情緒不安定の時には酸味の感覚が鈍るといわれる。また妊娠している人も酸味に対する味覚が鈍るため、酸味の強いものを好むようになる。また高血圧や動脈硬化の予防、水虫などの白癬菌に対する治療効果なども知られている。
漢方では肝胃に入り、活血・止血・解毒の効能があり、産後のめまい、黄疸、盗汗、鼻血や吐下血、腫れ物などに用いる。咽に炎症があり、声が出にくいときには半夏と醋を卵殻の中に入れて沸騰させたものを冷やして服用する(半夏苦酒湯)。また金匱要略の中に黄汗の治療に黄耆・芍薬・桂枝を苦酒と水を混和した液で煎じる方法がある(黄耆芍薬桂枝苦酒湯)。腫れ物には大黄の粉末を酢で調えて塗布する。ちなみに薬用には古いほどよいといわれている。
近年、鹿児島県の福山町などで伝統的に作られてきた黒酢が注目されている。黒酢は玄米を原料として陶製の壺(アマン壺)の中で1年以上にわたって糖化・発酵させて熟成したもので、一般の米酢に比較するとアミノ酸の含有量が著しく多いという特徴がある。また、中国の鎮江でもち米を長期に熟成させて作られる香酢(香醋)。沖縄県で泡盛の製造過程でできるもろみを原料にしたもろみ酢なども健康食品として登場している。
米、麦、高梁などの穀物や酒などを醸造して得られる酢酸を含む酸性の液体、酢のことである。醸造酢の作り方は、穀物などのデンプンや糖分原料を糖化し、アルコール発酵させた後、酢酸菌によって酢酸発酵させて作るものである。
酢は酸拝した酒が起源と考えられ、かつて中国では苦酒と呼ばれ、日本でも「からさけ」といわれていた。紀元前5000年頃にバビロニアで樹液や果汁から酒やビネガーをつくったという記載があり、中国では周の時代に酢を司る役人がいたということが周札に書かれている。
日本には応神天皇の時代、約5世紀のころには中国から酢の製法が伝えられていたといわれてる。米酢などの成分として酢酸(3~5%)、フマル酸、蟻酸、乳酸、コハク酸、クエン酸などの有機酸のほか、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンなどのアミノ酸、糖類などを含み、複雑な酸味や香気がある。酢はその酸によって細菌類のタンパク質を変成させる性質があるため、殺菌作用や防腐作用があり、酢洗い、酢漬け、酢じめなどの料理方法に応用されたり、夏の食品保存にも利用される。
また酸味はストレスを和らげ、酸味の刺激により、胃液の分泌を高め、食欲を増進させる。胃酸分泌の低下しているときには、胃酸の代わりにペプシンなどの消化酵素を活性化させ、タンパク質の消化を促進すると同時に、食物中の雑菌を殺す。
酸味の感じ方は感情の変化を受けやすく、ストレスや情緒不安定の時には酸味の感覚が鈍るといわれる。また妊娠している人も酸味に対する味覚が鈍るため、酸味の強いものを好むようになる。また高血圧や動脈硬化の予防、水虫などの白癬菌に対する治療効果なども知られている。
漢方では肝胃に入り、活血・止血・解毒の効能があり、産後のめまい、黄疸、盗汗、鼻血や吐下血、腫れ物などに用いる。咽に炎症があり、声が出にくいときには半夏と醋を卵殻の中に入れて沸騰させたものを冷やして服用する(半夏苦酒湯)。また金匱要略の中に黄汗の治療に黄耆・芍薬・桂枝を苦酒と水を混和した液で煎じる方法がある(黄耆芍薬桂枝苦酒湯)。腫れ物には大黄の粉末を酢で調えて塗布する。ちなみに薬用には古いほどよいといわれている。
近年、鹿児島県の福山町などで伝統的に作られてきた黒酢が注目されている。黒酢は玄米を原料として陶製の壺(アマン壺)の中で1年以上にわたって糖化・発酵させて熟成したもので、一般の米酢に比較するとアミノ酸の含有量が著しく多いという特徴がある。また、中国の鎮江でもち米を長期に熟成させて作られる香酢(香醋)。沖縄県で泡盛の製造過程でできるもろみを原料にしたもろみ酢なども健康食品として登場している。
木曜日, 6月 20, 2013
秦皮
○秦皮(しんぴ)
日本の本州中部以北に自生するモクセイ科の落葉高木トネリコ(Fraxinus japonica)などの樹皮を用いる。中国ではオオトネリコ(F.rhynchophylla)やヒメトネリコ(F.bungeana)などの樹皮を用いる。
これらの幹や皮にイボタロウムシが白色の蠟を分泌することから白蠟樹の名があり、これを練ったもので戸のすべりをよくしたことから、戸ねり粉という語源説もある。市場にはクルミ科のヒメグルミの樹皮も秦皮として出ているが、適当ではない。
秦皮にはクマリン類のエスクリンやエスクレチン、タンニンなどが含まれ、エスクリンのために切り口を水をつけると水は青い蛍光をする。薬理的には消炎、鎮痛、尿酸排泄作用が知られている。
漢方では止瀉・清熱燥湿・明目の効能があり、下痢、帯下、目の充血などに用いる。裏急後重を伴う細菌性下痢には白頭翁や黄連・黄柏と配合する(白頭翁湯)。目の充血に秦皮の煎液で洗眼したり、目の痛みには菊花や黄連と配合して服用する。ヨーロッパや北アジアに分布する近似種のセイヨウトリネコ(F.excelsior)は通風の治療薬として知られている。
日本の本州中部以北に自生するモクセイ科の落葉高木トネリコ(Fraxinus japonica)などの樹皮を用いる。中国ではオオトネリコ(F.rhynchophylla)やヒメトネリコ(F.bungeana)などの樹皮を用いる。
これらの幹や皮にイボタロウムシが白色の蠟を分泌することから白蠟樹の名があり、これを練ったもので戸のすべりをよくしたことから、戸ねり粉という語源説もある。市場にはクルミ科のヒメグルミの樹皮も秦皮として出ているが、適当ではない。
秦皮にはクマリン類のエスクリンやエスクレチン、タンニンなどが含まれ、エスクリンのために切り口を水をつけると水は青い蛍光をする。薬理的には消炎、鎮痛、尿酸排泄作用が知られている。
漢方では止瀉・清熱燥湿・明目の効能があり、下痢、帯下、目の充血などに用いる。裏急後重を伴う細菌性下痢には白頭翁や黄連・黄柏と配合する(白頭翁湯)。目の充血に秦皮の煎液で洗眼したり、目の痛みには菊花や黄連と配合して服用する。ヨーロッパや北アジアに分布する近似種のセイヨウトリネコ(F.excelsior)は通風の治療薬として知られている。
水曜日, 6月 19, 2013
人尿
○人尿(じんにょう)
健康人の小便の中間尿を用いる。とくに10歳以下の男子の小便を童便といい、良品とされている。また妊娠2~3ヶ月の健康な妊婦の尿を妊娠尿として用いることもある。
用法は新鮮な尿をそのまま1~2杯飲むか、薬湯に混ぜて飲む。成分は電解質や尿素、硫酸、尿酸、アンモニアなどのほかビタミンやホルモンも含まれる。妊娠尿では2ヶ月前後に尿中HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の含量が最も多くなる。妊娠尿は尋常性乾癬に効果があるという報告もある。
漢方では滋陰清熱・止血・活血化瘀の作用があり、結核などの発熱や喀血、高齢者や病後の衰弱に用いる。傷寒論では下痢で陰液まで損なわれたときに白通湯に猪胆汁とともに人尿を配合する。
古くから世界各地に民間療法として自分が排泄した尿を飲む飲尿療法が行われている。かつてヨーロッパで歯磨き粉や口腔洗浄液の原料として人尿が利用されていたといわれている。また人尿を癌治療に応用する試みも行われており、中国で人尿から抗癌作用がある成分が抽出されたとの発表もある(CDA-Ⅱ)。
今日、医薬品として人尿から血栓溶解剤のウロキナーゼや酵素阻害剤のウリナスタチンが抽出精製されている。また尿中の沈殿物が便器に付着したものを人中白、童尿と石膏で加工したものを秋石という。
健康人の小便の中間尿を用いる。とくに10歳以下の男子の小便を童便といい、良品とされている。また妊娠2~3ヶ月の健康な妊婦の尿を妊娠尿として用いることもある。
用法は新鮮な尿をそのまま1~2杯飲むか、薬湯に混ぜて飲む。成分は電解質や尿素、硫酸、尿酸、アンモニアなどのほかビタミンやホルモンも含まれる。妊娠尿では2ヶ月前後に尿中HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の含量が最も多くなる。妊娠尿は尋常性乾癬に効果があるという報告もある。
漢方では滋陰清熱・止血・活血化瘀の作用があり、結核などの発熱や喀血、高齢者や病後の衰弱に用いる。傷寒論では下痢で陰液まで損なわれたときに白通湯に猪胆汁とともに人尿を配合する。
古くから世界各地に民間療法として自分が排泄した尿を飲む飲尿療法が行われている。かつてヨーロッパで歯磨き粉や口腔洗浄液の原料として人尿が利用されていたといわれている。また人尿を癌治療に応用する試みも行われており、中国で人尿から抗癌作用がある成分が抽出されたとの発表もある(CDA-Ⅱ)。
今日、医薬品として人尿から血栓溶解剤のウロキナーゼや酵素阻害剤のウリナスタチンが抽出精製されている。また尿中の沈殿物が便器に付着したものを人中白、童尿と石膏で加工したものを秋石という。
火曜日, 6月 18, 2013
沈丁花
○沈丁花(じんちょうげ)
中国原産のジンチョウゲ科の常緑低木ジンチョウゲ(Daphne odora)の花を用いる。中国では宋の時代から栽培されているが、今日では栽培種ばかりで、自生種は発見されない。日本に渡来した年代は不明であるが、室町時代にはすでに栽培されていたという。
早春に芳香の強い花をつけるため、中国では瑞香と呼ばれている。また沈丁花という和名は沈香と丁香をあわせた匂いの花という意味である。ただし花弁のように見えるのは萼である。
花や葉にはクマリン類のダフニン、ウンベリフェロンなどが含まれる。民間療法では利咽・止痛の効能があり、咽頭の腫痛や歯痛にうがいや、内服薬として用いる。また中国では乳癌の初期に外用したり、リウマチの痛みに内服する民間療法もある。日本にも花や葉の煎じ汁で、腫れ物を洗う治療法がある。
中国原産のジンチョウゲ科の常緑低木ジンチョウゲ(Daphne odora)の花を用いる。中国では宋の時代から栽培されているが、今日では栽培種ばかりで、自生種は発見されない。日本に渡来した年代は不明であるが、室町時代にはすでに栽培されていたという。
早春に芳香の強い花をつけるため、中国では瑞香と呼ばれている。また沈丁花という和名は沈香と丁香をあわせた匂いの花という意味である。ただし花弁のように見えるのは萼である。
花や葉にはクマリン類のダフニン、ウンベリフェロンなどが含まれる。民間療法では利咽・止痛の効能があり、咽頭の腫痛や歯痛にうがいや、内服薬として用いる。また中国では乳癌の初期に外用したり、リウマチの痛みに内服する民間療法もある。日本にも花や葉の煎じ汁で、腫れ物を洗う治療法がある。
月曜日, 6月 17, 2013
人中白
○人中白(じんちゅうはく)
人尿が自然に沈殿して固まってものを人中白という。
便器などの内側に長年に渡って凝固したものを削り取って夾雑物を除いて乾燥する。尿を放置しておくと尿中のpHが酸性からアルカリ性へと変化し、酸性のときには尿酸、尿酸塩、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが、アルカリ性のときには炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、尿酸アンモニウムなどが沈殿する。人中白の主成分はリン酸カルシウムと尿酸カルシウムである。
漢方では清熱解毒・止血の効能があり、結核などの消耗熱や喀血、鼻出血、口内炎などに用いる。咽頭腫痛や口内炎には黄連・黄柏・竜脳などの粉末と混ぜて口中に吹きつける。一般には粉末を外用にして用いることが多い。また尿と石膏を混ぜて固めたものは秋石という。
人尿が自然に沈殿して固まってものを人中白という。
便器などの内側に長年に渡って凝固したものを削り取って夾雑物を除いて乾燥する。尿を放置しておくと尿中のpHが酸性からアルカリ性へと変化し、酸性のときには尿酸、尿酸塩、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが、アルカリ性のときには炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、尿酸アンモニウムなどが沈殿する。人中白の主成分はリン酸カルシウムと尿酸カルシウムである。
漢方では清熱解毒・止血の効能があり、結核などの消耗熱や喀血、鼻出血、口内炎などに用いる。咽頭腫痛や口内炎には黄連・黄柏・竜脳などの粉末と混ぜて口中に吹きつける。一般には粉末を外用にして用いることが多い。また尿と石膏を混ぜて固めたものは秋石という。
土曜日, 6月 15, 2013
人中黄
○人中黄(じんちゅうおう)
甘草の粉末を竹の筒に入れ、人の便壺の中に浸してできたものを用いる。荒く挽いた甘草の粉末を節のある竹筒に入れ、もう一方を布で堅く塞ぎ、これを人糞の溜まった便器の澄んだ液の中に冬季の2~3ヶ月間漬け、取り出し後、臭いがなくなるまで日干しにする。薬材は暗黄色の円柱形をしたやや固い甘草の塊である。
漢方では清熱解毒の効能があり、高熱や斑疹のある急性伝染病や丹毒、咽頭痛、腫れ物に用いる。温疫などの熱病には黄連・黄芩などと配合する(人中黄丸)。
甘草の粉末を竹の筒に入れ、人の便壺の中に浸してできたものを用いる。荒く挽いた甘草の粉末を節のある竹筒に入れ、もう一方を布で堅く塞ぎ、これを人糞の溜まった便器の澄んだ液の中に冬季の2~3ヶ月間漬け、取り出し後、臭いがなくなるまで日干しにする。薬材は暗黄色の円柱形をしたやや固い甘草の塊である。
漢方では清熱解毒の効能があり、高熱や斑疹のある急性伝染病や丹毒、咽頭痛、腫れ物に用いる。温疫などの熱病には黄連・黄芩などと配合する(人中黄丸)。
木曜日, 6月 13, 2013
真珠
○真珠(しんじゅ)
ウグイスガイ科やイシガイ科などの貝の体内にできる球体を真珠あるいは珍珠といい、その貝殻の真珠層を珍珠母という。日本ではウグイスガイ科のアコヤガイ(Pinctada fucata martensii)が養殖真珠として有名であるが、真珠は海水産のシロチョウガイ(P.maximz)、クロチョウガイ(P.margaritifera)、淡水産でもイシガイ科のカワシンジュガイ(Margaritifera laevis)などにできることがある。
養殖品も天然品も市場に出ているが、装飾用にならないシジミ真珠を薬用にしている。貝川の内部にある外套膜が、異物にも膜の層を形成し、球状の真珠を作る。このため真珠の成分は、母貝も真珠層と同じで、ほとんどが炭酸カルシウム(CaCo3)で、有機物としていくつかのアミノ酸も含んでいる。養殖真珠では核に貝殻を用い、真珠の大部分は核である。
薬理的には抗ヒスタミン作用などが知られている。漢方では安神・定驚・清熱・解毒・除翳・収斂生肌の効能があり、心肝の火を清して動悸や痙攣、目の混濁に用いる。
動悸や心悸亢進には単独で、高熱による痙攣には犀角あるいは石膏などと配合する。消化性潰瘍には単独で用いて胃酸を中和する。また口内炎や咽頭の腫痛に牛黄と配合する(珠黄散)。また結膜炎には内服し、角膜混濁には点眼薬として外用する。さらに傷口の治癒促進や化膿症に外用する。
珍珠母には平肝潜陽・明目安神・止血の効能があり、安神・定驚作用は真珠よりも弱いが、肝陽上升による眩暈、頭痛、動悸、不眠、鼻血や性器出血に用いる(安神補心丸)。なお古くから真珠の配合された化粧品、珍珠霜(パールクリーム)などが市販されているが、近年、真珠に含まれるコンキオリンというポリペプチドに保湿効果や皮膚細胞の活性効果が認められ、アンチエイジング効果も期待されている。
ウグイスガイ科やイシガイ科などの貝の体内にできる球体を真珠あるいは珍珠といい、その貝殻の真珠層を珍珠母という。日本ではウグイスガイ科のアコヤガイ(Pinctada fucata martensii)が養殖真珠として有名であるが、真珠は海水産のシロチョウガイ(P.maximz)、クロチョウガイ(P.margaritifera)、淡水産でもイシガイ科のカワシンジュガイ(Margaritifera laevis)などにできることがある。
養殖品も天然品も市場に出ているが、装飾用にならないシジミ真珠を薬用にしている。貝川の内部にある外套膜が、異物にも膜の層を形成し、球状の真珠を作る。このため真珠の成分は、母貝も真珠層と同じで、ほとんどが炭酸カルシウム(CaCo3)で、有機物としていくつかのアミノ酸も含んでいる。養殖真珠では核に貝殻を用い、真珠の大部分は核である。
薬理的には抗ヒスタミン作用などが知られている。漢方では安神・定驚・清熱・解毒・除翳・収斂生肌の効能があり、心肝の火を清して動悸や痙攣、目の混濁に用いる。
動悸や心悸亢進には単独で、高熱による痙攣には犀角あるいは石膏などと配合する。消化性潰瘍には単独で用いて胃酸を中和する。また口内炎や咽頭の腫痛に牛黄と配合する(珠黄散)。また結膜炎には内服し、角膜混濁には点眼薬として外用する。さらに傷口の治癒促進や化膿症に外用する。
珍珠母には平肝潜陽・明目安神・止血の効能があり、安神・定驚作用は真珠よりも弱いが、肝陽上升による眩暈、頭痛、動悸、不眠、鼻血や性器出血に用いる(安神補心丸)。なお古くから真珠の配合された化粧品、珍珠霜(パールクリーム)などが市販されているが、近年、真珠に含まれるコンキオリンというポリペプチドに保湿効果や皮膚細胞の活性効果が認められ、アンチエイジング効果も期待されている。
水曜日, 6月 12, 2013
鍼砂
○鍼砂(しんしゃ)
鋼鍼を製造するときに削り落とされた鉄屑を用いる。主成分は鉄であり、酸化鉄や炭素、リン、ケイ素、硫黄なども含まれる。鉄は一般に吸収されにくいが、一部は胃酸の作用で塩化第一鉄となり、小腸上部で吸収される。
西洋で鉄が貧血の治療に有効であることが知られたのは17世紀のことである。近年まで硫酸鉄や塩化第一鉄などの還元鉄が用いられていたが胃腸障害が起こりやすく、現在では除法性鉄剤や有機酸鉄、有機鉄(ヘム鉄)がおもに用いられている。
漢方では補血・利水の効能があり、血虚黄胖や浮腫の治療に用いる。貧血に伴う動悸、眩暈、呼吸困難、浮腫などの症状に苓桂朮甘湯に鍼砂・牡蠣・人参を加える(鍼砂湯)。
鋼鍼を製造するときに削り落とされた鉄屑を用いる。主成分は鉄であり、酸化鉄や炭素、リン、ケイ素、硫黄なども含まれる。鉄は一般に吸収されにくいが、一部は胃酸の作用で塩化第一鉄となり、小腸上部で吸収される。
西洋で鉄が貧血の治療に有効であることが知られたのは17世紀のことである。近年まで硫酸鉄や塩化第一鉄などの還元鉄が用いられていたが胃腸障害が起こりやすく、現在では除法性鉄剤や有機酸鉄、有機鉄(ヘム鉄)がおもに用いられている。
漢方では補血・利水の効能があり、血虚黄胖や浮腫の治療に用いる。貧血に伴う動悸、眩暈、呼吸困難、浮腫などの症状に苓桂朮甘湯に鍼砂・牡蠣・人参を加える(鍼砂湯)。
火曜日, 6月 11, 2013
沈香
○沈香(じんこう)
台湾や中国南部、東南アジアに分布するジンチョウゲ科の常緑高木ジンコウ(Aquilaria agallocha)の樹脂を含んだ木材を用いる。古来より、有名な香木として知られ、良質のものは比重が大きく水に沈むために沈香あるいは沈水木という名がある。
ジンコウは生木に芳香性の樹脂が含まれているではなく、切株の損傷部や枯死した後に自然と集まってくる樹脂である。また木材が倒れて土中に長い期間埋まり、腐敗した後に樹脂を含んだ部分だけが残ることがあり、これを珍重する。最近では、幹に人工的に傷をつけて樹脂を分泌させたり、木材を10年以上土中に埋めて腐らせて沈降を採取する方法が用いられている。
黒色の最良品を伽羅木とか奇楠木というが、漢方では伽南香とも称されている。日本には推古天皇の時代に沈水という香木が淡路島に漂着したことが記録されており、また正倉院には黄熟香と全桟香といわれる2種類の沈香が収蔵されている。この黄熟香は蘭奢待と呼ばれ、最高級の沈香といわれている。
沈香を燃やすと独特の甘い芳香を放つため、燻香料として材を粉末にしたものが練り香や線香の中に入れられている。仏教をはじめとする宗教儀式や香道には不可欠のものである。
芳香の精油成分はベンジルアセトン、P-メトキシベンジルアセトン、高級テルペンアンコールなどがあり、そのほかにヒドロケイヒ酸やアガロスピロールなどが含まれる。精油には鎮静作用が、煎液には抗菌作用が報告されている。
漢方では降気・止痛・止嘔・平喘の効能があり、体内を温めて痛みや吐き気を止め、腎気を補い、喘息を治す作用がある。たとえば下腹部痛や嘔吐、しゃっくり、便秘、気管支喘息、インポテンツなどに用いる。
胸が苦しく、煩悶して食欲不振や喘息などの見られるときには人参・烏薬などと配合する(四磨飲)。気が滞って大便が秘結するときに大腹皮・蘇葉などと配合する(三脘中湯)。四肢の冷えるときには紫蘇子・乾姜などと配合する(喘理中湯)。小児の疳の虫に用いる樋屋奇応丸や急病の際に用いる気付け薬の万病感応丸などの家庭薬にも配合されている。
近年、人口の葉(沈香葉)に含まれるゲンクワニン配糖体が、アセチルコリンの分泌を促し、腸の蠕動運動を促進して排便を促すことが報告されて注目されている。ただし、沈香の取引はワシントン条約などで制約されているため、一般には入手困難である。
台湾や中国南部、東南アジアに分布するジンチョウゲ科の常緑高木ジンコウ(Aquilaria agallocha)の樹脂を含んだ木材を用いる。古来より、有名な香木として知られ、良質のものは比重が大きく水に沈むために沈香あるいは沈水木という名がある。
