スポンサーリンク

水曜日, 12月 07, 2011

色々な野菜類(2)

○おかひじき(尾鹿尾菜)

 シベリア、中国、日本のを原産地とするアカザ科の一年草で、わが国では各地の海岸の砂地に自生しており古くから食用にされてきた。明治以降、目新しい野菜が紹介されるにつれて市場を追われるようになったが、近年、健康野菜として見直されて復活した。

 海藻のヒジキを緑色にしたような姿をしている。若い茎葉を熱湯で4~5分間茹でて、お浸し、辛し和え、酢味噌などで食べるが、シャキッとして歯ざわりが好まれている。カロテンが多いので、油で効率よい活用が期待できる天ぷら料理にも適している。

 栄養的には生100gにつきカロテン3300ug(280ugRE)とホウレン草なみに高いのが特徴で、カルシウムは約3倍の150mgも含む。ビタミンB類は少ないが、Cは21mgと枝豆なみにある。これらの成分と葉緑素の相乗効果で皮膚が丈夫になって風邪をひきにくくなるほか、ビタミンAの働きで気管や胃腸の粘膜の上皮組織に抵抗力がつき、ガンの発生を抑えることが期待できる。

※エンサイ

 ヒルガオ科の一年生つる性草木で、中国名は蕹菜(ヨウサイ)、空芯菜。花がアサガオに似ているので朝顔菜という別名もある。東南アジアでは水生野菜として広く栽培されており、茎葉が広東料理などに使われている。最近はわが国でも栽培されるようになり、6~9月にはスーパーなどにも並んでいる。

 空芯菜という名が示すように、茎は中空で水に浮く。アクのない若い茎葉は味が淡白なので煮物、お浸し、油炒め、汁の実などに使われる。栄養的にはカロテンが特に多く、生100g中に4300ug(360ugRE)含まれている。またビタミンB1や鉄も多い。夏場の健康維持に活躍が期待される新顔の野菜である。

※春菊

 キク科の一年草でヨーロッパの地中海沿岸が原産地であるが、欧米人は食べる習慣を持たず、もっぱら東洋人の食材となっている。日本へは中国を経由して戦国時代に伝来したとも、また江戸初期に招来されたともいわれ、特に西日本を中心に菊菜の名で親しまれてきた。

 特有の香りを好まない人もいるが、日本の緑黄色野菜としてはホウレン草、小松菜と並ぶ代表格で、栄養的にもカロテンが4500ug(380ugRE)もあり、ホウレン草の4200ugを凌いでいる。カロテンは脂溶性なので、茹でたり加熱しても失われることが少ない点も見逃せない。カルシウム120mgという数字は牛乳110mgを上回る数字である。造血に必要な鉄分も1.7mgとホウレン草なみである。

 春菊は料理法次第で100gなど簡単に食べられるから、他の成分も考え合わせるとミネラルの補給源として好適であるというる。天ぷらにして油と共に摂るとカロテンの吸収がよく、特有のクセも気にならなくなる。春菊の濃い緑色は豊富なクロロフィル(葉緑素)のためであるが、クロロフィルには血中コレステロールを下げる働きがある。

※エンダイブ

 キク科キクニガナ属の一、二年草で、同属のチコリと野菜のキクニガナの交配でできたとされ、菊チシャ、苦チシャともいう。エンダイブは英名で、仏名はシコレだが、チコリと混同されやすいためフランスではエスカロールと呼ばれることも多い。日本で普通見られるのは葉に切れ込みの多いものだが、広葉のもの(スカロール)もある。

 春播き、秋播きがあり、いずれね歯切れがよく少し苦味があってサラダに適する。サニーレタスに近い栄養素を含み、カロテンは100g中1700ug(140ugRE)とサラダ菜には及ばないが、亜鉛は0.4mgとサラダ菜の2倍含み、食物繊維も多い。便秘を防ぎ、新陳代謝を盛んにして高血圧の予防に有効である。ドレッシングなど油と共に食べることでビタミンAの吸収を良くし、さっと炒めると量的にも多く摂取することができる。

火曜日, 12月 06, 2011

色々な野菜類(1)

※からしな(芥子菜)

 アブラナ科の一年草。葉カラシナ類、タカナ(高菜)類、茎タカナ類、根ガラシ類など多種類ある。この内、葉が食用とされるのは葉カラシナとタカナ類で漬け物にして食べられることが多い。葉タカナの肥大した茎を漬け物にしたのが、中国料理で使われる搾菜(ザーサイ)である。

 カラシナやタカナには葉カラシナ、山潮、大葉タカナ、カツオ菜などがあるが、いずれも特有の辛味がある。この辛味成分はシニグリンという配糖体である。栄養成分としてはカロテン、ビタミンC、鉄分を多く含む。

 カラシナ、タカナの漬け物はチャーハンやラーメンに入れても美味い。ピリッとした辛味が食欲をそそぎ、暑い夏の季節の一品として最適である。

※なずな(薺)

 アブラナ科の越年草で、道端や土手など日当たりのよい場所に生えている。果実が三味線の撥に似ているのでバチグサやペンペン草ともいわれる。春の七草の一つで七草粥の材料になる。お浸しや和え物にして食べる。カロテンの含有量が多く、100g中5200ug(430ugRE)と野菜類の中でも特に多い。また、ビタミンC(110mg)はレモン以上であり、ビタミンK(330ug)や葉酸(180ug)も多い。ミネラル類ではカルシウムが多く含まれる。

※ルッコラ

 ヨーロッパの地中海沿岸地方を中心に分布するアブラナ科の一年草。ルッコラは伊名、英名はロケット、和名はキバナスズシロという。繁殖力が旺盛なためアジアやアメリカなどで帰化植物になっている。ギリシャ時代には腎臓病や消化器疾患の治療に使われたという記録もある。

 大根のようなロゼット状の根生葉が広がり、開花期が近づくと茎を伸ばして草丈50cm~1mくらいになる。夏に咲く花は淡黄色または白色で紫の筋があり、大根や菜の花によく似ている。

 葉にはゴマとコショウをミックスさせたような独特の香りと辛味、苦味があり、若い葉を摘んでサラダなどに使う。ロケットサラダなどともいわれ、最近わが国でも食べられるようになった。花も生食でき、種はマスタードの代用になる。

※つるむらさき

 ツルムラサキ科のつる性一年草で、別名バセラ、フジナ、オチアオイ。かつては観葉植物として赤紫色の葉や茎を楽しんだが、近年、その栄養価が見直され食用として家庭菜園などで手軽に栽培されるようになった。もともと東南アジアの特に暑い国では古くから健康野菜として食べられていたようである。旬は夏。蔓が巻きついて1~5mにも伸びるが、蔓先から15cmくらいまでの茎と若葉が好んで食されれる。

 色の濃い葉が栄養素の宝庫で、花や実も天ぷらやサラダに適している。味はやや埃くさい感じだが、ホウレン草のようなアクはなく、茹でてゴマやカラシで和えると埃くささも気にならない。葉の栄養成分はカルシウム150mg、カリウム210mg、カロテン300ug(250ugRE)、ビタミンC41mg(いずれも100g中)などだが、ほかにリン、ナトリウム、鉄、亜鉛などのミネラルを含む。カルシウムが多いので骨折や虫歯予防のほか、神経を鎮めて蕁麻疹などにも効く。

月曜日, 12月 05, 2011

DHA

DHA

 ドコサヘキサエン酸。炭素数22個、二重結合6ヵ所のn-3系不飽和脂肪酸。融点はマイナス78℃。イワシやタラ、ニシンなどの魚油に多く含まれる。ヒトでは脳細胞の尖端のニューロンという神経突起に多く分布しており、情報伝達や記憶の保持に関与している。そのため”頭のよくなる脂肪酸”として話題になった。

 DHAはEPAと同様、血液中の中性脂肪やコレステロール濃度の低下作用、血小板凝集能の抑制作用などが認められている。特に血液の凝集を抑制して虚血性心疾患を予防し、、動脈硬化の原因となるLDLコレステロールが血管に付着するのを防ぐ働きがEPAよりも強い。健康食品素材としても広く使われており、(財)日本健康栄養食品協会による「ドコサヘキサエン酸(DHA)含有生成魚油加工食品規格基準」(1986年8月公示、96年6月一部改正)がある。

土曜日, 12月 03, 2011

EPA

EPA

 かつてはエイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid)と呼ばれていたが、近年、イコサペンタエン酸に改められた。ただし略称のEPAはそのまま使われている。炭素数20個、二重結合5ヵ所のn-3系不飽和脂肪酸で、融点はマイナス54℃。イワシやタラなどの魚油に多く含まれる。血液中の中性脂肪やコレステロール濃度の低下作用、血小板凝集能の抑制作用等が認められている。

 EPAが注目されるようになったのは、1970年代にデンマーク・オールボア病院のダイアベルグがイヌイット(エスキモー人)を対象に行った疫学的調査の結果によってである。それによると、魚やアザラシを主食とするイヌイットは肉食中心にデンマーク人に比べて動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病が大幅に少なかった。例えばデンマーク人の死亡原因が心筋梗塞だけで40%以上も占められているのに、イヌイットは発症率が高い60歳以上だけを対象にしても3.6%でしかなかった。その原因がイヌイットの食生活にあると考えて研究の結果、魚魚肉に含まれるEPAの有効作用にあるとわかったのである。

 最近の研究では、横山光宏(神戸大学)日本人約2万人を対象にした大規模臨床試験(5年間の追跡調査)で、EPA薬の摂取により心臓病のリスクが19%減少したという試験結果を発表している(2005年、米国心臓協会学術集会)。EPAは健康食品素材としても広く使われており、(財)日本健康栄養食品協会による「イコサペンタエン酸(EPA)含有精製魚油加工食品規格基準」(1986年6月一部改正)がある。日本水産は中性脂肪が気になる人向けの飲料としてEPAとDHAを関与成分として初のトクホ「イマーク」を販売している。

木曜日, 12月 01, 2011

魚介タンパク質

○魚介タンパク質

 魚介肉の筋肉(食用部位)には15~25%程度のタンパク質が含まれている。乳タンパク質に匹敵する高い消化吸収率が特徴で、アミノ酸スコアも魚類ではほとんどが100である。アミノ酸組成はグルタミン酸、アスパラギン酸、リジンなどが多い。魚介タンパク質には、筋原繊維タンパク質のミオシン、アクチン、トロポニン、トロポミオシン、筋形質タンパク質のミオグロビン、筋基質タンパク質のコラーゲンなどがある。このほか、魚類の白子の精子核内に存在する塩基性タンパク質のプロタミンなどがある。

※プロタミン

 塩基性の単純タンパク質で、アルギニンを多く含み、魚類の白子の精子核内で核酸と結合している。プロタミンはトリプシン(タンパク質分解酵素)の作用を受けて分解される前に、食品由来の油滴と結合し、リパーゼによる脂肪分解を阻止して脂肪の腸管吸収を低下させる作用がある。また、プロタミンから生じたアルギニンは血管内皮細胞にあるNO(酸化窒素)合成酵素の基質になり、NOを産生して血管を拡張し抹消循環を改善する。魚類プロタミン配合の健康食品がある。

火曜日, 11月 29, 2011

色々なハーブ(3)

※レモングラス

 イネ科オガルカヤ属の多年草で、学名はCymbopogon citratus。原産地はインド。レモンのような香りがあり、タイの伝統的スープであるトムヤムクンに欠かせないハーブとして知られている。葉や茎から抽出される精油にはレモンと同じ芳香成分シトラールが含まれ、レモン系食品の香料に利用される。レモングラスティーは貧血や消化不良によいといわれている。

 最近の研究では京都大学農学部の大東肇らによって、レモングラスは消化器系ガンを引き起こす細菌に対して殺傷能力の高いことが確認されている(2000年)。精油には鎮静作用や血行改善、抗炎症作用があり、アロマテラピーではストレスからくる諸症状の改善や筋肉痛の緩和などに用いられる。

バレリアン

 オミナエシ科カノコソウ属の多年草で、学名はValeriana offcinalis。原産地はヨーロッパと西アジア。和名はセイヨウカノコソウ。ハーバリストが昔から緊張状態をやわらげるために使用してきたハーブで、近年、その作用に新たな注目が集まっている。バレリアンの薬理作用についてはヨーロッパで1980年代から数多くの臨床試験が実施され、鎮静効果や催眠効果が確認されている。

 睡眠薬として利用する場合は、就寝2時間前までに400~900mgのバレリアン抽出物を経口摂取すると効果的である。また、鎮静作用のあるレモンバームと組み合わせると相乗効果を期待できる。生理痛や月経前症候群、筋肉痛にもよいとされている。副作用や依存症はないが、大量摂取すると頭痛・吐き気・不整脈などを生じることがある。ドイツでは医薬品として使用されている。

月曜日, 11月 28, 2011

色々なハーブ(2)

セージ

 シソ科アキギリ属の常緑性低木で、学名はSalvia offcinalis。ヨーロッパ南部と北アフリカが原産。別名サルビア。開花前の若葉を摘み、乾燥させて使う。セージのある庭に行くものは死なないという格言があるほど、古くから万能の薬草として用いられ、ヨーロッパでは乾燥葉が薬局方に記載されてきた。発汗抑制・利尿・消毒殺菌・収斂・血行促進・疲労回復などの作用が知られている。現在もハーバリストが発汗防止に使用さている。特有の香りや苦味、辛味が食欲を刺激するので、消化不良や食欲不振にもよい。また、煎じたものは口内炎歯肉炎のうがい薬として使われる。リラックス効果があるので、疲れたときのハーブティーとしても良い。

 食材としてソーセージ作りに欠かせないハーブである。肉料理の臭み消しとしても広く使われ、ラムや七面鳥、鴨、レバー料理に使われる。

※キャットニップ

 ユーラシア原産のシソ科イヌハッカの多年草で、学名はNepeta cataria。和名はイヌハッカ。猫を興奮させるハーブとして有名だが、人に対しては鎮静作用を持つ。ヨーロッパでは古くから病気の治療に使われてきたハーブで、不眠や頭痛、下痢、腹痛などに効果がある。葉はミントに似た香りで、乾燥葉と花の先端部を用いたハーブティーはリラックス効果をもたらす。発汗作用があり、体を暖めてくれるので入浴剤にも使われている。葉をタバコのようにすうと多幸症を引き起こすことが知られている。

※ヒソップ

 シソ科ヤナギハッカ属の多年草で、学名はHysspous offcinalis。地中海と西アジアが原産。和名はヤナギハッカ。ハッカに似た香りがあり、旧約聖書には清めのハーブとして登場している。食用や薬用としてだけでなく、その芳香を生かして病室や台所の床に撒いて消臭剤としても使われたという。

 肉や魚など脂肪分の多い料理やスープ、シチューなどの香り付けによく使われるハーブで、香草系の代表的なリキュール「ベネディクティン」の材料の一つでもある。鎮痙作用や抗菌作用があり、風邪や咳、鼻づまりにはドライハーブをお湯に混ぜて飲むと症状を緩和してくれる。うがい薬や外用薬として利用できる。

※ラベンダー

 地中海沿岸のシソ科ラバンデュラ属の常緑小低木で、学名はLavandula angustifolia。ラベンダーはラテン語のlavara(洗う)を意味し、古代ローマ人は公共浴場に入れて香りを楽しんだという。その香りは精神を落ち着かせる作用があり、睡眠前など気分をリラックスさせたいときにはラベンダーティーを飲むとよい。アロマテラピーでは精油が不安の解消やリラクゼーションに用いられる。また、皮膚への浸透がよく、スキンオイルやマッサージオイル、ブレンドオイルとしても使われている。花を乾燥させたポプリは香りだけではなく殺菌や防虫にも効果的だ。

金曜日, 11月 25, 2011

色々なハーブ(1)

※アニス

 セリ科アニス属の一年草で、学名はPimpinella anisum。。地中海東部沿岸地域やエジプトが原産で、古代エジプト時代から薬用や調味料として愛用されてきた伝統的ハーブである。アニスの完熟種子(アニスシード)には特有の甘い香りと味があり、今日でもパンや菓子、スープの香辛料、リキュールの香料などに用いられている。種子はアネトールを主成分とする精油を2~3%含み、これがアニスシード特有の芳香と味のもとになっている。

 精油には細菌繁殖を抑える効果がある。種子を潰して煎じたお茶は消化を促す働きがあり、食欲不振、消化不良、腹痛などの改善に適している。また、母乳の分泌を促進する作用があり、種子をお湯に浸すアニスティーはヨーロッパでは古くから授乳期の女性のお茶として知られている。この母乳分泌促進作用は動物実験でも確認されている。アメリカの栄養学者E・ミンデルによると、乳牛にアニスオイルのにおいを嗅がせると牛乳の生産量が増加したという(「ハーブバイブル」同朋社)。精油の香りには虫が嫌う成分が含まれており、防虫にも効果的であるとされる。

○チャービル

 セルフィーユとも呼ばれる。ヨーロッパやアジアを原産とするセリ科のシャク属の一年草で学名はAnthricus cerefolium。和名はウイキョウゼリ。上品な甘い香りが特徴。4種類のフレッシュハーブを刻んで混ぜてフィーヌゼルブ(フランスの伝統的なハーブミックス)に使われるほか、葉はサラダやスープ、バーブバターなどに用いられる。古くは薬用として利用され、カルペパー(17世紀英国のハーバリスト)は、チャービルに胃を温める作用があることを見出し、消化促進・利尿・関節痛などの治療に使われた。葉にはビタミンC、カロテン、鉄分、マグネシウムなどが含まれている。

※ディル

 セリ科イノンド属のハーブで、学名はAnethum graveoles。別名はイノンド、ヒメウイキョウ。古くから頭痛の治療薬として使われており、古代エジプトの医学古典「エーベルス・パピルス」にも収載されている。日本には江戸時代に渡来し、種子が蒔蘿子と呼ばれて生薬に使われている。

 葉を煎じて飲むデイルティーは消化を助ける作用があり、胃の調子を整えてくれる。また、種には神経をやわらげる鎮静作用があるとされ、ヨーロッパでは乳児の夜泣きや不眠症の人に種子を煎じて飲ませる。ディルには独特の香りがあり、スパイスとしても広く使われている。魚料理との相性がよく魚のハーブといわれている。種子はピクルスやクッキーなどに、若葉はワインビネガーに入れて香り付けに用いたりする。

※フェンネル

 セリ科ウイキョウ属の多年草で、学名はFoeniculum vulare。原産地はヨーロッパ。和名はウイキョウ。フェンネルは亜種や変種が多く、現在、主に栽培されているのはビターフェンネルスイートフェンネルである。

 フェンネルの生理作用はヨーロッパや中国で古くから認められており、腹痛や風邪の治療などに用いられてきた歴史がある。精油にハチミツを加えてお湯で溶かし、咳止めとして飲まれていた。また健胃作用に優れ、腸の痙攣を抑える小腸の運動を高める作用がある。消化を助けて食欲を増進させると共に、腸内ガスの放出や疝痛の緩和に働く。幼児疝痛にも効果があり、スイートフェンネル種子の精油を含有した乳剤を幼児に与えた試験で疝痛が緩和したという報告がある。これは、種子に多く含まれるトランスアネトール、メチルカビコール、フェンコンなどが有効成分と考えられている。

 食用としては、茎や葉が魚料理の臭い消しに、種子はクッキーやパンなどの風味付けに利用される。フェンネルは近年、ダイエットハーブとしても市販されているが、その有用性についてはまだ実証されていない。

木曜日, 11月 24, 2011

アーティチョーク

○アーティチョーク

 アーティチョークは地中海沿岸のエジプトから南ヨーロッパ地方に分布するキク科の多年草で、学名はCynara scolymus。アザミの仲間で、和名はチョウセンアザミ。成長すると2mほどにより大型の紫色の花をつける。花の付け根のふくらんだ花托は独特の風味と食感があり、フランスやイタリアでは古くから高級野菜としてして珍重されてきた。

 アザミの仲間のハーブは古くから肝臓疾患の症状を和らげる効果のあることが知られており、ヨーロッパ薬草療法では、アーティチョークは肝臓の解毒作用を助ける効果があるほか、肝臓組織の再生にも有効であるとされてきた。20世紀に入ると、多くの生物学者からによってアーティチョークの薬理的研究が行われ、今日では苦味成分を中心とした多種の有効成分が見出されている。それによると、アーティチョークの効果を決定づける成分として、苦味成分のシナリンやフラボノイド、セスキルペンラクトン系のシナロピクリンのほか、イヌリン、キナ酸カフェオイルが単離されている。

 アーティチョークの葉の苦味値は15000単位と報告され、苦味成分の含有量が最も高い数値を示すのは開花直前と果実の成熟時とされている。その成分中の苦味成分シナリンには、胆汁の分泌を促進し、血液中の脂肪代謝を活性化することによって血液中のコレステロール値を正常に戻す効果があるとされている。また軽い利尿作用があるほか、胃のもたれや膨満感を解消し、上腹部の痙攣症状の緩和にも効果のあることが臨床試験において確認されている。今日、ドイツの薬品業界ではこのシナリンがアーティチョーク調剤の品質基準を測る指標と見なされている。アーティチョーク調剤には主として糖衣錠や圧搾エキスがある。

火曜日, 11月 22, 2011

きんかん(金柑)

○きんかん(金柑)

 ミカン科の常緑低木の果実で中国が原産。日本へは鎌倉時代末期に渡来し、主として福岡、和歌山、静岡などの温暖な地域で栽培されている。柑橘類の中では実は一番小さい。果皮には甘味と香気があり、皮ごと生食される。12~2月ごろが出盛だが、時期が短いのと量的にも少ないためミカンのようには目に触れないのが残念である。