ジンコウは生木に芳香性の樹脂が含まれているではなく、切株の損傷部や枯死した後に自然と集まってくる樹脂である。また木材が倒れて土中に長い期間埋まり、腐敗した後に樹脂を含んだ部分だけが残ることがあり、これを珍重する。最近では、幹に人工的に傷をつけて樹脂を分泌させたり、木材を10年以上土中に埋めて腐らせて沈降を採取する方法が用いられている。
黒色の最良品を伽羅木とか奇楠木というが、漢方では伽南香とも称されている。日本には推古天皇の時代に沈水という香木が淡路島に漂着したことが記録されており、また正倉院には黄熟香と全桟香といわれる2種類の沈香が収蔵されている。この黄熟香は蘭奢待と呼ばれ、最高級の沈香といわれている。
沈香を燃やすと独特の甘い芳香を放つため、燻香料として材を粉末にしたものが練り香や線香の中に入れられている。仏教をはじめとする宗教儀式や香道には不可欠のものである。
芳香の精油成分はベンジルアセトン、P-メトキシベンジルアセトン、高級テルペンアンコールなどがあり、そのほかにヒドロケイヒ酸やアガロスピロールなどが含まれる。精油には鎮静作用が、煎液には抗菌作用が報告されている。
漢方では降気・止痛・止嘔・平喘の効能があり、体内を温めて痛みや吐き気を止め、腎気を補い、喘息を治す作用がある。たとえば下腹部痛や嘔吐、しゃっくり、便秘、気管支喘息、インポテンツなどに用いる。
胸が苦しく、煩悶して食欲不振や喘息などの見られるときには人参・烏薬などと配合する(四磨飲)。気が滞って大便が秘結するときに大腹皮・蘇葉などと配合する(三脘中湯)。四肢の冷えるときには紫蘇子・乾姜などと配合する(喘理中湯)。小児の疳の虫に用いる樋屋奇応丸や急病の際に用いる気付け薬の万病感応丸などの家庭薬にも配合されている。
近年、人口の葉(沈香葉)に含まれるゲンクワニン配糖体が、アセチルコリンの分泌を促し、腸の蠕動運動を促進して排便を促すことが報告されて注目されている。ただし、沈香の取引はワシントン条約などで制約されているため、一般には入手困難である。
月曜日, 6月 10, 2013
秦艽
○秦艽(じんぎょう)
中国の東北部から内蒙古、西北部に分布するリンドウ科の多年草ジンギョウ(Genitiana macrophylla)をはじめ、チベット自治区、雲南・四川省などに分布するソケイジンギョウ(G.crassicaulis)、チベットリンドウ(G.tibetica)などの植物の根を用いる。いずれもリンドウと同じゲンチアナ属の植物である。
根にはゲンチアニン、ゲンチアニジンなどのアルカロイドが含まれ、抗炎症、鎮静、降圧、抗菌作用などが認められている。漢方では去風湿・清虚熱・退黄の効能があり、リウマチなどによる関節痛や筋肉の痛み、痙攣、結核などによる虚熱、黄疸、小便不利などに用いる。
中国の東北部から内蒙古、西北部に分布するリンドウ科の多年草ジンギョウ(Genitiana macrophylla)をはじめ、チベット自治区、雲南・四川省などに分布するソケイジンギョウ(G.crassicaulis)、チベットリンドウ(G.tibetica)などの植物の根を用いる。いずれもリンドウと同じゲンチアナ属の植物である。
根にはゲンチアニン、ゲンチアニジンなどのアルカロイドが含まれ、抗炎症、鎮静、降圧、抗菌作用などが認められている。漢方では去風湿・清虚熱・退黄の効能があり、リウマチなどによる関節痛や筋肉の痛み、痙攣、結核などによる虚熱、黄疸、小便不利などに用いる。
金曜日, 6月 07, 2013
神麹
○神麹(しんきく)
日本では米を蒸して酵母菌により発酵させた麹を神麹という。中国では小麦粉や米の麩に赤小豆粉、杏仁泥、青蒿、蒼耳、野辣蓼を混合して発酵させたものをいう。
現在、一般的な中国の製法は新鮮な青蒿(カワラニンジン)、蒼耳(オナモミ)、野蓼(ヤナギタデ)を細切りにし、これに赤小豆の粉にしたもの、杏仁の渋皮をとってスライスしたものを加えてかき混ぜ、さらに小麦粉と米のふすまと水を加えて練って団子状にする。その後、これを押しつぶして厚さ1cmの平板状にし、表面に黄色い菌糸が伸びたころに乾燥させて作る。もともと小麦を除いた六味で作られてたため六曲ともいう。神麹の薬材は厚さ1cmで、3cmくらいの方形に切ったものである。
神麹には酵母菌のほか、アミラーゼ、プロテアーゼ、ビタミンB複合体、配糖体類などが含まれ、消化酵素製剤に類するものと考えられる。漢方では健脾・消化・止瀉の効能があり、消化不良や食欲不振、腹部膨満感、下痢などの症状に用いる。
小児の食べ過ぎや消化不良による痞満やむかつきには山査子・陳皮などと配合する(保和丸)。食欲不振、消化不良には人参・白朮などと配合する(人参健脾丸)。また胃腸虚弱者の眩暈症に用いる半夏白朮天麻湯にも神麹が配合されている。
ちなみに福建省産の有名な建麹は約40種類の生薬を混ぜ合わせて作ったもので茶料として利用されているが、かつて日本では建麹を神麹として用いていたこともある。
日本では米を蒸して酵母菌により発酵させた麹を神麹という。中国では小麦粉や米の麩に赤小豆粉、杏仁泥、青蒿、蒼耳、野辣蓼を混合して発酵させたものをいう。
現在、一般的な中国の製法は新鮮な青蒿(カワラニンジン)、蒼耳(オナモミ)、野蓼(ヤナギタデ)を細切りにし、これに赤小豆の粉にしたもの、杏仁の渋皮をとってスライスしたものを加えてかき混ぜ、さらに小麦粉と米のふすまと水を加えて練って団子状にする。その後、これを押しつぶして厚さ1cmの平板状にし、表面に黄色い菌糸が伸びたころに乾燥させて作る。もともと小麦を除いた六味で作られてたため六曲ともいう。神麹の薬材は厚さ1cmで、3cmくらいの方形に切ったものである。
神麹には酵母菌のほか、アミラーゼ、プロテアーゼ、ビタミンB複合体、配糖体類などが含まれ、消化酵素製剤に類するものと考えられる。漢方では健脾・消化・止瀉の効能があり、消化不良や食欲不振、腹部膨満感、下痢などの症状に用いる。
小児の食べ過ぎや消化不良による痞満やむかつきには山査子・陳皮などと配合する(保和丸)。食欲不振、消化不良には人参・白朮などと配合する(人参健脾丸)。また胃腸虚弱者の眩暈症に用いる半夏白朮天麻湯にも神麹が配合されている。
ちなみに福建省産の有名な建麹は約40種類の生薬を混ぜ合わせて作ったもので茶料として利用されているが、かつて日本では建麹を神麹として用いていたこともある。
木曜日, 6月 06, 2013
晋耆
○晋耆(しんぎ)
中国の甘粛省・寧夏・四川省などに分布するマメ科の多年草ヘディサルム・ポリボトリス(Hedysarum polybotrys)の根を用いる。これと同属植物にイワオウギ(H.esculentum)があり、イワオウギの根は和晋耆と称されている。
いわゆる黄耆の基原植物はマメ科ゲンゲ属のキバナオウギ(Astragalus membranaceus)やナイモオウギ(A.mongholicus)などであるが、この晋耆は同じマメ科でもイワオウギ属である。この晋耆は日本市場で束黄耆として流通していたが、日本薬局方では除外されている。ただし、中国ではこの晋耆も黄耆のひとつとして扱われ、むしろ本品のほうが尊ばれて高価である。
晋耆には黄耆と同様に利水・止汗・補気の効能があり、浮腫や盗汗、麻痺、脱肛、子宮下垂などに用いる。
中国の甘粛省・寧夏・四川省などに分布するマメ科の多年草ヘディサルム・ポリボトリス(Hedysarum polybotrys)の根を用いる。これと同属植物にイワオウギ(H.esculentum)があり、イワオウギの根は和晋耆と称されている。
いわゆる黄耆の基原植物はマメ科ゲンゲ属のキバナオウギ(Astragalus membranaceus)やナイモオウギ(A.mongholicus)などであるが、この晋耆は同じマメ科でもイワオウギ属である。この晋耆は日本市場で束黄耆として流通していたが、日本薬局方では除外されている。ただし、中国ではこの晋耆も黄耆のひとつとして扱われ、むしろ本品のほうが尊ばれて高価である。
晋耆には黄耆と同様に利水・止汗・補気の効能があり、浮腫や盗汗、麻痺、脱肛、子宮下垂などに用いる。
水曜日, 6月 05, 2013
辛夷
○辛夷(しんい)
中国を原産とするモクレン科の落葉樹モクレン(Magnolia quinquepeta)やハナモクレン(M.heptapeta)、ボウシュンカ(M.bionadii)などの花蕾を乾燥したものを用いる。
中国で辛夷といえば紫色の花のモクレン(シモクレン)のことで木蓮・桂蘭ともいい、一方、白い花のハナモクレンは中国では玉蘭あるいは白木蓮という。日本ではコブシ(M.praecocissima)に辛夷の漢字をあてているが、コブシは日本特産である。
ところで現在流通している日本産の辛夷はほとんどタムシバ(M.salicifolia)の花蕾である。タムシバはコブシに似た落葉高木であり、本州、四国、九州に自生している雑木である。現在、日本に流通している辛夷はおもにボウシュンカの蕾ともいわれている。これら花蕾は毛筆状で、外面に細かい毛が密集し、特有の芳香がある。
花蕾の成分にはシトラールやオイゲノール、シネオール、ピネンなどの精油が含まれ、消炎、抗真菌、降圧、クラーレ様作用などが認められている。漢方では解表・通竅の効能があり、おもに鼻の竅を通じる要薬としてよく知られている。鼻炎や蓄膿などによる鼻づまりのほか、頭痛や歯痛などに用いる。
風邪に罹患して鼻閉や鼻汁の症状がひどいときには葛根湯に配合する(葛根湯加川芎辛夷)。慢性鼻炎や蓄膿症で鼻閉や頭痛のあるときには山梔子・黄芩などと配合する(辛夷清肺湯)。また、同様の作用を有する蒼耳子とも配合する(鼻淵丸)。
中国を原産とするモクレン科の落葉樹モクレン(Magnolia quinquepeta)やハナモクレン(M.heptapeta)、ボウシュンカ(M.bionadii)などの花蕾を乾燥したものを用いる。
中国で辛夷といえば紫色の花のモクレン(シモクレン)のことで木蓮・桂蘭ともいい、一方、白い花のハナモクレンは中国では玉蘭あるいは白木蓮という。日本ではコブシ(M.praecocissima)に辛夷の漢字をあてているが、コブシは日本特産である。
ところで現在流通している日本産の辛夷はほとんどタムシバ(M.salicifolia)の花蕾である。タムシバはコブシに似た落葉高木であり、本州、四国、九州に自生している雑木である。現在、日本に流通している辛夷はおもにボウシュンカの蕾ともいわれている。これら花蕾は毛筆状で、外面に細かい毛が密集し、特有の芳香がある。
花蕾の成分にはシトラールやオイゲノール、シネオール、ピネンなどの精油が含まれ、消炎、抗真菌、降圧、クラーレ様作用などが認められている。漢方では解表・通竅の効能があり、おもに鼻の竅を通じる要薬としてよく知られている。鼻炎や蓄膿などによる鼻づまりのほか、頭痛や歯痛などに用いる。
風邪に罹患して鼻閉や鼻汁の症状がひどいときには葛根湯に配合する(葛根湯加川芎辛夷)。慢性鼻炎や蓄膿症で鼻閉や頭痛のあるときには山梔子・黄芩などと配合する(辛夷清肺湯)。また、同様の作用を有する蒼耳子とも配合する(鼻淵丸)。
月曜日, 6月 03, 2013
地竜
○地竜(じりゅう)
日本、朝鮮半島、中国の山野や畑などに生息するミミズ科の乾燥したものを用いる。中国ではフトミミズ科の参環毛蚓(Pheretima aspergillum)やツリミミズ科に属するカッショクツリミミズ(Allolobophora caliginosa trapezoides)というミミズを用いる。
前者は大きなものでは体長36cm、幅1cm以上もあり、後者は大きなものでは体調25cm、幅4mm程度とやや小さい。生薬名で前者を広地竜、後者を土地竜という。広地竜は腹を開いて内臓を出してから乾燥したもの、土地竜は草木灰の中に入れて殺し、そのまま乾燥したものが流通している。日本産の地竜はカッショクツリミミズである。
地竜は古くから薬用に用いられ、神農本草経の下品に白頸蚯蚓という名で収載されている。成分にはルンブリフェブリン、ルンブリチン、テレストロルンブリシンなどが含まれ、解熱作用、降圧作用、気管支拡張作用、鎮静、抗痙攣作用などが認められている。
漢方では清熱瀉火・定驚・通経絡・止咳の効能があり、高熱時のひきつけや煩躁、癲癇、脳卒中後遺症、喘息、気管支炎、リウマチなどに用いる。例えば脳卒中による半身不随や言語障害、小児麻痺などに黄蓍・当帰などと配合する(補陰還五湯)。またリウマチなどによる関節痛や神経痛に用いる大・小活絡丹にも配合されている。
日本の民間でも発熱性疾患や咳嗽、中耳炎、尿路感染症、浮腫などに用いる。また生のミミズはひょう疽の特効薬ともいわれ、すりつぶして米飯と混ぜて患部に塗ったり、裂いた皮を指に巻いて用いる。
近年、欧米に広く生息している体長3~4cmのアカミミズ(red worm)の一種、ルンブルクス・ルベルスからルンブルキナーゼという血栓溶解酵素が発見され、アカミミズの皮を除いた内臓を凍結乾燥させた粉末が健康食品として市販されている。
日本、朝鮮半島、中国の山野や畑などに生息するミミズ科の乾燥したものを用いる。中国ではフトミミズ科の参環毛蚓(Pheretima aspergillum)やツリミミズ科に属するカッショクツリミミズ(Allolobophora caliginosa trapezoides)というミミズを用いる。
前者は大きなものでは体長36cm、幅1cm以上もあり、後者は大きなものでは体調25cm、幅4mm程度とやや小さい。生薬名で前者を広地竜、後者を土地竜という。広地竜は腹を開いて内臓を出してから乾燥したもの、土地竜は草木灰の中に入れて殺し、そのまま乾燥したものが流通している。日本産の地竜はカッショクツリミミズである。
地竜は古くから薬用に用いられ、神農本草経の下品に白頸蚯蚓という名で収載されている。成分にはルンブリフェブリン、ルンブリチン、テレストロルンブリシンなどが含まれ、解熱作用、降圧作用、気管支拡張作用、鎮静、抗痙攣作用などが認められている。
漢方では清熱瀉火・定驚・通経絡・止咳の効能があり、高熱時のひきつけや煩躁、癲癇、脳卒中後遺症、喘息、気管支炎、リウマチなどに用いる。例えば脳卒中による半身不随や言語障害、小児麻痺などに黄蓍・当帰などと配合する(補陰還五湯)。またリウマチなどによる関節痛や神経痛に用いる大・小活絡丹にも配合されている。
日本の民間でも発熱性疾患や咳嗽、中耳炎、尿路感染症、浮腫などに用いる。また生のミミズはひょう疽の特効薬ともいわれ、すりつぶして米飯と混ぜて患部に塗ったり、裂いた皮を指に巻いて用いる。
近年、欧米に広く生息している体長3~4cmのアカミミズ(red worm)の一種、ルンブルクス・ルベルスからルンブルキナーゼという血栓溶解酵素が発見され、アカミミズの皮を除いた内臓を凍結乾燥させた粉末が健康食品として市販されている。
土曜日, 6月 01, 2013
蒔蘿子
○蒔蘿子(じらし)
ヨーロッパの地中海沿岸地方や西アジアを原産とするセリ科の一年草イノンド(Anethum graveolens)の果実を用いる。ヒメウイキョウとかデイルという名の香辛料としても知られ、古代メソポタミアやエジプトで栽培された最も古い香草、薬草の一つである。
果実はデイルシードと呼ばれ、サラダや煮込み料理、ソースやスープなどに用いられる。イノンドという名はスペイン語のEneldoの音訳で、江戸時代の中期にスペイン人が長崎に伝えたといわれている。葉もスープやピクルスの香り付けに使用される。
果実には精油成分のカルボン、リモネン、ジラピオールなどのほか、キサントン配糖体のジラノサイドなどが含まれ、芳香性の健胃薬、駆風薬として知られている。
漢方でも脾腎を温めて健胃・理気の効能があり、食欲不振や嘔吐、下痢、腹痛などの症状に用いる。民間では嘔吐やしゃっくりを止めるのに用いている。水蒸気蒸留した蒔蘿水は小児の食べ過ぎに用いる。ヨーロッパでは泣き叫んでいる幼児を鎮めるために用いている。
ヨーロッパの地中海沿岸地方や西アジアを原産とするセリ科の一年草イノンド(Anethum graveolens)の果実を用いる。ヒメウイキョウとかデイルという名の香辛料としても知られ、古代メソポタミアやエジプトで栽培された最も古い香草、薬草の一つである。
果実はデイルシードと呼ばれ、サラダや煮込み料理、ソースやスープなどに用いられる。イノンドという名はスペイン語のEneldoの音訳で、江戸時代の中期にスペイン人が長崎に伝えたといわれている。葉もスープやピクルスの香り付けに使用される。
果実には精油成分のカルボン、リモネン、ジラピオールなどのほか、キサントン配糖体のジラノサイドなどが含まれ、芳香性の健胃薬、駆風薬として知られている。
漢方でも脾腎を温めて健胃・理気の効能があり、食欲不振や嘔吐、下痢、腹痛などの症状に用いる。民間では嘔吐やしゃっくりを止めるのに用いている。水蒸気蒸留した蒔蘿水は小児の食べ過ぎに用いる。ヨーロッパでは泣き叫んでいる幼児を鎮めるために用いている。
金曜日, 5月 31, 2013
女貞子
○女貞子(じょていし)
中国原産で、日本でも公園樹としてよく植えられているモクセイ科の常緑小高木トウネズミモチ(Ligustrum lucidum)の果実を用いる。日本の関東南部から沖縄県、朝鮮半島、台湾などに分布するネズミモチ(L.japonicum)の果実も女貞子として用いられる。
トウネズミモチは樹高10mに達し、ネズミモチよりも大きい。果実が紫黒色でネズミの糞に似ており、木がモチノキに似ているためネズミモチという和名があり、冬でも葉が青い様子を貞女になぞられて女貞と名づけられた。
ネズミモチやトウネズミモチは公害や病虫害に強く、生け垣や高速道路の分離帯、都市の公園樹として利用されている。またトウネズミモチはイボタノキと同様にイボタロウカイガラムシがつき、中国では虫白蠟を採取するためにも栽培されている。戦争中に果実を焦がしてコーヒー豆の代用にしたという話もある。
果実にはオレアノール酸、ウルソール酸、マンニトールなどが含まれる。オレアノール酸には強心・利尿作用が知られている。漢方では肝や腎を補い、腰や膝を強める作用があり、滋養薬として足腰の筋力低下、頭暈、白髪、視力低下、かすみ目などに用いる。
倦怠感や足腰の衰え、目まい、不眠などには人参・地黄などと配合する(滋補片)。焼酎に漬けた女貞子酒も滋養強壮の薬用酒として知られている。葉の女貞葉は消炎・鎮痛の作用があり、民間療法では生の葉を火であぶって柔らかくしたものを腫れ物に貼付したり、浴湯料として皮膚疾患に用いるほか、口内炎や火傷などの外用薬としても用いる。
近年、リンパ球の増殖を促し、放射線や抗癌剤治療による白血球減少を抑制する効果があると伝えられている。
中国原産で、日本でも公園樹としてよく植えられているモクセイ科の常緑小高木トウネズミモチ(Ligustrum lucidum)の果実を用いる。日本の関東南部から沖縄県、朝鮮半島、台湾などに分布するネズミモチ(L.japonicum)の果実も女貞子として用いられる。
トウネズミモチは樹高10mに達し、ネズミモチよりも大きい。果実が紫黒色でネズミの糞に似ており、木がモチノキに似ているためネズミモチという和名があり、冬でも葉が青い様子を貞女になぞられて女貞と名づけられた。
ネズミモチやトウネズミモチは公害や病虫害に強く、生け垣や高速道路の分離帯、都市の公園樹として利用されている。またトウネズミモチはイボタノキと同様にイボタロウカイガラムシがつき、中国では虫白蠟を採取するためにも栽培されている。戦争中に果実を焦がしてコーヒー豆の代用にしたという話もある。
果実にはオレアノール酸、ウルソール酸、マンニトールなどが含まれる。オレアノール酸には強心・利尿作用が知られている。漢方では肝や腎を補い、腰や膝を強める作用があり、滋養薬として足腰の筋力低下、頭暈、白髪、視力低下、かすみ目などに用いる。
倦怠感や足腰の衰え、目まい、不眠などには人参・地黄などと配合する(滋補片)。焼酎に漬けた女貞子酒も滋養強壮の薬用酒として知られている。葉の女貞葉は消炎・鎮痛の作用があり、民間療法では生の葉を火であぶって柔らかくしたものを腫れ物に貼付したり、浴湯料として皮膚疾患に用いるほか、口内炎や火傷などの外用薬としても用いる。
近年、リンパ球の増殖を促し、放射線や抗癌剤治療による白血球減少を抑制する効果があると伝えられている。
木曜日, 5月 30, 2013
徐長卿
○徐長卿(じょちょうけい)
日本各地及び東南アジアの温帯に分布するガガイモ科の多年草スズサイコ(Cynanchum paniculatum)の根及び根の付いた全草を用いる。全草にはペオノール、サイコスチン、根にはペオノール、フラボノイド配糖体、アミノ酸などが含まれ、鎮静、降圧、抗菌作用などが報告されている。
漢方では去風湿・止痛・利水消種の効能があり、リウマチなどの関節痛、胃痛、歯痛、生理痛、気管支炎、蛇咬傷、浮腫などに内服薬として用いる。また単独で粉末にしたものを乗り物酔いに服用する。そのほか皮膚掻痒症には煎剤で患部を洗うとよい。民間では打撲、捻挫に生のスズサイコの汁を用いている。
日本各地及び東南アジアの温帯に分布するガガイモ科の多年草スズサイコ(Cynanchum paniculatum)の根及び根の付いた全草を用いる。全草にはペオノール、サイコスチン、根にはペオノール、フラボノイド配糖体、アミノ酸などが含まれ、鎮静、降圧、抗菌作用などが報告されている。
漢方では去風湿・止痛・利水消種の効能があり、リウマチなどの関節痛、胃痛、歯痛、生理痛、気管支炎、蛇咬傷、浮腫などに内服薬として用いる。また単独で粉末にしたものを乗り物酔いに服用する。そのほか皮膚掻痒症には煎剤で患部を洗うとよい。民間では打撲、捻挫に生のスズサイコの汁を用いている。
火曜日, 5月 28, 2013
徐虫菊
○徐虫菊(じょうちゅうぎく)
バルカン半島、ダルマチア地方原産のキク科の多年草ジョチュウギク(chrysanthemum cinerariaefolium)の頭状花を用いる。日本には明治初期に渡来し、北海道、岡山、広島、愛媛などで栽培され、戦前には世界第一の生産量をあげ、近年では瀬戸内海地方にわずかに栽培されているに過ぎない。現在、ケニア高地で優良種が生産され、世界一の産地となっている。
古くから頭花を摘みとり、乾燥したものはノミ取り粉、茎や葉はいぶして蚊やりとして用いられた。殺虫成分はピレトリン(ピレスロイド)で、九分咲きから満開の頭花に最も多く含まれる。
ピレスロイドは即効性の接触毒であり、昆虫の気門や口から吸収されて運動神経を麻痺させて殺す。ピレスロイドは昆虫のほか、魚類や両生類、爬虫類などにも毒性があるが、温血動物には無害である。またDDTやBHCなどと異なり、容易に分解して失効する。現在でも植物性殺虫剤の原料として蚊取り線香、エアゾール、農業用殺虫剤などに利用されている。
バルカン半島、ダルマチア地方原産のキク科の多年草ジョチュウギク(chrysanthemum cinerariaefolium)の頭状花を用いる。日本には明治初期に渡来し、北海道、岡山、広島、愛媛などで栽培され、戦前には世界第一の生産量をあげ、近年では瀬戸内海地方にわずかに栽培されているに過ぎない。現在、ケニア高地で優良種が生産され、世界一の産地となっている。
古くから頭花を摘みとり、乾燥したものはノミ取り粉、茎や葉はいぶして蚊やりとして用いられた。殺虫成分はピレトリン(ピレスロイド)で、九分咲きから満開の頭花に最も多く含まれる。
ピレスロイドは即効性の接触毒であり、昆虫の気門や口から吸収されて運動神経を麻痺させて殺す。ピレスロイドは昆虫のほか、魚類や両生類、爬虫類などにも毒性があるが、温血動物には無害である。またDDTやBHCなどと異なり、容易に分解して失効する。現在でも植物性殺虫剤の原料として蚊取り線香、エアゾール、農業用殺虫剤などに利用されている。
月曜日, 5月 27, 2013
蜀漆
○蜀漆(しょくしつ)
東南アジアやインド、中国の南部に自生するユキノシタ科の常緑低木ジョウザンアジサイ(Dichroa febrifuga)の若い枝の葉を用いる。根は常山として有名である。
効能は常山とほぼ同じで抗瘧の効能があり、マラリアに用いる。傷寒論、金匱要略には蜀漆散・牡蠣湯・桂枝救逆湯・牡蠣沢瀉散など蜀漆を配合した4つの処方が収載されている。蜀漆散はマラリアの発作の前に用いる。
肝硬変などで腹水が溜っているときには牡蠣・沢瀉などと配合した牡蠣沢瀉湯を、火傷のあとの動悸や煩躁、ヒステリーや癲癇などには桂枝加竜骨牡蠣湯に蜀漆を加えた桂枝去芍薬加蜀漆竜骨牡蠣救逆湯を用いる。
薬徴続篇に「胸腹の動には牡蠣で治し、臍下の動には竜骨で治し、胸腹臍下の動の劇しい場合には蜀漆で治す。これが張仲景の三活法である」とある。ただし、蜀漆は催吐作用は常山よりも強いので、近年はあまり用いられていない。
東南アジアやインド、中国の南部に自生するユキノシタ科の常緑低木ジョウザンアジサイ(Dichroa febrifuga)の若い枝の葉を用いる。根は常山として有名である。
効能は常山とほぼ同じで抗瘧の効能があり、マラリアに用いる。傷寒論、金匱要略には蜀漆散・牡蠣湯・桂枝救逆湯・牡蠣沢瀉散など蜀漆を配合した4つの処方が収載されている。蜀漆散はマラリアの発作の前に用いる。
肝硬変などで腹水が溜っているときには牡蠣・沢瀉などと配合した牡蠣沢瀉湯を、火傷のあとの動悸や煩躁、ヒステリーや癲癇などには桂枝加竜骨牡蠣湯に蜀漆を加えた桂枝去芍薬加蜀漆竜骨牡蠣救逆湯を用いる。
薬徴続篇に「胸腹の動には牡蠣で治し、臍下の動には竜骨で治し、胸腹臍下の動の劇しい場合には蜀漆で治す。これが張仲景の三活法である」とある。ただし、蜀漆は催吐作用は常山よりも強いので、近年はあまり用いられていない。
金曜日, 5月 24, 2013
食塩
○食塩(しょくえん)
海水あるいは塩井などの塩分を含んだ水を乾燥して得られる塩の結晶を用いる。中国において海水からの製塩は有史以前から、特に沿岸地区で行われていた。古くからの製塩法には太陽熱を利用した天日塩製法や加熱製塩法などがある。
春秋時代、斉の国では管仲の案により海塩の専売を行い、大規模な製塩業を興して富強になったと伝えられている。日本では万葉集に「藻塩焼く」と謳われているように、古くは海藻に海水を注ぎ、それを焼いて塩をとる方法が行われていた。また中世からは塩田法も発達し、瀬戸内海地域で盛んに行われた。
主成分は塩化ナトリウムで、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウムなども夾雑する。漢方では寒・鹸で、催吐・清熱・解毒の効能がある。食べたものが停滞しているときや、急性胃炎などで吐き気があっても嘔吐しないときには食塩を熱湯に溶かして服用させ、嘔吐させる(塩湯探吐方)。
海水あるいは塩井などの塩分を含んだ水を乾燥して得られる塩の結晶を用いる。中国において海水からの製塩は有史以前から、特に沿岸地区で行われていた。古くからの製塩法には太陽熱を利用した天日塩製法や加熱製塩法などがある。
春秋時代、斉の国では管仲の案により海塩の専売を行い、大規模な製塩業を興して富強になったと伝えられている。日本では万葉集に「藻塩焼く」と謳われているように、古くは海藻に海水を注ぎ、それを焼いて塩をとる方法が行われていた。また中世からは塩田法も発達し、瀬戸内海地域で盛んに行われた。
主成分は塩化ナトリウムで、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウムなども夾雑する。漢方では寒・鹸で、催吐・清熱・解毒の効能がある。食べたものが停滞しているときや、急性胃炎などで吐き気があっても嘔吐しないときには食塩を熱湯に溶かして服用させ、嘔吐させる(塩湯探吐方)。
水曜日, 5月 22, 2013
商陸
○商陸(しょうりく)
中国を原産とし日本でも野生化しているヤマゴボウ科の大型多年草ヤマゴボウ(Phytolacca esculenta)の根を用いる。ヨウシュヤマゴボウ(P.americana)のほうがよく見られるが、この根は美商陸という。
ヤマゴボウの葉は食用にされるが、多量に食べないほうがよい。漬け物で「やまごぼう(山牛蒡)」と称されているものは、キク科のモリアザミなどの根を漬けたもので、ヤマゴボウとはまったく別の植物である。
根には多量の硝酸カリウムや有毒な配糖体のフィトラッカトキシン(フィトラッカサポニン)が含まれる。硝酸カリウムには利尿作用があり、古くから利尿薬として利用されてきた。しかし、有毒成分のフィトラッカトキシンのため、食べると嘔吐や下痢が出現し、さらには中枢神経麻痺から痙攣、意識障害が生じ、ひどければ呼吸障害や心臓麻痺により死亡することもある。
漢方では逐遂・消種の効能があり、水腫、腹水、脚気、腫れ物などに用いる。逐水とは瀉下と利尿作用で腹水や胸水、浮腫などを治療することである。
全身性浮腫を伴う喘息症状には木通・沢瀉などと配合する(疏鑿飲子)。肝硬変などによる腹水に牡蠣・沢瀉などと配合する(牡蠣沢瀉散)。ただし毒性が強いため、慎重に投与する必要がある。
外用として新鮮な商陸に塩を加えてつきつぶしたものを頑固な腫れ物に用いる。アメリカではヨウシュヤマゴボウの根を扁桃炎や耳下腺炎、乳腺炎、水腫などの治療に用いていたといわれる。
中国を原産とし日本でも野生化しているヤマゴボウ科の大型多年草ヤマゴボウ(Phytolacca esculenta)の根を用いる。ヨウシュヤマゴボウ(P.americana)のほうがよく見られるが、この根は美商陸という。
ヤマゴボウの葉は食用にされるが、多量に食べないほうがよい。漬け物で「やまごぼう(山牛蒡)」と称されているものは、キク科のモリアザミなどの根を漬けたもので、ヤマゴボウとはまったく別の植物である。
根には多量の硝酸カリウムや有毒な配糖体のフィトラッカトキシン(フィトラッカサポニン)が含まれる。硝酸カリウムには利尿作用があり、古くから利尿薬として利用されてきた。しかし、有毒成分のフィトラッカトキシンのため、食べると嘔吐や下痢が出現し、さらには中枢神経麻痺から痙攣、意識障害が生じ、ひどければ呼吸障害や心臓麻痺により死亡することもある。
漢方では逐遂・消種の効能があり、水腫、腹水、脚気、腫れ物などに用いる。逐水とは瀉下と利尿作用で腹水や胸水、浮腫などを治療することである。
全身性浮腫を伴う喘息症状には木通・沢瀉などと配合する(疏鑿飲子)。肝硬変などによる腹水に牡蠣・沢瀉などと配合する(牡蠣沢瀉散)。ただし毒性が強いため、慎重に投与する必要がある。
外用として新鮮な商陸に塩を加えてつきつぶしたものを頑固な腫れ物に用いる。アメリカではヨウシュヤマゴボウの根を扁桃炎や耳下腺炎、乳腺炎、水腫などの治療に用いていたといわれる。
火曜日, 5月 21, 2013
松籮
○松籮(しょうら)
日本各地や東アジアに分布する樹枝状地衣類であるサルオガセ科のナガサルオガセ(Usnea longissima)やヨコワサルオガセ(U.diffracta)の全体(糸状体)を用いる。この地衣植物は亜高山の針葉樹などに寄生し、枝からレースのように垂れ下がっている。
ナガサルオガセは主軸の直径1~2mm、長さ50cm~1mくらいで、ヨコワサルオガセは2分岐を繰り返して次第に細くなるもので、長さは10~30cm、基部の太さは1~1.5mmくらいである。
オガセとは麻をよって糸にしたものを絡ませる道具で、樹の幹から多くの糸が垂れ下がっている様子を表している。霧の多い深山にみられるもので、「雲の花」とか「霧藻」も別名もあり、乾燥したものを袋につめた「霧藻枕」などが土産に売られている。
成分はバルバチン酸やウスニン酸、ジフラクタ酸などが含まれ、抗菌、抗腫瘍、利尿、肝庇護作用などが認められている。漢方では止咳、化瘀・止血の効能があり、頭痛、咳嗽、喀痰、瘰癧(頸部リンパ腺腫)、性器出血、腫れ物などに用いる。
近年、松籮の煎剤や抽出したウスニン酸ナトリウムなどによる肺結核や慢性気管支炎などの臨床報告がある。またリンパ節炎、乳腺炎などにも用いられるが、副作用として嘔気や口渇、めまい、肝機能障害のみられることがある。そのほか外用として腫れ物や潰瘍、外傷などに用いる。ちなみにジフラクタ酸に炭酸アンモニアを加えるとリトマス色素になり、リトマス紙にも利用されている。
日本各地や東アジアに分布する樹枝状地衣類であるサルオガセ科のナガサルオガセ(Usnea longissima)やヨコワサルオガセ(U.diffracta)の全体(糸状体)を用いる。この地衣植物は亜高山の針葉樹などに寄生し、枝からレースのように垂れ下がっている。
ナガサルオガセは主軸の直径1~2mm、長さ50cm~1mくらいで、ヨコワサルオガセは2分岐を繰り返して次第に細くなるもので、長さは10~30cm、基部の太さは1~1.5mmくらいである。
オガセとは麻をよって糸にしたものを絡ませる道具で、樹の幹から多くの糸が垂れ下がっている様子を表している。霧の多い深山にみられるもので、「雲の花」とか「霧藻」も別名もあり、乾燥したものを袋につめた「霧藻枕」などが土産に売られている。
成分はバルバチン酸やウスニン酸、ジフラクタ酸などが含まれ、抗菌、抗腫瘍、利尿、肝庇護作用などが認められている。漢方では止咳、化瘀・止血の効能があり、頭痛、咳嗽、喀痰、瘰癧(頸部リンパ腺腫)、性器出血、腫れ物などに用いる。
近年、松籮の煎剤や抽出したウスニン酸ナトリウムなどによる肺結核や慢性気管支炎などの臨床報告がある。またリンパ節炎、乳腺炎などにも用いられるが、副作用として嘔気や口渇、めまい、肝機能障害のみられることがある。そのほか外用として腫れ物や潰瘍、外傷などに用いる。ちなみにジフラクタ酸に炭酸アンモニアを加えるとリトマス色素になり、リトマス紙にも利用されている。
土曜日, 5月 18, 2013
椒目
○椒目(しょうもく)
中国の各地に自生し、栽培されているミカン科の落葉低木カホクザンショウ(Zanthoxrlum bungeanum)の種子を椒目という。この果実の果皮を花椒という。
日本では一般に花椒の代わりに同属のサンショウ(Z,piperitum)の果皮を山椒として用いているが、種子はあまり利用されていない。カホクザンショウの種子は直径3~5mmくらいのほぼ球状で、表面は光沢のある黒色である。においは芳しく、味は辛い。
椒目の味は苦・辛で性は寒であるのに対し、果皮(花椒)の味は辛、性は熱であり、両者の性味は異なっている。漢方では利水・平喘の効能があり、浮腫や腹水、喘息などに用いる。心不全などによる浮腫や腹水に防已・葶藶子・大黄と配合する(已椒藶黄丸)。
中国の各地に自生し、栽培されているミカン科の落葉低木カホクザンショウ(Zanthoxrlum bungeanum)の種子を椒目という。この果実の果皮を花椒という。
日本では一般に花椒の代わりに同属のサンショウ(Z,piperitum)の果皮を山椒として用いているが、種子はあまり利用されていない。カホクザンショウの種子は直径3~5mmくらいのほぼ球状で、表面は光沢のある黒色である。においは芳しく、味は辛い。
椒目の味は苦・辛で性は寒であるのに対し、果皮(花椒)の味は辛、性は熱であり、両者の性味は異なっている。漢方では利水・平喘の効能があり、浮腫や腹水、喘息などに用いる。心不全などによる浮腫や腹水に防已・葶藶子・大黄と配合する(已椒藶黄丸)。
金曜日, 5月 17, 2013
升麻
○升麻(しょうま)
北海道から九州、中国、朝鮮半島、シベリアにかけて分布するキンポウゲ科の多年草サラシナショウマ(Cimicifuga simplex)の根茎を用いる。そのほかフブキショウマ(C.dahurica)やオオミツバショウマ(C.heracleifolia)の根茎を用いる。
若葉をゆで、水にさらして食べることができるためサラシナ(晒し菜)の名がある。中国市場ではサラシナショウマの根茎を西升麻、フブキショウマを北升麻、オオミツバショウマのを関升麻というが、日本市場に流通しているのはほとんどが北升麻である。根茎の外皮が黒いため黒升麻とも呼ばれている。赤升麻というのはユキノシタ科の多年草であるトリアシショウマ類の根茎のことで、かつて升麻の代用にされたといわれる。
升麻の成分としてトリテルペノイドのシミゲノール類やその他配糖体、クロモン誘導体のシミフギン、ケロール、アミオール、フェノールカルボン酸のカフェ酸、ステロイドのシトステロールなどが報告されており、解熱、鎮痛、抗浮腫作用や肛門部炎症を抑制する作用などが認められている。
漢方では解表・透疹・清熱・升提の効能があり、麻疹などの発疹を促進し、咽頭や口腔内の炎症を清し、内臓などの下垂を改善する。中国医学では升麻に上行、昇散する性質があり、清陽の気を上昇させ、頭痛や体表の邪を解し、下痢や下垂などを改善すると説明している。
民間療法でも咽頭の腫脹や口内炎、歯肉炎などに煎液で含嗽したり、湿疹やあせもに煎液を塗布したり、浴湯料として利用している。ちなみに北米インデイアンはアメリカショウマ(C.racemosa:ブラックコホッシュ)を月経困難や更年期障害などに用いていた。
北海道から九州、中国、朝鮮半島、シベリアにかけて分布するキンポウゲ科の多年草サラシナショウマ(Cimicifuga simplex)の根茎を用いる。そのほかフブキショウマ(C.dahurica)やオオミツバショウマ(C.heracleifolia)の根茎を用いる。
若葉をゆで、水にさらして食べることができるためサラシナ(晒し菜)の名がある。中国市場ではサラシナショウマの根茎を西升麻、フブキショウマを北升麻、オオミツバショウマのを関升麻というが、日本市場に流通しているのはほとんどが北升麻である。根茎の外皮が黒いため黒升麻とも呼ばれている。赤升麻というのはユキノシタ科の多年草であるトリアシショウマ類の根茎のことで、かつて升麻の代用にされたといわれる。
升麻の成分としてトリテルペノイドのシミゲノール類やその他配糖体、クロモン誘導体のシミフギン、ケロール、アミオール、フェノールカルボン酸のカフェ酸、ステロイドのシトステロールなどが報告されており、解熱、鎮痛、抗浮腫作用や肛門部炎症を抑制する作用などが認められている。
漢方では解表・透疹・清熱・升提の効能があり、麻疹などの発疹を促進し、咽頭や口腔内の炎症を清し、内臓などの下垂を改善する。中国医学では升麻に上行、昇散する性質があり、清陽の気を上昇させ、頭痛や体表の邪を解し、下痢や下垂などを改善すると説明している。
民間療法でも咽頭の腫脹や口内炎、歯肉炎などに煎液で含嗽したり、湿疹やあせもに煎液を塗布したり、浴湯料として利用している。ちなみに北米インデイアンはアメリカショウマ(C.racemosa:ブラックコホッシュ)を月経困難や更年期障害などに用いていた。
木曜日, 5月 16, 2013
菖蒲根
○菖蒲根(しょうぶこん)
日本で一般に菖蒲といわれているものには、アヤメ科のハナショウブ(Iris ensata)とサトイモ科のショウブとがある。菖蒲園などで有名なのはハナショウブ(花菖蒲)のことがあるが、薬用にする菖蒲はサトイモ科のショウブ属の植物(ショウブ)でまったく別である。
かつてサトイモ科のショウブは葉のすじが文目模様になっていることからアヤメ(文目)と呼ばれた。ところが葉がよく似ている花の美しい植物をハナアヤメと呼ぶようになり、いつしかアヤメといえばこの方のことを指すようになった。このため本来のアヤメを中国語名でショウブと呼ぶようになったが、今度はアヤメ科の園芸品種を誤ってハナショウブと名付けたため、今日でもショウブといえばハナショウブの方が有名になっている。
ところでサトイモ科のショウブにも2種類あり、ショウブ(Acorus calamus)とセキショウ(A.gramineus)とに区別されている。日本で菖蒲根といえばショウブの根茎を用いるが、これを中国では水菖蒲という。一方、中国で単に菖蒲といえば、セキショウの根茎のことで、石菖蒲ともいう。
セキショウは本州以西に分布し、おもに谷用の岩場などに群生し、花は3~5月に咲く、ショウブは北海道から九州まで広く分布し、池沼の水辺に自生して花は5~7月に咲く。いずれの花も黄緑色の肉穂花序であまり目立たない。
ショウブの根茎はセキショウよりも大きくて収穫しやすいため、日本では一般にショウブのほうを薬として用いてきた。ショウブには強い香りがあり、葉が剣状のため、古くから魔除けとしても利用され、くたショウブが尚武に通じることから尊ばれてきた。端午の節句にショウブを軒に挿して戸口にヨモギを吊るす風習やショウブの葉を風呂に入れる菖蒲湯の慣習がある。
日本の民間療法で肺炎、発熱、ひきつけ、創傷などの治療に根を煎じたものやおろしたものを利用していた。打ち身には根をおろして患部にすり込んだり、歯痛には薄荷やうどん粉を混ぜてはる治療法もある。また菖蒲湯は神経痛やリウマチに効果があるともいわれている。
漢方では水菖蒲と石菖蒲に区別されるが、開竅・去痰・化湿・解毒の効能はほぼ同じで、癲癇や熱病による意識障害、健忘症、耳聾、、神経症、胃痛、関節痛、打撲傷などに用いる。ただし石菖蒲のほうが香りが強く、意識障害に対する通竅作用もすぐれているのでよく使用される。また新鮮なもの(鮮菖蒲)の方が意識障害に対する効果が強い。
日本で一般に菖蒲といわれているものには、アヤメ科のハナショウブ(Iris ensata)とサトイモ科のショウブとがある。菖蒲園などで有名なのはハナショウブ(花菖蒲)のことがあるが、薬用にする菖蒲はサトイモ科のショウブ属の植物(ショウブ)でまったく別である。
かつてサトイモ科のショウブは葉のすじが文目模様になっていることからアヤメ(文目)と呼ばれた。ところが葉がよく似ている花の美しい植物をハナアヤメと呼ぶようになり、いつしかアヤメといえばこの方のことを指すようになった。このため本来のアヤメを中国語名でショウブと呼ぶようになったが、今度はアヤメ科の園芸品種を誤ってハナショウブと名付けたため、今日でもショウブといえばハナショウブの方が有名になっている。
ところでサトイモ科のショウブにも2種類あり、ショウブ(Acorus calamus)とセキショウ(A.gramineus)とに区別されている。日本で菖蒲根といえばショウブの根茎を用いるが、これを中国では水菖蒲という。一方、中国で単に菖蒲といえば、セキショウの根茎のことで、石菖蒲ともいう。
セキショウは本州以西に分布し、おもに谷用の岩場などに群生し、花は3~5月に咲く、ショウブは北海道から九州まで広く分布し、池沼の水辺に自生して花は5~7月に咲く。いずれの花も黄緑色の肉穂花序であまり目立たない。
ショウブの根茎はセキショウよりも大きくて収穫しやすいため、日本では一般にショウブのほうを薬として用いてきた。ショウブには強い香りがあり、葉が剣状のため、古くから魔除けとしても利用され、くたショウブが尚武に通じることから尊ばれてきた。端午の節句にショウブを軒に挿して戸口にヨモギを吊るす風習やショウブの葉を風呂に入れる菖蒲湯の慣習がある。
日本の民間療法で肺炎、発熱、ひきつけ、創傷などの治療に根を煎じたものやおろしたものを利用していた。打ち身には根をおろして患部にすり込んだり、歯痛には薄荷やうどん粉を混ぜてはる治療法もある。また菖蒲湯は神経痛やリウマチに効果があるともいわれている。