 風邪が流行るとキンカンが売れると昔から言われ、民間薬として親しまれてきた。それはビタミンC・B1・B2・E、ヘスペリジン(ビタミンP)、カルシウムを豊富に含み、柑橘類の中では最も栄養価が高いからで、ビタミンCは100g中49mg、カルシウムは80mである。ビタミンCやカルシウムは皮膚の抵抗力を強めるのにも役立ち、ヘスペリジンはビタミンCの吸収を高め毛細血管を強くする働きがある。従って風邪のみならず、動脈硬化や高血圧の予防、血管の老化防止、歯槽膿漏などにも有効である。キンカンの甘露煮は鎮咳・去痰薬として昔から愛用されている。

月曜日, 11月 21, 2011

カボチャ種子

カボチャ種子

 カボチャはウリ科のつる性植物で、β-カロチンや糖質を豊富に含み、健康食材として人気があるが、この種子には頻尿や尿失禁などを改善する有効成分が含まれており、中米などでは古くから天然の利尿剤として使われてきた。また、植物療法の伝統が根強いヨーロッパでは、カボチャ種子の抽出物を配合した医薬品が前立腺肥大や過剰膀胱の治療を目的に使われている。

 カボチャには日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャの3品種あるが、機能性素材として種子が利用されるのはペポカボチャである。ペポカボチャはメキシコ北部から北米が原産地で、低温に強い品種であることから世界各地で栽培されているが、わが国では西洋カボチャが9割を占め、ペポカボチャはあまり馴染みがない。イタリア料理に使われるズッキーニ、二、三倍酢にして食べる金糸瓜(そうめんカボチャ)はペポカボチャの一種である。

 ペポカボチャの種子が前立腺肥大を改善するのは、種子に含まれる脂肪酸とシトステロールの作用によるものと考えられている。前立腺肥大は、男性ホルモンとテストステロンが変化して生成されるジヒドロテストステロンが蓄積することによって起こるが、ペポカボチャ種子の脂肪酸は、この生成に関与している5-α-リダクダーゼという酵素の活性を阻害することによってジヒドロテストステロンの蓄積を抑制する。また、レセプター(受容体)への結合を阻害する作用も認められている。このほか女性に多いとされる、くしゃみや咳などで尿が漏れてしまう尿失禁の改善にも効果のあることがわかっている。

金曜日, 11月 18, 2011

菊芋

菊芋

 いもという名が付いているが、キク科の多年草である。キクイモの由来はキクのような花をつけ、根の先端が肥大してイモのような塊茎になることから。原産地は北アメリカ北東部で、先住民が古くから食用としていた。ジャガイモの歯ざわりとゴボウの味を混ぜた風味があり、煮ると甘味が出る。日本には江戸時代に到来したが、食物繊維を多く含むため消化吸収が悪く、栄養価の高くないことから食用よりも飼料として使われてきた。戦時中の一時期、食糧難のために栽培され漬け物の材料にされていたこともあるが、近年ではほとんど栽培されていなかった。ところが、この菊芋に糖尿病を改善する作用のあることが分かったことから、にわかに注目を集める健康機能性素材となった。

 キクイモ(生)の食品成分をみると、炭水化物が15.1%と非常に多く含まれている。特徴的なのはこの糖質にはデンプンがほとんどなく、大部分がイヌリンという糖質で占められていることだ。イヌリンは多糖類の一種で、果糖(フルクトース)が30個ほどつながった構造をしている。キクイモ以外ではダリアの塊茎やアザミの根などに貯蔵多糖として含まれている。デンプンは体内でブドウ糖に分解され、小腸から吸収されて血糖値に反映されるが、イヌリンはヒトの消化酵素では消化されず、分解されてもブドウ糖ではなく果糖になる。そのため血糖値の上昇とは無縁であるばかりか、腸が糖質を吸収するのを抑える作用があり、血糖値の上昇を背後から抑制する働きもしている。わが国では漬け物の材料にしか使われてこなかったキクイモであるが、今後は抗糖尿病食品として大いに期待される素材である。菊芋は海外でも広く栽培、利用されているが、ドイツではトピナンバーという名で機能性食品素材として活用されている。

※トピナンバー

 ドイツのレホルム製品の一つ。キクイモ塊茎に含まれる難消化性多糖のα-イヌリンを中心に、ペクチン、ビタミン、ミネラル、ベタイン、フラボノール・グルコシド、酵素、アミノ酸を配合した機能性素材。300気圧の圧搾装置を使ってキクイモの塊茎から抽出したエキス製品もある。どちらも糖分や糖質の摂取を制限されている糖尿病患者の健康食品として需要がある。

木曜日, 11月 17, 2011

プエラリア・ミリフィカ

○プエラリア・ミリフィカ

 プエラリア・ミリフィカはタイ国産のマメ科クズ属の植物で、現地ではガウクルアと呼ばれ、古くから根茎が回春や長寿などの民間薬として利用されている。その活性成分がミロエステロールと呼ばれる女性ホルモン様の物質=植物性エストロゲンであることを指摘し、その構造式を明らかにしたのは、1960年に英国科学雑誌ネイチャーに掲載された論文である。それによると、ミロエステロールは卵巣ホルモン・エストロゲンと類似した強い活性を持つことが解明され、その民間薬としての効能成分が化学的に裏付けられた形となった。

 その後1980年代になって、プエラリア・ミリフィカにはプエラリン、ダイズィン、ダイゼイン、ゲニステイン、クメステロールなどのイソフラボノイドが豊富に存在するとの報告がなされた。ちなみに、近年、更年期障害を軽減するとして注目を集めている大豆イソフラボンもイソフラボノイドの一種である。

 さらに2000年には、千葉大学薬学部の研究チームが、プエラリア・ミリフィカからミロエステロールを単離すると共に、ミロエステロールの10倍のエストロゲン活性を持つ成分デオキシミロエステロールの単離・同定にも成功するなど、多方面で研究が続けられている。

 エストロゲンは女性の卵胞から分泌される性ホルモンで、子宮の機能、膣粘膜細胞の増殖などに働くほか、血管を広げて血流を促進させ、動脈硬化を防止する、LDL(悪玉コレステロール)を低下させHDL(善玉コレステロール)を上昇させる、体内の水分とナトリウムを貯蓄する、骨量のバランスを保つ、コラーゲンやヒアルロン酸を合成する、などの作用がある。プエラリア・ミリフィカに含まれるミロエステロール、デオキシミロエステロールなどの植物性エストロゲンは、このエストロゲンと非常に似た構造と作用を有する物質であり、女性の美容と健康に関与すると見られている。

 こうした有効成分に着目して、健康食品市場ではプエラリア・ミリフィカを利用した美容・健康食品、化粧品などの製品開発が進んでいる。美容・健康食品としては、従来、バストアップ(豊胸)促進を訴求する製品が主流だったが、近年は若い女性の生理不順、生理痛肌荒れなどホルモン・バランスの崩れからくる症状の改善や、更年期障害症状の軽減のためのサプリメントとして広く利用されるようになってきた。また、最近は上記の作用を生かした化粧品開発も活発化しており、プエラリア・ミリフィカをベースに、細胞賦活作用を持つプロポリス、抗酸化力を有するブドウ種子エキスなどを配合した自然派コスメティックも登場している。これらの化粧品は、皮膚から植物性エストロゲンを吸収させることで、体内でのヒアルロン酸、コラーゲンの生成を促し、皮膚の保湿を促進させるなどのほか、アトピー性皮膚炎などの改善にも効果があるとされている。

水曜日, 11月 16, 2011

米ケフィラン

○米ケフィラン

 米ケフィランは、世界的に有名な長寿地域であるコーカサス地方で、かつて門外不出とされた発酵乳ケフィアに含まれる特徴的な乳酸菌、学名ラクトバチルス・ケフィラノファシエンスを日本人の主食である米を栄養源として単独培養することにより得られる植物性の生成物である。

 同素材は機能性食品の原料メーカーである大和薬品(株)が腸内細菌研究の世界的権威であり、Lactobacillus kefranofaciensの分類・命名に携わった光岡知足(東京大学名誉教授)の技術指導のもと、農林水産省が主管するニューフード・クリエーション技術研究組合の助成を受け開発された。

 米ケフィラン培養物1リットル中には健康に対する有用性が長年注目されながらも大量生産が困難とされていた粘質性多糖「ケフィラン」が約800mgと高濃度含まれている。動物性成分を含まず、低脂質で熱やpHの変動に対して安定という特長を持ち、健康補助食品、一般食品など幅広い商品開発が可能である。

 ケフィランはガラクトース3分子とグルコース3分子を一つのユニットとする水溶性食物繊維の一種(多糖ガラクトグルカン)でこれまでに室伏博士らによるマウス経口投与における抗腫瘍作用(1982)、同マウス経口投与における遅延型アレルギーに対する作用(1983)、同マウス傾向投与における免疫強化作用(1986)、樺山博士らによるストレスホルモンによって抑制された細胞のインターフェロンβ産生促進作用(1997)などの有用性が明らかにされている。近年も数々の動物実験により、整腸作用、血糖上昇抑制作用、血圧上昇抑制作用、脂質代謝改善作用など多彩な機能性が明らかになり、メタボリックシンドローム対応素材としての有用性も期待されている。

 米ケフィランにはケフィランだけでなく、乳酸菌の死菌体や米由来のペプチドなども含まれており、動物実験による抗動脈硬化作用や抗アレルギー作用などのエビデンスが蓄積されつつある。

 光岡名誉教授は2007年5月に発酵乳研究で最も優れた業績を挙げた科学者に贈られる国際賞・メチニコフ賞(国際酪農連盟主催)を微生物部門において受賞、受賞対象となった研究は①腸内細菌の培養法と腸内細菌の同定法の確立、②新種腸内細菌の分離と分類・命名、③腸内細菌の生態系の解析、④腸内細菌の役割の解析、⑤機能性食品創製への応用と展開、の5項目から成り立っている。

火曜日, 11月 15, 2011

ビタミン様作用物質

○ビタミン様作用物質

 ビタミンと類似した作用を持つ有機化合物の総称。コエンザイムQ10、α-リポ酸、コリン、パラアミノ安息香酸、ビタミンPなどがある。

コリン

 脂肪肝を防ぐ因子として発見された水溶性ビタミン様物質(ビタミンB複合体)。ヒトの体内ではメチオニンから合成される。糖質と脂質の代謝に必要な補酵素として働き、不足すると脂肪肝の原因ともなる。コレステロールの血管壁への沈着を防ぐレシチン(リン脂質)の構成要素でもあるので、動脈硬化予防の効果もあり、食品では卵黄、レバー、小麦胚芽、米胚芽、大豆、酵母などに多く含まれる。

※ビタミンP

 ネズミの壊血病を予防する因子としてレモン果汁から発見された水溶性ビタミン様作用物質。発見当初はシトリンと命名されたが、同様の作用が柑橘類などの黄色・橙色を呈する色素のヘスペリジン、フラボン類、生薬のオウゴンに含まれるバイカレイン、そば(蕎麦)やエンジュ(槐)に含まれるルチンなどにも同様の作用が見い出され、いずれも毛細血管の透過性を保つ働きがあることから、透過性(permeability)のPをとってビタミンPと総称されるようになった。アンズ(杏)やサクランボにも多く含まれている。毛細血管の透過性を保ち、血管壁を丈夫にするほか、毛細血管の収縮作用や血圧降下作用もある。

※ビタミンU

 抗胃潰瘍因子としてキャベツから発見された脂溶性ビタミン様物質。物質名はメチルメチオニン・スルホニウム・クロライド。胃酸の分泌を抑えると共に胃粘膜の新陳代謝を促進させて、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを改善する。キャベツやレタスなどに含まれている。

※パラアミノ安息香酸

 水溶性ビタミン様物質。グルタミン酸から葉酸を合成する材料となり、パントテン酸の吸収を助ける働きがある。葉酸やパントテン酸と一緒に摂ると白髪や皮膚の老化を防ぐ効果がある。レバー、卵、牛乳、玄米などに含まれる。

※レートリル

 アンズ(杏)の種子に含まれるビタミン様作用物質。アミグダリン、ビタミンB17とも呼ばれている。米国の研究では、β-グルコシダーゼ(酵素)を加えたレートリル溶液を腹水ガンに注入したところ、ガン細胞が100%死滅したという報告がある。

月曜日, 11月 14, 2011

ビタミンD

ビタミンD

 抗くる病因子としてタラ(鱈)の肝油中から発見された脂溶性ビタミン。キノコなどに含まれるビタミンD2(物質名はエルゴカルシフェロール)と、動物性食品に含まれるD3(コレカルシフェロール)の2種類があるが、どちらも体内では同様の作用を持つ。また、酵母やキノコに含まれるエルゴステロールや動物性食品に含まれる7-デヒドロコレステロールは、紫外線が当たるとD2、D3に変わるプロビタミンDである。

 ビタミンDは体内に入ると肝臓と腎臓で活性型に変わり、甲状腺ホルモンと共に働いてカルシウムとリン酸の骨への沈着を助ける。また、筋肉や血液中のカルシウム濃度をコントロールする働きをしており、カルシウム不足のときには骨からカルシウムを溶出させる調整役もしている。ビタミンDは魚肉、レバー、バター、卵黄、シイタケなどに多く含まれる。「食事摂取基準05年度版」では、ビタミンDの目安量は1日あたり成人男女ともに5ugで、上限量は50ugとしている。また保健機能食品制度では、ビタミンDを1日摂取量あたり1.5~5ug含む食品にはビタミンDの機能を表示することができる。

※エルゴステロール

 不飽和ステロールの一種で、エルゴステリンともいう。シイタケなどキノコ類や酵母に多く含まれており、紫外線が当たるとエルゴカルシフェロールになり、体内に振り込まれてビタミンDに変化する。生シイタケは食べる前に日光に当てるとビタミンD2の含有量を増やすことができる。

土曜日, 11月 12, 2011

深海鮫エキス

深海鮫エキス

 サメ(鮫)は軟骨魚類からエイ類とギンザメ類を除いたものの総称で、アイザメ、アブラザメ、シュモクザメ、ホシザメ、ネコザメ、ノコギリザメ、ジンベイザメなど大小種々のものが含まれる。肉はカマボコなど練製品に使われるが、肝臓からは肝油が作られる。特にアイザメの肝油は良質で、女性の高級美顔料として使われているほか、健康食品としては深海鮫エキスとして加工されている。

 このエキスに含まれる油性物質のスクアレンは細胞の新陳代謝を活発にし、健康の維持・増進に役立つ機能成分とされている。深海鮫の肝臓は体重の17~27%に及び、特にアイザメは肝臓の重さが体重の25%を占め、その1/4が肝油であり、9割近くをスクアレンが占めている。スクアレンは、日本の油脂科学のパイオニアであって辻本満丸が1906年(明治39)年にアイザメ肝油から発見した高純度不飽和炭化水素(油脂)である。

 この油脂は化学的に安定するために水を還元して水素を取り込み、その結果、酸素を発生させる。これは深海で生息するサメの体内で必要とされる酸素を補給する働きをしているのではないかと考えられている。

 深海鮫エキスは栄養やエネルギー源としてばかりでなく、臓器の機能回復を手助けする”整備エンジニア”のような役目を果たす。その作用として、①浸透性がよい(化粧品素材として利用)、②賦活作用がある(細胞や皮膚の発育を促進させる作用)、③殺菌作用がある、④浄化作用がある(体内の新陳代謝を促す還元作用)、などが挙げられる。

金曜日, 11月 11, 2011

インドボダイジュ

○インドボダイジュ

 クワ科の常緑高木。別名にアッシュバッタ、ピッパラ、菩提樹、印度菩提樹、思惟樹などがある。原産地のインド、スリランカを中心に、南アジアから東南アジアなど熱帯地域に分布する。葉は先のとがった広卵心形で、わずかな風にも揺れてさらさらと音をたてる。花はイチジク形花序(隠頭花序)といって、花軸の先端が大きく膨らんで壷型となり、その壷の内側面に雄しべ・雌しべのいずれか一方だけをもつ単性花をつける。雌花と雄花とを同一の個体につける雌雄同株。同じクワ科のガジュマルのように気根をおろして大きくなる。

 原産地では10数メートルから20メートル以上に及ぶ大木に生長するものもあり、大きな茂みとなる。お釈迦様が49日間の思惟の後、その下で悟りを開いた木とされており、ヒンドゥー教の整地でもあり仏教の最高聖地とされるインドのブッダガヤに植えられ、神聖な木とされている。東アジアでは、仏教寺院に中国原産のシナノキ科シナノキ属の落葉高木ボダイジュが植えられているが、葉の形がインドボダイジュに似ていることから、熱帯植物で栽培しにくいインドボダイジュの代わりに栽培したと考えられている。わが国では、鉢植えの小さなものが観葉植物として販売されている。

 インドボダイジュの樹皮は、収斂作用があり、インドでは歯痛やひび割れして炎症を起こした足の治療などに用いられるほか、中国では歯痛や歯茎の強化に用いられている。薬理効果としては抗菌作用、脂質低下作用、血糖降下作用などが報告され、用途としては止血、月経過多、子宮出血、吐き気、眩暈に50%アルコール抽出物が用いられる。

木曜日, 11月 10, 2011

くま笹(改訂版)

○くま笹

 クマ笹はイネ科の笹の一品種で、葉の緑が白くなる(隈ができる)ために隈笹、冬眠から覚めた熊が好んで食べて体力の回復を図るところから熊笹とも書かれる。古くから若葉を煎じたものが民間薬として胃病・糖尿病・高血圧・喘息などの改善に利用されてきた。

 クマ笹にはタンパク質や葉緑素が豊富に含まれているほか、生体の免疫力を高め、ガン細胞の増殖を抑える作用があるといわれる笹多糖体の存在も注目されている。九州大学農学部の村上浩紀、山藤一雄が、クマ笹の葉から抽出したリグニンに動物実験で制ガン作用を認めたと報告している。また、ささの防腐作用をつかさどる多糖体のパーフォリンにも、生体の免疫力を強くしてガンの増殖を抑えること、なおかつ正常細胞に対する害がないことなどがわかり、その効用が期待されている。

 最近、クマ笹の有効成分を効率よく抽出する循環多段式加圧抽出法(菊地式抽出法)が考案され、より多くの多糖成分が抽出できるようになった。この抽出法は、最初に100℃以下の熱水抽出によって主としてミネラル、ビタミン、アミノ酸を採り出し、その後、加圧のレベルを何段階かに変えることによってさらに多糖成分を抽出するという方法である。近藤勇(東京慈恵会医科大学名誉教授)らは、これによって得られたクマ笹エキス(AHSS)をヘリコバクター・ピロリ菌に作用させ、鞭毛を溶かすことで菌が死滅することを発見、第11回国際ピロリ菌学会(2001年9月、ドイツ)で報告している。

 慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍の発症に大きく関わっているとされるピロリ菌だが、日本では50歳以上の70%以上がピロリ菌感染者であるこという報告もあり、ピロリ菌対策が本格的に始まっている。しかし、抗生物質を使った除菌では耐性菌の問題も大きなネックとなっている。近藤らの研究結果は、クマ笹エキスが植物由来の天然物質であることから抗生物質が直面している耐性菌問題にも新しい展望を開く可能性を秘めているといえよう。

水曜日, 11月 09, 2011

穀物酢

○穀物酢

 JAS(日本農林規格)では、醸造酢のうち、原料の穀物使用量が40g/L以上のものを穀物巣としており、米を40g/L以上使用しているものを米酢、それ以外のものを単に穀物酢としている。

※米酢

 わが国を代表する伝統的な穀物酢で、こめずともいう。調味料として最も多く使われている食酢である。蒸米を麹で糖化し、酵母でアルコール発酵させた後、酢酸菌で酢酸発酵してつくる。JASの食酢品質表示基準により、製品に米酢と表示できるのは原料の米を40g/L以上使用しているものである。

 玄米酢に比べるとアミノ酸の含有量は少ないが、米に由来する独特の芳香があり、料理にコクと深みを加えるので寿司飯や酢の物に使われる。市販されている米酢製品の中には、酢1Lにつき100~200g(JAS規格の2~5倍)の米を使い、濃厚な旨味を持つ米酢もある。

※粕酢

 米酢と共にわが国を代表する伝統的な醸造酢で、JASでは穀物酢と果実酢以外の醸造酢に分類される。1年以上貯蔵・熟成された酒粕に水を加えて粥状にし酢酸発酵を経てつくられる。高級品は色が濃く、米酢とは異なる独特の香りと旨味を持ち、江戸前寿司の赤酢として使われている。

※麦芽酢

 イギリスやアイルランドを代表する穀物酢の一種で、モルトビネガーという。大麦小麦、ライ麦を原料とし、麦芽の酵素で糖化した後、アルコール発酵、酢酸発酵を経てつくられる。麦に含まれるタンパク質からアミノ酸が多量に生成されるため、米酢などとは違った香り、コクがある。イギリスではフィッシュ・アンド・チップス(鱈のフリッター)にかけて食べたり、ピクルスやマヨネーズなどに使われる。

火曜日, 11月 08, 2011

果実酢

○果実酢

 JAS(日本農林規格)では、醸造酢のうち、原料の果実搾汁使用量が300g/L以上のものを果実巣としており、ブドウの搾汁を300g/L以上使用しているものをブドウ酢、りんごの搾汁を300g/L以上使用しているものをリンゴ酢、それ以外のものを果実酢としている。

※ぶどう酢

 フランスを代表する果実酢で、ワインビネガーという。ブドウ果汁を酵母でアルコール発酵させ、酢酸菌による酢酸発酵を経て作られる。ヨーロッパで最も多く使われている酢である。ワインと同じく、白と赤の2種類がある。穀物酢に比べて酸味度が高く、カリウムやポリフェノールの含有量も多い。主にドレッシングソースやマリネなどの調理に使われる。

 フランスなどではわが国の米酢のように古くから伝わる製法で作られるものが多いが、酸敗ワインやブドウ粕を原料にしたものもある。わが国ではJASの食酢品質表示基準で、製品にブドウ酢と表示できるのは原料にブドウの搾汁を300g/L以上使用しているものである。

※バルサミコ酢

 バルサミコ酢は北イタリアのモデナ地方に古くから伝える果実酢で、バルサミコはイタリア語で”芳香がある”を意味する。イタリア産のワインと白ブドウ果汁を煮詰め、木樽で長期間熟成させて作られる。色は濃い茶色で、酸味や香りが強く同時にまろやかな甘味もある。イタリアでドレッシングソースといえば、オリーブオイルとバルサミコ酢の組み合わせである。

 バルサミコ酢はリンゴや赤ブドウ酢に比べてカリウムが2倍以上、ポリフェノールが黒酢の3倍以上含まれている((独)農林水産消費技術センター調べ、2001年)。最近はわが国でもよく知られるようになり、高価ではあるが日常的に利用する家庭も増えている。JASでは、果実酢の中のブドウ酢に分類されている。なおイタリアでは、伝統的なバルサミコ酢は最低12年の熟成と原料となるブドウの種類が厳格に決められており、モデナ産のバルサミコ酢はDOP(原産地保護名称)指定になっている。

※りんご酢

 アメリカを代表とする果実酢で、アップルビネガー、シダービネガーともいう。リンゴ果汁を原料としてアルコール発酵させ、酢酸発酵を経て作られる。リンゴ酸が多く含まれるため酸味がまろやかで甘い香りがあり、サラダドレッシングやマヨネーズ、ソースに使われる。アミノ酸の含有量が少ないが、カリウムを多く含んでいる。

 わが国ではJASの食酢品質表示基準で、製品にリンゴ酢と表示できるのは原料にリンゴの搾汁を300g/L以上使用しているものである。リンゴ酢は調味料のほか、ハチミツで薄めて健康ドリンクとして用いられることも多い。

土曜日, 11月 05, 2011

牛乳

○牛乳

 牛乳は三大栄養素の糖質・脂質・タンパク質をほぼ同じ割合で含み、さらにカルシウムやカリウムなどのミネラル類も豊富に含むことから、子供の成長期には欠かせない栄養食品として古くから用いられてきた。わが国で市販されている牛乳(市乳)は、厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」によって細かく規定されており、大きく「牛乳」「加工乳」「乳飲料」に分けられる。牛乳とは生乳のみを原料とし、無脂乳固形分(水分と乳脂肪分以外のタンパク質、炭水化物、カルシウム、ビタミンなど)を8%以上含むもので、、しぼったままの生乳をそのまま加熱殺菌したものと、生乳から水分、乳脂肪分、ミネラルなどなどの一部を取り除いた成分調整牛乳とがある。前者は、牛乳パックの種類別欄に「牛乳」と表示されている最も一般的な牛乳で、乳脂肪分は3%以上。一方、成分調整牛乳の内、乳脂肪分を0.5~1.5%にしたものを低脂肪乳、0.5%未満にしたものを無脂肪牛乳という。

 加工乳は、生乳のほかに脱脂粉乳や無塩バターなどの乳製品を加え、乳成分を増やしたり、乳脂肪分を減らしたりしたもので、無脂乳固形分は牛乳と同じく8%以上含む。「特濃乳」などがそうである。

 乳飲料は牛乳や脱脂粉乳を主原料とし、これに糖分や香料、コーヒー、果汁、ビタミンやミネラル類を配合したもので、無脂乳固形分の含有量は規定されていない。一般に”コーヒー牛乳””フルーツ牛乳”などとも呼ばれているが、乳飲料の商品名には「牛乳」「ミルク」「乳」という言葉は使用できないことになっている。

 牛乳の摂取で最も期待されている栄養成分はカルシウムで、100g中110mgと豊富に含まれている。カルシウムは体内へ吸収されにくい成分だが、牛乳・乳製品の吸収率は高く、約50%である。因みに古くから日本人のカルシウム供給源となっていた小魚で約30%、青菜で約18%である。牛乳のカルシウム吸収率がよいのは吸収を助ける乳糖やアミノ酸のリジンなどが含まれていることによる。

 さらに牛乳のタンパク質の約80%を占めるカゼインが体内でCPP(カゼインホスホペプチド)に分解され、カルシウムの吸収を高める働きをする。ただし、牛乳を飲んでお腹がゴロゴロする人や下痢をする人(乳糖不耐症)は乳糖を分解する酵素ラクターゼの活性が低く、牛乳からのカルシウムの吸収率も低下する。乳糖不耐症の人用に乳糖分解乳が市販されている。牛乳にはもう一つの効能として安眠作用がある。牛乳に含まれる必須アミノ酸のトリプトファンが催眠作用のある神経伝達物質セロトニンの原料となるからである。神経を鎮静化する作用はカルシウムにもある。

※粉乳

 牛乳を濃縮して乾燥させ、粉末状にしたもの。そのまま粉末にした全粉乳、乳脂肪を取り除いた脱脂粉乳、成分を調整した調製粉乳がある。母乳の成分に近くなるように調整したものは乳児用粉ミルクである。

※練乳

 練乳は牛乳を濃縮したもので、そのまま濃縮したエバミルク(無糖練乳)、加糖して濃縮したコンデンスミルク(加糖練乳)がある。

金曜日, 11月 04, 2011

中国茶

○中国茶

 中国茶には非常に多くの種類があるが、中国茶葉学会が編集している農業学校用教科書では、次の通り精茶を色によって6つに分類している。

※緑茶

 中国で生産される茶の半数以上(約54%)が緑茶である。日本の緑茶は摘み取ったばかりの生葉を水蒸気で蒸して乾燥させるが、中国緑茶は生葉を釜の上で加熱して酵素活性を止める。そのため日本の緑茶のような青臭さが少なく、軽快な風味がある。不発酵茶に分類される。

※黄茶

 新芽の未成熟の部分を用い、加熱後、悶黄(堆積して変色させる)の工程があるのが特徴である。生産量は極めて少ない。不発酵茶に分類される。

※青茶

 成熟した新梢を用い、製造工程は細かく分けて17工程もあり、上品質のものほど手数をかけている。発酵は最初に葉を日光に当てて行い、その後、室内でも萎凋(葉を萎えさせる)が行われる。做青(青色出し)の工程があるのが特徴である。これらの一連の過程で青茶に特有の香気成分が生じる。中途で加熱により酵素活性を止めて乾燥するので半発酵茶に分類される。ウーロン茶がよく知られている。

白茶

 大白、小白、水仙白といった特別な茶樹の銀白色の産毛に覆われた若芽からつくられる。わずかに発酵させるので弱発酵茶に分類される。福建省産の「銀針白毫」「白牡丹」などが知られている。点てた茶は色が淡く、香りや刺激性も強くない。

※紅茶

 英語ではブラックティーだが、中国や日本では紅茶と呼んでいる。十分に発酵させるので強発酵茶または全発酵茶に分類される。カテキン類の多くが高分子のテアフラビンに変化しているのが特徴である。

黒茶

 新梢の成熟した茶葉を用い、最初に緑茶の一種である釜炒り茶を製造し、集散地で黒麹菌を用いて発酵熟成させるので後発酵茶に分類される。茶葉組織が柔らかく易溶性になっており、茶葉のカテキン類や他の成分が前述の5品目と異なった成分となり、栄養学上の有用性を高めている。中医学で「薬茶」と呼んでいるのは、この黒茶のことである。蒸気を加えて加圧成型したものもある。代表的なものにプーアル茶がある。

 中国茶にはまた、花茶と呼ばれる付香茶が数多くある。これは加湿した中国緑茶やウーロン茶に様々な花を加えて香り付けをし、その後に花を除いて乾燥させたもので、中国料理に添えられるジャスミン茶がよく知られている。

木曜日, 11月 03, 2011

茶類

○茶類

 茶の始まりは非常に早く、既に5世紀の中国の農業書にその記録が残されているが、やがて”茶聖”陸羽が「茶は南方の嘉木なり」で書き始められる「茶経」(760年頃成立)を著したことによって中国全土に広められ、その書は茶に関する最も有名な聖典として取り扱われるようになった。

 茶樹そのものはツバキ科のチャ(学名Camellia sinensis L.)で、中国南部・雲南の山岳地帯で発見されたものが最初と伝えられている。大部分の栽培種は喬木で、葉の大きさから小葉種、中葉種、大葉種の3種に分かれる。小葉種は中国や日本の緑茶、大葉種は紅茶の原料となる。中葉種は主にウーロン茶の原料に使われている。

 陸羽によって中国全土に広まった中国茶の栽培は、温暖な地域で昼夜の温度差の多い山岳地方に良品を産するが、その消費は中国全土に及ぶようになり、その消費は中国全土に及ぶようになり、さらにまた中国人の古来の思想である”薬食同源”のもとに、より健康によいものをつくる努力が長い間続けられ、加工方法によっても数えきれないほどの多種類の製品が生産されるようになった。中国茶は葉中の酵素活性を利用して発酵させるが、その程度によって発酵茶、半発酵茶、不発酵茶に分かれる。さらに、微生物を利用して発酵させる後発酵茶がある。

水曜日, 11月 02, 2011

納豆

○納豆

 蒸し煮した大豆に枯葉菌の一種である納豆菌を加えて粘質発酵させた糸引き納豆と、蒸した大豆に麹を加え、塩水につけて熟成させた塩納豆(豆鼓)の2種類がある。近年、機能性食品として注目されているのは糸引き納豆である。植物性タンパク質の供給源であるだけでなく、骨の健康に役立つ、血栓を溶かす、動脈硬化の進行を抑える、お腹の調子を整える、抗菌力があるといった機能性が明らかになってきた。

 納豆の栄養組成を見ると、タンパク質やリノール酸、ビタミンK、パントテン酸、葉酸、ビタミンB2、カリウム、鉄、銅、マグネシウムなどが多く含まれていることがわかる。納豆中のタンパク質は納豆菌によって分解されているため、大豆の状態より消化しやすく、また、ほとんどの栄養成分が大豆(ゆで)の時よりも増えている。そのほか、ナットウキナーゼイソフラボン、ポリアミンといった成分も含まれる。

 納豆はビタミンKの含有量がトップクラスの食品である。天然のビタミンKは2種類あって、植物の葉緑体で作り出されるビタミンK1と、微生物が合成するビタミンK2だが、納豆は後者のほうである。ビタミンK2には骨のカルシウムの流出を防ぎ、骨を丈夫にする働きがある。ビタミンK2の作用を生かしたトクホ納豆も市販されている。さらに、納豆には骨量の減少を防ぎ、骨粗鬆症の予防に働くイソフラボン、骨の主成分であるカルシウム、骨の正常な代謝に必要なマグネシウムなど、骨の健康に役立つ成分が多い。厚生労働省の調査によると、中高年女性の骨折の割合は東日本が低く、西日本は高い傾向があり、これは納豆の消費量とほぼ比例しているという。

 納豆のネバネバ部分に含まれる酵素のナットウキナーゼには、脳卒中や心筋梗塞の原因となる血栓を溶かす作用があることが知られている。ナットウキナーゼの血栓溶解作用は強力で、血栓溶解剤ウロキナーゼと同様な効果があるという。また最近では早田邦康(自治医科大学大宮医療センター)らが、納豆に多く含まれるポリアミン(低分子有機化合物)の動脈硬化抑制作用について報告している。日本は動脈硬化の因子となる喫煙率が先進国で最も高く、コレステロールの摂取量もアメリカを超えているといわれているが、動脈硬化による疾患の発生率は低い。その背景には大豆類を多く摂ることが関係しているのではないかという。

 納豆は昔から、”風邪の引き始めにはネギ入り納豆汁がよい”といわれたり、食中毒予防の民間薬に使われたりしたが、これはジコピリン酸やリゾチームといった抗菌成分が含まれているためである。ジコピリン酸は病原性大腸菌O-157への抗菌効果が既に確認されている。納豆1パック(50g)に約10mgのジコピリン酸が含まれている。リゾチームは納豆のネバネバに含まれている溶菌酵素である。さらに、納豆菌は腸内で善玉菌の働きをするので整腸作用もある。また、納豆に含まれる大豆サポニンは強い抗酸化作用を持ち、老化やガン、生活習慣病の予防も期待できる。このように、身近な機能性食品といえる納豆だが、抗血液凝固薬(ワーファリンなど)を服用している場合、ビタミンKが薬の作用を低下させる可能性があるので、納豆の摂取については医師に相談したほうがよい。

火曜日, 11月 01, 2011

○酢

 は塩と共に古くから用いられてきた調味料で、世界各地で数多くの種類がつくられている。フランスではビネガー(vinaigre)といい、”ワイン(vin)が酸っぱく(aigre)なったもの”が語源だが、このことが示すように、酢は酒に由来する調味料である。

 酢の一般的な製法は、原料となる穀物や果実を酵母でアルコール発酵させてまず酒をつくり、その後、酢酸菌でアルコールを酢酸に分解する2段階発酵でつくられる。酢酸菌はアルコールの分解能が高いアクトバクター属の菌が使われる。原料となる糖質は東洋では穀物類(米、麦、大豆など)が、西洋では果実類(ブドウ、リンゴなど)が多く使われている。

 日本へは応神天皇の時代に中国から和泉の国(今の堺あたり)に伝えられたといわれる。その後、江戸時代になって相模(神奈川県)の中原、駿河(静岡県)の善徳寺、尾張(愛知県)の半田などでもつくられるようになり、これは日本伝統の米酢であった。

 現在、わが国ではJAS(日本農林規格)により一般的な酢を食酢と呼称し、ポン酢などの加工酢と区別している。食酢は製造法により「醸造酢」と「合成酢」に分けられる。醸造酢は前述のように穀物や果実から酒をつくり、それを酢酸発酵させたもので、「穀物酢」「果実酢」「醸造酢(穀物酢と果実酢以外の醸造酢)」がある。合成酢は希釈した酢酸原液に調味料などを加えて工業的につくられるもので、使用和40年代頃までは相当量が市場に出回っていたが、現在ではほとんど流通していない。

 酢には3~5%程度の酢酸のほか、コハク酸、リンゴ、各種アミノ酸が含まれている。酢の健康機能は古くから知られており、①強い殺菌力と防腐力があり、食品を長期間保存したり、外用の殺菌剤として利用できる、②細胞の新陳代謝を活性化する、③食欲を増進させる、④善玉コレステロールを増やし、動脈硬化や高血圧を改善する、⑤疲労回復、肩こりの解消に良い、⑥唾液や胃液の分泌を促し、消化を促進して便秘を防ぐ働きがある、などの作用がある。

月曜日, 10月 31, 2011

減塩食品

○減塩食品

 わが国で食塩の過剰摂取による弊害が叫ばれるようになったのは、食塩摂取量が他の地域に比べて多いとされる東北地方で脳卒中による死亡率が高いという疫学的調査結果が発表されてからである。これが契機となり1979年には厚生省(当時)の栄養審議会が、72年に決めた1日の塩分所要量15gを10gに下げるべきであるという答申を行い、これを目標値として全国的に減塩意識が高まった。

 現在使われている「日本人の食事摂取基準・2005年度版」で男性成人の目標値は10g未満で従来通りだが、女性は8g未満に改訂されている。平成15(2003)年の国民栄養調査によると、1日あたりの食塩摂取量は20歳以上の男性が11.7~13.5g、女性は9.8~12.0g、全体平均で11.2gである。

 日本人は世界的に見て食塩摂取量が多い民族とされている(欧米諸国の目安量は6g程度)。それは日本料理に欠かせない醤油や味噌などの調味料に塩が多く使われているからである。そのため、減塩食品の多くは醤油と味噌が中心である。

 減塩醤油は厚生労働省の特別用途食品制度で「低ナトリウム食品」に位置づけられており、100gあたり食塩含有量は9g以下とされている。これは一般的な醤油の約半分の量である。これとは別に、塩分濃度を通常醤油の8割程度にした「うす塩醤油」「あさ塩醤油」と呼ばれるものもある。また醤油には濃口と薄口があるが、薄口醤油は色や香りが薄いだけで塩分は濃口よりも多いので注意したい。

 味噌も、ナトリウムの含有量が通常味噌の50%以下のものが減塩味噌として特別用途食品になっている。このほか、塩化ナトリウム含有量を少なくした減塩塩もある。フィンランド製のパンソルトは塩化ナトリウムが57.6%、アメリカ製の岩塩ライトソルトは塩分49.5%の塩である。これらは塩化カリウムや塩化マグネシウムなど他のミネラル成分の配合を増やすことによって、相対的に塩化ナトリウムの割合を減らした製品である。

 減塩食品は確かに塩分は少ないが、塩味が薄いからといって多く使えば絶対量は減らず、元の本阿弥になってしまう。減塩食品による減塩効果を上げるためには調理法を工夫したり、個人の嗜好を変える努力が必要である。

土曜日, 10月 29, 2011

自然塩

○自然塩

 が生命の維持に欠かせない最重要物質の一つであることは言を俟たないものの、海に囲まれた日本では”たかが塩”と考えられがちであったが、生成された塩が主流を占めて近年、自然塩に含まれていたミネラル類を含む各種微量成分の働きの重要性が改めて見直されてきている。

 塩は、古くは天日干しの塩田方式や弱い火力によってゆっくり煮詰める方法で生産され、その頃は海水中の成分を全て含んだ塩が供給されていたのであるが、日本では1971年(昭和46年)に塩業近代化がスタートして以来、従来の塩田は全廃されて工業的生産に切り替えられ、やがてイオン交換式が主流を占めるようになった。この方式によって得られる塩を自然塩に対して化学塩とも呼ぶが、これによってほぼ純粋に近い精製塩となった反面、ミネラル類などの微量成分は失われることとなった。栄養素やカロリー偏重の近代栄養学の弱点が見直される中で、食塩の微量成分にも照明が与えられたのは比較的最近のことである。

 純粋なものが最善でないことは玄米と白米の比較でよく知られるようになってきている。白砂糖が虫歯をつくりやすくしたり、骨をもろくしたり、血液の抗菌性を弱めたりすることもわかってきている。こうしたことへの反省から、近年はタワー式天然性塩法などが開発されて自然塩に近いものを供給する努力が払われたり、食塩に天然にがりを加えた”ミネラル強化”型の加工塩も作られてきた。

 自然塩の世界が一気に広がったのは、明治以来90年以上にわたって続いてきた塩の専売制度が廃止された1997年以降である。同年4月に施行された塩事業法により、それまで日本たばこ産業(JT)が独占的に行っていた塩の製造・輸入・卸売が一般企業にも解放され(登録・届出制)、自由に塩を製造・販売することが可能になったのである。塩事業法では、自由性の専売塩(精製塩など)を生活用塩と呼び、自然塩などそれ以外のものは特殊製法塩として「平釜式、蒸気利用式、温泉熱利用式、その他真空式以外の特殊な製造方法で作られたものや、ニガリやゴマなど食品が混ぜられたもの」と定義されている。

 現在、自然塩の多くは天日塩と呼ばれるもので、海水の濃縮をある程度まで天日(太陽と風)で行った後、火を使って釜焚きして結晶させたものである。また、火を使わずに最終仕上げまでを天日のみで行う「完全天日塩」もある。濃縮した海水の約90%は塩化ナトリウムだが、それ以外にもニガリと呼ばれる塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛などが含まれている。自然塩は天日による濃縮を行うことによって、これらの微量ミネラル群が損なわれないように工夫した塩であるといえよう。

金曜日, 10月 28, 2011

○塩

 調味料の中で最も基本的なものであり、ヒトの体内では浸透圧調節などの生理作用を担う重要な物質である。世界の塩生産の2/3は岩塩であるが、日本ではもっぱら海水から製塩されている。

 現在、わが国で一般的に使われている塩は食塩、精製塩、並塩である。食塩は海水中の塩化ナトリウム(NaCl)をイオン交換樹脂膜電気透析法という工業的な方法で集めて濃い塩水を作り、これを真空釜で煮詰めて結晶にしたものである。精製塩は食塩よりさらに精製度を高めた塩で、さらさらして固まりにくい。並塩は業務用に使われる塩の標準品で、粗塩とも呼ばれている。塩の主成分は塩化ナトリウムで、食塩、精製塩共に99.1%を占める(並塩は96.5%)。食塩には微量であるがカリウム100mg(精製塩では2mg)、カルシウム22mg(同0mg)が含まれている(いずれも100g中)。

 わが国では明治以降、塩専売法に基づき塩の製造は国の管理下に置かれ、近年では日本専売公社(現・日本たばこ産業)が独占的に行ってきたが、1997年(平成9年)4月に同法が廃止され、新たに塩事業法が施行されて塩の製造や輸入の規制緩和が行われた。これにより、民間企業が昔ながらの塩田方式による製塩事業なども行えるようになり、工業的につくられる専売塩とは別に、自然塩と呼ばれる塩も数多く登場するようになっている。

木曜日, 10月 27, 2011

色々な食用油(2)

○サフラワー油

 キク科の一年草サフラワー(紅花)の種子から採取した食用油。紅花油ともいう。味にクセがなく、さっぱりしており、主にサラダ油として使われている。脂肪酸組成はリノール酸が75%以上を占め、植物油の中で最も多い含有量を示す。

 リノール酸は体内コレステロールを排出し、動脈硬化や高血圧の予防・改善に有効であることから、サフラワー油は一時”健康油”として大きなブームとなった。しかし最近では、リノール酸は酸化されやすく体内で過酸化脂質をつくりガンの原因となったり、リノール酸から合成されるアラキドン酸によってアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患や免疫力の低下を引き起こすことが指摘されるようにもなっている。つまり、過剰摂取による弊害である。そのため、リノール酸の含有量を少なくし、オレイン酸を多く含むように品種改良したオレイックサフラワー油もつくられている。