漢方では水菖蒲と石菖蒲に区別されるが、開竅・去痰・化湿・解毒の効能はほぼ同じで、癲癇や熱病による意識障害、健忘症、耳聾、、神経症、胃痛、関節痛、打撲傷などに用いる。ただし石菖蒲のほうが香りが強く、意識障害に対する通竅作用もすぐれているのでよく使用される。また新鮮なもの(鮮菖蒲)の方が意識障害に対する効果が強い。
火曜日, 5月 14, 2013
薔薇花
○薔薇花(しょうびか)
日本、朝鮮半島に分布するバラ科のつる性に落葉低木ノイバラ(Rosa multiflora)の花を用いる。ノイバラの果実(偽果)は営実であり、葉を薔薇葉、根を薔薇根という。また花を蒸留したものは薔薇露という。
ノイバラは最もよく見られる野生のバラで、バラの接ぎ木の台木としても栽培される。花は白色で芳香があり、成分にはアストラガリンなどが含まれる。一方、ヨーロッパでは古くから薬用バラ(Apothecary Rose)としてバラの原種であるガリカ種(R.gallica)の花びら(ローズペタル)が消化薬や口内炎の治療、疲労回復や精神安定などのためにハーブティーとして利用されてきた。
漢方では解暑・健胃の効能があり、暑気払いや健胃薬として用いる。口内炎や咽頭の腫痛などに桔梗・甘草などと配合する(薔薇湯)。なお薔薇露も口内炎の治療に用いる。また薔薇葉は排膿薬として化膿症に用いる。薔薇根は去風湿・活血・解毒の効能があり、下痢、関節炎、鼻血、痔出血、化膿症などに用いる。
近年、ガリカ種などのバラの花びらエキスにポリフェノールの一種であるオイゲニンが含まれており、抗酸化作用や抗アレルギー作用(ヒスタミン遊離抑制作用)が認められ、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を緩和する効能が期待されている。
日本、朝鮮半島に分布するバラ科のつる性に落葉低木ノイバラ(Rosa multiflora)の花を用いる。ノイバラの果実(偽果)は営実であり、葉を薔薇葉、根を薔薇根という。また花を蒸留したものは薔薇露という。
ノイバラは最もよく見られる野生のバラで、バラの接ぎ木の台木としても栽培される。花は白色で芳香があり、成分にはアストラガリンなどが含まれる。一方、ヨーロッパでは古くから薬用バラ(Apothecary Rose)としてバラの原種であるガリカ種(R.gallica)の花びら(ローズペタル)が消化薬や口内炎の治療、疲労回復や精神安定などのためにハーブティーとして利用されてきた。
漢方では解暑・健胃の効能があり、暑気払いや健胃薬として用いる。口内炎や咽頭の腫痛などに桔梗・甘草などと配合する(薔薇湯)。なお薔薇露も口内炎の治療に用いる。また薔薇葉は排膿薬として化膿症に用いる。薔薇根は去風湿・活血・解毒の効能があり、下痢、関節炎、鼻血、痔出血、化膿症などに用いる。
近年、ガリカ種などのバラの花びらエキスにポリフェノールの一種であるオイゲニンが含まれており、抗酸化作用や抗アレルギー作用(ヒスタミン遊離抑制作用)が認められ、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を緩和する効能が期待されている。
月曜日, 5月 13, 2013
小麦
○小麦(しょうばく)
カスピ海南岸を原産とするイネ科の越年草コムギ(Triticum aestivum)の種子あるいは粉を用いる。コムギは紀元前7000年ごろから栽培が始まり、世界で最も生産が多い穀物である。
この栽培されるコムギの9割はパンコムギで、日本のコムギも全てこれである。コムギはおもに小麦粉にされるが、小麦粉には主成分のデンプンのほかにグルテンの特性により水を加えてねると粘弾性をもったドウ(パン生地)を作ることができる。
近年、健康食品素材として小麦胚芽が注目されている。小麦胚芽に含まれる栄養素としてビタミンE、ビタミンB1・B2・B6などのビタミン類、カルシウム、鉄などのミネラル、アミノ酸などのほか、オクタコサノールが含まれている。オクタコサノールは、酸素利用を高めて、エネルギー産生を促進する働きがあるとされ、持久力の向上、運動後の筋肉痛の予防などへの効果が報告されている。
また、外皮は小麦ふすま(小麦ブラン)と呼ばれ、食物繊維が多いため、かつては専ら飼料に利用されていたが、近年、おなかの調子の整える特定保健用食品の素材として認定されている。
薬用には種子のまま、あるいは小麦粉として用いる。水で研ぐと浮き上がる未成熟な小麦を特に浮小麦という。漢方では安伸・清虚熱・止汗・止渇の効能があり、ヒステリーや煩熱、糖尿病、下痢、癰腫、自汗、盗汗に用いる。
自汗や盗汗には浮小麦のほうがよいとされ、浮小麦を焦げるまで炒って粉末にしたものを重湯で服用する。女性のヒステリーや子供の夜泣きには甘草・大棗などと配合する(甘麦大棗湯)。自汗や盗汗には黄耆・牡蠣・麻黄根などと配合する(牡蠣散)。また切り傷の止血や火傷には粉を外用する。
カスピ海南岸を原産とするイネ科の越年草コムギ(Triticum aestivum)の種子あるいは粉を用いる。コムギは紀元前7000年ごろから栽培が始まり、世界で最も生産が多い穀物である。
この栽培されるコムギの9割はパンコムギで、日本のコムギも全てこれである。コムギはおもに小麦粉にされるが、小麦粉には主成分のデンプンのほかにグルテンの特性により水を加えてねると粘弾性をもったドウ(パン生地)を作ることができる。
近年、健康食品素材として小麦胚芽が注目されている。小麦胚芽に含まれる栄養素としてビタミンE、ビタミンB1・B2・B6などのビタミン類、カルシウム、鉄などのミネラル、アミノ酸などのほか、オクタコサノールが含まれている。オクタコサノールは、酸素利用を高めて、エネルギー産生を促進する働きがあるとされ、持久力の向上、運動後の筋肉痛の予防などへの効果が報告されている。
また、外皮は小麦ふすま(小麦ブラン)と呼ばれ、食物繊維が多いため、かつては専ら飼料に利用されていたが、近年、おなかの調子の整える特定保健用食品の素材として認定されている。
薬用には種子のまま、あるいは小麦粉として用いる。水で研ぐと浮き上がる未成熟な小麦を特に浮小麦という。漢方では安伸・清虚熱・止汗・止渇の効能があり、ヒステリーや煩熱、糖尿病、下痢、癰腫、自汗、盗汗に用いる。
自汗や盗汗には浮小麦のほうがよいとされ、浮小麦を焦げるまで炒って粉末にしたものを重湯で服用する。女性のヒステリーや子供の夜泣きには甘草・大棗などと配合する(甘麦大棗湯)。自汗や盗汗には黄耆・牡蠣・麻黄根などと配合する(牡蠣散)。また切り傷の止血や火傷には粉を外用する。
土曜日, 5月 11, 2013
樟脳
○樟脳(しょうのう)
関東地方以南、四国、九州、台湾、中国南部に分布するクスノキ科の常緑高木クスノキ(Cinnamomum camphora)の根、幹、枝、葉を蒸留精製した顆粒状結晶を樟脳という。
クスノキは枝や葉をはじめ樹木全体に独特の香りがある。樟脳は特有の芳香を持った極めて消化しやすい白色の結晶でカンフルともいい、水には難溶であるが、エーテルなどの有機溶剤に溶ける。
樟脳は紀元600年ごろアラビアで貴重な薬として用いられ、アラビア語のカフールがカンフルの語源である。日本には江戸時代に製法が伝わり、薩摩や土佐でつくられ、明治時代には日本の特産品として盛んに輸出された。
精油成分にはカンファ、カンフェン、カジネン、アセトアルデヒド、ピネン、シネオール、ボルネオール、オイゲノールなどが含まれ、カンファは局所刺激作用、防腐作用のほか、中枢性に血管や呼吸を興奮させ、血圧を上昇して呼吸数を増加させる。また生体内での酸化物であるアロパラオクソカンファは直接的な強心作用がある。
樟脳は防虫剤や薫香料のほか、セルロイドやフィルム、ボルネオールなどの原料として用いられている。またパイオキソカンファは強心作用のある注射薬(ビタカンファー)として用いられる。
漢方では開竅・止痛・殺虫の効能があり、意識障害、腹痛、腹部膨満、脚気、歯痛、皮膚病、打撲傷などに用いる。現在ではおもに軟膏やチンキなどの外用薬として神経痛、しもやけ、火傷、打撲傷、皮膚病などに用いる。
筋肉痛や打ち身、捻挫にはカンフルにハッカ油、チョウジ油などと配合する(タイガーバーム)。チンキ剤を腹部につけると腹部膨満感や腹痛が軽減する。また内服では湿疹や有熱時の意識障害の気付け薬として用いる。ただし服用しすぎると眩暈、頭痛、興奮症状が出現し、さらには痙攣や呼吸衰弱を起こし死に至ることもある。
関東地方以南、四国、九州、台湾、中国南部に分布するクスノキ科の常緑高木クスノキ(Cinnamomum camphora)の根、幹、枝、葉を蒸留精製した顆粒状結晶を樟脳という。
クスノキは枝や葉をはじめ樹木全体に独特の香りがある。樟脳は特有の芳香を持った極めて消化しやすい白色の結晶でカンフルともいい、水には難溶であるが、エーテルなどの有機溶剤に溶ける。
樟脳は紀元600年ごろアラビアで貴重な薬として用いられ、アラビア語のカフールがカンフルの語源である。日本には江戸時代に製法が伝わり、薩摩や土佐でつくられ、明治時代には日本の特産品として盛んに輸出された。
精油成分にはカンファ、カンフェン、カジネン、アセトアルデヒド、ピネン、シネオール、ボルネオール、オイゲノールなどが含まれ、カンファは局所刺激作用、防腐作用のほか、中枢性に血管や呼吸を興奮させ、血圧を上昇して呼吸数を増加させる。また生体内での酸化物であるアロパラオクソカンファは直接的な強心作用がある。
樟脳は防虫剤や薫香料のほか、セルロイドやフィルム、ボルネオールなどの原料として用いられている。またパイオキソカンファは強心作用のある注射薬(ビタカンファー)として用いられる。
漢方では開竅・止痛・殺虫の効能があり、意識障害、腹痛、腹部膨満、脚気、歯痛、皮膚病、打撲傷などに用いる。現在ではおもに軟膏やチンキなどの外用薬として神経痛、しもやけ、火傷、打撲傷、皮膚病などに用いる。
筋肉痛や打ち身、捻挫にはカンフルにハッカ油、チョウジ油などと配合する(タイガーバーム)。チンキ剤を腹部につけると腹部膨満感や腹痛が軽減する。また内服では湿疹や有熱時の意識障害の気付け薬として用いる。ただし服用しすぎると眩暈、頭痛、興奮症状が出現し、さらには痙攣や呼吸衰弱を起こし死に至ることもある。
金曜日, 5月 10, 2013
鍾乳石
○鍾乳石(しょうにゅうせき)
石灰岩の洞窟に産出し、つらら状に下がった鍾乳石(スタラサイト:Stalactite)を用いる。
炭酸塩類の鉱物で、石灰岩の炭酸カルシウム(CaCO3)の水溶液が滴り落ちて長い間に晶出したものである。太いものを鍾乳石といい、細く管状のものは滴乳石という。ただし滴父石は鵝管石のひとつとして扱われることもある。鍾乳石は白色で直径5cmくらいの円柱ないし円錐形したもので硬くて重い。滴乳石は直径1cmくらいの管状で厚さは1mm程度である。
成分は主に炭酸カルシウムで少量のマグネシウムを含む。漢方では止咳・補陽・通乳の効能があり、咳嗽やインポテンツ、乳汁不足などに用いる。
石灰岩の洞窟に産出し、つらら状に下がった鍾乳石(スタラサイト:Stalactite)を用いる。
炭酸塩類の鉱物で、石灰岩の炭酸カルシウム(CaCO3)の水溶液が滴り落ちて長い間に晶出したものである。太いものを鍾乳石といい、細く管状のものは滴乳石という。ただし滴父石は鵝管石のひとつとして扱われることもある。鍾乳石は白色で直径5cmくらいの円柱ないし円錐形したもので硬くて重い。滴乳石は直径1cmくらいの管状で厚さは1mm程度である。
成分は主に炭酸カルシウムで少量のマグネシウムを含む。漢方では止咳・補陽・通乳の効能があり、咳嗽やインポテンツ、乳汁不足などに用いる。
木曜日, 5月 09, 2013
松藤
○松藤(しょうとう)
日本の各地、朝鮮半島の南の済洲島に分布するモクレン科の落葉つる性低木、マツブサ(Schisandra repanda)の蔓や葉を用いる。日本の固有種のため、中国名はなく、中国の松藤とは関係がない。
樹皮はアカマツに似て、蔓を折るとマツヤニに似た匂いがする。晩秋に果実がつる性の茎にブドウの房のように垂れ下がるため、マツブサ、松藤といった名前がある。
蔓や葉には精油成分のボルネオール、βピネン、セスキテルペンなどが含まれている。一般に薬湯料として用いられ、皮膚を刺激して血行を改善する作用があり、湯冷めしにくく、リウマチや神経痛、腰痛などの痛みを和らげるといわれている。黒く熟した実は酒に漬けて果実酒として利用されている。
日本の各地、朝鮮半島の南の済洲島に分布するモクレン科の落葉つる性低木、マツブサ(Schisandra repanda)の蔓や葉を用いる。日本の固有種のため、中国名はなく、中国の松藤とは関係がない。
樹皮はアカマツに似て、蔓を折るとマツヤニに似た匂いがする。晩秋に果実がつる性の茎にブドウの房のように垂れ下がるため、マツブサ、松藤といった名前がある。
蔓や葉には精油成分のボルネオール、βピネン、セスキテルペンなどが含まれている。一般に薬湯料として用いられ、皮膚を刺激して血行を改善する作用があり、湯冷めしにくく、リウマチや神経痛、腰痛などの痛みを和らげるといわれている。黒く熟した実は酒に漬けて果実酒として利用されている。
水曜日, 5月 08, 2013
松節
○松節(しょうせつ)
中国の中南部の各地に分布しているマツ科の常緑高木タイワンアカマツ(Pinus massoniana)やユショウ(P.tabulaeformis)などのマツの枝や幹の節を用いる。松を基原とする生薬には、幹からとった樹脂の松香、樹皮から抽出したピクノジェノール、葉の松葉、果実の海松子、化石となった琥珀などがある。
松は赤松、黒松などの五葉松類に区別され、タイワンアカマツなどは二葉松類であり、五葉松に比較すれば材質は硬くて樹脂が多い。松節にはセルロース、リグニン、精油のほか、ピクノジェノールに類似した松ポリフェノールが含まれている。
漢方では去風湿の効能があり、止痛薬としてリウマチ、こむら返り、膝関節腫張、脚力低下、打撲傷に用いる。煎じて服用するほか、酒に浸したものを内服したり、塗布して用いる。
中国の中南部の各地に分布しているマツ科の常緑高木タイワンアカマツ(Pinus massoniana)やユショウ(P.tabulaeformis)などのマツの枝や幹の節を用いる。松を基原とする生薬には、幹からとった樹脂の松香、樹皮から抽出したピクノジェノール、葉の松葉、果実の海松子、化石となった琥珀などがある。
松は赤松、黒松などの五葉松類に区別され、タイワンアカマツなどは二葉松類であり、五葉松に比較すれば材質は硬くて樹脂が多い。松節にはセルロース、リグニン、精油のほか、ピクノジェノールに類似した松ポリフェノールが含まれている。
漢方では去風湿の効能があり、止痛薬としてリウマチ、こむら返り、膝関節腫張、脚力低下、打撲傷に用いる。煎じて服用するほか、酒に浸したものを内服したり、塗布して用いる。
火曜日, 5月 07, 2013
硝石
○硝石(しょうせき)
乾燥地帯の地表や洞窟に風化物として少量産する鉱物、硝石(Niter)を生成してできた結晶を用いる。通常、チリ硝石や瀉利塩、灰硝石、石膏などと同じ場所にある。
窒素を含む物質や動物質に硝化バクテリアという細菌が作用して産することもある。エジプトやチベットなどの乾燥地帯では糞尿に木灰や石灰を混ぜて堆積し、細菌によって硝酸塩を生じさせ、水で抽出して硝石を作ったという。
硝石はKNO3を組成とするカリウムの硝酸塩鉱物であり、白色の粉末で水に溶け、焼くと爆発する。黒色火薬の原料であり、日本でも加賀藩がカイコの糞と雑草などを堆肥として生産していた。
漢方では有毒といわれ、消癥、通便・解毒の効能があり、腹部膨満や腫瘤、腹痛、便秘、腫れ物などに用いる。腹部が硬く膨満して便秘するときには大黄などと配合する(承気丸)。頭痛や頭風、耳聾などに硫黄と配合する(如神丹)。ちなみに傷寒論、金匱要略の中の硝石は芒硝と同じ硫酸マグネシウムであったと考えられている。
乾燥地帯の地表や洞窟に風化物として少量産する鉱物、硝石(Niter)を生成してできた結晶を用いる。通常、チリ硝石や瀉利塩、灰硝石、石膏などと同じ場所にある。
窒素を含む物質や動物質に硝化バクテリアという細菌が作用して産することもある。エジプトやチベットなどの乾燥地帯では糞尿に木灰や石灰を混ぜて堆積し、細菌によって硝酸塩を生じさせ、水で抽出して硝石を作ったという。
硝石はKNO3を組成とするカリウムの硝酸塩鉱物であり、白色の粉末で水に溶け、焼くと爆発する。黒色火薬の原料であり、日本でも加賀藩がカイコの糞と雑草などを堆肥として生産していた。
漢方では有毒といわれ、消癥、通便・解毒の効能があり、腹部膨満や腫瘤、腹痛、便秘、腫れ物などに用いる。腹部が硬く膨満して便秘するときには大黄などと配合する(承気丸)。頭痛や頭風、耳聾などに硫黄と配合する(如神丹)。ちなみに傷寒論、金匱要略の中の硝石は芒硝と同じ硫酸マグネシウムであったと考えられている。
月曜日, 5月 06, 2013
生漆
○生漆(しょうしつ)
中国、インドを原産とする漆科の落葉高木ウルシ(Rhus verniciflua)の樹脂を用いる。この樹脂を乾燥させて固めたものを乾漆という。ウルシの幹に深い傷をつけ、しみ出てくる半透明で乳白色の粘調な樹液を採取する。
中国では殷・周の時代から漆液が利用され、日本にも太古に渡来したと考えられ、縄文時代の遺跡から漆塗りの容器が出土している。漆液は空気にさらされると酸化して硬くなり、化学変化に強く、耐久性があるため塗料や接着剤として利用されてきた。
ウルシに含まれるウルシオールはしばしばアレルギー反応を引き起こし、漆かぶれの状態になる。ちなみに漆かぶれには沢蟹をつぶしたものをつけるという民間療法がよく知られている。
日本産のウルシの主成分はウルシオールであるが、ベトナム産のアンナンウルシはラッコール、ビルマ産のビルマウルシはチチコールを主成分とし、日本産の品質が最も優れている。一般に薬用には乾漆を用いるが、生薬を丸薬として用いることもある。
中国、インドを原産とする漆科の落葉高木ウルシ(Rhus verniciflua)の樹脂を用いる。この樹脂を乾燥させて固めたものを乾漆という。ウルシの幹に深い傷をつけ、しみ出てくる半透明で乳白色の粘調な樹液を採取する。
中国では殷・周の時代から漆液が利用され、日本にも太古に渡来したと考えられ、縄文時代の遺跡から漆塗りの容器が出土している。漆液は空気にさらされると酸化して硬くなり、化学変化に強く、耐久性があるため塗料や接着剤として利用されてきた。
ウルシに含まれるウルシオールはしばしばアレルギー反応を引き起こし、漆かぶれの状態になる。ちなみに漆かぶれには沢蟹をつぶしたものをつけるという民間療法がよく知られている。
日本産のウルシの主成分はウルシオールであるが、ベトナム産のアンナンウルシはラッコール、ビルマ産のビルマウルシはチチコールを主成分とし、日本産の品質が最も優れている。一般に薬用には乾漆を用いるが、生薬を丸薬として用いることもある。
木曜日, 5月 02, 2013
生地黄
○生地黄(なまじおう)
中国原産のゴマノハグサ科の多年草ジオウ(Rehmannia glutinosa)の根を用いる。生地黄というのは、採集後3ヶ月以内の新鮮な根のことで、採取した後、乾燥した砂の中で保存したものである。
日本では国産の新鮮な地黄を生地黄と呼び、入手可能な期間は12~1月と限られている。ただし、実際には日本の市場にはほとんど流通していない。中国では生地黄として鮮地黄(鮮生地)と干地黄(干生地)の両者を含むが、ここでは鮮地黄のことを説明し、干地黄は別項に記す。
地黄にはイリドイド配糖体のカタルポール、レオヌライド、アウクビン、糖類のマンニトール、スタキオースなどのほか、β-シトステロール、カロテノイドなどの成分が含まれている。地黄エキスでは血糖降下作用や強心・利尿作用、肝庇護作用、抗菌作用などが認められている。
漢方では清熱・涼血・止血・生津の効能があり、熱病による脱水状態で口渇が激しいとき、斑疹がみられるとき、血熱妄行による出血などに用いる。例えば、熱病に伴う斑疹には犀角・牡丹皮を配合する(犀角地黄湯)。血熱妄行による吐血や下血に搾った汁を単独で、あるいは側柏皮・茜草根などと配合する(四生丸)。発熱時の便秘には玄参・麦門冬などと配合する(増液湯)。微熱や盗汗があり、舌が鏡面舌を呈し、口腔内が乾燥している多ときには沙参・麦門冬なとど配合する(一貫煎)。
金匱要略ではベーチェット病などと想定されている百合病に対して、百合の煎液に生地黄の汁を加えた処方の記載がある(百合地黄湯)。そのほか傷寒論、金匱要略で生地黄が用いられている処方として炙甘草湯、防已地黄湯がある。ちなみにジオウの汁などを原料とした練り薬に瓊玉膏というのがある。これはジオウの搾汁を3日3晩、蒸しながら練り続けて製造され、薬性を熟地黄へと変化させたものであり、古くから不老長寿の薬として知られているものである。
中国原産のゴマノハグサ科の多年草ジオウ(Rehmannia glutinosa)の根を用いる。生地黄というのは、採集後3ヶ月以内の新鮮な根のことで、採取した後、乾燥した砂の中で保存したものである。
日本では国産の新鮮な地黄を生地黄と呼び、入手可能な期間は12~1月と限られている。ただし、実際には日本の市場にはほとんど流通していない。中国では生地黄として鮮地黄(鮮生地)と干地黄(干生地)の両者を含むが、ここでは鮮地黄のことを説明し、干地黄は別項に記す。
地黄にはイリドイド配糖体のカタルポール、レオヌライド、アウクビン、糖類のマンニトール、スタキオースなどのほか、β-シトステロール、カロテノイドなどの成分が含まれている。地黄エキスでは血糖降下作用や強心・利尿作用、肝庇護作用、抗菌作用などが認められている。