※ひまわり油

 日本ではなじみが薄いが世界的にはかなり多く使われており、ロシアで植物油といえばひまわり油が第1位である。ロシアではもっぱら種子から食用油を採るためにひまわりを栽培している。ひまわり油はリノール酸の豊富さ(含有率約60%)ではサフラワー油と並び、加えてビタミンEも豊富なために、動脈硬化や高血圧の予防に役立てる食品開発も試みられ、ひまわり油マーガリンやひまわり油サラダオイルも商品化されたが、リノール酸の過剰摂取は逆に動脈硬化やアレルギーの発症を促進するとの報告が多くあるため、摂取量の見直しもなされている。なお、ヒマワリの種子を処理して得られるミルク状の栄養食品はヒマワリ乳と呼ばれ、牛乳、豆乳に次ぐ、”第3の健康乳”として期待されている。

水曜日, 10月 26, 2011

色々な食用油(1)

※大豆油

 わが国ではナタネ油と並んで最も多く使われている食用油で、サラダ油やてんぷら油のほかマーガリンの原料にもなる。脂肪酸組成はリノール酸の含有比率が53.3%と高く、オレイン酸(23.5%)やリノレン酸(6.6%)の含有率も高い。

 フィンランドでは食事と動脈硬化の関係について興味深い実験を行っている。対象は30~69歳の男性で、この内、一つのグループには①牛乳の代わりにスキムミルクを大豆油で溶いたものを与える、②牛肉は脂肪分を除いて用いる、③植物性油は自由に用いる、という条件の食事を与えた。もう一つのグループには普通の食事を与え、コレステロールを1日500mgずつ摂取させた。この実験を7週間行った結果、大豆油を中心に食事制限をしたグループは普通食のグループに比べて動脈硬化の危険性が半分以下に抑えられた。つまり、大豆油のような植物性油を多く摂り、動物性油を減らすことが動脈硬化から派生する心臓病の予防にも役立つことが示されたわけである。こうした効果は、大豆油に含まれているリノール酸に血管に沈着するコレステロールを排除する働きがあるためとされている。

※米油

 米糠には約20%の脂質が含まれているが、これを溶媒抽出して作られるのが米油で、米糠油ともいう。あっさりとした味で、ドレッシングや揚げ物に向く。食用油の中では唯一、国産原料で作られている油である。脂肪酸組成はオレイン酸42.6%、リノール酸35%、リノレン酸1.3%など。米油にはシトステロール(植物ステロール)が多く含まれるため、コレステロールの吸収を防ぎ、動脈硬化の予防効果がある。

※コーンオイル

 コーンスターチ(トウモロコシでんぷん)の製造時に副産物として出る胚芽(脂質含有率約35%)からつくられる食用油。淡黄色から黄金色をしており、独特のコクと旨味がある。熱安定性が高く、揚げ物や炒め物などの加熱料理に向いている。サラダ油やマーガリンの原料にもなる。

 脂肪酸組成は必須脂肪酸である多価不飽和脂肪酸が全体の半分を占め、その中でもリノール酸の割合が54.9%と高い。また、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸も29.8%と多い。そのほかビタミンEの含有量も多く、100g中17.1mgと植物性油脂の中では高いほうである。胚芽油であるコーンオイルには、米油と同じくシトステロールが含まれており、コレステロールの体内吸収を抑える作用がある。

火曜日, 10月 25, 2011

機能性食用油

○機能性食用油

 農林水産省が主婦を対象に行った食用油の消費実態調査では、約半数の消費者が健康や栄養面を考えて油を選択しており、植物油独特の風味も重視して料理によって使い分けているという結果が出ている。食用油に対するこのような消費者の健康志向を反映して、数年前から機能性食用油市場が拡大している。製油大手が投入している製品をみると、単に健康によい植物油というイメージ的な訴求ではなく、”体に脂肪が付かない油”、”コレステロールを抑制する油”といった具体的な健康機能性を付加している点が特徴である。

 先陣を切ったのは花王の健康「エコナクッキングオイル」で、1999年2月に脂肪がつきにくい食用油として発売され、半年で400万本を売り上げた。食用油ではじめてトクホ表示が許可されたことでも話題を呼んだ。エコナの主原料はジアシルグリセロールで、同じ脂肪酸組成のトリアシルグリセロール(従来の食用油の主成分)と比較して食後の血中中性脂肪の上昇を抑制する作用がある。また、長期間摂取した場合には内臓脂肪の増加を抑制することが確認されている。

 日清製油が開発した「日清バランスオイル・ダイエット」は中鎖脂肪酸を約10%含む食用油で、酵素を用いて油の構造に特徴を持たせている。中鎖脂肪酸はエネルギーとして分解されやすく、手術後の流動食や未熟児のエネルギー補給などに利用されているが、同社と香川大学との共同研究によって長期栄養試験をヒト対象で行った結果、体脂肪として蓄積されにくい油であることが認められた。

 2001年になると、機能性食用油のターゲットは脂肪からコレステロールへ移り、コレステロールの吸収を抑える食用油が次々と発売された。大豆や米など植物胚芽に含まれる植物性ステロールを配合した製品が多い。これは食事で摂取したコレステロールは胆汁酸と結合して体内で吸収されるが、植物性ステロールは胆汁酸と結合しやすいため、結合できなかったコレステロールが対外に排出されやすくなるからで、花王は健康エコナに植物性ステロール(β-シトステロール)を加えた製品をトクホとして発売した。日清製油は米胚芽油ベースの食用油「バランスオイル・コレステ」を投入した。通常の大豆油に比べて植物ステロールが4.5倍含まれる油だ。

 ホーネンコーポレーションの食用油「健康上々」もコレステロール値の抑制にターゲットを絞っているが、植物性ステロールを使わず、麹菌の一種である紅麹のエキスを配合した。ヒトの体内では肝臓から出る酵素の働きでコレステロールが生成されるが、紅麹に含まれるモナコリンやγ-アミノ駱酸といった成分がこの酵素の働きを抑制することに着目した。同社によると、体内の総コレステロールの2割は体外からの食物の摂取によるが、残りの8割は体内酵素の働きで形成されるという。紅麹エキスはこの8割のコレステロールを抑制するとしている。

 昭和産業の「オレインリッチ」は悪玉コレステロールだけを低下させるといわれるオレイン酸を80%使用したヒマワリ油。酸化に強いため鮮度と風味が長持ちするほか、調理時に油酔いしにくいというのが特長である。このほか最近では、中鎖脂肪酸を関与成分としたナタネ油ベースの「ヘルシーリセッタ」(日清オイリオグループ)が体に脂肪がつきにくい食用油としてトクホを取得、ヒット商品にしている。

月曜日, 10月 24, 2011

黒糖オリゴ

○黒糖オリゴ

 黒糖オリゴとは黒砂糖中に約0.1~0.3%含まれ、白砂糖の害を防ぐ毒消しの役割を持つ非糖黒色成分をいう。

 白砂糖の主成分のショ糖(スクロース)はブドウ糖と果糖の二糖類で、容易に分解されて即席のエネルギー源となり、疲労回復剤となる。また、保水剤として、皮膚や粘膜の乾燥を防ぎ、化粧料、シロップ剤に利用され、その制菌作用で細菌の繁殖を抑制し、砂糖漬け等として広く用いられている。

 しかし、砂糖の大量摂取は胃粘膜の潰瘍を促進し、歯や骨を弱化する。また、血中の中性脂肪、血糖値、過酸化脂質を上昇させ、高脂血症、糖尿病、動脈硬化、肥満の引き金となり、アトピー性皮膚炎を促進するといった障害をもたらす。

 長寿県として知られる沖縄県には、古くから「白い砂糖は命を縮め、黒い砂糖は命長らえる」ということわざがある。これに注目し、1980年より近畿大学東洋医学研究所愛媛大学医学部医科学教室との共同で、吸着合成樹脂を用いて黒色成分のみを吸着・分離精製する技術を開発。これにより得られた非糖成分を黒糖オリゴ糖と名づけ、あわせて動物実験も行っている。

 それによると、1群5匹のラットを、①白砂糖75%を含む高ショ糖食を与えたコントロール群、②同じ飼料で1日量に黒糖オリゴ1g/kg、及び0.5g/kgを添加したものを投与した群、③普通食で飼育した群の3群に分け、2ヶ月間、自由摂取させて、それぞれの群の血清中の脂質、インスリン量を比較した。その結果は、①のコントロール群は中性脂肪が③の普通食群に比べて2.40倍に増加したのに対し、②の黒糖オリゴ1g/kg、0.5g/kg添加群はそれぞれ62.3%、87.6%にとどまり、黒糖オリゴが中性脂肪の上昇を抑制することがわかった。ここでは過酸化脂質、インスリン量についても同様の抑制結果がみられ、黒糖オリゴがこれらの値を有意に低下させることが明らかになった。

 また、ラットに0.5gのグルコースを与える負荷試験では、血漿中のグルコース、インスリン濃度は投与20分後に最大に達するが、このとき、グルコースと共に黒糖オリゴを与えた群は、コントロール群に比べて20分以後のグルコース、インスリン値がともに有意な差を持って減少した。マウスを用いた実験でも同様の結果を得た(薬学雑誌102、1982、医学と薬学57、2007)。

 黒糖オリゴは腸管腔灌流法により、グルコースの腸管からの吸収を抑制すると考えられるが、これらの効果はこのことを証明しているといえる。また、これらの効用の有効成分の一つとして、3-4ジメトオキシフェニールβグルコシドが発見されている。

 このように、黒糖オリゴは、臨床面でも高脂血症、糖尿病・動脈硬化、肥満等を予防・改善する働きがある。

金曜日, 10月 21, 2011

機能性ヨーグルト

○機能性ヨーグルト

 最近注目を集めているヨーグルトに機能性ヨーグルトと呼ばれる製品がある。含まれている乳酸菌が持つ生理機能が学術研究のデータによって裏付けられており、それを付加価値として開発されたヨーグルトである。商品のものに効能が表示されているわけではないが、マスコミ等を通じてその機能性が広く知られるようになっている。

 機能性ヨーグルトの草分けは、ピロリ菌を排除する乳酸菌が入っていることで人気を呼んだプロビオヨーグルトLG21(明治乳業)である。2000年3月に発売され、瞬く間にヒット商品となった。ピロリ菌は日本人の半数が保菌者であることや、日本人に多い胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎、胃ガンなどを引き起こすことから新聞や健康雑誌などで盛んに取り上げられ、一般消費者の認知度も高い。同ヨーグルトに使われている乳酸菌はラクトバチルス・ガッセリOKK2716(通称LG21菌)で、経口摂取すると胃粘膜に接着し、乳酸を分泌してピロリ菌を排除する性質がある。東海大学の古賀泰裕らの研究によると、ピロリ菌保菌者の30人にLG21入りヨーグルトを8週間摂取してもらったところ有意な減少が確認できただけでなく、この内の3人はピロリ菌が検出限界以下になったという。また、胃粘膜の荒れも改善されたことが報告されている。

 LC1ヨーグルト(ネスレスノー)も胃のピロリ菌抑制に有効であるとされている。同製品には、スイスのネスレ中央研究所で単離された乳酸菌ラクトバチルス・ジョンソニーLC1(通称LC1菌)が使われており、経口摂取によって腸壁に接着し、病原菌の物理的排除、抗菌物質の分泌、免疫細胞の活性化などに働くことが認められている。

 植物性乳酸菌ヨーグルト(亀田製菓)は、同社が米から分離した日本発の植物性乳酸菌ラクトバチルス・カゼイ・カメダ1株(通称K-1菌)を使った製品で、植物性食品を多く摂っている日本人の胃腸によくフィットする点を売りにしている。東京農業大学菌株保存室との共同研究で、同菌には整腸作用のほか細胞の突然変異を抑える抗変異原性のあることが明らかにされている。

 ラクトフェリンヨーグルト(森永乳業)は牛乳に含まれる微量タンパク質のラクトフェリンを配合した製品。ラクトフェリンは抗微生物活性やビフィズス菌増殖、免疫調節、抗酸化活性、細胞増殖調節といった生理作用がある。

 小岩井KW乳酸菌ヨーグルト(小岩井乳業)は花粉症を改善する乳酸菌が用いられている。この菌はグループ会社のキリンビールフロンティア技術研究所が昭和女子大学大学院生活機構研究所と共同で開発したラクトバチルス・パラカゼイKW3110(通称KW乳酸菌)で、花粉症アレルギーの原因となるヘルパーT細胞の”Th1/Th2バランス”を改善する作用があるという。同社では花粉症に対するヒト試験も実施している。花粉症のボランティア28名を、KW乳酸菌ヨーグルトを接し揺するグループと従来のヨーグルト摂取する対照グループの2つに分け、花粉症飛散期(03年1~4月)に1日200mlのヨーグルトを摂取してもらい4週おきに採血と自覚症状のアンケートを行った。その結果、KW乳酸菌のグループで従来ヨーグルトのグループと比べて2倍以上のTh1/Th2バランスの改善がみられた。また、のどの痛みや目の痒み、鼻水などの症状にも改善傾向が認められたという。

 LGGヨーグルト(タカナシ乳業)はアトピー性皮膚炎の改善が広く認められている乳酸菌ラクトバチルス・ラムノーサスGG(通称LGG菌)を使用している。同菌はフィンランドのバリオ社が保有する乳酸菌で、1997年に同社が乳幼児のアトピー性皮膚炎の症状が抑えられたという研究結果を発表して世界的に注目された。

 ロイテリ菌ヨーグルト(チチヤス乳業)はスウェーデンのバイオガイア社が保有する乳酸菌ラクトバチルス・ロイテリを使った製品で、腸内有害菌や虫歯菌の繁殖を抑える作用がある。

木曜日, 10月 20, 2011

ステロール

○ステロール

 ステロールは油脂に含まれる不鹸化物のひとつで、ステロイド核(4つの環状構造)と炭素数8個の炭化水素基を持つアルコールの総称である。ステリン(ドイツ語)ともいう。動物油脂に含まれるコレステロール、植物油脂中のシトステロール、シイタケや酵母に含まれるエルゴステロールなどがある。

※コレステロール

 コレステリンともいう。動物の組織中に広く存在するステロールで、細胞膜の構成成分として、また胆汁酸や性ホルモン、副腎皮質ホルモンの材料として重要な物質である。血液中にはリン脂質とタンパク質に包まれたリポタンパク質の形で存在する。

 コレステロールの約8割は体内で合成され、それ以外は食品から摂取される。コレステロールを多く含む食品の過剰摂取は、血管壁にコレステロールが付着して動脈硬化や高脂血症の原因となる。「日本人の食事摂取基準・20005年度版」では、1日あたりのコレステロール摂取の目標量(上限)を成人男性で750mg未満、女性では600mg未満としている。卵黄や魚卵、レバー、エビ、イカなどはコレステロールを多く含む食品として知られている。

水曜日, 10月 19, 2011

脂肪

○脂肪

 食品に含まれる脂質の90%以上は脂肪である。脂肪は脂肪酸とグリセロール(グリセリン)がエステル結合したもので、アシルグリセロールという。1分子の脂肪酸が結合したモノアシルグリセロール、2分子のジアシルグリセロール、3分子のトリアシルグリセロールであるが、一般に脂肪(中性脂肪)と呼ばれているのはトリアシルグリセロールである。ジアシルグリセロールトクホの機能性食品油の関与成分として使われている。

※中性脂肪

 単に脂肪、油脂などとも呼ばれる。グリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した単純脂質で、トリアシルグリセロールという。結合している脂肪酸の種類によって物性が異なり、室温で液状のものを油(オイル)、固体のものを脂(ファト)と区別している。一般に動物性脂肪は飽和脂肪酸を、植物性脂肪は不飽和脂肪酸を多く含んでいる。脂肪は食品中の脂質成分として最も含有量が多く、ヒトの生体内では貯蔵脂質として皮下や腹腔などに貯えられ、必要に応じてエネルギー源(1gあたり9kcal)として利用される。

火曜日, 10月 18, 2011

注目アミノ酸

※グルタミン

 人の腎臓組織でグルタミン酸とアンモニアから合成される。人体中に最も豊富に存在するアミノ酸だが、疾病・疲労・ストレスなど特殊な条件の下では必須アミノ酸となる。グルタミンは細胞核酸の原料として免疫細胞の増殖や機能発現に必須とされており、激しい運動などによって血中グルタミン濃度が減少すると免疫機能が低下し、風邪をひきやすくなるなどの障害が出る。グルタミンは小麦グルテンに多く含まれている。

※タウリン

 含硫アミノ酸の一種で、物質名はアミノエチルスルホン酸。胆汁酸の成分であるタウロコール酸の材料として脂質の消化吸収に関与している。タウリンには血圧を正常値に保つ働きのほか、心臓強化、貧血の予防、血中コレステロールの減少、肝臓解毒作用の強化、不整脈・アルコール障害の改善作用などがある。食品ではサザエ、トコブシ、ホタテ貝、アサリ、マグロやサバの血合い、タコ、ズワイガニ、ヤリイカなどの魚介類に多量に含まれている。タウリンそのものは医薬品成分指定されている。

※アルギニン

 成長ホルモンの合成に関与し、免疫力増強や脂質代謝の促進、筋力増強、男性の精子数の増加などに作用する。魚の白子などの核タンパクに質に多く含まれる。ヒトの体内で合成されるため必須アミノ酸ではないが、成長期の子供には必須とされている。

※アスパラギン

 ヒトの体内ではアスパラギン酸とアンモニウムイオンが結合して合成される。名前の由来はアスパラガスから発見されたため。甜菜類、発芽した豆類、ジャガイモにも含まれる。

※グルタミン酸

 ヒトの体内ではクエン酸回路の中でケトグルタル酸から合成され、オルニチンオルニチンやアルギニン、プロリンなどのアミノ酸に変わることができる。グルタミン酸は脳組織に多量に存在し、脳活性のエネルギー源となっている。欠乏すると脳障害を起こしたり鬱状態になったりするが、過剰摂取も脳細胞を傷つけて精神障害が現われる。グルタミン酸は海藻や小麦粉、サトウキビなどに多く含まれる。グルタミン酸ナトリウムは昆布の旨味成分として分離され、化学調味料として使われている。

※チロシン

 体内ではフェニルアラニンから合成される。甲状腺ホルモンのチロキシン、副腎から分泌されるアドレナリン、神経伝達のドーパミン、毛髪や皮膚の黒色色素メラニンなどの前駆物質となる。チロシンが欠乏すると子供では知能障害、成人では無気力症などが引き起こされる。

※シスチン

 含硫アミノ酸で、毛髪や爪を形成するケラチン(硬タンパク質)に多く含まれている。体内ではメチオニンから合成される。食品では豚肉や牛肉、筋子などに多く含まれる。

月曜日, 10月 17, 2011

必須アミノ酸

○必須アミノ酸

 不可欠アミノ酸ともいう。タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あるが、その内のロイシン、イソロイシン、リジン、フェニルアラニン、メチオニン、スレオニン、バリン、トリプトファン、ヒスチジンの9種類が必須アミノ酸である。

※ロイシン

 アミノ酸評点パタンでは440mg/gNと必須アミノ酸の中で最大量だが、多くの食品に含まれているので普通の食生活をしている限り不足することはない。ロイシンには肝機能を高める作用があるが、過剰に摂取すると他のアミノ酸とのバランスを崩し、免疫力を低下させる。牛肉、レバー、ハム、牛乳などに多く含まれる。

※イソロイシン

 成長促進、血管の拡張、肝機能亢進、筋力増強、神経機能を高める作用がある。鶏肉や豚肉、チーズなどに多く含まれる。

※リジン

 糖質の代謝、カルシウムの吸収に関与し、食欲増進、成長促進、肝機能亢進、疲労回復作用がある。鶏・豚・牛肉やイワシなどに多い。植物性タンパク質は含有量が少ない。

※フェニルアラニン

 摂取されると体内で分解されてチロシンになり、神経伝達ホルモンのドーパミンなどが生成される。鎮痛・抗鬱作用がある。大豆やカツオ節、脱脂粉乳などに多く含まれる。

※メチオニン

 硫黄を含んでおり、体内で含硫アミノ酸のシスチンやシステインを生成する。血中のヒスタミン濃度を下げる作用があるほか、鬱症状の改善作用も知られている。牛乳、羊肉、カツオ節、枝豆、干し湯葉などに多く含まれる。

※スレオニン

 成長促進、脂肪肝の抑制、貧血予防、食品亢進作用がある。卵や大豆、干し湯葉などに多く含まれる。

※バリン

 成長促進、血液の窒素成分の調整、筋肉や肝機能の強化作用がある。多くの食品に含まれているので、普通の食生活をしている限り不足することはない。

※トリプトファン

 ヒトの体内ではニコチン酸(ナイアシン)の合成に使われる。そのため欠乏するとペラグラ(皮膚炎や神経障害など)を発症する。また脳内で鎮痛・精神安定に作用するセロトニン、若返りホルモンといわれるメラトニン、鬱病などへの効果が期待されるノルアドレナリンなどの神経伝達物質を作る。トリプトファンは植物性タンパク質には少なく、カツオ節や脱脂粉乳などに多く含まれる。

※ヒスチジン

 成長促進に深く関わっており、子供の成長に不可欠のアミノ酸。神経機能を高める働きもある。カジキマグロ、カツオ、ホンマグロなどに多く含まれる。なお、タンパク質の腐敗によりヒスチジンからヒスタミンが生じるため、それを食べると多量のヒスタミンが存在することになり、各種アレルギーを引き起こす。

土曜日, 10月 15, 2011

卵類

※ヨード卵

 ヨード卵は海藻やヨードなどの餌を食べて育った鶏が産んだ卵で、100g中に1.3mgのヨウ素を含んでいる。ヨード卵の作用・効用はラットを使った実験によっていくつか確認されている。

 一つは肝臓のグリコーゲン貯蔵量を高める作用である。これによってスタミナがつき、疲れにくくなる。これは中性脂肪やコレステロールを分解する働きのあるリポタンパクリパーゼという酵素を活性化するためで、エネルギー源であるグリコーゲンを肝臓や筋肉に貯える代わりに、脂肪代謝を促進してエネルギー化するためである。リポタンパクリパーゼは体の毛細血管壁に分布している酵素で、血管を流れる中性脂肪(リポタンパク)を脂肪酸とグリセリンに分解し、エネルギーに変える働きを持っている。このため、リポタンパクリパーゼの活性が高まれば、余分な中性脂肪の分解を促進して血液中の脂質を自然に減少させることができる。

 ヨード卵には動脈硬化や高血圧の予防に役立つというデータもある。動物実験によると、餌がヨード卵粉、普通卵粉の2グループに分け、1日2回の食事前と休息期の計3回の測定で、血中の脂質(中性脂肪)、コレステロール、リン脂質はどれもヨード卵を食べているネズミのほうが低い数値が出た。これはヨード卵を食べることによって脂肪の代謝がより活発に行われ、肝臓から放出する脂質の量が低下するためとされている。血液中の中性脂肪やコレステロールの濃度を調整する最も重要な機構は肝臓での脂質の合成と、それに引き続いて起こる血液への脂質の放出度にある。固の放出度はヨード卵を食べたほうが低いことがわかった。このように、ヨード卵は中性脂肪の代謝を促進し、その血中濃度を低く抑制する生理作用が実証されている。

ビタミン強化卵

 1日に必要なビタミンEやDを含む卵で、厚生労働省の栄養機能表示(保健機能食品制度)をパッケージに施している。大手の鶏卵生産会社が開発したもので、一つはビタミンEを100gあたり10mg含み、卵2個で1日あたりの必要量を摂取できることから「ビタミンEは細胞の健康維持を助ける栄養素です」と機能表示している。もう一つは1日に必要なビタミンDを1個で90%摂取可能な卵で「ビタミンDは骨の形成を助ける栄養素です」と表示している。

※β-カロテン強化卵

 千葉県畜産センター養鶏試験場が開発した卵で、β-カロテンが通常の卵より15倍多く含まれている。鶏に与える餌に牧草を混ぜ合わせることで、草に含まれるβ-カロテンが卵に豊富に含まれるようにした。通常飼料にイタリアンライグラスという牧草を1日1羽あたり約40g与えると、この鶏が産む卵黄100g中のβ-カロテン量は約200ugになる。β-カロテンは体内の活性酸素や脂質酸化を抑制して細胞の老化を防ぐ作用がある機能物質で、ビタミンAの前駆体として知られている。

※うずら卵

 蕎麦やとろろに落としたり、茹でて中華料理の具材などに使われるウズラ(鶉)の卵は、大きさは鶏卵の4分の1程度だか、栄養成分には鶏卵を上回るものがある。タンパク質の含有量やアミノ酸組成はほぼ同じだが、鉄は3.1mg(生全卵100g中)で鶏卵の1.8mgの2倍近く含んでいる。また、ビタミンA(レチノールが350ug、ビタミンB2が0.72mgと鶏卵の140ug、0.43mgをそれぞれ上回っている。コレステロール量は同等(全卵で470mg)である。

金曜日, 10月 14, 2011

鶏卵

○鶏卵

 鶏卵は卵類の中で最も流通量が多く、廉価で栄養価的にも優れていることから、身近な滋養食品として幅広く利用されている。特徴的な栄養成分はタンパク質で、生卵100g中に12.3g含まれれている。アミノ酸スコアは100.消化率97%と高いことも特徴。微量成分では鉄が1.8mg(生100g中)、ビタミンB2が0.43mg(同)含まれている。鶏卵(特に黄身部分)はコレステロールの含有量も多い(全卵100g中に420mg)。そのため卵の摂り過ぎは動脈硬化などの血管障害に結びつくと指摘されてもきたが、最近の研究では卵に含まれるレシチン(リン脂質)にコレステロールを除去する働きもあり、コレステロールの含有量はさほど大きな問題にはならず、むしろ良質なタンパク源としての機能を評価すべきであるとする見解も多い。

 市販されている鶏卵には、雄と交配した雌鳥が産んだ有精卵、放し飼いの鶏が産んだ地卵、ヨードを混ぜた飼料で育てた鶏のヨード卵、ビタミンDやEを強化したビタミン強化卵、β-カロテン強化卵などがある。

木曜日, 10月 13, 2011

キノコ類

○キノコ類

 キノコは昔から世界各地で食され、その種類も膨大であるが、第1に特有の風味や香りを持つ嗜好食材として、第2にタンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素供給源として、第3に免疫力の向上、抗菌、体調リズムの調節、病気回復、老化抑制などの生理活性機能によって、改めて菌食の必要性を教えてくれる注目の健康食品素材であるといえよう。なからは食べるというよりも専ら漢方薬、民間薬として用いられるものも多く、その成分が抽出されて抗癌剤に用いられているものもある。キノコの成分を概観しておこう。

【一般成分】

 キノコは全般に脂質が少なく、食用キノコの可食部の乾燥重量比で2~5%程度であるが、タンパク質が多いもの(20~50%含有)、糖質が多いもの(50~80%含有)、両者が相半ばしているものなど、それぞれに特色がある。薬用キノコとされる一群には、例えばマイタケやヒメマツタケのように賞味されるものもあるが、特有の苦さや固さなどのために専ら薬用に供されるものも多く、それらの一般成分は食用に順ずる。

【無機成分】

 キノコは全体としてみるとミネラルの種類が多く、霊芝のゲルマニウム、シイタケの亜鉛やマンガンのように、それぞれ特定の元素を凝縮する性質が認められており、キノコの種類によって含有量の差は数千倍に達するが、カルシウム、カリウム、リン、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ゲルマニウムなどいずれかのミネラルがとりわけ多いという特徴がある。食用キノコのビタミン類はシイタケのビタミンD(エルゴステロール)が著名であるが、ほかにビタミンB1はエノキダケ、ハツタケ、マッシュルーム、マイタケに多い。またB2はハツタケ、ホンシメジ、マッシュルーム、マツタケなどに多く含まれる。ナイアシンの含有はどの種類にも比較的多く、ヒラタケ、ホンシメジ、マイタケ、ナメコなどに特に顕著である。

【生理活性と薬効成分】

 日常生活において一般的な栄養摂取量として満ち足りていながら、生活習慣病の多発と若年化、ガンの増大、アレルギー性疾患の多様化など多くの問題を抱える中でキノコの薬効成分が研究され、例えばシイタケやアガリクスを筆頭としてその主要成分である多糖類(β-グルカン)を持つ抗腫瘍活性(抗がん性)以外にも、イルーディン(テルペノイド化合物)、エリタデニン(核酸誘導体)、ウデノン(酵素阻害物質)など各種の薬効成分かせ発見されて、①抗菌・抗ウイルス作用、②強心作用、③血糖降下作用、④コレステロール低下作用、⑤抗血栓作用、⑥血圧降下作用を示すことなどが立証されている。これらの効能はキノコを直接食べることでも得られるが、漢方や民間療法では煎じる汁を服用することがよく行われる。

【抗腫瘍活性】

 既にキノコからの3種類の抗癌剤が開発され、医薬品として供給されている。発売の順に記すと、まずクレスチン(PS-K)であるが、これはサルノコシカケ科のカワラタケの一系統の培養菌糸体から製造され、1977年に肺ガン、消化器ガン、乳ガンの治療薬として市販されれた。ついで85年には、シイタケの子実体から製剤されたレンチナンが胃ガンの注射薬として開発され、翌86年にはスエヒロタケから得られたシゾフィランが子宮頸がんなどを適応とする注射薬として登場している。

 これらの中心成分はいずれも構造的特徴を持つβ-グルカンであり、これが制ガンを目的に漢方的、民間薬的に用いられている多くのキノコ、例えばヒメマツタケ、霊芝、マイタケ、チョレイ、フクロタケ、チャーガなどに共通する成分であることは興味深いことである。キノコの成分で制ガン製を期待されるものとしては、ほかにエルゴステロール、ピログルタミン酸、糖タンパク質、核酸、ステロイド剤、テルペノイド類、ゲルマニウムなども数えられる。これらのみせる効果はガン細胞を直接攻撃するのではなく、生体に本来備わっている免疫力を高める結果であると考えられている。

水曜日, 10月 12, 2011

はちみつ

○はちみつ

 ハチミツ(蜂蜜)は、ミツバチが採集した花蜜がミツバチの体内で酵素(α-グルコシダーゼ)によって変化したものである。花蜜それ自体にはショ糖(スクロース)が5~40%含まれ、これが花蜜の甘さを形成しているが、ミツバチの酵素はショ糖を分解してブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)の混合液に変える。この混合液を熟成させたものがハチミツである。

 ハチミツの成分は水分20%、ブドウ糖40%、果糖40%である。甘さは花蜜に比べて格段に強い。その理由のひとつは、果糖はショ糖に比べて約1.5倍の甘味を持っていること、もう一つは水分が少なく、糖分が濃くなっていることによる。花蜜は水よりも比重が少し重い程度で、ミツバチが巣に持ってきた時点では約1.1倍に濃縮された状態にある。働き蜂は蜜房に自らの羽で風を送ることによって、これを1.33~1.5倍という高い濃度に濃縮する。同時に、グルコースオキシダーゼ(酵素)の作用でブドウ糖が低pHのグルコンさんに変わり、その時発生する過酸化水素などと共に殺菌作用のある理想的な保存状態が長期間にわたって保たれる。

 ショ糖はヒトの体内で単糖にまで分解されなければ吸収されないが、単糖である果糖はそのまま吸収されてエネルギー源となる。このように消化・分解の過程を経ずにエネルギー源となるハチミツは疲労回復に有効で、貴重な即効的栄養源であるといえよう。糖分以外にはタンパク質、ミネラル、ビタミン類がバランスよく含まれ、酵素やアセチルコリン、抗生物質なども含有している。ハチミツの効用をまとめると以下のようになる。

 ①疲労回復に即効。ブドウ糖や果糖には栄養増進、強心・利心・利尿・解毒などの作用があり、糖類の中で最も早く吸収されるため、尿酸の分解作用とともに疲労回復に役立つ。②生活習慣病に有効。ハチミツ中のミネラルはコレステロールを除き、内臓の働きを活発にして高血圧・心臓病などに有効性を発揮する。さらに肥満防止、脳卒中・貧血・前立腺肥大の予防があり、不眠症頭痛・神経痛などによい。また、ガンや潰瘍の進行を防ぐ効果も期待されている。③豊富なビタミンB群、パントテン酸の作用で老化防止、美容効果が高い。

火曜日, 10月 11, 2011

サポニン

○サポニン

 サポニン(saponin)は大豆人参、ジャガイモの皮などに含まれるえぐみや苦味の成分で、配糖体の一種である。水溶液が石鹸のように泡立つ性質があることから、石鹸を意味するサポに由来してこう呼ばれる。サポニンは水と油の両方に溶ける性質を持っており、血管について脂肪を除去する働きや、血中コレステロールの低下、過酸化脂質の除去などに有効であることが認められている。

※大豆サポニン

 大豆の肺軸に含まれるサポニンで、大豆の苦味や渋味、えぐみの成分。生の大豆に約0.3%含まれている。大豆サポニンは脂質の過酸化抑制と代謝促進に関係しており、高脂血症、動脈硬化症などの改善に効果があるとされる。大豆サポニンを利用した健康食品については、(財)日本健康栄養食品協会による「大豆サポニン加工食品規格基準」(1991年8月公示、93年一部改正)がある。

※ジンセノサイド

 人参に含まれるサポニンの総称で、人参サポニンともいう。1854年に米国のガリッケスが人参の薬効成分としてパナキロンと名づけたサポニンを分析したことに始まり、これまでに30種類以上のジンセノサイドが発見されている。

 高麗人参には鎮静作用と興奮作用を併せ持つジンセノサイドが含まれており、大脳を沈静させる作用がある反面、体の細胞や臓器の働きを活発にして体調を整える作用がある。また、アメリカ人参には中枢神経の興奮を抑制し、緊張性のストレスを緩和するジンセノサイドRb群が多く含まれるため、高覧人参に比べて頭をスッキリさせ、集中力をつける作用が強いといわれる。

土曜日, 10月 08, 2011

注目ファイトケミカル

フェルラ酸

 フェニルプロペン化物の一種で、植物の細胞壁を形成するリグニンの前駆体として特に米ぬかに多く含まれる。ラジカル消去と活性酸素消去という2つの作用が知られ、食品や化粧品分野での活用、また医薬品原料としても注目されている。1995年に「化学的合成以外の食品添加物」として、20001年には紫外線カットの化粧品原料として認可され、さらに04年6月には食薬区分の改正で非医薬品成分に移行した。

○γ-オリザノール

 米胚芽油や米糠から分離された機能成分で、トリテルペンアルコールのフェルラ酸エステル。米油には1.5~2.9%含有。生長促進・間脳機能調節・抗酸化作用が認められている。物質としてのγ-オリザノールは食薬区分で医薬品成分に指定されている。

○オクタコサノール

 長い炭素鎖を持ったアルコールの一種(オクタコシルアルコール)で、小麦胚芽やアルファルファ、リンゴの皮などに含まれている微量成分。オクタコサノールは運動時におけるスタミナや持久力の向上、酸素利用効率を高めることに有効であることが、米イリノイ大学のトーマス・クレトンによって明らかにされている。筋肉神経性の障害にも有効で、筋萎縮症などの治療にも使われている。

○カプサイシン

 唐辛子の果皮に含まれる辛味成分。体内のエネルギー消費を促進させる働きがあり、結果的に肥満を防止するという効果がある。体内に入ったカプサイシンは中枢神経を介して交感神経を刺激し、副腎皮質からアドレナリンやノルアドレナリンなどの分泌を促すため、エネルギー代謝が盛んになって肝臓や筋肉内のグリコーゲンの分解が促進される。

○イソシオシアナート

 キャベツやカリフラワーなどアブラナ科の野菜に含まれるイソシオシアン酸の一種で、ガンの原因となるDNA損傷を抑える作用がある。また、ブロッコリーに含まれる同類のサルフォラフェインには発ガン物質の影響を抑える作用のあることが知られている。

○ミントポリフェノール

 ペパーミントの葉からミントオイルを除去した抽出物に含まれる成分。花粉症の症状を緩和することが、2003年に岡山大学薬学部のヒト試験で確認されている。

レスベラトロール

 ブドウ樹が真菌や紫外線から身を守るために産生する抗酸化物質のひとつで、灰色カビ病が発生したときに感染の拡大を防ぐ物質として単離されたポリフェノール。ヒトの体内で悪玉コレステロール(LDL)を減らし、血管の炎症や血栓の形成を抑える働きがあるとされている。また、ガン細胞の成長に必要な新生血管の増殖に際して、腫瘍からの血管成長因子の放出を抑えるという報告もある。

○ゲニポシド酸

 杜仲葉に配糖体として含まれる物質で、血圧を下げる作用がある。ゲニポシド酸が吸収されると副交感神経が刺激され、それにつながる抹消動脈の平滑筋を刺激して血管が拡張する。そのため血流の抵抗が減少し、血圧の上昇が抑制される。

○エラグ酸

 ポリフェノールの一種で、植物に広く分布する黄色の色素成分。ゲンノショウコの茎や葉に多く存在する。エラグ酸には強力な抗酸化作用のあることが明らかにされており、老化防止やガン細胞の増殖抑制に関する研究が行われている。

○グリチルリチン

 マメ科の甘草の根茎に含まれる甘味成分で、トリテルペン配糖体。胃液分泌を抑制する働き、消化器の潰瘍を治癒する働きのあることが早くから認められていたが、最近の研究では免疫抑制活性、肝機能増強作用、解毒作用、鎮静作用なども報告されている。グリチルリチン製剤は肝臓病の治療薬として用いられている。このほか、ショ糖の150倍という強い甘味があるため、味噌や醤油の甘味添加物としても使用されている。

金曜日, 10月 07, 2011

硫化硫黄物

○硫化硫黄物

 ニンニクタマネギなどユリ科の植物が持つ独特の臭気は硫黄化合物によるものである。硫黄化合物には抗酸化作用があり、老化やガンの予防に有効であることが知られている。また血液の粘度を低める作用もある。

※アリシン

 ニンニクの臭気成分で、前駆物質のアリインが酵素のアリイナーゼで加水分解されて生じる。アリインとアリイナーゼは細胞中では別の場所に存在して反応することはないが、ニンニクを切ると細胞が破壊され、両者が接触して反応が始まりアリシンが生成される。アリシンはヒトの消化管の中でビタミンB1と反応してアリチアミンという物質に変わる。アリチアミンの血中濃度は長時間維持されるため、ビタミンB1の働きが通常より長く持続するという効果がある。

※ジアリルジスルフィド

 硫化アリルの一種で、ニンニクの臭気成分アリシンが変化したもの。血液の凝固を抑制して、血栓ができるのを防ぐ作用がある。

※硫化プロピル

 生タマネギに含まれている辛味成分で、血糖値を下げる作用がある。また、タマネギを刻むと細胞が破壊されて酵素が働き、トリスルフィドという物質に変化する。トリスルフィドは中性脂肪や総コレステロール値を下げ、血栓を予防する働きがある。

木曜日, 10月 06, 2011

テルペノイド

○テルペノイド

 テルペノイドは柑橘類や香辛野菜などの香りや苦味、辛味成分の成分で、テルペン、イソプレノイドともいう。体内で発ガン物質を無毒化する機能を強化したり、発ガン遺伝子の働きを弱める作用があるとされている。

※リモノイド

 柑橘類の香りや苦味成分の総称で、ミカンの皮に含まれる香り成分のリモネン、グレープフルーツの苦味成分であるリモニンなどがある。いずれも発ガン物質を解毒する作用があるといわれている。

※ショウガオール

 日本産生姜の根に含まれる辛味成分で、抗菌・殺菌・解熱・鎮痛作用がある。また、ヒスタミンを抑制する抗アレルギー効果も認められている。

※ジンゲロン

 生姜の根に含まれる辛味成分で、強力な殺菌作用(チフス菌やコレラ菌)のほか、抗酸化作用も認められている。

※ギンコライド

 イチョウ葉から分離・同定された成分で、テルペノイド一種。これまでの研究で、①血小板凝集作用や血栓の生成阻害作用、②大脳虚血の拮抗阻害作用、③心臓アナフィラキシーに対する拮抗作用、④炎症やアレルギーの阻害作用、⑤角膜再生の活性化作用、⑥中枢神経の覚醒作用、などが明らかにされている。

水曜日, 10月 05, 2011

タンニン

○タンニン

 タンニンは植物の組織内に存在する渋味成分で、、ポリフェノール化合物である。茶葉の種類によって含有量は多少異なるが、分解するとフェノール類が得られる。タンパク質を凝固させる性質があることから皮革のなめしに使われる。タンニンは未熟な柿の果実などに多く含まれている。また緑茶のカテキン、紅茶のテアフラビンもタンニンの一種である。

※カテキン

 水溶性のポリフェノール化合物で、茶葉に含まれている茶カテキンがよく知られている。茶葉の種類によって含有量は多少異なるが、へ平均すると乾燥葉重量の8~15%である。茶カテキンは抗酸化力が非常に強く、発ガン抑制、動脈硬化予防、脂肪代謝異常の改善、血圧上昇の抑制、血栓予防、抗糖尿病、抗アレルギー、抗ウイルス、抗菌、虫歯予防、口臭防止、腸内細菌叢正常化など多岐にわたる分野で研究経過が発表されている。食品分野では、花王が茶カテキンを関与成分にして体脂肪予防でトクホを取得したヘルシア緑茶がヒットし商品になった。

※エピガロカテキンガレート

 茶カテキンの約半量を占めている。1999年にスウェーデンのカロリンスカ研究所がエピガロカテキンガレートがガン細胞の血管新生を阻害させることをインビトロ実験で明らかにし、英国の科学雑誌ネイチャーに掲載された。

※エピカテキンガレート

 茶カテキンの一種で、化学製品から出る内分泌かく乱物質(環境ホルモン)の働きを阻害する作用がある。環境ホルモンは体内で性ホルモンの受容体と結びついて人体に有害な働きをすると考えられているが、エピカテキンガレートは女性ホルモン受容体と結合する性質があるため、内分泌かく乱の結合を邪魔し、結果的に環境ホルンの働きを防ぐことになる(宝酒造バイオ研究所、環境ホルモン学会で発表)。

※テアフラビン

 タンニンの一種で、紅茶に含まれる赤色色素。葉中のカテキン類が発酵の過程で酸化されて生じる。テアフラビンの健康機能性についてはあまり研究が進んでいないが、抗酸化作用が期待される成分であることから、生活習慣病の改善に寄与すると考えられている。

火曜日, 10月 04, 2011

フラボノイド

○フラボノイド

 狭義のフラボノイド類には、構造の違いからフラボノール類(淡黄色)、フラボン類(淡黄色)、フラバノン類(無色)、フラバノノール類(無色)、イソフラボン類(無色)があり、その多くは糖と結合して配糖体として存在している。

※ケルセチン

 フラボノイドの内、フラボノールに分類されるポリフェノール化合物。同類にケンフェロール、ミリセチンなどがある。タマネギやホウレンソウ、ケール、パセリなどに多く含まれ、LDLコレステロールの酸化を抑制することで、動脈硬化を防ぐ作用のあることが知られている。ケルセチンは通常、配糖体のルチンとして存在することが多い。

※ルチン

 ケルセチンに糖のルチノース(グルコース+ラムノース)が結合したフラボノイド配糖体で、ビタミンCの研究過程で発見された抗酸化物質。ビタミンPとも呼ばれる。ソバ(蕎麦)やトマト、アスパラガスに多く含まれている。ルチンは毛細血管の透過性を保ち、血管がもろくなるのを防ぐ。また、血圧を下げる作用があるため、血管補強剤や毛細血管の止血剤として高血圧、脳出血、血圧以上など出血性の疾患に使われている。