漢方では清熱・涼血・止血・生津の効能があり、熱病による脱水状態で口渇が激しいとき、斑疹がみられるとき、血熱妄行による出血などに用いる。例えば、熱病に伴う斑疹には犀角・牡丹皮を配合する(犀角地黄湯)。血熱妄行による吐血や下血に搾った汁を単独で、あるいは側柏皮・茜草根などと配合する(四生丸)。発熱時の便秘には玄参・麦門冬などと配合する(増液湯)。微熱や盗汗があり、舌が鏡面舌を呈し、口腔内が乾燥している多ときには沙参・麦門冬なとど配合する(一貫煎)。
金匱要略ではベーチェット病などと想定されている百合病に対して、百合の煎液に生地黄の汁を加えた処方の記載がある(百合地黄湯)。そのほか傷寒論、金匱要略で生地黄が用いられている処方として炙甘草湯、防已地黄湯がある。ちなみにジオウの汁などを原料とした練り薬に瓊玉膏というのがある。これはジオウの搾汁を3日3晩、蒸しながら練り続けて製造され、薬性を熟地黄へと変化させたものであり、古くから不老長寿の薬として知られているものである。
水曜日, 5月 01, 2013
常山
○常山(じょうざん)
東南アジアやインド、中国の南部に自生するユキノシタ科の常緑低木ジョウザンアジサイ(Dichroa febrifuga)の根を用いる。同じユキノシタかにアジサイがあり、やや似ているためにジョウザンアジサイという名がある。
この若葉も蜀漆と呼ばれて薬用にされる。薬材の根の質は堅くて重く、鶏骨のようであることから、かつて鶏骨常山といわれていた。中国ではクマツヅラ科のクサギ(Clerodendron trichotomum)の根を海洲常山といい、アカネ科のコンロンカ(Mussaenda parviflora)を白常山、ミカン科のコクサギ(Orixz japonica)を臭常山などといい、常山の代用にしていた。
成分にはアルカロイドのジクロイン(フェブリフジン、イソフェブリフジン)が含まれ、抗マラリア・抗アメーバ赤痢、解熱作用などが認められている。動物のマラリアにはキニーネよりも作用が強いが、人間のマラリアではキニーネより効力が劣る。
漢方でも抗瘧の効能があり、マラリア(瘧)の治療薬としてよく知られている。マラリアには知母・椰椰子などと配合する(常山飲)。しかし、キニーネよりもはるかに毒性があり、悪心、嘔吐、下痢、胃腸粘膜の充血などの症状がみられる。逆に、この催吐作用を応用して、生のままか大量に用いて痰や毒物を吐かせることもできる。
東南アジアやインド、中国の南部に自生するユキノシタ科の常緑低木ジョウザンアジサイ(Dichroa febrifuga)の根を用いる。同じユキノシタかにアジサイがあり、やや似ているためにジョウザンアジサイという名がある。
この若葉も蜀漆と呼ばれて薬用にされる。薬材の根の質は堅くて重く、鶏骨のようであることから、かつて鶏骨常山といわれていた。中国ではクマツヅラ科のクサギ(Clerodendron trichotomum)の根を海洲常山といい、アカネ科のコンロンカ(Mussaenda parviflora)を白常山、ミカン科のコクサギ(Orixz japonica)を臭常山などといい、常山の代用にしていた。
成分にはアルカロイドのジクロイン(フェブリフジン、イソフェブリフジン)が含まれ、抗マラリア・抗アメーバ赤痢、解熱作用などが認められている。動物のマラリアにはキニーネよりも作用が強いが、人間のマラリアではキニーネより効力が劣る。
漢方でも抗瘧の効能があり、マラリア(瘧)の治療薬としてよく知られている。マラリアには知母・椰椰子などと配合する(常山飲)。しかし、キニーネよりもはるかに毒性があり、悪心、嘔吐、下痢、胃腸粘膜の充血などの症状がみられる。逆に、この催吐作用を応用して、生のままか大量に用いて痰や毒物を吐かせることもできる。
火曜日, 4月 30, 2013
松香
○松香(しょうこう)
中国の中南部の各地に分布しているマツ科の常緑高木タイワンアカマツ(Pinus massoniana)やユシュウ(P.tabulaeformis)などのマツの幹からとった樹脂を用いる。枝や幹の節は松節、葉は松葉といい薬用にする。
マツの幹を刀でV字に削り、流出した油状樹脂を採取する。この粘着性の樹脂は生松脂あるいはテレビンチナ(テレメンチナ)という。テレビンチナには皮膚刺激性があり、吸出し膏としても用いる。このテレビンチナを水蒸気で蒸留した精油がテレビン油であり、精油を除いた残りの滓を冷却して固形にしたものを松香あるいはロジン(マツヤニ)という。
松香とロジンは成分は同じであるが、ロジンのほうがより精製されている。松香は不規則、半透明な琥珀色の塊で、常温では堅くて断面には光沢がある。成分にはアビエチン酸、ピマール酸などが含まれる。ロジンは絆創膏や硬膏の基剤として用いる。また野球の投手が滑り止めに用いている袋に入った粉末もロジンである(ロジンバック)。
漢方では排膿・生肌・止痛の効能があり、皮膚化膿症や皮膚病、掻痒症、痔、外傷、筋肉痛、歯痛などに用いる。一般に研って粉末にしたものを外用にしたり、丸剤、散剤として服用する。
排膿薬としてよく知られる吸出し青膏などの基剤として木蠟などとともに配合されている。またテレビン油はリウマチ、神経痛の塗布剤としても用いる。
中国の中南部の各地に分布しているマツ科の常緑高木タイワンアカマツ(Pinus massoniana)やユシュウ(P.tabulaeformis)などのマツの幹からとった樹脂を用いる。枝や幹の節は松節、葉は松葉といい薬用にする。
マツの幹を刀でV字に削り、流出した油状樹脂を採取する。この粘着性の樹脂は生松脂あるいはテレビンチナ(テレメンチナ)という。テレビンチナには皮膚刺激性があり、吸出し膏としても用いる。このテレビンチナを水蒸気で蒸留した精油がテレビン油であり、精油を除いた残りの滓を冷却して固形にしたものを松香あるいはロジン(マツヤニ)という。
松香とロジンは成分は同じであるが、ロジンのほうがより精製されている。松香は不規則、半透明な琥珀色の塊で、常温では堅くて断面には光沢がある。成分にはアビエチン酸、ピマール酸などが含まれる。ロジンは絆創膏や硬膏の基剤として用いる。また野球の投手が滑り止めに用いている袋に入った粉末もロジンである(ロジンバック)。
漢方では排膿・生肌・止痛の効能があり、皮膚化膿症や皮膚病、掻痒症、痔、外傷、筋肉痛、歯痛などに用いる。一般に研って粉末にしたものを外用にしたり、丸剤、散剤として服用する。
排膿薬としてよく知られる吸出し青膏などの基剤として木蠟などとともに配合されている。またテレビン油はリウマチ、神経痛の塗布剤としても用いる。
水曜日, 4月 24, 2013
小薊
○小薊(しょうけい)
九州の対馬列島、朝鮮半島、中国の東北部にかけて分布するキク科の多年草アレチアザミ(Breea segetum)の全草又は根を用いる。アレチアザミの花はアザミに似ているが、葉の形は全く異なり、アザミ属ではない。
一方、アザミとして代表的なノアザミ(Cirsium japonicum)の全草や根は大薊と呼ばれている。また東北地方や北海道、中国東北部からシベリアにかけて分布するエゾノキツネアザミ(B.setosa)も小薊として用いる。
詳細は不明だがアレチアザミの全草にアルカロイドやサポニンが含まれ、止血、抗菌作用などが報告されている。小薊は大薊と同様に清熱涼血・止血の効能があり、鼻血、喀血、血尿、血便などの症状に用いる。小薊はとくに血尿に効果があり、尿路結石や膀胱炎などによる血尿に藕節蒲黄などと配合する(小薊飲子)。
新鮮な生のものほど止血作用に優れ、搾った汁を単独で用いる。煎じる場合でも長時間煎じないほうがよい。また皮膚の腫れ物や化膿に内服あるいは外用として用いる。近年、中国では急性肝炎や腎炎、高血圧などに対しての臨床効果が報告されている。
九州の対馬列島、朝鮮半島、中国の東北部にかけて分布するキク科の多年草アレチアザミ(Breea segetum)の全草又は根を用いる。アレチアザミの花はアザミに似ているが、葉の形は全く異なり、アザミ属ではない。
一方、アザミとして代表的なノアザミ(Cirsium japonicum)の全草や根は大薊と呼ばれている。また東北地方や北海道、中国東北部からシベリアにかけて分布するエゾノキツネアザミ(B.setosa)も小薊として用いる。
詳細は不明だがアレチアザミの全草にアルカロイドやサポニンが含まれ、止血、抗菌作用などが報告されている。小薊は大薊と同様に清熱涼血・止血の効能があり、鼻血、喀血、血尿、血便などの症状に用いる。小薊はとくに血尿に効果があり、尿路結石や膀胱炎などによる血尿に藕節蒲黄などと配合する(小薊飲子)。
新鮮な生のものほど止血作用に優れ、搾った汁を単独で用いる。煎じる場合でも長時間煎じないほうがよい。また皮膚の腫れ物や化膿に内服あるいは外用として用いる。近年、中国では急性肝炎や腎炎、高血圧などに対しての臨床効果が報告されている。
火曜日, 4月 23, 2013
生姜
○生姜(しょうきょう)
熱帯アジア原産で日本にも古くに渡来したショウガ科の多年草ショウガ(Zingiber officinale)の根茎を用いる。ショウガは食料や香辛料のジンジャーとしても広く用いられている。
中国で生姜といえば生のヒネショウガのことである。日本でも本来、生姜といえば八百屋にあるヒネショウガのことであったが、日本薬局方では生のものは扱わずに乾燥させたものを生姜とした。このため日本では生のショウガを特に鮮姜といって区別するが、ほとんど用いられていない。また日本でいう生姜は乾燥させているため乾生姜ということもある。
一般に乾生姜を用いる場合、処方中の生姜の重さの1/3~1/4の量にして代用する。中国と日本での呼称が異なるため注意する必要がある。ここでは本来の生姜、つまり生のヒネショウガについて説明する。
成分には辛味成分のジンゲロールやショウガオールが含まれ、解熱・鎮痛・鎮咳・鎮吐作用などが認められている。漢方では解表・止嘔の効能があり、外感風寒証や胃寒による嘔吐などに用いる。解毒の効能もあり、半夏や天南星の刺激性や毒性を緩和する。
そのほか健胃作用もあるため多くの補益剤に大棗・甘草とともに配合されている。ちなみに欧米では育毛のため生の汁や浸出液で頭皮をマッサージするといわれている。
熱帯アジア原産で日本にも古くに渡来したショウガ科の多年草ショウガ(Zingiber officinale)の根茎を用いる。ショウガは食料や香辛料のジンジャーとしても広く用いられている。
中国で生姜といえば生のヒネショウガのことである。日本でも本来、生姜といえば八百屋にあるヒネショウガのことであったが、日本薬局方では生のものは扱わずに乾燥させたものを生姜とした。このため日本では生のショウガを特に鮮姜といって区別するが、ほとんど用いられていない。また日本でいう生姜は乾燥させているため乾生姜ということもある。
一般に乾生姜を用いる場合、処方中の生姜の重さの1/3~1/4の量にして代用する。中国と日本での呼称が異なるため注意する必要がある。ここでは本来の生姜、つまり生のヒネショウガについて説明する。
成分には辛味成分のジンゲロールやショウガオールが含まれ、解熱・鎮痛・鎮咳・鎮吐作用などが認められている。漢方では解表・止嘔の効能があり、外感風寒証や胃寒による嘔吐などに用いる。解毒の効能もあり、半夏や天南星の刺激性や毒性を緩和する。
そのほか健胃作用もあるため多くの補益剤に大棗・甘草とともに配合されている。ちなみに欧米では育毛のため生の汁や浸出液で頭皮をマッサージするといわれている。
月曜日, 4月 22, 2013
紫陽花
○紫陽花(しょうか)
日本の各地で栽培されているユキノシタ科の落葉低木アジサイ(Hydrangea macrophylla)の根や葉、花を用いる。アジサイは日本でガクアジサイ(H.macrophylla.f.normalis)から改良された品種で、鎌倉時代に園芸化され、江戸時代には一般に広まった。それとともに中国にも伝えられ、さらに18世紀後半にはイギリスにも紹介された。シーボルトが愛人のお滝さんにちなみH.otaksaと命名したことも有名である。
アジサイの花は土壌の酸性度と関係し、酸性度の高いときには青色、低いときには桃色が強くなる。花にはルチン、葉にはスキンミン、根にはヒドラナゲノール、フェブリフジンなどが含まれ、抗マラリア作用が報告されている。日本の民間でも花や葉を煎じて解熱薬として用いる。
アジサイと同じユキノシタ科の薬用植物にジョウザンアジサイ(生薬名:常山)があり、マラリアの治療薬としてよく知られている。有特桂里は方輿輗の中でマラリアには常山よりアジサイの葉の方がよいと記している(紫陽散)。ちなみにアマチャ(甘茶)はアジサイの変異種である。
北アメリカの先住民はアジサイの近縁種のハイドランジア(H.arborescens)の根を尿路結石や前立腺炎などのときの利尿薬として用いていた。近年、飲食店で料理に添えたアジサイの葉を食べて、吐き気、嘔吐、目眩などの中毒症状を起こしたが、これは生葉に含まれている青酸配当体によるものと断定された。
日本の各地で栽培されているユキノシタ科の落葉低木アジサイ(Hydrangea macrophylla)の根や葉、花を用いる。アジサイは日本でガクアジサイ(H.macrophylla.f.normalis)から改良された品種で、鎌倉時代に園芸化され、江戸時代には一般に広まった。それとともに中国にも伝えられ、さらに18世紀後半にはイギリスにも紹介された。シーボルトが愛人のお滝さんにちなみH.otaksaと命名したことも有名である。
アジサイの花は土壌の酸性度と関係し、酸性度の高いときには青色、低いときには桃色が強くなる。花にはルチン、葉にはスキンミン、根にはヒドラナゲノール、フェブリフジンなどが含まれ、抗マラリア作用が報告されている。日本の民間でも花や葉を煎じて解熱薬として用いる。
アジサイと同じユキノシタ科の薬用植物にジョウザンアジサイ(生薬名:常山)があり、マラリアの治療薬としてよく知られている。有特桂里は方輿輗の中でマラリアには常山よりアジサイの葉の方がよいと記している(紫陽散)。ちなみにアマチャ(甘茶)はアジサイの変異種である。
北アメリカの先住民はアジサイの近縁種のハイドランジア(H.arborescens)の根を尿路結石や前立腺炎などのときの利尿薬として用いていた。近年、飲食店で料理に添えたアジサイの葉を食べて、吐き気、嘔吐、目眩などの中毒症状を起こしたが、これは生葉に含まれている青酸配当体によるものと断定された。
土曜日, 4月 20, 2013
棕櫚
○棕櫚(しゅろ)
中国あるいは南九州を原産とするヤシ科の常緑高木シュロ(Trachycarpus fortunei)の葉や葉鞘を用いる。中国では葉柄が短く葉もやや小さいトウジュロ(T.wagnerianus)を用いる。日本では棕櫚葉として、中国ではおもに葉鞘の繊維を棕櫚皮として用いる。
シュロはヤシ科であるが、耐寒性が強く、東北地方まで栽培されている。葉は幹の頂部から傘のように広がって生え、葉柄の基部の幹は葉鞘部が腐ってできた黒褐色の繊維、つまりシュロ毛に覆われている。このシュロ毛は耐水性があり、ロープや縄、蓑、敷物などに利用される。また若葉や帽子や籠なども作られる。
中国では棕櫚皮の古いものを陳棕皮というが、廃棄されたシュロ縄などを用いる。また棕櫚皮を容器の中に入れて黒焼きにしたものを棕櫚炭、あるいは陳棕炭という。
中国医学では棕櫚皮に収渋・止血の効能があり、鼻血、吐血、血尿、血便、性器出血などに用いる。一般に炭にすると止血作用は強まり、陳旧なものほど効果がよいとされている。煎じるよりも棕櫚炭の粉末を直接服用することが多く、また外用薬として鼻血に粉末を直接入れる方法もある。
日本の民間では棕櫚葉の軽く焙じたものを茶剤として、高血圧や脳卒中に用いる。脳卒中による顔面麻痺や半身不随には棕櫚葉を紅花・白僵蚕などと配合する(強神湯)。また果実の棕櫚実は腎臓病や浮腫の治療に用いられる。
中国あるいは南九州を原産とするヤシ科の常緑高木シュロ(Trachycarpus fortunei)の葉や葉鞘を用いる。中国では葉柄が短く葉もやや小さいトウジュロ(T.wagnerianus)を用いる。日本では棕櫚葉として、中国ではおもに葉鞘の繊維を棕櫚皮として用いる。
シュロはヤシ科であるが、耐寒性が強く、東北地方まで栽培されている。葉は幹の頂部から傘のように広がって生え、葉柄の基部の幹は葉鞘部が腐ってできた黒褐色の繊維、つまりシュロ毛に覆われている。このシュロ毛は耐水性があり、ロープや縄、蓑、敷物などに利用される。また若葉や帽子や籠なども作られる。
中国では棕櫚皮の古いものを陳棕皮というが、廃棄されたシュロ縄などを用いる。また棕櫚皮を容器の中に入れて黒焼きにしたものを棕櫚炭、あるいは陳棕炭という。
中国医学では棕櫚皮に収渋・止血の効能があり、鼻血、吐血、血尿、血便、性器出血などに用いる。一般に炭にすると止血作用は強まり、陳旧なものほど効果がよいとされている。煎じるよりも棕櫚炭の粉末を直接服用することが多く、また外用薬として鼻血に粉末を直接入れる方法もある。
日本の民間では棕櫚葉の軽く焙じたものを茶剤として、高血圧や脳卒中に用いる。脳卒中による顔面麻痺や半身不随には棕櫚葉を紅花・白僵蚕などと配合する(強神湯)。また果実の棕櫚実は腎臓病や浮腫の治療に用いられる。
金曜日, 4月 19, 2013
朮
○朮(じゅつ)
キク科に属する多年草オケラ(Atractylodes japonica)およびその同属植物の根茎を朮という、オケラは、秋にはアザミに似た白い花が咲き、花の周囲は魚の骨のような総苞で覆われている。
大晦日の夜に京都の八坂神社で行われているオケラ祭りは、オケラを燻べてつけた神灯の火を縄につけて家に持ち帰り、それでつくった雑煮を食べて無病息災を祈念する行事である。また俳句の季語に「蒼朮焼く」とあるように、衣類や書籍がカビないようにオケラを焼きいぶす風習もあった。
現在、生薬の朮には白朮と蒼朮の2種類があり、日本のオケラ(和白朮)や中国産のオオバナオケラ(A.macrocephala)は白朮に、ホソバオケラ(A.lancea)やシナオケラ(A.chinensis)は蒼朮として区別されている。ただし中国ではオケラを蒼朮のひとつとして扱っている。
ただし中国ではオケラを白朮として用いず、地方によってはオケラを蒼朮のひとつとして扱っている。もともと日本にはオケラ(白朮)の一種しか自生していなかったが、江戸時代に中国から渡来したホソバオケラ(蒼朮)が栽培されるようになった。かつて日本ではオケラの根茎の周皮を削ったものを白朮とし、そのまま蒼朮としていたこともあった。中国でも6世紀まで、朮はあまり区別されておらず、処方で蒼朮に区別するようになったのは明代になってからである。
神農本草経に収載されている朮は産地から蒼朮が推定されているが、傷寒論の朮に関しては中国では白朮としているが、吉益東洞は蒼朮にすべきであると主張している。本草綱目では朮とは別に蒼朮をあげ、朮を白朮のこととしている。
成分的な分析による鑑別として日本薬局方ではアトラクチロンを主成分としてアトラクチロジンを含まないものを白朮、アトラクチロジンを多く含んでほとんどアトラクチロンを含まないものを蒼朮と規定している。
漢方ではいずれも病的な水分を改善するという燥湿の効能があるが、とくに白朮は胃腸間の水分、蒼朮は体表部の水分を除くのに優れている。また白朮には健脾、補気、元気をつけるのに対し、蒼朮には去風湿の効能があり、関節の浮腫や湿疹などに効果がある。一般に白朮は蒼朮よりも薬性が緩和である。
キク科に属する多年草オケラ(Atractylodes japonica)およびその同属植物の根茎を朮という、オケラは、秋にはアザミに似た白い花が咲き、花の周囲は魚の骨のような総苞で覆われている。
大晦日の夜に京都の八坂神社で行われているオケラ祭りは、オケラを燻べてつけた神灯の火を縄につけて家に持ち帰り、それでつくった雑煮を食べて無病息災を祈念する行事である。また俳句の季語に「蒼朮焼く」とあるように、衣類や書籍がカビないようにオケラを焼きいぶす風習もあった。
現在、生薬の朮には白朮と蒼朮の2種類があり、日本のオケラ(和白朮)や中国産のオオバナオケラ(A.macrocephala)は白朮に、ホソバオケラ(A.lancea)やシナオケラ(A.chinensis)は蒼朮として区別されている。ただし中国ではオケラを蒼朮のひとつとして扱っている。
ただし中国ではオケラを白朮として用いず、地方によってはオケラを蒼朮のひとつとして扱っている。もともと日本にはオケラ(白朮)の一種しか自生していなかったが、江戸時代に中国から渡来したホソバオケラ(蒼朮)が栽培されるようになった。かつて日本ではオケラの根茎の周皮を削ったものを白朮とし、そのまま蒼朮としていたこともあった。中国でも6世紀まで、朮はあまり区別されておらず、処方で蒼朮に区別するようになったのは明代になってからである。
神農本草経に収載されている朮は産地から蒼朮が推定されているが、傷寒論の朮に関しては中国では白朮としているが、吉益東洞は蒼朮にすべきであると主張している。本草綱目では朮とは別に蒼朮をあげ、朮を白朮のこととしている。
成分的な分析による鑑別として日本薬局方ではアトラクチロンを主成分としてアトラクチロジンを含まないものを白朮、アトラクチロジンを多く含んでほとんどアトラクチロンを含まないものを蒼朮と規定している。
漢方ではいずれも病的な水分を改善するという燥湿の効能があるが、とくに白朮は胃腸間の水分、蒼朮は体表部の水分を除くのに優れている。また白朮には健脾、補気、元気をつけるのに対し、蒼朮には去風湿の効能があり、関節の浮腫や湿疹などに効果がある。一般に白朮は蒼朮よりも薬性が緩和である。
木曜日, 4月 18, 2013
朱砂
○朱砂(しゅしゃ)
天然の硫化水銀、辰砂(Cinnabar)の鉱石を用いる。湖南省の辰州に良品を産することから辰砂といい、色が赤いことから朱砂、丹砂など呼ばれる。品質の最もよいものを光明砂という。
中国では湖南・四川・貴州省などで産出する。大きさや形はまちまちで塊状、薄片状、顆粒状があり、暗紅色ないし鮮紅色で光沢があり、重く、無味無臭である。上等の印肉の朱は朱砂が使われている。
朱砂の主成分は硫化水銀(HgS)であり、天然品は少量の土や有機物を來雑する。朱砂を過熱し、遊離した水銀の蒸気を冷却すると水銀が得られる(HgS+O2→Hg+SO2)。また逆に水銀と硫黄を用いた合成朱砂もあり、これを霊砂といい、重慶や昆明などで作られている。天然品は非常に高価なので、合成品も使用されている。
硫化水銀は水に不溶性のためほとんど毒性がないとされるが、そうすると薬理的に作用しないことになる。漢方では重鎮安神薬のひとつで、安伸・定驚の効能があり、痙攣発作や熱性痙攣、めまい、不安、不眠、動機などの精神状態に用いる。一般に丸剤、散剤で用いるが、湯剤としては使用しない。
不眠や神経症などで不眠、動悸、多夢、煩躁、口渇などの症状のみられるときには黄連・生地黄などと配合する(朱砂安伸丸)。大便が乾燥して秘結するときには芦薈と配合する(更衣丸)。梅毒による皮膚症状や筋肉痛などに亀板・石決明と配合する(紫金丹)。口内炎や歯肉炎、咽頭頭炎などに竜脳・硼砂などと配合した口中に含む(氷硼散)。化膿した傷口には炉甘石・滑石などと配合して外用する(生肌散)。ただし水銀中毒に注意し、長期、多量の服用は避けたほうがよい。
天然の硫化水銀、辰砂(Cinnabar)の鉱石を用いる。湖南省の辰州に良品を産することから辰砂といい、色が赤いことから朱砂、丹砂など呼ばれる。品質の最もよいものを光明砂という。
中国では湖南・四川・貴州省などで産出する。大きさや形はまちまちで塊状、薄片状、顆粒状があり、暗紅色ないし鮮紅色で光沢があり、重く、無味無臭である。上等の印肉の朱は朱砂が使われている。
朱砂の主成分は硫化水銀(HgS)であり、天然品は少量の土や有機物を來雑する。朱砂を過熱し、遊離した水銀の蒸気を冷却すると水銀が得られる(HgS+O2→Hg+SO2)。また逆に水銀と硫黄を用いた合成朱砂もあり、これを霊砂といい、重慶や昆明などで作られている。天然品は非常に高価なので、合成品も使用されている。
硫化水銀は水に不溶性のためほとんど毒性がないとされるが、そうすると薬理的に作用しないことになる。漢方では重鎮安神薬のひとつで、安伸・定驚の効能があり、痙攣発作や熱性痙攣、めまい、不安、不眠、動機などの精神状態に用いる。一般に丸剤、散剤で用いるが、湯剤としては使用しない。
不眠や神経症などで不眠、動悸、多夢、煩躁、口渇などの症状のみられるときには黄連・生地黄などと配合する(朱砂安伸丸)。大便が乾燥して秘結するときには芦薈と配合する(更衣丸)。梅毒による皮膚症状や筋肉痛などに亀板・石決明と配合する(紫金丹)。口内炎や歯肉炎、咽頭頭炎などに竜脳・硼砂などと配合した口中に含む(氷硼散)。化膿した傷口には炉甘石・滑石などと配合して外用する(生肌散)。ただし水銀中毒に注意し、長期、多量の服用は避けたほうがよい。
水曜日, 4月 17, 2013
縮砂
○縮砂(しゅくしゃ)
インドシナ半島や中国の雲南省に分布するショウガ科の多年草シュクシャミツ(Amomum xanthioides)やヨウシュンシャ(A.villosum)の種子塊を用いる。日本薬局方ではシュクシャミツが規定されているが、中国ではおもにヨウシュンシャを用いている。
種子塊は直径1~2cmくらいの団子状で、3室に分かれており、角室は10~20個の種子が集まってできている。種子は多角形の粒状で、砕くと独特の芳香があり、味は辛い。生薬には白くなっている縮砂もあるが、これは石灰を用いて乾燥させたものである。日本ではショウガ科のハナミョウガの種子を伊豆縮砂といい、かつては縮砂の代用とした。
種子にはカンファー、ボルネオールなどが含まれ、芳香性健胃薬として知られる。近年、ボルネオールの配糖体であるアモムサイドに鎮静作用のあることが報告されている。
漢方では理気・化瘀・寛胸・安胎の効能があり、食欲不振、下痢、胎動不安などに用いる。とくにストレス(気滞)による膨満感や腹痛、痞えなどに効果がある。また妊娠のときの悪阻には縮砂を噛んで服用する。
インドシナ半島や中国の雲南省に分布するショウガ科の多年草シュクシャミツ(Amomum xanthioides)やヨウシュンシャ(A.villosum)の種子塊を用いる。日本薬局方ではシュクシャミツが規定されているが、中国ではおもにヨウシュンシャを用いている。
種子塊は直径1~2cmくらいの団子状で、3室に分かれており、角室は10~20個の種子が集まってできている。種子は多角形の粒状で、砕くと独特の芳香があり、味は辛い。生薬には白くなっている縮砂もあるが、これは石灰を用いて乾燥させたものである。日本ではショウガ科のハナミョウガの種子を伊豆縮砂といい、かつては縮砂の代用とした。
種子にはカンファー、ボルネオールなどが含まれ、芳香性健胃薬として知られる。近年、ボルネオールの配糖体であるアモムサイドに鎮静作用のあることが報告されている。
漢方では理気・化瘀・寛胸・安胎の効能があり、食欲不振、下痢、胎動不安などに用いる。とくにストレス(気滞)による膨満感や腹痛、痞えなどに効果がある。また妊娠のときの悪阻には縮砂を噛んで服用する。
火曜日, 4月 16, 2013
熟地黄
○熟地黄(じゅくじおう)
中国原産のゴマノハグサ科の多年草ジオウ(Rehmannia glutinosa)の根を加工したものを用いる。熟地黄には蒸気で蒸す蒸熟地黄と紹興酒などの醸造酒を加えて蒸す酒熟地黄とがある。
ジオウの根を酒に漬け、それを蒸し器で蒸し、日干しして半乾きしたものを再び酒に漬けるといった行程を全体が黒くなるまで何度か繰り返して行い、九回繰り返して製造したものは九蒸九といわれ、最上品とされている。
熟地黄は内外ともに漆黒で、光沢があり、柔らかく、断面はしっとりとして、非常に甘味がある。地黄は、修治により生地黄、乾地黄、熟地黄に大別されるが、日本薬局方では両者をジオウとして規定しているため、一般に地黄といえば乾地黄のことをいう。
生地黄と熟地黄の成分の違いとして、熟地黄への修治の過程でカタルポールなどのイリドイド配糖体が消失し、フェネチルアルコール配糖体のアセトサイドやプロサイドが生成され、オリゴ糖のスタキオースが分解して果糖などの単糖類が増加するといわれている。薬性も生地黄の甘苦・大寒から、熟地黄の甘・微温へと変化し、清熱作用から滋養作用へと効能も変化している。
漢方では補陰・補血の効能があり、膝や腰の萎弱、性機能低下、泌尿器疾患、月経不順、耳や目の衰えなどに用いる。ただし、熟地黄は吸収されにくいため、胃腸が虚弱な場合には腹が張ったり、便が緩んだりすることがある。ちなみに傷寒論、金匱要略では生地黄と乾地黄のみが用いられており、熟地黄は宋代の本草図経(1058)において初めて登場する。
中国原産のゴマノハグサ科の多年草ジオウ(Rehmannia glutinosa)の根を加工したものを用いる。熟地黄には蒸気で蒸す蒸熟地黄と紹興酒などの醸造酒を加えて蒸す酒熟地黄とがある。
ジオウの根を酒に漬け、それを蒸し器で蒸し、日干しして半乾きしたものを再び酒に漬けるといった行程を全体が黒くなるまで何度か繰り返して行い、九回繰り返して製造したものは九蒸九といわれ、最上品とされている。
熟地黄は内外ともに漆黒で、光沢があり、柔らかく、断面はしっとりとして、非常に甘味がある。地黄は、修治により生地黄、乾地黄、熟地黄に大別されるが、日本薬局方では両者をジオウとして規定しているため、一般に地黄といえば乾地黄のことをいう。
生地黄と熟地黄の成分の違いとして、熟地黄への修治の過程でカタルポールなどのイリドイド配糖体が消失し、フェネチルアルコール配糖体のアセトサイドやプロサイドが生成され、オリゴ糖のスタキオースが分解して果糖などの単糖類が増加するといわれている。薬性も生地黄の甘苦・大寒から、熟地黄の甘・微温へと変化し、清熱作用から滋養作用へと効能も変化している。
漢方では補陰・補血の効能があり、膝や腰の萎弱、性機能低下、泌尿器疾患、月経不順、耳や目の衰えなどに用いる。ただし、熟地黄は吸収されにくいため、胃腸が虚弱な場合には腹が張ったり、便が緩んだりすることがある。ちなみに傷寒論、金匱要略では生地黄と乾地黄のみが用いられており、熟地黄は宋代の本草図経(1058)において初めて登場する。
月曜日, 4月 15, 2013
十薬
○十薬(じゅうやく)
日本の各地をはじめ東アジアに広く分布するドクダミ科の多年草ドクダミ(Houttuynia cordata)の全草を用いる。平地ややや湿ったところに普通にみられ、独特の臭気がある。
この臭いのため中国では魚腥草という。和名は毒が入っていそうなので「毒溜み」、あるいは解毒作用から「毒矯み」といわれている。十薬の語源については十種の効能があるためというのは俗説で、漢名に由来する蕺薬を十薬あるいは重薬に当てたものである。
一般に花が咲いている5~6月に根を含む全草を採取する。独特の臭気はデカノイルアセトアルデヒドやラウリルアルデヒドによるが、乾燥すると悪臭は消える。そのほか葉や花にはフラボノイドのクエルシトリンやイソクエルシトリンなども含まれる。
デカノイルアセトアルデヒドに抗菌・抗真菌作用があるが、乾燥すると酸化されてメチルノニルケトンに変化してその作用が失効する。このため乾燥させたドクダミの煎液にあまり解毒作用は期待できないが、利尿、緩下作用や抗動脈硬化作用などが知られている。
漢方では清熱・解毒・利水・消腫の効能があり、肺炎や気管支炎、腸炎、膀胱炎、腫れ物、痔、脱肛などに用いる。日本漢方では梅毒や腫れ物、湿疹、痔患に金銀花・荊芥などと配合した五物解毒湯が有名である。しかし乾燥させると解毒作用が失効するためか、専ら生のまま外用薬として利用される。
たとえば新鮮な生の葉を火にあぶって柔らかくしたものを腫れ物の患部に当てて膿を吸い出すのに用いる。蓄膿症にはドクダミの葉を揉んで汁を出したものを鼻に挿入する。また葉の汁を湿疹や痤瘡、水虫、かぶれなどに外用する。痔や脱肛には坐浴用として、あせもには浴湯料として乾燥した葉を用いる。今日ではどくだみ茶として便秘や高血圧、皮膚病などの体質改善に利用されている。
日本の各地をはじめ東アジアに広く分布するドクダミ科の多年草ドクダミ(Houttuynia cordata)の全草を用いる。平地ややや湿ったところに普通にみられ、独特の臭気がある。
この臭いのため中国では魚腥草という。和名は毒が入っていそうなので「毒溜み」、あるいは解毒作用から「毒矯み」といわれている。十薬の語源については十種の効能があるためというのは俗説で、漢名に由来する蕺薬を十薬あるいは重薬に当てたものである。
一般に花が咲いている5~6月に根を含む全草を採取する。独特の臭気はデカノイルアセトアルデヒドやラウリルアルデヒドによるが、乾燥すると悪臭は消える。そのほか葉や花にはフラボノイドのクエルシトリンやイソクエルシトリンなども含まれる。
デカノイルアセトアルデヒドに抗菌・抗真菌作用があるが、乾燥すると酸化されてメチルノニルケトンに変化してその作用が失効する。このため乾燥させたドクダミの煎液にあまり解毒作用は期待できないが、利尿、緩下作用や抗動脈硬化作用などが知られている。
漢方では清熱・解毒・利水・消腫の効能があり、肺炎や気管支炎、腸炎、膀胱炎、腫れ物、痔、脱肛などに用いる。日本漢方では梅毒や腫れ物、湿疹、痔患に金銀花・荊芥などと配合した五物解毒湯が有名である。しかし乾燥させると解毒作用が失効するためか、専ら生のまま外用薬として利用される。
たとえば新鮮な生の葉を火にあぶって柔らかくしたものを腫れ物の患部に当てて膿を吸い出すのに用いる。蓄膿症にはドクダミの葉を揉んで汁を出したものを鼻に挿入する。また葉の汁を湿疹や痤瘡、水虫、かぶれなどに外用する。痔や脱肛には坐浴用として、あせもには浴湯料として乾燥した葉を用いる。今日ではどくだみ茶として便秘や高血圧、皮膚病などの体質改善に利用されている。
金曜日, 4月 12, 2013
秋石
○秋石(しゅうせき)
明石には淡秋石と鹹秋石とがあり、人尿を加工したものを淡秋石、石塩を加工したものを鹸秋石あるいは盆秋石という。
淡秋石の作り方は、秋に童尿を集め、石膏を加えて沈殿させ、上澄み液を捨てるという行程を何回か繰り返し、白く練り上げて小方形の塊にする。鹹秋石の作り方は、石塩に泉水を加えて濾過し、その濾液を加熱蒸発させてできた粉末(秋石霜)をとり、これを蓋のついた磁器の碗に入れて強火で加熱し、塊状の固体にする。
淡秋石の成分は主に尿酸カルシウムとリン酸カルシウムであるが、鹹秋石の成分は塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムである。漢方では補陰・清虚熱の効能があり、結核による発熱、咳嗽、咽頭腫痛、頻尿、遺精、混濁尿、帯下に用いる。高齢者の体力低下、精力減退、手足のしびれやだるさ、尿失禁などに全鹿・人参・地黄などと配合する(全鹿丸)。
明石には淡秋石と鹹秋石とがあり、人尿を加工したものを淡秋石、石塩を加工したものを鹸秋石あるいは盆秋石という。
淡秋石の作り方は、秋に童尿を集め、石膏を加えて沈殿させ、上澄み液を捨てるという行程を何回か繰り返し、白く練り上げて小方形の塊にする。鹹秋石の作り方は、石塩に泉水を加えて濾過し、その濾液を加熱蒸発させてできた粉末(秋石霜)をとり、これを蓋のついた磁器の碗に入れて強火で加熱し、塊状の固体にする。
淡秋石の成分は主に尿酸カルシウムとリン酸カルシウムであるが、鹹秋石の成分は塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムである。漢方では補陰・清虚熱の効能があり、結核による発熱、咳嗽、咽頭腫痛、頻尿、遺精、混濁尿、帯下に用いる。高齢者の体力低下、精力減退、手足のしびれやだるさ、尿失禁などに全鹿・人参・地黄などと配合する(全鹿丸)。
木曜日, 4月 11, 2013
臭梧桐
○臭梧桐(しゅうごとう)
日本の各地、朝鮮、中国などに分布するクマツヅラ科の落葉低木クサギ(Clerodendrum trichotomum)の若い枝や葉を用いる。根は臭梧桐根という。キリ(梧桐)の葉に似て特異な臭いがあるため臭梧桐とか、クサギ(臭木)という名がある。
クサギの成熟した果実は碧色となり、江戸時代にはこれを常山の実と呼んで浅青色(はなだ色)の染料として利用していた。現在でもしばしば草木染めに利用されている。また若芽は食用になる。
茎葉の成分にはクレロデンドリンが含まれ、降圧作用、鎮痛作用が認められている。漢方では去風湿の効能があり、リウマチなどによる疼痛や半身麻痺などの症状に用いられる。
近年、製剤化したものを高血圧の治療に応用している(風湿豨桐片)。臭梧桐根も同様の効果があり、筋肉痛や関節痛、麻痺などに桑枝・虎杖根などと配合する(桑枝虎杖湯)。
日本の各地、朝鮮、中国などに分布するクマツヅラ科の落葉低木クサギ(Clerodendrum trichotomum)の若い枝や葉を用いる。根は臭梧桐根という。キリ(梧桐)の葉に似て特異な臭いがあるため臭梧桐とか、クサギ(臭木)という名がある。
クサギの成熟した果実は碧色となり、江戸時代にはこれを常山の実と呼んで浅青色(はなだ色)の染料として利用していた。現在でもしばしば草木染めに利用されている。また若芽は食用になる。
茎葉の成分にはクレロデンドリンが含まれ、降圧作用、鎮痛作用が認められている。漢方では去風湿の効能があり、リウマチなどによる疼痛や半身麻痺などの症状に用いられる。
近年、製剤化したものを高血圧の治療に応用している(風湿豨桐片)。臭梧桐根も同様の効果があり、筋肉痛や関節痛、麻痺などに桑枝・虎杖根などと配合する(桑枝虎杖湯)。
水曜日, 4月 10, 2013
戎塩
○戒塩(じゅうえん)
古い地質時代に内海や塩湖が干上がって沈殿した食塩が、再結晶してできた岩塩(ハーライト:Halite)を用いる。中国では古くから戎地(西戎)と呼ばれた青海省の塩湖から産出している。
天然の食品の結晶は光明塩といい、海水を日干しして結晶化させたものは食塩という。いずれも塩化ナトリウム:NaClを主成分とするが、戎塩には來雑物としてカルシウムやマグネシウム、鉄や微量のヒ素なども含まれている。
漢方では性味は鹸・寒で、止血・明目の効能があり、血尿や歯肉出血、歯痛、結膜炎などに用いる。また滋腎の効能があり、尿失禁の治療に用いる固脬丸には桑螵蛸・菟絲子などと配合されている。金匱要略では尿の出にくいときに茯苓・白朮とともに戎塩を反佐薬として用いている。
古い地質時代に内海や塩湖が干上がって沈殿した食塩が、再結晶してできた岩塩(ハーライト:Halite)を用いる。中国では古くから戎地(西戎)と呼ばれた青海省の塩湖から産出している。
天然の食品の結晶は光明塩といい、海水を日干しして結晶化させたものは食塩という。いずれも塩化ナトリウム:NaClを主成分とするが、戎塩には來雑物としてカルシウムやマグネシウム、鉄や微量のヒ素なども含まれている。
漢方では性味は鹸・寒で、止血・明目の効能があり、血尿や歯肉出血、歯痛、結膜炎などに用いる。また滋腎の効能があり、尿失禁の治療に用いる固脬丸には桑螵蛸・菟絲子などと配合されている。金匱要略では尿の出にくいときに茯苓・白朮とともに戎塩を反佐薬として用いている。
火曜日, 4月 09, 2013
茺蔚子
○茺蔚子(じゅういし)
日本の各地、朝鮮半島、中国から東アジアに賭けて分布するシソ科の越年草メハジキ(Leonurus sibiricus)の果実を用いる。メハジキの花をつけた全草は益母草という。
果実は長さ2~3mmくらいの小さな褐色の三稜形をしている。成分にはレオヌリニンやビタミンA、脂肪油が含まれる。漢方では益母草と同様に活血・調経・明目の効能があり、月経を整え、目の充血や視力の低下を改善する。ただし多量に服用すると全身虚脱の副作用が出現することもある。
日本の各地、朝鮮半島、中国から東アジアに賭けて分布するシソ科の越年草メハジキ(Leonurus sibiricus)の果実を用いる。メハジキの花をつけた全草は益母草という。
果実は長さ2~3mmくらいの小さな褐色の三稜形をしている。成分にはレオヌリニンやビタミンA、脂肪油が含まれる。漢方では益母草と同様に活血・調経・明目の効能があり、月経を整え、目の充血や視力の低下を改善する。ただし多量に服用すると全身虚脱の副作用が出現することもある。
月曜日, 4月 08, 2013
しゃ虫
○しゃ虫
ゴキブリ科の昆虫シナゴキブリ(Eupolyphaga sinensis)、またはマダラゴキブリかに属するサツマゴキブリ(Opistoplatia orientalis)の雌の成虫全体を乾燥して用いる。
シナゴキブリは中国全土に分布し、スッポン(鼈)に似た形をしているため、地鼈虫とか土鼈虫と呼ばれている。サツマゴキブリには前方に淡黄色の縁取りがあるため金辺土鼈とも呼ばれ、中国南部、台湾、日本などに分布している。中国では民家などで普通に見られるゴキブリであるが、薬用として各地で飼育もされている。いずれも体長3cmくらいの黒く光沢のある偏平な虫で雌には翅がなく腹節が見える。
成分にはd-ガラクトサミンなどが含まれ、肝障害抑制作用などが報告されている。漢方では水蛭・虻虫と同様の強い駆瘀血薬のひとつで、活血・化瘀・消癥の効能があり、婦人の無月経や産後の腹痛、腹部腫瘤、打撲傷に用いる。
産後の腹痛や瘀血による月経閉止には大黄・桃仁と配合する(下瘀血湯)。腹部の腫瘤や無月経、皮膚の甲錯には水蛭・虻虫などと配合する(大黄しゃ虫丸)。骨折や捻挫には骨砕補・続断などと配合する(接骨Ⅱ号方)。ただし、流産の恐れがあるので妊婦には使用しない。
また香港や台湾の市場にはしゃ虫としてゲンゴロウ科のコガタノゲンゴロウが混入されている。これは俗に水鼈虫・水亀子といわれるもので、正式な生薬名を龍虱という。
ゴキブリ科の昆虫シナゴキブリ(Eupolyphaga sinensis)、またはマダラゴキブリかに属するサツマゴキブリ(Opistoplatia orientalis)の雌の成虫全体を乾燥して用いる。
シナゴキブリは中国全土に分布し、スッポン(鼈)に似た形をしているため、地鼈虫とか土鼈虫と呼ばれている。サツマゴキブリには前方に淡黄色の縁取りがあるため金辺土鼈とも呼ばれ、中国南部、台湾、日本などに分布している。中国では民家などで普通に見られるゴキブリであるが、薬用として各地で飼育もされている。いずれも体長3cmくらいの黒く光沢のある偏平な虫で雌には翅がなく腹節が見える。
成分にはd-ガラクトサミンなどが含まれ、肝障害抑制作用などが報告されている。漢方では水蛭・虻虫と同様の強い駆瘀血薬のひとつで、活血・化瘀・消癥の効能があり、婦人の無月経や産後の腹痛、腹部腫瘤、打撲傷に用いる。
産後の腹痛や瘀血による月経閉止には大黄・桃仁と配合する(下瘀血湯)。腹部の腫瘤や無月経、皮膚の甲錯には水蛭・虻虫などと配合する(大黄しゃ虫丸)。骨折や捻挫には骨砕補・続断などと配合する(接骨Ⅱ号方)。ただし、流産の恐れがあるので妊婦には使用しない。
また香港や台湾の市場にはしゃ虫としてゲンゴロウ科のコガタノゲンゴロウが混入されている。これは俗に水鼈虫・水亀子といわれるもので、正式な生薬名を龍虱という。