※アピイン

 フラボン形色素のアピゲニンに糖のアピオースとグルコースが結合したフラボノイド配糖体で、セロリやパセリの葉に含まれている。神経の鎮静作用がある。

ヘスペリジン

 フラバン系色素のヘスペレチンに糖のルチノースが結合したフラボノイド配糖体で、温州みかんなどの柑橘類に含まれている。ルチンと同じく、毛細血管の透過性を保ち、血管壁を丈夫にするほか、毛細血管の収縮作用や血圧効果作用がある。

※ナリンギン

 フラバノン系色素のナリンゲニンに糖のラムノースが結合したフラボノイド配糖体で、グレープフルーツや夏みかんなどの柑橘類に含まれている。血中の中性脂肪を分解して肥満予防に有効であるとされるがナリンギンはカルシウム拮抗薬(高血圧の薬)や睡眠薬の一部に作用すると、薬効を強くして副作用を引き起こすことが知られており、グレープフルーツジュースなどとこれらの薬剤との併用は避けるべきである。

※ゲニスチン

 イソフラボン系色素のゲニステインが糖と結合した配糖体で、大豆の胚軸に多く含まれている。大豆イソフラボンの一種。

土曜日, 10月 01, 2011

アントシアン

○アントシアン

 アントシアン(anthocyan)は、赤、紫、青色を呈するフラボノイド色素で、多くの植物にアントシアニジン配糖体として存在している。

※アントシアニジン

 フラボノイド色素のアントシアニジンに糖が結合した配糖体。ブルーベリーやサツマイモの皮、黒豆などに青紫の色素成分として存在している。活性酸素の発生を抑制する抗酸化物質として知られているが、ロドプシン(網膜の色素体で、光の刺激を脳に伝える働きをする)の合成を促進して、目の疲労回復や近視予防の効果が認められていることからサプリメント素材として人気を呼んでいる。アントシアニンはまた、肝機能の改善にも有効に働くことが知られている。軽度の肝機能障害に対して、紫芋のジュースが有効に作用したという研究報告がある。

※プロアントシアニジン

 フラボノイドの一種で、ポリフェノール化合物。強い抗酸化作用のあることが知られており、ワイン醸造時に種子も一緒に発酵させる赤ワインに多く含まれていることに着眼し、ブドウの種子から有効成分として分離された。プロアントシアニジンの抗酸化力を調べた研究(キッコーマン)では、緑茶に含まれるカテキンやトコフェロール(ビタミンE)に比して約5倍の相対抗酸化力を持つことを確認したという。この高いフリーラジカル消去作用は、老化・発ガン・生活習慣病・白内障などの誘引とされる活性酸素の発生と、それに伴う過酸化物質の蓄積や栄養成分の過酸化的分解を防ぐことから、栄養補助食品の素材のほか、加工食品(蓄肉・飲料・発酵食品・菓子類・乳製品・調味料など)の酸化防止剤、化粧品素材などに活用されている。

金曜日, 9月 30, 2011

フノラン

○フノラン

 フノラン(funoran)は海藻の布海苔に多く含まれている粘質多糖類で、α-ガラクトースとβ-ガラクトースが交互に鎖状に結びついた構造をしている。

 野田宏行(三重大学)は、高血圧や高脂血症、移植ガンへの効果をマウスを用いて実験し、フノランが血圧効果や動脈硬化指数の大幅な改善、血中ナトリウムの低減、エールリッヒ腹水ガンやザルコーマ180固形ガンなどに対し顕著な発育抑制と延命効果があったことを報告している。また、糖尿病に関しては長村洋一(藤田保健衛生大学)の高血糖マウスに対して布海苔顆粒を投与した実験があり、硫酸基を持つフラノンの分子構造が糖の取り込みを抑制すると推定している。

 フノランは歯の再石灰化を増強するキシリトールの働きを促進させる作用もあり、トクホの「歯を丈夫にするガム」の関与成分としても使われている。

木曜日, 9月 29, 2011

光明石

○光明石

 光明石は岡山県高梁市の阿部鉱山から産出する薄緑色の鉱石で、1956年に偶然発見された。同地はウラン産出地として名高い鳥取・岡山県境の人形峠に近いことから、ここでもウラン鉱脈があるのではないかとの予測のもと、発掘調査が実施された。その結果、ウランの埋蔵は確認されなかったが、調査の副産物のような形で発見されたのが、この石である。

 発掘作業をした人々から腰痛が消えた、手がすべすべになった等の報告がなされたため、調査の案内をした現地の佐藤峰次が、岩石1トンあたり50kg程度含まれる薄緑の石が原因なのではないかと考えて成分分析を依頼したところ、次のような十余種にのぼるミネラル分が検出された。<含有・ミネラル分>塩化カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ケイ酸など

 これらのミネラル分については、マグネシウムとカルシウムに鎮静効果、炭酸に血管拡張・血液循環促進効果、塩化イオンに温熱効果、そして硫化イオンに皮ふを軟化させる効果が認められており、これらの成分があいまって、皮膚スベスベ効果、腰痛解消効果等をもたらしていたわけである。

 佐藤はこの石を、多くの病人の治療を助けたとされる光明皇后(奈良時代)にちなんで光明石と命名し、1968年、当時の厚生省に医薬部外品としての承認申請を出して認められた。現在のところ、医薬部外品としての承認は鉱石では唯一である。

 当初、佐藤が保持していた採掘・販売権は、その後設立された株式会社光明石製造所(本社=東京都足立区)に引き継がれた。また、光明の発音は、命名当時は皇后の名前のとおり、「こうみょう」とされたが、のちに耳になじみやすい「こうめい」と変わり、現在では「こうめいせき」と呼ばれている。

 医薬部外品承認により表記が認められている効果は、①疲労回復、②冷え性、③神経痛、④リウマチ、⑤肩のこり、⑥腰痛、⑦産前産後の冷え、⑧痔の8つの症状に対する効能効果である。この効果を最大限引き出すため、同製造所では採掘された光明石を破砕し、風呂に浸して使用する形にして供給・販売しており、現在、ここからの原料供給を受けた数社の販社が、独自商品の開発を含めて市場展開を行っている。

 光明石を浸した湯は、前記のように豊富なミネラル分を含むことから、入浴すると天然温泉と同等の、またはそれに近い効能を得られる。そのため、家庭用のほか各地のスパやホテル、旅館、学校などの浴場にも導入され、光明石人口温泉の表示のもと、広く利用されるようになっている。

水曜日, 9月 28, 2011

CMO

○CMO

 CMOはcetyl myristoleate(セチルミリストレイン酸エステル)の略。不飽和脂肪酸のミリストレイン酸のエステル化合物で、関節炎に対してグルコサミンコンドロイチン硫酸を凌ぐ効果があると米国で注目された物質である。ミリストレイン酸はn-5系の脂肪酸だが、従来のn-3、n-6、n-9系の主要に扱ってきた栄養学ではまだ代謝の機構について十分に研究されていない。

 CMOが哺乳類の生体に存在することは、1971年に米国国立衛生研究所(NIH)の研究員だったH・ディールによってスイスアルビノマウスの体内から発見されたが、その後、牛や鯨のほか、他のげっ歯類の動物でも確認されている。ヒトは進化の系統樹からみるとげっ歯類から遠くないため、ヒトの身体でも重要な役割をしている可能性があるという。

 ディールは当時、各種動物に作用する消炎剤の研究をしていたが、その研究の一環として人工的に関節炎を起こさせるためフロイントアジュバント(熱処理したバクテリア)を動物に注射していた。その際、スイスアルビノマウスだけが炎症を起こさなかったことに気づき、炎症から身体を保護している物質としてCMOを特定した。予想通り炎症の保護をしていると推測できる結果が得られたのである。この消炎作用についてディールは、、哺乳類全体に適応できる手法として米国特許を取得している。

火曜日, 9月 27, 2011

米糠アラビノキシラン

○米糠アラビノキシラン

 アラビノキシラン(arabinoxylane)は多糖のアラビナン(構成糖はアラビノース)とキシラン(構成糖はキシロース)からなるヘミセルロース(半繊維素)で、小麦フスマの成分として知られているが、米糠やトウモロコシなどにも多く含まれている。小麦フスマはそのまま食物繊維素材として利用されることが多いが、米糠から分離されたアラビノキシランは酵素反応によって得られる誘導体がつくられており、免疫賦活物質として研究が活発に行われている。

 米糠アラビノキシランは誘導体は、大和薬品がアメリカの免疫学者マンドゥ・ゴーナムらの協力を得て開発したもので、米糠のヘミセルロースを素材に、シイタケ菌(DAIWA-A95菌)の培地濾液中に含まれる炭水化物培養分解複合酵素を反応させるという修飾方法がとられ、これによってヘミセルロース本来の複雑な基本構造を損なうことなく反応性を高め、免疫賦活活性を与えることに成功したものだ。

 この生理活性物質の抽出技術の確立は1995年のことで、以後本格的な基礎・臨床試験が開始され、多くの動物実験やガン患者への経口投与などを通じて、顕著なNK細胞活性の向上や、リンパ球のT細胞、B細胞の活性が高まることが報告されている。ゴーナムらはさらに、HIV感染症(エイズ)に対して米糠アラビノキシラン誘導体が有効性を示すとする基礎実験結果を報告して注目された(96年7月、第11回国際エイズ会議)。また国内でも大学や医療機関で糖尿病・慢性肝炎に対する効果試験が行われている。

月曜日, 9月 26, 2011

β-グルカン

○β-グルカン

 グルコース(ブドウ糖)を構成糖とする単一多糖類を総称してグルカンという。植物や動物、キノコ類、酵母に多く存在している。グルカンの代表はデンプン、グリコーゲン、セルロースである。

 グルカンは多数のグルコースが結合(脱水縮合)したものだが、結合する炭素の位置や結合の仕方の違いよって性質の異なるものとなる。例えばデンプンは食べると消化吸収されてエネルギー源になるが、セルロースは食べても消化吸収されない。これはグルコース同士の結合の違いからくるものである。グルコースの結合には、ヒドロキシ基(水酸基)が下にくるα型と、上にくるβ型とがある。また、結合している炭素の位置によって「1.4結合」や「1.6結合」などと示される。デンプンはα-1.4結合のα-グルカン、セルロースはβ-1.4結合のβ-グルカンである。

 β-グルカンはキノコ類に多く含まれ、抗腫瘍活性が認められていることから抗がんキノコの主要成分として重要である。これまでに、シイタケ子実体から得られたレンチナン、カワラタケ培養菌糸体からのクレスチン、スエヒロタケ培養の培地生産物であるシゾフィランが抗ガン剤として医薬品になっている。レンチナンとシゾフィランは、β-1.3結合した主鎖とβ-1.6結合の側鎖からなるβ-グルカンである。クレスチンは、β-グルカンにタンパク質が結合した複合糖質である。

 抗腫瘍効果が高いといわれているアガリクス・ブラゼイ・ムリル(姫マツタケ)には中性多糖、酸性複合多糖、タンパク多糖、核酸成分などが存在している。中性多糖はβ-1.6グルカンやキシログルカン、酸性複合多糖はガラクトグルカンのウルナイド、タンパク多糖はペプチドグルカン、核酸成分はリボヌクレオチドタンパクである。

 このように、一つのキノコの中にもこれだけ多くの多糖が含まれており、それらの作用もまた違ってくる。伊藤均(三重大学医学部)の研究によると、マウスを使って抗腫瘍効果を検討した実験では、β-1.6グルカンが最も高い抑制率を示したという。また宿前利郎(東京薬科大学)の報告では、サルノコシカケ科やシメジ科、ハラタケ科のキノコに多く含まれるβ-1.3グルカンには、経口投与によっても顕著な抗腫瘍活性が認められたとしている。

日曜日, 9月 25, 2011

植物ガム

 植物ガムは、植物の種子や樹皮に含まれる細胞膜の粘脂物で種子ガムと樹液ガムがある。種子ガムはグァーガム、マメ科イナゴマメの種子から得られるローカストビーンガム、マタタビ科タラの種子から得られるタラガムなどがある。樹液ガムにはアラビアガム、アオギリ科カラヤの幹から得られるカラヤガム、マメ科トラガントの幹から得られるトランガントガムなどがある。

○グアガム

 インドやパキスタンに生育するマメ科植物グァーの種子から採られる植物ガムで、ガラクトースとマンノースからなる高分子多糖類である。グアガムは水溶性の食物繊維として、便通や便性の改善などの整腸作用のほか、血糖値上昇抑制作用、コレステロールの低減作用などが古くから知られている。ただ粘度が高く、一般の食品に配合すると味や物性の面で問題があるため、微生物の酵素で加水分解して低分子化し、粘度を下げて利用されている。トクホの「おなかの調子を整える食品」の関与成分の一つである。

○アラビアガム

 アフリカのスーダンやナイジェリアに生育するマメ科の潅木アカシア・セネガルの樹液から得られる植物ガムで、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸などを主成分とする粘質多糖類である。グアガムに比べると粘度が非常に低いため、アイスクリームの安定剤など食品加工業界で幅広く使われている。アラビアガムは難消化性なので食物繊維としての機能性もあるが、生理作用の研究は少なく、便量の増加による整腸作用や腸内環境の改善などが報告されている程度である。

○サイリウム

 インド産のオオバコ科の植物ブロンドサイリウムの種皮から得られる植物ガムで、正式にはサイリウムガムという。キシロース、アラビノース、ラムノース、ガラクツロン酸からなる粘性多糖を主成分に、ペクチンやヘミセルロースなどが含まれている。食物繊維としての機能は整腸作用や血糖値の安定、コレステロール低下作用、ダイエット効果などが報告されている。

○微生物ガム

 糖を基質として微生物が発酵生産するガム類を総称して微生物ガムという。多くは食品添加物として使われているが食物繊維としての機能もある。デキストランはショ糖に乳酸菌を作用させて作られる増粘性の多糖で、医薬品に利用されている。カードランはエチレングリコールにグラム陰性細菌を作用して生産されるゲル化性の多糖で、食物繊維を約90%含む。キサンタンガムはグルコース基質としてグラム陰性細菌によって生産される増粘性の多糖で、食物繊維としてコレステロール低下作用が報告されている。プルランはデンプンを基質にして黒酵母によって生産される低粘度の多糖で、食物繊維を約80%含んでいる。

土曜日, 9月 24, 2011

水溶性食物繊維(3)

○難消化性デキストリン

 難消化性デキストリンは、デンプンの加水分解物であるデキストリンを酵素で分解し、難消化性部分を分離生成した低分子の水溶性食物繊維である。デキストリンに水を加えて溶解し、アミラーゼによる加水分解、脱色・脱塩などの処理をして得られる。

 生理機能としては整腸作用のほか、血糖値の上昇抑制、コレステロールの低下作用が認められている。また、口腔内で唾液アミラーゼの作用を受けにくいため虫歯菌にも利用されない。難消化性デキストリンは水によく溶け、低粘性・低甘味で食品本来の味やテクスチャーを損ねることがないため、飲料や菓子、練り製品、スープなど多くの食材に幅広く用いられている。トクホの「おなかの調子を整える食品」での許可実績が圧倒的に多く、2005年2月にスタートした。

○イヌリン

 イヌリンはキク科植物のダリア、ゴボウ、キクイモなどの塊茎に含まれる貯蔵物質で、フルクトースが20~30個程度結合した多糖類の一種である。消化酵素ではほとんど消化されないため食物繊維として利用されるほか、脂肪と似た食感が得られることから、洋菓子類などで脂肪摂取量を低減した製品に応用されている。イヌリンはこれまで植物の根から抽出されるのが一般的だったが、酵素を使って砂糖から直接製造する技術も開発されている。

○フルクタン

 フルクトースが多数結合した単一多糖で、食品ではラッキョウに多くて含まれている。水溶性食物繊維として機能性があり、便通改善、コレステロールの低下、利尿作用などがある。福井県農業試験所と同加工食品研究所は、ラッキョウ球根部からフルクタンを抽出する技術を開発し健康食品として製品化したほか、フルクタン入り食パンやパスタなども製造している。

○ポリデキストロース

 米ファイザー社が開発した水溶性食物繊維で、グルコース、ソルビトール、クエン酸を89:10:1の割合で混合し、高温真空化で重合反応させて得られる合成多糖である。ヒトの消化酵素で分解されずに大腸へ達し、腸内細菌にも利用されにくいためエネルギー量は1gあたり約1kcalと低い。便量の増加、消化管通過時間の短縮、便性の改善などが認められている。ポリデキストロースを配合した機能性飲料「ファイブミニ(大塚製薬)」は、日本における食物繊維ブームの火付け役であり、トクホ商品にもなっている。

金曜日, 9月 23, 2011

水溶性食物繊維(2)

○カラギーナン

 カラギーナンは、寒天と同じ紅藻類のキリンサイ(ミリン科)、トチャカ(スギノリ科)、オキツノリ(オキツノリ科)の細胞間質に存在する粘質多糖で、D-ガラクトースと硫酸を主成分とする酸性多糖である。

 ゲル化剤としてプリンやジャムに、増粘剤としてケチャップなどに利用されているほか、練歯磨やシャンプーにも配合されている。食物繊維としての機能は血中コレステロールの上昇抑制、血液の凝固防止、胃潰瘍の改善などが知られている。

○アルギン酸

 アルギン酸は、渇藻類の昆布やワカメ、ヒジキなどの細胞間質に存在するヌメリ成分で、マンヌロン酸とグルロン酸の2種類のウロン酸がβ-1.4結合した粘質多糖類である。褐藻類を薄いアルカリ液で煮て、アルギン酸ナトリウムやアルギン酸カリウムとして抽出される。水に溶かすと粘度の高い液体となり、食品の安定剤としてアイスクリームやジャム、ゼリーに使われている。

 アルギン酸を分解する酵素はアルギナーゼで、細菌や海中に生息する生物には存在するが、ヒトの消化液には含まれていないため難消化性の食物繊維として機能する。

 アルギン酸の生理作用としては、便量の増加、排便の促進などの整腸作用、コレステロールの上昇抑制作用がある。また、アルギン酸カリウムは腸内でナトリウムを吸着して糞中に排泄させ、血圧上昇を抑制する働きがある。このほか、アルギン酸ナトリウムの分子を小さくして粘度を低くした低分子アルギン酸はコレステロールの吸収を抑えることがヒト試験で明らかにされており、清涼飲料水に配合されてトクホ製品になっている。

木曜日, 9月 22, 2011

不溶性食物繊維

○セルロース

 セルロースは植物の細胞壁の主成分で、自然界に最も多く存在する単一多糖類である。ヒトはセルロースを分解する酵素(セルラーゼ)を持たないため小腸で消化吸収されることはなく、もっぱら食物繊維として機能性を発揮する。セルロースは日常の食事で摂取する食物繊維の大部分を占めており、特に穀類の外皮に多く含まれている。セルロースの生理作用としては、便量の増加や便秘改善などの整腸作用、悪臭物質や有害物質を減らして腸内環境を改善する作用がある。

○小麦ふすま

 小麦フスマは小麦の皮や胚芽の混合物で、小麦を精白したときにカスとして出る。成分の約60%は多糖で占められ、その内の2/3はヘミセルロース(アラビナンとキシランからなるアラビノキシラン)である。

 小麦フスマの生理作用としては大腸ガン(結腸ガン)の予防効果が知られているが、このほかにも腸内有用菌(ビフィズス菌)の増殖、コレステロール上昇抑制、血圧上昇抑制、ナトリウム排泄促進などの効果が報告されている。小麦フスマには繊維以外に、フィチン酸やセレン、フェノール、ステロール、ビタミンEといった抗酸化成分も含まれている。食品としてはシリアルやビスケットとして供せられる。

○リグニン

 リグニンは、セルロースやヘミセルロースと共に植物の細胞壁を形成している高分子化合物である。セルロースやヘミセルロースは多糖類だが、リグニンは芳香族炭化水素重合体(ポリフェノールの重合物)である。木材乾燥物に約30%も含まれていることから木質素とも呼ばれている。リグニンを多く含む食品はカカオ、ピーナッツ、緑豆などの豆類である。カカオマス(カカオの胚乳を焙煎しペースト状にしたもの)にはリグニンが9.8%(セルロースは3.4%、ヘミセルロースは4.2%)含まれており、これを原料とするチョコレートは1.5~4%のリグニンを含有している。ココア飲料にも多い。

 リグニンはヒトの消化酵素で分解されないためほとんど吸収されない。また大腸の腸内細菌でも発酵・分解されにくいので、便のかさを増やし便性を改善して整腸効果を発揮する。さらに胆汁酸を吸着して体外へ排出する働きがあり、血中コレステロールの増加を抑制する作用がある。このほか発ガン物質として結合した大腸ガンを抑えるという報告もある。

水曜日, 9月 21, 2011

水溶性食物繊維(1)

○ペクチン

 ペクチンは果実や野菜類など多くの植物に含まれる天然物質で、細胞間の接着剤として、また組織の安定剤として機能している。ガラクツロン酸(ウロン酸の一種)が鎖状にα-1.4結合したペクチン酸(複合多糖)が主成分で、植物組織中ではセルロースなどと結合し、水に不要のプロトペクチンとして存在している。未熟な状態の果実に含まれているプロトペクチンは、成熟するに従って酵素の作用をうけペクチン酸に変わる。プロトペクチンを水や希酸で加熱すると水溶性のペクチンになる。

 ペクチンはゲル化(液体をゼリー状にする)作用、保水性、粘性に優れているため、ジャムのゲル化剤、マヨネーズの乳化剤、ケチャップの増粘剤など食品加工で幅広く使われている。また微生物培養地、、胃腸薬などにも利用されている。

 食物繊維としてペクチンの生理作用は、上記のゲル化能、保水性、粘性により、糖質の消化吸収を遅らせて血糖値の上昇を穏やかにし、インスリンの分泌を節約する作用、胆汁酸の吸収を阻害してコレステロールを低減する作用などが知られている。大腸に達したペクチンは腸内細菌による発酵をうけ、その大部分が分解されて短鎖脂肪酸となり1gあたり約2kcal(ショ糖の半分)のエネルギーとなる。