土曜日, 4月 06, 2013
蛇退皮
○蛇退皮(じゃたいひ)
各種のヘビ(蛇)の脱皮した抜け殻を用いる。中国産の蛇退皮はサキシマスジオ(Elaphe taeniurus)、シュウダ(E.carinata)、ウショウダ(Zaocys dhumnades)などの脱皮膜である。日本産はアオダイショウ、シマヘビ、ヤマカガシなどの抜け殻が用いられる。
神農本草経には蛇蛻の名で収載され、古くから薬用にされていた。漢方では止痙・定驚・退翳・消腫の効能があり、小児のひきつけ、口内炎、角膜混濁、乳腺炎、腫れ物、皮膚病などに用いる。一般に火であぶって粉にしてから使用する。
内服と外用のいずれにも用いられる。小児のひきつけにや咽頭腫痛に粉末を服用する。腫れ物に粉末を豚脂で調整して塗布する。民間では黒焼きにして胡麻油と混ぜ、中耳炎に点滴する。
各種のヘビ(蛇)の脱皮した抜け殻を用いる。中国産の蛇退皮はサキシマスジオ(Elaphe taeniurus)、シュウダ(E.carinata)、ウショウダ(Zaocys dhumnades)などの脱皮膜である。日本産はアオダイショウ、シマヘビ、ヤマカガシなどの抜け殻が用いられる。
神農本草経には蛇蛻の名で収載され、古くから薬用にされていた。漢方では止痙・定驚・退翳・消腫の効能があり、小児のひきつけ、口内炎、角膜混濁、乳腺炎、腫れ物、皮膚病などに用いる。一般に火であぶって粉にしてから使用する。
内服と外用のいずれにも用いられる。小児のひきつけにや咽頭腫痛に粉末を服用する。腫れ物に粉末を豚脂で調整して塗布する。民間では黒焼きにして胡麻油と混ぜ、中耳炎に点滴する。
木曜日, 4月 04, 2013
車前子
○車前子(しゃぜんし)
日本各地、東アジアに広く分布するオオバコ科の多年草オオバコ(Plantago asiatica)の種子を用いる。中国ではムジナオオバコ(P.depressa)も用いられる。オオバコの全草は車前草という。
花穂が成熟したころに刈り取って、手で揉み選別して種子を集める。なお車前子はおもに花期に採取する。路傍によく生えているため車前の名があり葉が大きいことから大葉子という。
全草には配糖体のアウクビンやプランタギニン、種子には粘液質のプランタゴムシラーゲAやアウクビン、プランテノール酸、アクテオシドなどが含まれ、プランタギンには鎮咳・去痰作用がある。薬理的には車前草に気道粘液の分泌作用による去痰作用、車前子に利尿作用が認められる。車前草のエキスには鎮咳・去痰薬として医療用にも用いられている(フスタギン)。
漢方では利水・通淋・居痰・止咳・明目の効能があり排尿障害や膀胱炎、血尿、下痢、咳嗽、多痰、関節痛、結膜炎などに用いる。車前草にも清熱・利水・去痰・明目の効能があり、同様の症状に用いる。一般に利水作用は車前子、清熱・去痰作用は車前草が優れている。
民間では葉をあぶって腫れ物に貼り、毒を吹き出すのに用いられる。ヨーロッパでも同属のヘラオオバコ(P.lanceolata)やプシリウム(P/psyllium)の葉をオオバコと同様に肺疾患や膀胱炎に、またそれらの種子を緩下薬として用いている。
日本各地、東アジアに広く分布するオオバコ科の多年草オオバコ(Plantago asiatica)の種子を用いる。中国ではムジナオオバコ(P.depressa)も用いられる。オオバコの全草は車前草という。
花穂が成熟したころに刈り取って、手で揉み選別して種子を集める。なお車前子はおもに花期に採取する。路傍によく生えているため車前の名があり葉が大きいことから大葉子という。
全草には配糖体のアウクビンやプランタギニン、種子には粘液質のプランタゴムシラーゲAやアウクビン、プランテノール酸、アクテオシドなどが含まれ、プランタギンには鎮咳・去痰作用がある。薬理的には車前草に気道粘液の分泌作用による去痰作用、車前子に利尿作用が認められる。車前草のエキスには鎮咳・去痰薬として医療用にも用いられている(フスタギン)。
漢方では利水・通淋・居痰・止咳・明目の効能があり排尿障害や膀胱炎、血尿、下痢、咳嗽、多痰、関節痛、結膜炎などに用いる。車前草にも清熱・利水・去痰・明目の効能があり、同様の症状に用いる。一般に利水作用は車前子、清熱・去痰作用は車前草が優れている。
民間では葉をあぶって腫れ物に貼り、毒を吹き出すのに用いられる。ヨーロッパでも同属のヘラオオバコ(P.lanceolata)やプシリウム(P/psyllium)の葉をオオバコと同様に肺疾患や膀胱炎に、またそれらの種子を緩下薬として用いている。
火曜日, 4月 02, 2013
沙参
○沙参(しゃじん)
中国東北部の遼寧・杏林・黒龍江省に分布するキキョウ科の多年草サイヨウシャジン(Adenophora terraphylla)、中国中部に分布するトウシャジン(A.axilliflora)およひ同属食部の根を用いる。
日本でも古くからトウシャジンが栽培され、東北地方では野生化している。また同属植物のツリガネニンジン(A.triphylla)の根も沙参として扱われ、日本産や韓国産はおもにこれを用いている。ところで中国市場には北沙参と南沙参の2種類があり、日本でも沙参としっているのは南沙参のことである。北沙参はハマボウフウ(Glehnia littoralis)の根であるが、これは日本の浜防風に相当する。
沙参の成分にはサポニンやイヌリンが含まれ、局所刺激作用や去痰作用が知られている。漢方では補陰・止咳・去痰の効能があり、肺熱による咳嗽や咽頭腫痛、口渇、咽乾などに用いる。北沙参と南沙参の薬効はほぼ同じであるが、補陰作用は北沙参のほうが強く、去痰作用は南沙参が強い。
中国東北部の遼寧・杏林・黒龍江省に分布するキキョウ科の多年草サイヨウシャジン(Adenophora terraphylla)、中国中部に分布するトウシャジン(A.axilliflora)およひ同属食部の根を用いる。
日本でも古くからトウシャジンが栽培され、東北地方では野生化している。また同属植物のツリガネニンジン(A.triphylla)の根も沙参として扱われ、日本産や韓国産はおもにこれを用いている。ところで中国市場には北沙参と南沙参の2種類があり、日本でも沙参としっているのは南沙参のことである。北沙参はハマボウフウ(Glehnia littoralis)の根であるが、これは日本の浜防風に相当する。
沙参の成分にはサポニンやイヌリンが含まれ、局所刺激作用や去痰作用が知られている。漢方では補陰・止咳・去痰の効能があり、肺熱による咳嗽や咽頭腫痛、口渇、咽乾などに用いる。北沙参と南沙参の薬効はほぼ同じであるが、補陰作用は北沙参のほうが強く、去痰作用は南沙参が強い。
月曜日, 4月 01, 2013
蛇床子
○蛇床子(じゃそうし)
中国東北部、モンゴル、シベリア、朝鮮半島に分布するセリ科の越年草オカゼリ(Cnidium monnieri)の成熟果実を用いる。日本では一般に同じセリ科のヤブジラミ(Torilis japonica)の成熟果実を蛇床子(和蛇床子)といっている。ただし、中国ではヤブジラミの果実を鶴虱のひとつである華南鶴虱にあてている。
オカゼリの乾燥した果実は、長さ2mm、直径1mmの小さな楕円形で、芳香があり、味は辛くしびれる感じがある。成分にはピネン、カンフェン、ボルネオール、イソバレレイトなどの精油のほか、オストールなどのクマリン類が含まれ、抗トリコモナス・抗真菌作用、性ホルモン作用などが知られている。
漢方では補陽・止痒・殺虫の効能があり、陰部湿疹、外陰部掻痒症、湿疹、インポテンツ、不妊症などに用いる。古くから婦人の陰部疾患の治療に用いられ、トリコモナス膣炎や陰部掻痒症、陰囊湿疹などに蛇床子の煎液で洗浄する。
金匱要略の中では婦人の陰部を温める坐薬として蛇床子と白粉の粉末を真綿にくるんで使用している(蛇床子散)。また湿疹、掻痒症の治療には蛇床子の煎じた液や粉末にしたもの、最近ではワセリンに配合した蛇床子油膏などを外用する。
また補腎・強壮作用もあり、インポテンツや冷感症、不妊症の治療に菟絲子・五味子を配合する(三子丸)。また痔患の治療に燻じて用いる方法もある。日本の民間ではヤブジラミの果実を明礬と煎じてやはり外陰部の腫れ物の洗浄に用いる。近年、アメリカの精力剤にクニディアム・モニアーの名前で配合されている。
中国東北部、モンゴル、シベリア、朝鮮半島に分布するセリ科の越年草オカゼリ(Cnidium monnieri)の成熟果実を用いる。日本では一般に同じセリ科のヤブジラミ(Torilis japonica)の成熟果実を蛇床子(和蛇床子)といっている。ただし、中国ではヤブジラミの果実を鶴虱のひとつである華南鶴虱にあてている。
オカゼリの乾燥した果実は、長さ2mm、直径1mmの小さな楕円形で、芳香があり、味は辛くしびれる感じがある。成分にはピネン、カンフェン、ボルネオール、イソバレレイトなどの精油のほか、オストールなどのクマリン類が含まれ、抗トリコモナス・抗真菌作用、性ホルモン作用などが知られている。
漢方では補陽・止痒・殺虫の効能があり、陰部湿疹、外陰部掻痒症、湿疹、インポテンツ、不妊症などに用いる。古くから婦人の陰部疾患の治療に用いられ、トリコモナス膣炎や陰部掻痒症、陰囊湿疹などに蛇床子の煎液で洗浄する。
金匱要略の中では婦人の陰部を温める坐薬として蛇床子と白粉の粉末を真綿にくるんで使用している(蛇床子散)。また湿疹、掻痒症の治療には蛇床子の煎じた液や粉末にしたもの、最近ではワセリンに配合した蛇床子油膏などを外用する。
また補腎・強壮作用もあり、インポテンツや冷感症、不妊症の治療に菟絲子・五味子を配合する(三子丸)。また痔患の治療に燻じて用いる方法もある。日本の民間ではヤブジラミの果実を明礬と煎じてやはり外陰部の腫れ物の洗浄に用いる。近年、アメリカの精力剤にクニディアム・モニアーの名前で配合されている。
土曜日, 3月 30, 2013
麝香
○麝香(じゃこう)
中国東北部からチベット、ヒマラヤにかけて生息しているシカ科の動物ジャコウジカ(Moschus moschiferus)の雄のジャコウ腺分泌物を用いる。ジャコウジカはシカを小型化したような動物で雌雄ともに角はなく、上顎の犬歯が下に伸びて牙のようになっている。岩石の多い高山地帯に生息し、夜行性で単独あるいは一対で生活する。
オスの陰茎と臍の間に外皮と密着して袋状のポッド(麝囊)と呼ばれるは器官があり、その中に含まれる分泌物が麝香(ムスク)である。発情期の雄は雌を誘うためにこのムスクを少量ずつ排出する。
ジャコウジカの麝という字は鹿と「鼻を突き刺す匂い」をあわせたものであるが、ムスクはそのままでは糞尿以上に強烈な悪臭が鼻を刺す。ところが、これを千分の一以下に薄めると芳香を放つ。中国では古くから薬用にしているが、ヨーロッパやアラビア人が愛好している。健在でもシャネルの5番など高級な香水の原料になっている。
かつては捕獲したジャコウジカを殺してポッドごと摘出したいたが、絶滅の恐れがあるとして現在では生きたままポッドから分泌物のみを採取している。分泌物は新鮮なときは黒褐色の軟膏状であるが、乾燥すると黄褐色や赤紫色の粉末となる。とくに黒褐色の顆粒状のものを当門子という。
麝香は非常に高価な薬材であり、現在、中国の四川省などでジャコウジカの人工飼育が行われている。同様の動物性の香料としてジャコウネコの霊猫香があり、同じく薬用にもされる。麝香の芳香主成分はムスコンであり、また少量のノルムスコンや男性ホルモンが含まれ、薬理的に中枢神経刺激、強心、呼吸増加、降圧、抗菌・抗炎症作用、性ホルモン作用などが報告されている。
漢方では開竅・活血・催産の効能があり、おもに芳香開竅薬として高熱時の意識障害や脳卒中、痙攣発作、危急の症状などに用いる。そのほか狭心痛、腹痛、分娩促進、腫れ物などに用いる。
脳卒中や高熱時の意識障害には牛黄・竜脳などと配合する(至宝丹)、興奮状態やひきつけ、高熱に伴う精神不安などには牛黄・羚羊角などと配合する(牛黄清心丸)。難産や後産が遅れたときには肉桂と粉末にして服用する(香桂散)。咽頭の腫痛や癰疔などの皮膚化膿症に牛黄・蟾酥などと配合する(六神丸)。日本でも気つけ薬として知られ、動悸や胸痛に用いる六神丸や救心、小児の発熱や痙攣に用いる宇津救命丸や樋屋奇応丸などの家庭薬にも配合されている。ただし子宮に対する興奮作用があり、妊婦は服用しないほうがよい。
中国東北部からチベット、ヒマラヤにかけて生息しているシカ科の動物ジャコウジカ(Moschus moschiferus)の雄のジャコウ腺分泌物を用いる。ジャコウジカはシカを小型化したような動物で雌雄ともに角はなく、上顎の犬歯が下に伸びて牙のようになっている。岩石の多い高山地帯に生息し、夜行性で単独あるいは一対で生活する。
オスの陰茎と臍の間に外皮と密着して袋状のポッド(麝囊)と呼ばれるは器官があり、その中に含まれる分泌物が麝香(ムスク)である。発情期の雄は雌を誘うためにこのムスクを少量ずつ排出する。
ジャコウジカの麝という字は鹿と「鼻を突き刺す匂い」をあわせたものであるが、ムスクはそのままでは糞尿以上に強烈な悪臭が鼻を刺す。ところが、これを千分の一以下に薄めると芳香を放つ。中国では古くから薬用にしているが、ヨーロッパやアラビア人が愛好している。健在でもシャネルの5番など高級な香水の原料になっている。
かつては捕獲したジャコウジカを殺してポッドごと摘出したいたが、絶滅の恐れがあるとして現在では生きたままポッドから分泌物のみを採取している。分泌物は新鮮なときは黒褐色の軟膏状であるが、乾燥すると黄褐色や赤紫色の粉末となる。とくに黒褐色の顆粒状のものを当門子という。
麝香は非常に高価な薬材であり、現在、中国の四川省などでジャコウジカの人工飼育が行われている。同様の動物性の香料としてジャコウネコの霊猫香があり、同じく薬用にもされる。麝香の芳香主成分はムスコンであり、また少量のノルムスコンや男性ホルモンが含まれ、薬理的に中枢神経刺激、強心、呼吸増加、降圧、抗菌・抗炎症作用、性ホルモン作用などが報告されている。
漢方では開竅・活血・催産の効能があり、おもに芳香開竅薬として高熱時の意識障害や脳卒中、痙攣発作、危急の症状などに用いる。そのほか狭心痛、腹痛、分娩促進、腫れ物などに用いる。
脳卒中や高熱時の意識障害には牛黄・竜脳などと配合する(至宝丹)、興奮状態やひきつけ、高熱に伴う精神不安などには牛黄・羚羊角などと配合する(牛黄清心丸)。難産や後産が遅れたときには肉桂と粉末にして服用する(香桂散)。咽頭の腫痛や癰疔などの皮膚化膿症に牛黄・蟾酥などと配合する(六神丸)。日本でも気つけ薬として知られ、動悸や胸痛に用いる六神丸や救心、小児の発熱や痙攣に用いる宇津救命丸や樋屋奇応丸などの家庭薬にも配合されている。ただし子宮に対する興奮作用があり、妊婦は服用しないほうがよい。
金曜日, 3月 29, 2013
鷓鴣菜
○鷓鴣菜(しゃこさい)
温暖な地域の沿岸や河口付近に分布する海藻コノハノリ科のセイヨウアヤギヌ(Caloglossa leprieurii)の全藻を用いる。かつて鷓鴣菜を日本の駆虫薬である海人草の別名とする説もあったが、海人草は紅藻類のフジマツモ科のマクリ(Digenea simplex)のことである。ちなみに鷓鴣とは中国南部に生息する鶉に似た鳥のことである。
アヤギヌは1~4cmくらいの紫色の偏平な海藻で岩や防波堤に付着している。鷓鴣菜は海人草と同様にカイニン酸を含み、鷓鴣菜の煎液には回虫の駆虫作用が認められる。内服による副作用はほとんどないが、とき下痢、悪心、めまいがみられることがある。
漢方でも駆虫の効能があり、回虫や蟯虫の駆虫薬として大黄・甘草と配合して用いる(三味鷓鴣菜湯)。また南西諸島から台湾、フジマツモ科のハナヤナギ(Chondria armata)を南西諸島ではドウモイと呼んで、古くから駆虫薬として用いていた。その有効成分はドウモイ酸と呼ばれ、カイニン酸より強力といわれる。
温暖な地域の沿岸や河口付近に分布する海藻コノハノリ科のセイヨウアヤギヌ(Caloglossa leprieurii)の全藻を用いる。かつて鷓鴣菜を日本の駆虫薬である海人草の別名とする説もあったが、海人草は紅藻類のフジマツモ科のマクリ(Digenea simplex)のことである。ちなみに鷓鴣とは中国南部に生息する鶉に似た鳥のことである。
アヤギヌは1~4cmくらいの紫色の偏平な海藻で岩や防波堤に付着している。鷓鴣菜は海人草と同様にカイニン酸を含み、鷓鴣菜の煎液には回虫の駆虫作用が認められる。内服による副作用はほとんどないが、とき下痢、悪心、めまいがみられることがある。
漢方でも駆虫の効能があり、回虫や蟯虫の駆虫薬として大黄・甘草と配合して用いる(三味鷓鴣菜湯)。また南西諸島から台湾、フジマツモ科のハナヤナギ(Chondria armata)を南西諸島ではドウモイと呼んで、古くから駆虫薬として用いていた。その有効成分はドウモイ酸と呼ばれ、カイニン酸より強力といわれる。
木曜日, 3月 28, 2013
芍薬
○芍薬(しゃくやく)
白芍は外皮を除いて湯通ししたもの、赤芍は中国東北部の野生種の皮を去らずに乾燥したものを使用する。現在、四川省で栽培された芍薬の皮を去らずに乾燥させたものが日本薬局方のシャクヤクに適合することから、日本で赤芍として使用されている。
中国北部原産のボタン科の多年草シャクヤク(Paeonia lactiflora)の根を用いる。日本には、奈良時代に渡来したといわれ、室町時代には栽培の記録がある。現在では奈良県や北海道で栽培されている。シャクヤクの属名をペオニアというが、これはギリシャ神話の医神、パイオンに由来するもので、西洋でも古くから薬用植物として知られていた。
同属植物にボタン(P.suffruticosa)がある。ボタンは落葉低木であるのに対し、シャクヤクは多年草であり、冬にはその地上部が枯れてしまう。シャクヤクは初夏に大きな花を咲かせるためよく観賞用として栽培されているが、薬用にするときには蕾を全部摘み取ってしまい、植え付けから4~5年栽培した後の肥大した根を用いる。日本の芍薬は「第13改正日本薬局方」では乾燥重量でペオニフロリン2%以上を含むものを規定されている。
芍薬は最古の本草書「神農本草経」の中品に収載され、「シャクヤク、味苦、平、邪気腹痛を主り、血痺を除き、堅積、寒熱、疝瘕を破り、痛みを止め、小便を利し、気を益す」とあり、赤白の区別はされていなかったが、宋代の頃から区別されるようになった。今日、中国では芍薬は赤芍と白芍に区別され、通常、古くは白い花のものを白芍、赤い花のものを赤尺といっていたこともある。
現在、日本では赤尺は日本薬局方に適合しないことが多いため、白芍のみを芍薬として用いている。また日本では皮を去って生干しした芍薬が用いられているが、中国では皮を去った後、湯通ししてから乾燥させた芍薬(真芍)が白芍として流通している。中国医学において白芍と赤尺の効能は異なり、白芍はおもに補血・止痛として、赤芍はおもに活血・清熱薬として用いる。
白芍は外皮を除いて湯通ししたもの、赤芍は中国東北部の野生種の皮を去らずに乾燥したものを使用する。現在、四川省で栽培された芍薬の皮を去らずに乾燥させたものが日本薬局方のシャクヤクに適合することから、日本で赤芍として使用されている。
中国北部原産のボタン科の多年草シャクヤク(Paeonia lactiflora)の根を用いる。日本には、奈良時代に渡来したといわれ、室町時代には栽培の記録がある。現在では奈良県や北海道で栽培されている。シャクヤクの属名をペオニアというが、これはギリシャ神話の医神、パイオンに由来するもので、西洋でも古くから薬用植物として知られていた。
同属植物にボタン(P.suffruticosa)がある。ボタンは落葉低木であるのに対し、シャクヤクは多年草であり、冬にはその地上部が枯れてしまう。シャクヤクは初夏に大きな花を咲かせるためよく観賞用として栽培されているが、薬用にするときには蕾を全部摘み取ってしまい、植え付けから4~5年栽培した後の肥大した根を用いる。日本の芍薬は「第13改正日本薬局方」では乾燥重量でペオニフロリン2%以上を含むものを規定されている。
芍薬は最古の本草書「神農本草経」の中品に収載され、「シャクヤク、味苦、平、邪気腹痛を主り、血痺を除き、堅積、寒熱、疝瘕を破り、痛みを止め、小便を利し、気を益す」とあり、赤白の区別はされていなかったが、宋代の頃から区別されるようになった。今日、中国では芍薬は赤芍と白芍に区別され、通常、古くは白い花のものを白芍、赤い花のものを赤尺といっていたこともある。
現在、日本では赤尺は日本薬局方に適合しないことが多いため、白芍のみを芍薬として用いている。また日本では皮を去って生干しした芍薬が用いられているが、中国では皮を去った後、湯通ししてから乾燥させた芍薬(真芍)が白芍として流通している。中国医学において白芍と赤尺の効能は異なり、白芍はおもに補血・止痛として、赤芍はおもに活血・清熱薬として用いる。
水曜日, 3月 27, 2013
赤石脂
○赤石脂(しゃくせきし)
中国の各地で採掘される赤褐色ないしは淡紅色のケイ酸塩類の粘土状鉱物ハロイサイト(Halloysite)の一種を用いる。神農本草経には五色石脂として収載されているが、古来よりおもに赤石脂と白石脂が薬用にされてきた。
赤石脂の主成分は含水ケイ酸アルミニウム(Al2O3・2SiO2・4H2O:カオリナイト)であるが、酸化第二鉄(Fe2O3)を多く含むため赤色を帯びている。また脂のような滑らかさや光沢があるため赤石脂の名がある。
鉄分のほかにもマグネシウム、カルシウム、マンガンなども少量含まれている。アルミニウム類薬物は胃腸ではほとんど吸収されず、内服では胃腸の局所作用が種であるといわれる。一般に収斂・吸着作用が強いとされ、下痢や出血、潰瘍などに効果がある。
漢方では止瀉・止血・生肌の効能があり、慢性の下痢や血便、脱肛、遺精、子宮出血、皮膚潰瘍などに用いる。遷延化した細菌性腸炎などによる下痢、粘血便、膿便、腹痛に粳米・乾姜などと配合する(桃花湯)。不性器出血や帯下などに代赭石・五霊脂などと配合する(震霊丹)。
内蔵下垂や脱肛などには黄耆・柴胡などと配合する(提肛散)。熱病に伴う痙攣やひきつけ、半身不随、顔面神経麻痺などに竜骨・牡蠣などと配合する(風引湯)。また外傷や皮膚潰瘍にも外用する。
中国の各地で採掘される赤褐色ないしは淡紅色のケイ酸塩類の粘土状鉱物ハロイサイト(Halloysite)の一種を用いる。神農本草経には五色石脂として収載されているが、古来よりおもに赤石脂と白石脂が薬用にされてきた。
赤石脂の主成分は含水ケイ酸アルミニウム(Al2O3・2SiO2・4H2O:カオリナイト)であるが、酸化第二鉄(Fe2O3)を多く含むため赤色を帯びている。また脂のような滑らかさや光沢があるため赤石脂の名がある。
鉄分のほかにもマグネシウム、カルシウム、マンガンなども少量含まれている。アルミニウム類薬物は胃腸ではほとんど吸収されず、内服では胃腸の局所作用が種であるといわれる。一般に収斂・吸着作用が強いとされ、下痢や出血、潰瘍などに効果がある。
漢方では止瀉・止血・生肌の効能があり、慢性の下痢や血便、脱肛、遺精、子宮出血、皮膚潰瘍などに用いる。遷延化した細菌性腸炎などによる下痢、粘血便、膿便、腹痛に粳米・乾姜などと配合する(桃花湯)。不性器出血や帯下などに代赭石・五霊脂などと配合する(震霊丹)。
内蔵下垂や脱肛などには黄耆・柴胡などと配合する(提肛散)。熱病に伴う痙攣やひきつけ、半身不随、顔面神経麻痺などに竜骨・牡蠣などと配合する(風引湯)。また外傷や皮膚潰瘍にも外用する。
火曜日, 3月 26, 2013
柿餅
○柿餅(しへい)
東アジアの温帯に分布するカキノキ科の常緑高木カキの果実を加工して餅状にしたものを用いる。英語でもkakiというが、奈良時代に中国から渡来したという説が有力である。
樹のままで渋みが抜ける甘柿と自然には脱渋しない渋柿とがあり、前者はお温暖地に多く、後者は寒冷地でも栽培できる。おもに渋柿の成熟した果実の外皮をむき、1ヶ月間、日や夜露にあてて乾燥し、さらに1ヶ月は室内でムシロの中に放置すると柿餅ができる。そのうち、日干ししたものを白柿、火で薫じたものを烏柿という。
柿の果実は糖類、ペクチン、カロテノイド、ビタミンC、タンニン、酵素類が含まれ、栄養価は高い。カキの渋みはシブオールを主成分とするタンニンのためであるが、熟していくにつれタンニン細胞が凝固、収縮して褐色班に変化し、タンニンが不溶性となって渋味がなくなる。熟した柿には止咳・止渇の効能があり、二日酔いなどの酒毒を解する作用がある。
漢方では潤肺・止血・止瀉の効能があり、咳嗽や血痰、喀血、痔、下痢などに用いる。なま生のカキは冷やす性質が強く、食べ過ぎると腹痛や便秘の原因となる。
東アジアの温帯に分布するカキノキ科の常緑高木カキの果実を加工して餅状にしたものを用いる。英語でもkakiというが、奈良時代に中国から渡来したという説が有力である。
樹のままで渋みが抜ける甘柿と自然には脱渋しない渋柿とがあり、前者はお温暖地に多く、後者は寒冷地でも栽培できる。おもに渋柿の成熟した果実の外皮をむき、1ヶ月間、日や夜露にあてて乾燥し、さらに1ヶ月は室内でムシロの中に放置すると柿餅ができる。そのうち、日干ししたものを白柿、火で薫じたものを烏柿という。
柿の果実は糖類、ペクチン、カロテノイド、ビタミンC、タンニン、酵素類が含まれ、栄養価は高い。カキの渋みはシブオールを主成分とするタンニンのためであるが、熟していくにつれタンニン細胞が凝固、収縮して褐色班に変化し、タンニンが不溶性となって渋味がなくなる。熟した柿には止咳・止渇の効能があり、二日酔いなどの酒毒を解する作用がある。
漢方では潤肺・止血・止瀉の効能があり、咳嗽や血痰、喀血、痔、下痢などに用いる。なま生のカキは冷やす性質が強く、食べ過ぎると腹痛や便秘の原因となる。
月曜日, 3月 25, 2013
梓白皮
○梓白皮(しはくし)
ノウゼンカズラ科の落葉高木キササゲ(Caralpa ovata)の根皮や樹皮の周皮を除いたものを用いる。また果実を梓実、日本ではキササゲという。
キササゲは中国中南部原産の落葉高木で10m以上にも達するため俗に雷の木ともいわれている。秋には葉が落ちても長さ30cmくらいの細長い果実をつけている。日本では梓をアズサというが、アズサはカバノキ科の落葉高木のことである。いずれの材も弓(梓弓)や版木に利用されたといわれる。
日本ではおもにキササゲの果実を利用するが、中国では専ら根皮や樹皮を用いる。樹皮・根皮の成分にはフェルラ酸やイソフェルラ酸が含まれる。漢方では清熱解毒・止痒の効能があり、発熱や黄疸、皮膚掻痒症に用いる。
湿熱による黄疸には生の梓白皮を麻黄・赤小豆などと配合して用いる(麻黄連軺赤小豆湯)。また湿疹などの皮膚疾患には湿布や浴剤など外用薬として用いる。
ノウゼンカズラ科の落葉高木キササゲ(Caralpa ovata)の根皮や樹皮の周皮を除いたものを用いる。また果実を梓実、日本ではキササゲという。
キササゲは中国中南部原産の落葉高木で10m以上にも達するため俗に雷の木ともいわれている。秋には葉が落ちても長さ30cmくらいの細長い果実をつけている。日本では梓をアズサというが、アズサはカバノキ科の落葉高木のことである。いずれの材も弓(梓弓)や版木に利用されたといわれる。
日本ではおもにキササゲの果実を利用するが、中国では専ら根皮や樹皮を用いる。樹皮・根皮の成分にはフェルラ酸やイソフェルラ酸が含まれる。漢方では清熱解毒・止痒の効能があり、発熱や黄疸、皮膚掻痒症に用いる。
湿熱による黄疸には生の梓白皮を麻黄・赤小豆などと配合して用いる(麻黄連軺赤小豆湯)。また湿疹などの皮膚疾患には湿布や浴剤など外用薬として用いる。
金曜日, 3月 22, 2013
地膚子
○地膚子(じふし)
ユーラシア大陸に広く分布するアカザ科の一年草ホウキギ(Kochia scoparia)の成熟果実を用いる。ホウキギ(箒木)とは茎全体を乾燥して束ね、草ぼうきに用いたことに基づく名である。
ハハキギとも呼ばれ、近年は園芸植物として属名のコキアという名でも呼ばれている。秋田や山形地方では農家で栽培しており、若芽や若葉、種子を食用にしている。秋に小さ目の実を集めて30分ほど煮た後に水に浸して果皮を除いたもの(種子)をトンブリと称し、大根おろしやとろろを加えて醤油をかけて食べる習慣がある。
果実は直径2mmくらいの偏平な球形である。種子は含油量が多く、成分に強壮作用のあるサポニンが含まれているといわれている。漢方では清熱燥湿・通淋の効能があり、排尿障害や膀胱炎、帯下、湿疹などに用いる。また他の利尿薬の作用を強めるため「響導(道案内)」薬ともいわれている。
膀胱炎や尿道炎には猪苓・瞿麦などと配合し、湿疹や皮膚掻痒症などの皮膚病には黄柏・白蘇皮などと配合して用いる。また皮膚疾患には煎液で洗う方法もある。日本の民間では利尿薬のほか強壮薬としても有名で、脚気や下痢などに用いる。
ユーラシア大陸に広く分布するアカザ科の一年草ホウキギ(Kochia scoparia)の成熟果実を用いる。ホウキギ(箒木)とは茎全体を乾燥して束ね、草ぼうきに用いたことに基づく名である。
ハハキギとも呼ばれ、近年は園芸植物として属名のコキアという名でも呼ばれている。秋田や山形地方では農家で栽培しており、若芽や若葉、種子を食用にしている。秋に小さ目の実を集めて30分ほど煮た後に水に浸して果皮を除いたもの(種子)をトンブリと称し、大根おろしやとろろを加えて醤油をかけて食べる習慣がある。
果実は直径2mmくらいの偏平な球形である。種子は含油量が多く、成分に強壮作用のあるサポニンが含まれているといわれている。漢方では清熱燥湿・通淋の効能があり、排尿障害や膀胱炎、帯下、湿疹などに用いる。また他の利尿薬の作用を強めるため「響導(道案内)」薬ともいわれている。
膀胱炎や尿道炎には猪苓・瞿麦などと配合し、湿疹や皮膚掻痒症などの皮膚病には黄柏・白蘇皮などと配合して用いる。また皮膚疾患には煎液で洗う方法もある。日本の民間では利尿薬のほか強壮薬としても有名で、脚気や下痢などに用いる。
木曜日, 3月 21, 2013
自然銅
○自然銅(じねんどう)
漢方生薬でいう自然銅とは硫化鉄鉱石である黄鉄鉱(Pyrite)のことである。鉱物学では自然に産する銅の単体を自然銅というが、生薬の自然銅にはほとんど銅は含まれていない。
自然銅は比較的ありふれた鉱物であるが、真鍮色をしているため黄銅鉱や金などと間違えられやすい。黄鉄鉱は結晶しやすいが、その形はさまざまで典型的なものは立方体か五角正十二面体である。
組成は二硫化鉄(FeS2)のほか、微量の銅、ニッケル、ヒ素、アンチモンなどを含むこともある。動物実験では骨折癒合を促進する作用が認められている。漢方では活血・止痛・接骨の効能があり、打撲傷、骨折、瘀血、疼痛、腫瘤などに用いる。
一般に焼いて硫黄分を除いて薬用にする。打撲や骨折による腫痛には自然銅を強火で焼いた後、乳香・没薬・当帰などと配合する(自然銅散)。骨折や捻挫などの外傷には骨砕補・続断などと配合する(接骨Ⅱ号方)。
漢方生薬でいう自然銅とは硫化鉄鉱石である黄鉄鉱(Pyrite)のことである。鉱物学では自然に産する銅の単体を自然銅というが、生薬の自然銅にはほとんど銅は含まれていない。
自然銅は比較的ありふれた鉱物であるが、真鍮色をしているため黄銅鉱や金などと間違えられやすい。黄鉄鉱は結晶しやすいが、その形はさまざまで典型的なものは立方体か五角正十二面体である。
組成は二硫化鉄(FeS2)のほか、微量の銅、ニッケル、ヒ素、アンチモンなどを含むこともある。動物実験では骨折癒合を促進する作用が認められている。漢方では活血・止痛・接骨の効能があり、打撲傷、骨折、瘀血、疼痛、腫瘤などに用いる。
一般に焼いて硫黄分を除いて薬用にする。打撲や骨折による腫痛には自然銅を強火で焼いた後、乳香・没薬・当帰などと配合する(自然銅散)。骨折や捻挫などの外傷には骨砕補・続断などと配合する(接骨Ⅱ号方)。
水曜日, 3月 20, 2013
柿蒂
○柿蒂(してい)
東アジアの温帯に分布するカキノキ科の落葉高木カキの宿存花萼を用いる。つまり成熟したカキのヘタを柿蒂という。生薬としては葉を柿葉、干し柿の表面の粉を柿霜、柿のしぶを柿漆という。
ヘタにはオレアノール酸、ウルソール酸、ヘミセルロースが含まれる。柿蒂はしゃっくりをとめる特効薬として知られているが、成分のヘミセルロースが胃の中で固まって物理的にしゃっくりを止めるという説がある。
漢方では降気・止嘔・止逆の効能があり、逆気を降ろす作用があるといわれ、しゃっくりや嘔吐、咳嗽などに用いる。しゃっくりには単独で、あるいは丁香や生姜などと配合して用いる(柿蒂湯・丁香柿蒂湯)。また民間では夜尿症に用いられる。
東アジアの温帯に分布するカキノキ科の落葉高木カキの宿存花萼を用いる。つまり成熟したカキのヘタを柿蒂という。生薬としては葉を柿葉、干し柿の表面の粉を柿霜、柿のしぶを柿漆という。
ヘタにはオレアノール酸、ウルソール酸、ヘミセルロースが含まれる。柿蒂はしゃっくりをとめる特効薬として知られているが、成分のヘミセルロースが胃の中で固まって物理的にしゃっくりを止めるという説がある。
漢方では降気・止嘔・止逆の効能があり、逆気を降ろす作用があるといわれ、しゃっくりや嘔吐、咳嗽などに用いる。しゃっくりには単独で、あるいは丁香や生姜などと配合して用いる(柿蒂湯・丁香柿蒂湯)。また民間では夜尿症に用いられる。
火曜日, 3月 19, 2013
蒺藜子
○蒺藜子(しつりし)
世界各地の温帯から熱帯にかけて広く分布するハマビシ科の一年草ハマビシ(Tribulus terrestris)の果実を用いる。一般に海辺の砂浜に自生し、果実が菱の実に似ているためハマビシ(浜菱)の名がある。
古来、蒺藜と呼ばれる生薬には蒺藜子とは別に潼蒺藜がある。潼蒺藜というのはマメ科のツルゲンゲの種子のことで、今日では沙苑子と呼ばれている。さらにアカザ科のハマアカザ(Atiplex sibirica)の果実のことを軟蒺藜というのに対し、ハマビシの果実は硬くて刺のある五角形をしているため、硬蒺藜とか刺蒺藜と呼ぶこともある。生薬には一般にハマビシの未成熟果実を用いる。
ハマビシの果実にはケンフェロールなどのフラボノイド、種子にはハルミンなどのアルカロイドが含まれ、鎮痙作用、降圧作用、利尿作用が知られている。漢方では平肝・明目・止痒の効能があり、肝陽上亢に伴うめまいや頭暈、眼科疾患、皮膚搔痒感、腹痛などに用いる。またインドの民間では利尿薬として用いている。
一方、ヨーロッパではハマビシ(トリビュラス)の全草が、古くから強壮薬、筋肉増強剤として利用されていた。トリビュラスに含まれているサポニンは脳下垂体から黄体ホルモンの分泌を刺激し、男性ではテストステロンの分泌を促進して精子の量や運動性を高めるとともに、性機能の低下を改善し、女性ではプロゲステロンの分泌を促進し、月経前緊張症や更年期障害などを緩和すると説明されている。テストステロンにはタンパク同化作用があり、最近でもスポーツ選手の筋肉増強に応用されている。
世界各地の温帯から熱帯にかけて広く分布するハマビシ科の一年草ハマビシ(Tribulus terrestris)の果実を用いる。一般に海辺の砂浜に自生し、果実が菱の実に似ているためハマビシ(浜菱)の名がある。
古来、蒺藜と呼ばれる生薬には蒺藜子とは別に潼蒺藜がある。潼蒺藜というのはマメ科のツルゲンゲの種子のことで、今日では沙苑子と呼ばれている。さらにアカザ科のハマアカザ(Atiplex sibirica)の果実のことを軟蒺藜というのに対し、ハマビシの果実は硬くて刺のある五角形をしているため、硬蒺藜とか刺蒺藜と呼ぶこともある。生薬には一般にハマビシの未成熟果実を用いる。
ハマビシの果実にはケンフェロールなどのフラボノイド、種子にはハルミンなどのアルカロイドが含まれ、鎮痙作用、降圧作用、利尿作用が知られている。漢方では平肝・明目・止痒の効能があり、肝陽上亢に伴うめまいや頭暈、眼科疾患、皮膚搔痒感、腹痛などに用いる。またインドの民間では利尿薬として用いている。
一方、ヨーロッパではハマビシ(トリビュラス)の全草が、古くから強壮薬、筋肉増強剤として利用されていた。トリビュラスに含まれているサポニンは脳下垂体から黄体ホルモンの分泌を刺激し、男性ではテストステロンの分泌を促進して精子の量や運動性を高めるとともに、性機能の低下を改善し、女性ではプロゲステロンの分泌を促進し、月経前緊張症や更年期障害などを緩和すると説明されている。テストステロンにはタンパク同化作用があり、最近でもスポーツ選手の筋肉増強に応用されている。
月曜日, 3月 18, 2013
紫壇
○紫壇(したん)
インドから東南アジア、マレー半島など熱帯から亜熱帯にかけて分布するマメ科の常緑高木シタン(Pterocarpus indicus)の心材を用いる。
シタンの心材は黄褐色で美しく、家具や床柱、工芸品として利用されている。ただし日本で一般に紫壇と呼ばれている木材はこのシタンではなく、ビルマやインドシナに分布するツルサイカチ属Dalbergiaの心材であり、暗紫褐色から紫黒色である。このためシタンの心材は花櫚と呼ばれている。
シタンにはプテロテカルビン、アンゴレンシンが含まれる。また同属植物のサンダルシタン(P.santalinus)には紅色色素やサンタリンなどが含まれ、紅色染料はヒンドゥー教徒の額を染めるのに用いられている。
漢方では消腫・止血の効能があり、腫れ物や外傷による出血などに用いる。煎じて服用することもあるが、一般に紫壇の粉末を腫れ物や傷口に塗布する。口内炎や歯痛に乳香・細辛などと配合する(乳香散)。日本漢方では婦人の生理を延期させる経口薬、延経期方に続断・蒲黄などと配合されている。
インドから東南アジア、マレー半島など熱帯から亜熱帯にかけて分布するマメ科の常緑高木シタン(Pterocarpus indicus)の心材を用いる。
シタンの心材は黄褐色で美しく、家具や床柱、工芸品として利用されている。ただし日本で一般に紫壇と呼ばれている木材はこのシタンではなく、ビルマやインドシナに分布するツルサイカチ属Dalbergiaの心材であり、暗紫褐色から紫黒色である。このためシタンの心材は花櫚と呼ばれている。
シタンにはプテロテカルビン、アンゴレンシンが含まれる。また同属植物のサンダルシタン(P.santalinus)には紅色色素やサンタリンなどが含まれ、紅色染料はヒンドゥー教徒の額を染めるのに用いられている。
漢方では消腫・止血の効能があり、腫れ物や外傷による出血などに用いる。煎じて服用することもあるが、一般に紫壇の粉末を腫れ物や傷口に塗布する。口内炎や歯痛に乳香・細辛などと配合する(乳香散)。日本漢方では婦人の生理を延期させる経口薬、延経期方に続断・蒲黄などと配合されている。
金曜日, 3月 15, 2013
紫蘇子
○紫蘇子(しそし)
中国原産のシソ科の一年草シソ(Perilla frutescens var.acuta)やチリメンジソの種子を用いる。シソの葉は蘇葉、茎は紫蘇梗という。日本にも古くから伝わり、各地で野生化している。
かつて紫蘇子の油は灯火油として用いられていた同じシソ科のエゴマの代用にされていた。ちなみにエゴマは白蘇といい、現在、シソ油として市販されているものはしばしばエゴマが利用されている。
シソの種子の主成分としてアピゲニン、ルテオリンなどのフラボノイド、ロスマリン酸などのポリフェノール、またシソ油の脂肪酸としてα-リノレン酸が多く含まれ、ヒスタミンの遊離を抑制し、花粉症などのアレルギー症状を緩和することが報告されている。
漢方では降気・去痰・止咳・潤腸の効能があり、咳嗽や喘息、便秘などに用いる。とくに痰が多いときの咳嗽や呼吸困難、胸苦しさに効果がある。また油脂成分が多く、便秘に麻子仁・杏仁などと配合する。逆に、下痢や軟便の時には用いない。使用方法は軽く炒って砕いて用いる。
中国原産のシソ科の一年草シソ(Perilla frutescens var.acuta)やチリメンジソの種子を用いる。シソの葉は蘇葉、茎は紫蘇梗という。日本にも古くから伝わり、各地で野生化している。
かつて紫蘇子の油は灯火油として用いられていた同じシソ科のエゴマの代用にされていた。ちなみにエゴマは白蘇といい、現在、シソ油として市販されているものはしばしばエゴマが利用されている。
シソの種子の主成分としてアピゲニン、ルテオリンなどのフラボノイド、ロスマリン酸などのポリフェノール、またシソ油の脂肪酸としてα-リノレン酸が多く含まれ、ヒスタミンの遊離を抑制し、花粉症などのアレルギー症状を緩和することが報告されている。
漢方では降気・去痰・止咳・潤腸の効能があり、咳嗽や喘息、便秘などに用いる。とくに痰が多いときの咳嗽や呼吸困難、胸苦しさに効果がある。また油脂成分が多く、便秘に麻子仁・杏仁などと配合する。逆に、下痢や軟便の時には用いない。使用方法は軽く炒って砕いて用いる。
木曜日, 3月 14, 2013
紫蘇梗
○紫蘇梗(しそこう)
中国原産のシソ科の一年草シソやチリメンジソの茎を用いる。シソの果実は紫蘇子、葉は蘇葉という。シソはアントシアニン系の赤い色素の有無によって赤ジソと青ジソに分けられ、薬用にはおもに赤ジソ、とくにチリメンジソが用いられる。
シソは全草に精油を多く含むが、青ジソはおもにペリラアルデヒドを主成分とする精油を含む。かつてペリラアルデヒドから紫蘇糖(ペリラルチン)と呼ばれるショ糖の2000倍の甘さといわれる甘味料が作られた。しかし熱や唾液などで分解されやすいため、今日ではおもにタバコの味付けとして利用されている。日本では一般に茎は用いないが、中国では茎と葉を区別して用いている。
紫蘇梗は漢方では理気・安胎の効能があり、気分の鬱した症状、胸の痞え、食物の滞り、胃腸の疼痛、胎動の不安などに用いる。とくに妊娠中の悪阻や胃腸障害、胎動の激しいときに用いる。
蘇葉・紫蘇梗のいずれにも解表・理気・安胎の効能があるが、蘇葉が発散・解表の作用が強いのに対して、紫蘇梗は理気・安胎の作用に優れている。日本の民間では葉を採取した株を刻んで乾燥し、体を温める浴湯料として用いている。
中国原産のシソ科の一年草シソやチリメンジソの茎を用いる。シソの果実は紫蘇子、葉は蘇葉という。シソはアントシアニン系の赤い色素の有無によって赤ジソと青ジソに分けられ、薬用にはおもに赤ジソ、とくにチリメンジソが用いられる。
シソは全草に精油を多く含むが、青ジソはおもにペリラアルデヒドを主成分とする精油を含む。かつてペリラアルデヒドから紫蘇糖(ペリラルチン)と呼ばれるショ糖の2000倍の甘さといわれる甘味料が作られた。しかし熱や唾液などで分解されやすいため、今日ではおもにタバコの味付けとして利用されている。日本では一般に茎は用いないが、中国では茎と葉を区別して用いている。
紫蘇梗は漢方では理気・安胎の効能があり、気分の鬱した症状、胸の痞え、食物の滞り、胃腸の疼痛、胎動の不安などに用いる。とくに妊娠中の悪阻や胃腸障害、胎動の激しいときに用いる。
蘇葉・紫蘇梗のいずれにも解表・理気・安胎の効能があるが、蘇葉が発散・解表の作用が強いのに対して、紫蘇梗は理気・安胎の作用に優れている。日本の民間では葉を採取した株を刻んで乾燥し、体を温める浴湯料として用いている。
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