○こんにゃくマンナン

 グルコマンナンともいう。コンニャクイモの塊茎に含まれる天然物質で、グルコースとマンノースがβ-1.4結合した複合多糖である。こんにゃくマンナンに水と消石灰を加えて加熱すると、凝固して食用コンニャクとなる。

 コンニャクマンナンは保水性が高く、水を吸収すると膨潤して容積を増す。また、粘性の高い水溶液をつくる性質がある。ヒトの消化酵素では分解されないため、高容積・高粘度の状態で腸管を通過し、その過程で食物繊維としての機能を発揮する。生理作用としてコレステロールの低減、糖尿病の予防、腸の老廃物や有害物質の排出、肥満防止などが知られている。

火曜日, 9月 20, 2011

クロム

○クロム

 クロムは18世紀にシベリアで発見された元素で、元素記号Cr。銀白色の金属である。常温で安定しており、空気中、水中で錆びない。3価クロムと6価クロムとがあるが、食品中を含めて自然界に存在するクロムはほとんどが3価クロムであり、ヒトにとって必須微量元素のひとつである。ちなみに6価クロムは人為的に作られたものが多く、生体への作用は3価クロムとは全く異なり、強酸化作用があって毒性が強い。

 ヒトが摂取したクロムは主に小腸で吸収されるが、吸収率は低く、0.5~2%程度とみられている。したがって、生体内に存在するクロムの量は極微量であり、また加齢とともに減少する唯一のミネラルである。生体内では、糖質代謝、コレステロール代謝、結合組織体者、タンパク質代謝の維持に関与しており、インスリンを活性化して、糖尿病や高脂血症を予防する効果がある。

 厚労省の「日本人の栄養所要量・食事摂取基準策定検討委員会」がまとめた基準(2005年版=平成17~21年の5年間使用)によると、クロムの推奨摂取利用は1日あたり・男性18~49歳40ug、50~69歳35ug、70歳以上30ug、女性18~69歳30ug、70歳以上で25ugとなっている。多く含まれている食品としては、可食部100gあたりで、干しひじき270ug、わかめ(乾)100ug、マイワシ(丸干し)76ug、アナゴ48ug、あさり45ug、ベーコン39ugなどがある。

 前記のように食品中の含有量が微量で体内への吸収率も低いことから、クロムは現代人には不足しがちなミネラル分のひとつに数えられている。クロムが不足すると、インスリン活性・感受性の低下、窒素代謝異常、体重減少、抹消神経障害、昏迷、角膜障害などが起こることがわかっている。とくにインスリン活性・感受性の低下は生活習慣病の一つである糖尿病の発症と密接につながっており、現代人にとってその対策が焦眉の課題となっている。というのも、日本人の糖尿病の95%はいわゆる「Ⅱ型」、つまりインスリン非依存型であり、インスリンは分泌されているにもかかわらず、活性が弱かったり、インスリンと結合する細胞のインスリン受容体の働きが悪くなったりするのが原因とみられている。これらはインスリン抵抗性と呼ばれ、血中にインスリンが相当量あるのにブドウ糖が細胞内に取り込まれず、血糖値が高いという状態(=Ⅱ型糖尿病)を引き起こす大きな要因ともなっている。

 一方、細胞内にインスリン抵抗性を改善する成分「GTF(グルコース・トレランス・ファクター=ブドウ糖耐性因子)」が存在する。GTFは1957年、米農務省人間栄養研究所理事であったウォルター・メルツ博士が豚の肝臓中から発見した物質で、博士はその核心をなす物質がクロムであることを確認した。クロムが不足すると、生体はこのGTFを作れなくなり、インスリン抵抗性を高める結果となる。逆にいえば、GTFは十分に足りている状態であればインスリン抵抗性は弱められ、糖尿病改善に大きな効果があると考えられたが、合成にはいたらなかった。

 その後、米ウィスコンシン大学フランク・マオ博士(内分泌学)らの研究チームがGTFの組織の詳細を解明、2000年には最先端のバイオテクノロジー活用により安定したGTFを作り出す技術が開発された。

 健康食品としてのクロムの最新製品は、このGTF技術を作ったもので、特に最近注目されているのがクロムフェリンである。これは、牛の初乳に含まれる微量のタンパク質ラクトフェリンにクロム酵母を結合させたもので、体内に取り込まれるとGTFに転換され、インスリン活性・感受性を高める働きをする。アメリカFDAの認可を受け、すでにアメリカ、オーストラリア、ドイツ、イギリス、フランス、オランダ、マレーシア、韓国、中国、台湾、日本などにおける臨床データで約80~90%の改善例が報告されているという。こうした新タイプの健康食品の開発は、糖尿病改善に新たな展望をもたらすことにもつながると目され、期待が集まっている。

日曜日, 9月 18, 2011

ミネラル

○ミネラル

 ミネラル(mineral)は、鉱物を意味する英語のマイン(mine)からきた言葉で、無機質といわれる。人体を構成する物質は60%が水(細胞内液、組織間液、血漿)、35^36%が有機化合物(タンパク質・脂質・糖質)で、ミネラル(無機質)は4~5%にすぎない。しかもその約半分は骨の主要成分であるカルシウムで、他の生体金属元素は遥かに少ない。にもかかわらず、それらは生体内の浸透圧の調整、体内物質の輸送、酸・塩基平衡、筋肉の維持機能、酵素の補助因子など、生命活動に不可欠の物質として存在しており、健康維持の上でも重要な栄養素であることが広く認められている。

 食品に含まれるミネラルは精製・加工の段階で失われることが多い。その一方で、加工食品に添加されるリンやナトリウムなどのミネラルは過剰摂取の傾向があり、現代の食生活ではミネラル類の摂取がアンバランスな状態になりやすいとも指摘されている。

 ミネラルは必須ミネラル(日々の食事から摂らなければならないもの)と非必須ミネラルに分けられ、現在、29種のミネラルが必須とされている。この内、生体内での存在量や必要量、食事からの摂取量が多いものを必須主要ミネラル、それ以外のものを必須微量ミネラルと呼んで区別している。

 なお、厚生労働省の健康増進法施行規則第16条では、亜鉛、カリウム、カルシウム、クロムセレン、鉄、銅、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、、要素、リンの12種を栄養成分として定めている。

土曜日, 9月 17, 2011

ビタミン

○ビタミン

 糖質・脂質・タンパク質などが生体内で十分に機能するために必要な有機化合物の総称。生体内で合成できないか、きわめて合成されにくいため、食品などから摂取しなければならない。ビタミンという名称は、1911年にポーランドのC・フンクが米ぬかのエキスから白米病に有効な物質を遊離して、それが炭素・水素・窒素からなるアミノ化合物のアミン(amine)であると考え、生命(vita)に必要なアミン、すなわちビタミン(vitamine)と命名したことに始まる。

 1910年に農芸化学者の鈴木梅太郎が、精米時に捨てられる米糠に脚気を防ぐ成分が含まれていることを発見、その物質をオリザニンと名付けた。これがビタミンB1の発見である。ついで米国のE・マッカラムやH・スティーンボックらは牛乳やバターなど油脂分の中にも有効成分の存在を認め、前記のオリザニンを含むこれら未知の成分を脂溶性A「」「水溶性B」と名付けた。

 さらに1918年、米国のL・メンデルらはオレンジの酸性水溶性エキスに壊血病を防ぐ成分を発見、その翌年に英国のJ・ドラモンドがこれを「水溶性C」と名付けると共に、これらをビタミンと総称し、それぞれA・B・Cと符号をつけて呼ぶことを提案した。以後、順次発見されていく過程でアルファベット符号がつけられてきたが、後にそれがビタミンでないと判明したり、あるいは別の物質名で呼ばれることになったりしたことから、現在認められている13種類のビタミン類(脂溶性のビタミンA・D・E・K、水溶性のB1B2・B6・B12・C、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)のアルファベット符号は飛び飛びである。また、これらのほかにビタミン様作用物質と呼ばれる有機化合物という。

 ビタミンは必要量はわずかだが必須の栄養素である。水溶性のビタミンは摂り過ぎた分は排泄されるが、脂溶性のものは過剰症が心配される。

金曜日, 9月 16, 2011

UC-Ⅱ

○UC-Ⅱ(非変性天然Ⅱ型コラーゲン)

 UC-Ⅱは英語名(Undenatured Type2 collagen)から名づけられたもので、その名のとおり、天然成分から抽出した、もとの自然の形が変性させられていないタイプのⅡ型コラーゲンである。Ⅱ型コラーゲンとは19種あることが知られるコラーゲンファミリーの中のひとつで、従来からよく知られているⅠ型コラーゲンとはアミノ酸配列が異なる。Ⅰ型が主に皮膚や腱に含まれるのに対して、Ⅱ型は軟骨や硝子体に多く含まれている。

 最近、関節の健康はもとより、美容・アンチエイジングに関与することが知られてきているⅠ型コラーゲンだが、健康食品等の形に加工する際、高温・化学処理等が行われると、もともと持っていた自然の活性が失われ、体内で消化吸収されにくくなってしまう。この欠点をカバーする形で開発されたのでUC-Ⅱであり、アメリカのインターヘルス社が登録商標を有する。多くのコラーゲン関連の健康食品がサメの軟骨などを原料としているに対し、若い鶏の胸骨から作られている点も大きな特徴といえる。

 開発に大きな功績があったのは、デビット・トレンザム博士で、博士を中心としたハーバード大学医学部グループならびにその他の研究機関が1993~1998年にヒト臨床実験を行い、効果を確認している。

木曜日, 9月 15, 2011

タンパク質

○タンパク質

 タンパク質はほとんどの生物の細胞に含まれる高分子窒素有機化合物で、糖質・脂質と共に三大栄養素の一つである。糖質や脂質は主にエネルギー源として利用されるが、タンパク質は筋肉、皮膚、臓器などを構成する基本物質として、また酵素やホルモン、免疫抗体、遺伝子などの生理活性物質としても機能している。タンパク質はアミノ酸が多数連結したポリペプチド鎖からできている。使われるアミノ酸は約20種だが、結合の配列順序が無数にあり、生成されるタンパク質も無数に近い。食品に含まれるタンパク質はヒトの体内でペプシンなどの消化酵素によりアミノ酸にまで分解される。そして、これらが材料となりDNAの遺伝情報に基づいて新たなタンパク質(体タンパク質)がつくられる。

 タンパク質には、アミノ酸だけが結合した単純タンパク質(アルブミン、グロブリン、グリテリン、プロラミン、プロタミンなど)、単純タンパク質が糖や脂質など他の物質と結合している複合タンパク質、熱や酸などで変性された誘導タンパク質(各種ペプチド類、ゼラチンなど)がある。タンパク質は生命活動によって体内で分解・再合成を繰り返すことで僅かずつは消費されるので、毎日必要量を補わなければならない。「日本人の食事摂取基準・2005年度」では、タンパク質の1日推奨量を成人男性で60g、女性で50gとしている。またタンパク質比率は男女とも20%未満、70歳以上は25%未満を目標量としている。

水曜日, 9月 14, 2011

脂肪酸

 脂肪酸は脂質を構成する基本成分で、8~22個程度の炭素が鎖状に結合して末端にカルボキシ基を持つ化合物(カルボン酸)である。炭素の数や結合の仕方の違いによって性質や機能の異なるさまざまな脂肪酸が存在する。脂肪酸は2炭素単位で生合成されるため、ほとんどの脂肪酸の炭素数は偶数個である。炭素数が6個以下のものを短鎖脂肪酸、8~12個のものを中鎖脂肪酸、14個以上のものを長鎖脂肪酸という。また、炭素数18個以上のものをまとめて高級脂肪酸ともいう。脂肪酸の構造は炭素(C)が鎖状につながり、それぞれの炭素に2個の水素(H)が結合した形をしているが、なかには炭素同士が二重に結合する箇所を持つものがある。二重結合を持たない脂肪酸を飽和脂肪酸、持つものを不飽和脂肪酸といい、性質や機能が大きく異なっている。

○飽和脂肪酸

 炭素原子は他の原子と結びつく手が4本、水素原子には1本ある。飽和脂肪酸では炭素原子は前後の炭素原子と手を結び合って、余った残り2本の手で上下に1個ずつの水素と手を結び合い、すべて炭素原子に水素が結合している。飽和では”水素をもうこれ以上受け入れることができない”という意味である。

 飽和脂肪酸は融点が高いため、常温で固体である。融点は炭素数が増えるに従って高くなる。ヒトよりも体温の高い牛や豚などの体内では液状になるものもあるが、ヒトの体内では凝固しやすく、血液の粘度が増して血行を悪くさせる。飽和脂肪酸を多く摂りすぎると、血中のコレステロールや中性脂肪が増えて動脈硬化の原因となる。「日本人の食事摂取基準・2005年度版」では、飽和脂肪酸エネルギー比率(総エネルギーに占める飽和脂肪酸の割合)の目標値を男女とも4.5~7%未満としている。

 飽和脂肪酸にはカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などがある。これらは動物性脂肪やパーム油、ヤシ油などに含まれているが、含有量が多いのはパルミチン酸とステアリン酸である。また、ヒトの体内でも合成される。

○不飽和脂肪酸

 炭素と炭素が2本の手でつながることを二重結合といい、この結合を持つ脂肪酸を不飽和脂肪酸という。二重結合が一つの単価不飽和脂肪酸、2つ以上の多価不飽和脂肪酸がある。不飽和脂肪酸はいずれも炭素数が18個以上の長鎖脂肪酸だが、二重結合があるために融点が低く、常温で液状である。不飽和脂肪酸の融点は二重結合の数が増えるに従って低くなる。オリーブオイルに含まれるオレイン酸(炭素数18、二重結合数1)の融点は14℃だが、魚油に含まれるDHA(炭素数22、二重結合数6)の融点はマイナス78℃である。

 飽和脂肪酸は血漿コレステロール濃度を上昇させるが、不飽和脂肪酸は低下させる作用を持つ。また、生理活性物質(プロスタグランジン、ロイコトリエン)の合成材料になるものもあり、生体にとって重要な物質である。その反面、不飽和脂肪酸は酸化されやすいため過酸化脂質を生成して動脈硬化や発ガン、老化の原因物質となる指摘もある。

火曜日, 9月 13, 2011

脂質

○脂質

 脂肪や油など、水に溶けにくく有機媒体に溶けやすい性質を持ち、脂肪酸(カルボン酸)を基本成分とする物質を総称して脂質という。脂質は糖質・タンパク質と共に三大栄養素の一つで、最も効率の良いエネルギー源として、また生体膜の構成成分としても重要である。脂質の内、リン脂質や糖脂質は生体膜の構成成分として、ステロールは胆汁酸やステロイドホルモンの材料として機能している。また、一部の脂肪酸は生理活性物質(プロスタグランジンなど)の合成材料になる。

 肉や魚など食品に含まれる脂質の90%以上は脂肪で、脂肪1gから得られるエネルギー(熱量)は約9kcalと、糖質やタンパク質の2倍以上である。日本人の脂肪エネルギー比率(総エネルギーにしめる脂肪の割合)は昭和20年代の10%以下から、現在では約26%(平成16年国民栄養調査)になっており、脂肪の摂りすぎによる肥満や冠動脈性心疾患の増加が指摘されている。「日本人の食事摂取基準・2005年度版」では、脂肪エネルギー比率を男女とも29歳までは20~30%、30~69歳は20~25%、70歳以上は15~25%を目標量としている。

月曜日, 9月 12, 2011

多糖類(2)

○セルロース

 エネルギー源にはならないが食物繊維として重要。繊維素ともいう。植物の細胞壁の主成分として自然界に最も多く存在する単一多糖類である。構造はグルコースが直鎖状にβ-1.4結合している。

 人ではセルロースを分解する酵素を持たないため、消化吸収してエネルギー源として直接利用することはできないが、腸内では食物繊維として機能性を発揮する。牛や馬などの草食動物には胃の中にセルロースを分解する微生物を持っているため、エネルギー源として利用できる。

ヘミセルロース

 半繊維素ともいう(ヘミはギリシャ語で”半分”を意味する)。セルロースやリグニンと共に植物の細胞壁を構成している多糖類である。構成糖の違いからキシラン、アラビナン、ガラクタン、マンナンなどがある。キシラン(構成糖はキシロース)は、木材、藁、トウモロコシの芯などの主成分。アラビナン(構成糖はガラクトース)はアラビアゴムや大豆に含まれている。ガラクタン(構成糖はガラクトース)は果実の表皮に多く含まれ、マンノースを構成とするマンナンは硬い表皮を持つ種子や果実に多い。多くの植物では、これらの単一多糖がさらに別の単糖類と結合した複合多糖類として存在している。ヘミセルロースは穀類、豆類、小麦フスマなどに多く含まれ、不溶性食物繊維としてセルロースと似た作用がある。また免疫賦活などに有効な機能性物質としても注目度が高い。

日曜日, 9月 11, 2011

多糖類(1)

○デキストリン(dextrin)

 糊精ともいう。デンプンを熱や酸などで加水分解する際に生じる低分子の中間性生物の総称。ご飯を炊いたときにフタに薄くつくオブラート状のものもデキストリンの一種である。デキストリンを酵素で分解し、難消化性部分を分取したものを難消化性デキストリンと呼び、水溶性食物繊維として利用されている。

○グリコーゲン(glycogen)

グリコーゲンは動物の肝臓や筋肉に存在する貯蔵多糖類である。グルコースのみで構成される単一多糖で、構造はデンプンのアミロペクチンに類似している。食事で摂取したデンプンは消化酵素の働きでグルコースとなって肝臓に吸収され、その一部は血液に出てエネルギー源となるが、それ以外はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられる。(通常、肝臓には70g、筋肉に400g)

 肝臓のグリコーゲンは、血液中のグルコース濃度が低下したときなどに分解してグルコースとなり血液中に供給される。筋肉中のグリコーゲンは、筋肉の収縮する時のエネルギー源として使われる。グリコーゲンは動物の死後、急速に分解されてしまうため、一般の食肉中には少ない。牡蠣はグリコーゲンを豊富に含む食品として知られているが、時期により含有量は大きく変化し、マガキは冬、イワガキは夏に最大となる。

土曜日, 9月 10, 2011

少糖類

 少糖類は、単糖が2~10個程度グリコシド結合(縮合)してできた糖で、オリゴ糖とも呼ばれる。結合する単糖の数によって二糖類、三糖類、四糖類などに分けられるが、ヒトでは二糖類(スクロース、マルトース、ラクトース)が重要である。また、これらの糖を材料に酵素の働きなどを利用して工業的に作られる各種オリゴ糖があり、健康機能面から関心を集めている。

○スクロース(sucrose)

 ショ糖ともいう。グルコースとフルクトースがα-1.2結合した二糖類で、砂糖の主成分である。果物や花蜜など多くの植物に存在するが、特にサトウキビやサトウダイコンなどに多く含まれている。食事で体内に取り組まれたスクロースは、サッカラーゼという酵素によってグルコースとフルクトースに切断され、小腸で吸収されてエネルギー源となる。

○マルトース(maltose)

 麦芽糖ともいう。2個のグルコースがα-1.4結合した二糖類で、発芽種子、特に麦芽に多く含まれている。甘さはスクロースの3分の1程度。水飴の柔らかな甘味の主成分になっている。デンプンやグリコーゲンを加水分解すると得られる。マルトースは、小腸でマルターゼという酵素によって2個のグルコースに切断され吸収される。

○ラクトース(lactose)

 乳糖ともいう。ガラクトースとグルコースがβ-1.4結合した二糖類で、動物の乳汁中にのみ存在する。人乳に約7%、牛乳に約4%含まれている。甘さはショ糖の5分の1程度だが、消化・吸収に優れているため、乳児の栄養源として欠かせない糖である。また、カルシウムやマグネシウムの吸収を高める働きもある。

 ラクトースは、小腸でラクターゼという酵素によってガラクトースとグルコースに分解され吸収される。ラクターゼが欠損する人では、ラクトースの分解が阻害され吸収不全となり下痢などの胃腸障害を起こす。これを乳糖不耐症という。

金曜日, 9月 09, 2011

糖アルコール

○糖アルコール

 単糖類のカルボニル基を還元して得られる多価アルコールを総称して糖アルコールという。ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどがある。糖アルコールはグルコースと同じ程度の甘さを持つが、生体内での化学反応が進行しにくいためエネルギー源になりにくい。そのため低カロリー甘味料として幅広く利用されている。

※ソルビトール(sorbitol)

 グルコース(ブドウ糖)が還元されてできる六価の糖アルコール。自然界ではナナカマドやプルーンの実、海藻類に多く含まれている。工業的にはグルコースをニッケル触媒下で還元して生産される。甘味度はグルコースとほぼ同じだが、カロリーは3分の2と少なく、血糖値を急激に上昇させたり虫歯の原因にならないので、シュガーレス甘味料として錠果などに広く利用されている。

※マンニトール(mannitol)

 マンノースが還元されてできる六価の糖アルコール。天然に広く存在し、特に干し昆布の表面に付く白粉中に多い。甘味度はグルコースとほぼ同じだが、カロリーは約2分の1と少なく、低カロリー甘味料として利用される。

※キシリトール(xylitol)

 キシロースが還元されてできる五価の糖アルコール。工業的にはトウモロコシの芯などに含まれる多糖キシランを分解してキシロースを得、それをニッケル触媒下で還元して生産される。甘味度はショ糖とほぼ同等。

 キシリトールには虫歯の原因となる酸を抑制する作用があり、欧米では早くから虫歯になりにくい甘味料として利用されてきた。日本では当初、医薬品成分に指定されていたが、1997年に食品添加物としての使用が認められ、キシリトール入りのガムやキャンディ、歯磨きが相次いで登場した。トクホの虫歯になりにくい食品の関与成分の一つにもなっている。

※エリスリトール(erythritol)

 果実や清酒など発酵食品に微量に存在する四価の糖アルコール。工業的にはグルコースに酵母を作用させて発酵法で作る。甘味度はショ糖の約80%程度である。エリスリトールは小腸で吸収されるが、その9割以上は代謝されずに尿中に排泄され、残り1割が大腸で発酵をうけて短鎖脂肪酸に代謝される。そのため1gあたりのエネルギー値は0.3kcal(ショ糖の13分の1)と少なく、血糖値の上昇や虫歯の原因とならない。健康甘味料や清涼飲料水に広く利用されている。

※マルチトール(maltitol)

 還元麦芽糖ともいう。グルコースとソルビトールが結合した糖アルコールで、マルトース(麦芽糖)を高圧水素添加により還元して製造される。甘味度はショ糖の80%。生体酵素による分解度が遅く、一部は小腸で消化吸収されるが、大半は大腸へ達して腸内細菌による発酵をうけ、1gあたり約2kcal(ショ糖の半分)のエネルギーにしかならない。摂取後の血糖値の上昇が低いため糖尿病患者用の甘味料として使われることが多い。ダイエット食品や虫歯になりにくいガムにも利用されている。

※ラクチトール(lactitol)

 還元乳糖もという。ラクトース(乳糖)のグルコース基が還元された糖アルコールで、ラクトースを高圧水素添加により還元して製造される。甘味度はショ糖の約半分以下。難消化性、非う蝕性があり、血糖値の上昇を抑える作用が認められている。

※パラチニット(palatinit)

 パラチノースを還元してつくられる糖アルコール。還元パラチノースともいう。甘味度はショ糖の約30~40%。生体酵素による分解速度が遅く、一部は小腸で消化吸収されるが、大半は大腸に達して腸内細菌による発酵をうけ、1gあたり約2kcal(ショ糖の半分)のエネルギーにしかならない。常用しても虫歯になりにくいことがヒト試験で証明されており、トクホの虫歯になりにくい食品の関与成分になっている。ガムやチョコレートなどの甘味料として用いられる。

木曜日, 9月 08, 2011

糖質

○糖質

 糖質は、デンプンや砂糖に代表される炭水化物(糖類)と、これに関連する有機化合物の総称で、植物や動物、菌類などに広く存在する物質である。

 炭水化物は、炭素(C)・水素(H)・酸素(O)の3元素からなり、分子の構造が「炭素」と「水」が化合した「Cm(H2O)n」をしていることから、こう呼ばれている。従来は「糖=炭水化物」とされてきたが、糖の中には、多糖類のキチンのように窒素(N)を含み、炭水化物とは異なる構造を持つものも多数存在することがわかってきた。そのため現在は、炭水化物以外の糖も含め、それらを広く糖質として扱っている。

 糖質は脂質・タンパク質と共に三大栄養素の一つであり、主に動物のエネルギー源として利用される。ショ糖やデンプンなど、小腸で消化吸収される糖質1gから得られるエネルギー(熱量)は約4kcalである。これに対し、難消化性オリゴ糖や食物繊維(多糖類)などは消化吸収されずに大腸へ達し、腸内細菌による発酵をうけて短鎖脂肪酸を生産し、0~2kcalのエネルギーとなる。「日本人の食事摂取基準・2005年度版」では、成人が1日に必要とするエネルギー量は、中程度の身体活動レベルで男性が2400~2650kcal、女性が1950~2050kcalとされ、この内、50~70%を糖質(炭水化物)から摂取することを目標量としている。

 糖質は単糖類・少糖類・多糖類に分類される。単糖は分子構造的にこれ以上分解されない最小単位の糖で、グルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)などがある。少糖は単糖が2~10個程度結合したもので、オリゴ糖とも呼ばれる。スクロース(ショ糖)やマルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)などのほか、これらを材料に酵素の働きを利用してできた高分子化合物で、デンプンやグリコーゲンのように生物のエネルギー源になるもの、セルロースやペクチンのように植物の骨格材料として存在するものなど、数多くの種類がある。

 単糖類や少糖類、多糖類には、それぞれに異なった健康機能性がある。食物として摂取した糖質は消化酵素によって最小単位の単糖にまで分解され、小腸壁で吸収される。これらの単糖は門脈を経て肝臓に運ばれ、すべてがグルコースに変えられてエネルギー源となり、一部はグリコーゲン(多糖)に合成されて貯蔵される。また、中性脂肪やアミノ酸に変えられ、貯蔵エネルギーやタンパク質の合成にも利用されている。このほか、一部の単糖はタンパク質などと結合して糖鎖の形になり、血液型の決定や免疫反応、細胞を識別する情報の担い手としても働いている。

 少糖は主に甘味料の成分として利用されるが、近年新たに開発される各種オリゴ糖の中には、腸内の有用細菌を増殖させる作用や血糖値低下作用、歯の抗う蝕作用を持つものがある。

 また多糖類の内、セルロースやペクチンなどはヒトの消化液では分解されず、消化も吸収もされないことから長らく栄養的に重要視されていなかったが、近年、これらの難消化性多糖類にコレステロールの上昇を抑制する作用や血糖値の上昇を抑える作用、腸の蠕動運動を活発化して排便を促進させる作用のあることがわかり、食物繊維として一躍注目されるようになった。

水曜日, 9月 07, 2011

ハーブティー(3)

○フィールドポピーティー

 フィールドポピーはケシ科の一年草で、学名はPapaver rhoeas。ドイツやフランスの麦畑や道路端に焔のような真っ赤な色で咲くので、コーンポピー(麦のケシ)とも呼ばれている。この花びらを乾燥させたつくるフィールドポピーティーには鎮静作用があり、飲むと”安眠が約束される”といわれている。アヘンを含むケシとは別種なので、危険も心配もなく、従って栽培はまったく自由。のどの痛みや咳にも効果がある。

○サフラワーティー

 サフラワーはキク科の一年草で、学名はCarthamus tinctorius。日本では紅花として知られている。古くから優れた染料や薬として利用されてきた花弁がハーブティーとしても利用される。花は咲き始めは黄色だが、しだいに橙色から紅色に変わる。橙色の頃に花柄ごと切り取って干し、乾燥したところで花びらだけを抜き取ってお茶のように用いる。サフランと同様の明るい黄色で、香りもよく似たハーブティーができ、効能もそれに似て鎮静・鎮痛・通経などである。

火曜日, 9月 06, 2011

ハーブティー(2)

○サフランティー

 サフランは南ヨーロッパを原産とするアヤメ科の多年草で、学名はCrocus sativus。真っ赤な花柱はパエリヤやブイヤベースなど地中海料理の着色や風味づけに使われる。此花の雌しべの先(柱頭)だけを摘み取り乾燥させたものがハーブのサフランで、カップに3~6本入れて湯を注ぐだけで明るい黄色のサフランティーができあがる。香りは婦人薬の中将湯に似ており、効果も同じように血の道症・不眠・イライラ・肩こり・のぼせ・頭痛などの不定愁訴に効き、駆お血作用があるとされる。

○ミントティー

 ミントはシソ科の多年草で、日本ではハッカ(薄荷)という。葉に精油成分(メントール)が含まれ、古くから発汗・解熱・健胃の生薬として用いられたきたほか、胃腸薬や各種内服用製剤、軟膏などにも広く利用されている。精油成分のやや少ないペパーミント(学名はMentha piperita)やスペアミント(学名はMentha spicata)などの種類が、スッキリした清涼が好まれてハーブティーに利用される。中世ヨーロッパでは、紅茶は特権階級のもので一般庶民が飲むことは禁じられていたが、ハーブティーは飲用を許されていたので、人々はミントティーやカモマイルティーをそれぞれ、”サンタマリア・ティー”とか”ノートルダム・ティー”などと称して飲んでいたという。

○ハイビスカスティー

 ハイビスカスはアオイ科の常緑低木で多くの種類があるが、ハーブティーに使われるのはアフリカ原産のサブダリハ(学名Hibiscus sabdariffa)と呼ばれる種類である。これはハワイや沖縄などで観賞用にゴージャスな赤い花を咲かす種類とは異なり、花は小さく貧弱だが、その花(というより萼)を干したものを使う。お茶のように入れると、爽やかな酸味と鮮やかな紅色の飲料となる。疲労回復、造血作用などの効用があり、欧米ではスポーツ選手に愛飲者が多い。クセがないので誰にでも喜ばれ、シャーベットやゼリーにも使われるほか、東南アジアでは葉も一種にサラダや漬物(日本の梅干や赤ジソのように)として利用されている。

日曜日, 9月 04, 2011

ハーブティー(1)

○ローズティー

 ローズティーには、①バラの花の実を利用したローズヒップティーといわれるもの、②中国産の球塊(メイグァイ)という日本のハマナスに似たバラの花弁や、西洋の大型のバラの花弁を乾かしてお茶の葉のようにして飲むもの、③紅茶や中国茶に花弁を混ぜ合わせて、その香りを移して飲むもの、の3種類がある。

 最近、女性の間で人気が高いローズヒップティー(rosehip tea)は、バラ科のドッグローズ(dog rose、学名はRosa camina)の実(ヒップ)を干して砕き、お湯を注いでつくるハーブティーである。ドイツなど北ヨーロッパで冬の間ビタミンC不足から起きる病気を防ぐ(経験上)ため愛飲していたもので、”北国のレモン”ともいわれる。ドイツではこのバラの実にカルカーデ(ハイビスカス)を配合して飲んでいる。

○カモマイルティー

 カモマイルはヨーロッパ原産のキク科シカギク属の一年草で、学名はMatricaria recutita。カモミール(仏)、カミツレ(蘭)ともいう。小さな花を摘んで乾燥させハーブティーとして利用する。カモマイルには大型のジャーマン種と小型のローマン種という異なる種があるが、効能もよく似ているため普通は問題とされない。独特の香りが好悪を分けるが、風邪の初期(喉や鼻の痛み)には非常によく効き、昔から”医者の草”と呼ばれ、医療用ハーブとしても長い歴史がある。

 発汗を促し、頭痛など各種の痛みを和らげるなど効能が多いが、女性に特有の諸症状にもよく効くので、ドイツでは”ムッテル(母)のクロイター(薬草)”と呼ばれる。北欧系女性の金髪が美しいのは、このティーでリンスするからだとも言われている。他の多くのハーブ同様、お茶やコーヒーとは逆に鎮静作用があり、就寝前に飲むと睡眠誘導効果もあるので、グッドナイト・ティーという別名もある。

土曜日, 9月 03, 2011

色々な健康茶(3)

○南天茶

 南天はメギ科の常緑灌木で、別名を南天竹、南天燭という。生薬名は南天実。”難を転じて福にする”という縁起から広く親しまれ、例えば赤飯に南天の葉が添えられているのは、「食中毒の心配はありません」ということからである。

 主な成分はナンジニン、アセトン、ベルベリンで、果実にはアルカロイドのドメスチンが含まれている。ドメスチンは咳止め作用のある成分として知られている。効用と用い方は、①痛風、脚気(根を煎じて飲む)、②咳、扁桃腺炎、口内炎、咽頭炎(葉と実を濃く煎じて飲む)、③疲れ目、視力強化、白内障(果実を煎じて飲む)、④やけど、腫れ物、蜂刺され(葉の生汁を塗る)、⑤食あたり、魚の中毒(葉を噛んでいると毒物を吐く)などである。

苦丁茶

 苦丁茶は中国の南部、及び西部で保健茶として飲用されている茶で、独特の苦味と清涼感を特徴とする。中国でも茶の中では生産量が少なく、大変貴重な高級茶とされる。場所によって、モクセイ科、オトギリソウ科、モチノキ科、ムラサキ科、バラ科などさまざまな植物の葉を用いて作られている。

 四川省産の苦丁茶には、清熱、降圧、防暑の効あり、雲南省の苦丁茶には、防暑、消炎、増智、抗疲労等の効ありとされる。また四川省さんなどのLigustrum属植物を基原とする苦丁茶中には、モノテルペンやフェニルエタノイド配糖体が含まれ、特にモノテルペン配糖体にはコレステロールの吸収や生合成に関与するACATという酵素の阻害作用があることが報告されており、血中脂質改善効果が期待されている。

金曜日, 9月 02, 2011

色々な健康茶(2)

○露草茶(つゆくさちゃ)

 ツユクサはツユクサ科の一年草で、別名はボウシバナ、アイバナ、ホタルグサ。ツユクサの青い色素は、友禅や絞り染めの下絵を書くのに用いられる。花、茎、葉、根の全てが薬用になり、主な成分としては青色素のデルフィニジン、コンメリニン、タンニンなどが含まれる。その効用は、①心臓病、腎臓病、下痢、むくみ、尿閉塞、発熱、喘息、神経痛(全草を煎じて飲む)、②動悸、息切れ、胎毒、肥満(葉と茎と葉で青汁を作って飲む)、③咽頭炎、扁桃腺炎(煎じ汁でうがいをする)、④結膜炎(絞り汁で目を洗う)、痔(花弁を揉んで貼る)、腫れ物、毒虫指され、口内炎(花と葉の搾り汁をつける)などとされる。

○萩茶(はぎちゃ)

 ハギはマメ科の亜灌木植物で、良く芽を出すことか生芽の別名がある。ススキと共に秋を代表とする草で、秋の七草の一つに数えられている。葉を刻んで乾燥させたものを煎じて常飲すると、めまい、のぼせ、ノイローゼ、咳、腫れ物などに効用がある。

○雪の下茶(ゆきのしたちゃ)

 ユキノシタはユキノシタ科の常緑多年草で、生由来は雪の下にあっても青々としているところからきている。別名は鴨脚草。生薬名の虎耳草は葉の形が虎の耳に似ていることから。主な成分としてベルゲニン、クロロゲン酸などの配糖体を含んでいる。その効用は幅広く、①心臓病、腎臓病、むくみ(生葉20枚位を煎じてお茶代わりに飲む)、②咳、風邪(葉を10gと甘草2gを煎じて飲む)、③顔面神経痛(キャベツ、大根の葉タンポポの青汁に加えて少量を毎日飲む)、④小児病、百日咳、ひきつけ(葉の絞り汁を飲む)、⑤のぼせ、めまい(葉の青汁を盃に1杯ずつ飲む)などとされている。

木曜日, 9月 01, 2011

色々な健康茶(1)

○女郎花茶(おみなえし茶)

 オミナエシ(女郎花)はオミナエシ科の多年草で、日当たりの良い草原に自生する。血眼草という別名もある。秋の七草の一つである。根を煎じて飲む。含有成分にはオレアノール酸を含み、大阪大学薬理学部が敗醤根(オミナエシの根の生薬名)の制ガン作用について研究発表をしている。その効用は①制ガン作用のほか、鼻血、むくみ、肺脳腫、胆のう炎、婦人のお血、こしけ、腫れ物(根の煎じ汁を服用する)、②眼病、充血(根の煎じ液で洗眼するとよい、血眼草ともいわれるのはこのため)などとされる。

○薊茶(あざみ茶)

 アザミ(薊)はキク科の多年草で、葉や総苞には棘がある。触れると痛い目にあい、”欺かれる”ことからこの名がついた。別名はチジリソウ。根を煎じて飲む。主な成分としてクロロゲン酸を含み、これはコーヒー豆中でカフェインと結合している物質である。効用は胃腸病、浮腫、夜尿症のほか、化膿性疾患(根と葉をつぶして患部に貼ると痛み止めになる)などである。

○撫子茶(なでしこ茶)

 ナデシコはナデシコ科の多年草で、別名はカワラナデシコ。秋の七草の一つである。主な成分として、根にトリテルペノイドのギプソゲニン酸という配糖体が含まれている。効用は、①むくみ、生理不順(種子10gを水400mlを水40mlで半分になるまで煎じて1日3回飲む)、②膀胱炎(全草を刻んで煎じて飲む)などとされる。

水曜日, 8月 31, 2011

色々な菌株(4)

○ヤクルト菌

 ヤクルト本社が保有する乳酸菌で、正式な菌名はラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(Lactobacillus casei Shirota)。1930年年に代田稔(京都帝国大学医学部微生物学教室)が世界で初めて培養に成功した人腸乳酸菌で、35年には同菌を使用した乳酸菌飲料ヤクルトが発売されている。ヤクルト菌には、腸の蠕動運動を高める、有害菌の増殖を抑える、免疫力を維持する働きが認められている。

○K-1菌

 亀田製菓が2001年に、日本で初めて米から分離して開発した植物性乳酸菌。正式な名称は菌名はラクトバチルス・カゼイ・カメダ1株(Lactobaciluss casei KAMEDA-1)。日本人の食生活をモデル化した腸内栄養成分で増殖し、胃液に耐えて腸まで届くことが実験で確かめられており、植物性食品を多くとってきた日本人の胃腸によくフィットするのが特徴である。

 K-1菌には、整腸作用のほか、細胞の突然変異を抑える抗変異原性のあることが、同社と東京農業大学菌株保存室の共同研究で明らかにされている(日本農芸化学会2001年度大会で発表)。同研究によると、K-1菌は5種類の発ガン物質・変異原性物質を無毒化する働きに優れている。特定されたのは①4NQO(胃ガン、大腸ガンを誘発するガン原生物質)、②Trp-P1(肉や魚のコゲに含まれる変異原性物質)、③Trp-P2(同)、④2-AA(発ガン物質)、⑤MNNG(胃ガン、大腸ガンを発生させる発ガン物質)で、同菌が腸内でこれらと反応すると無毒化され、大腸ガンを予防する可能性があるという。K-1菌は、同社の「植物性乳酸菌ヨーグルト」に使われている。

火曜日, 8月 30, 2011

色々な菌株(3)

○LC1菌

 ネスレ中央研究所(スイス、ローザンヌ)で単離されたプロバイオティクス乳酸菌。正式な菌名はラクトバチルス・ジョンソニーLC1(Lactobacillus johnsonii LC1)。LC1菌は経口摂取によって腸壁に接着し、病原菌の物理的排除、抗菌物質の分泌、免疫細胞の活性化などに働く。胃のピロリ菌抑制にも有効である。同菌を使用したヨーグルトLC1を販売している。また、東京農業大学との共同でアレルギー症改善に関する研究も進めている。

○ロイテリ菌

 スウェーデンのバイオガイア社が保有する乳酸菌で、正式な菌名はラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)。腸内でロイテリンという抗生物質を生産し、大腸菌やサルモネラ菌、ブドウ状球菌などの有害菌の繫殖を抑える作用がある。日本ではチチヤス乳業がライセンス契約により、自社の「ロイテリ菌ヨーグルト」に使用している。同社は広島大学歯学部付属病院の二川浩樹らのグループと共同で、ロイテリ菌の虫歯予防効果についての研究を行い、虫歯菌の発育を阻止する作用があることを明らかにしている。

月曜日, 8月 29, 2011

色々な菌株(2)

○L-92乳酸菌

 カルピスが開発したアレルギー改善作用のある乳酸菌。正式な名称はラクトバチルス・アシドフィルスCK92株(Lactobacillus acidophilus CK92)。同社が保有する2000種以上の菌の中から、アレルギーに関与する”Th1/Th2バランス”の改善効果が高い菌とした選び出された。ヒト試験による花粉症に対する改善作用に加え、ダニやハウスダストなどによる通年性アレルギー性鼻炎にも改善効果のあることが確認されている。「インターバランスL-92」シリーズとして、同社の清涼飲料水や乳酸菌飲料、サプリメントに使われている。

○LGG菌

 フィンランドのバリオ者が保有する乳酸菌で、1985年にゴルバッハ(Gorbach)とゴルディン(Goldin)の2人の医学者によって発見された。正式な名称はラクトバチルス・ラムノーサスGG(Lactobacillus rhamnosus GG)。GGは発見者2人の頭文字からとられている。1997年に同社が、LGG菌によって乳幼児のアトピー性皮膚炎の症状が抑えられたという研究結果を発表し、乳酸菌の新機能としてアレルギー改善作用が世界的に注目され始めた。日本ではタカナシ乳業がライセンス契約により、自社のヨーグルトに使用している。同社は東京農業大学と共同で、アトピー性皮膚炎とT細胞との関連に着目してLGG菌の研究を進めており、LGG菌由来の物質がマウスT細胞の異常増殖を強力に抑えるという発表を行っている(2005年2月)。

日曜日, 8月 28, 2011

色々な菌株(1)

○LG21菌

 明治乳業が東海大学医学部の古賀泰裕らとの共同開発で開発した乳酸菌。正式な名称はラクトバチルス・ガッセリOLL2716(Lactobacillus gasseri OLL2716)。経口投与によるヒト試験を実施し、同菌が胃のピロリ菌を減少させることを確認している。LG21菌は同社が保有する約200種類のラクトバチルス属乳酸菌から選ばれたもので、①低栄養条件下でも増殖力が強いこと、②乳酸生産力が高いこと、③胃上皮細胞への接着が可能なこと、④耐酸性が優れていること、⑤人体に安全であることの5項目を満たし、さらにピロリ菌を減らす効果が最も高かった菌である。同社の「プロビオヨーグルトLG21」に使われており、機能性ヨーグルトとして人気がある。

○KW乳酸菌

 キリンビールフロンティア技術研究所が昭和女子大学大学院生活機構研究かと共同で開発した乳酸菌。正式な名称はラクトバチルス・パラカゼイKW3110(Lactobacillus paracasei KW3110)。ヒトによる摂取試験で花粉症の改善効果が確認されている。花粉症アレルギーには、2タイプのヘルパーT細胞(Th1とTh2)が関係しており、アレルギー状態のときは両者のバランス崩れ、Th1が減少し、Th2が上昇するといわれている。

 KW乳酸菌は、グループ企業の小岩井乳業が保有する100種類以上の乳酸菌の中から、”Th1/Th2バランス”の改善効果が高い菌として選び出された。小岩井乳業の「小岩井KW乳酸菌ヨーグルト」、キリンウェルネスフーズの健康食品「ノアレ」、キリンビバレッジの清涼飲料水「体質水」などに使われている。